こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

362話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 人魚の国③
ヒルデが近づいてきて、エメラルドのように輝く目で微笑んだ。
「こんにちは、ヒルデだよ!」
イベルはその姿に少し圧倒されたのか、セイブルの服をぎゅっと掴み顔を隠した。
「うん。この子の名前はイベルだよ。イベル。」
セイブルは静かにイベルの名前をヒルデに教えた。
ヒルデはイベルをじっと見つめた後、少しずつセイブルの腕の中に滑り込んできた。
セイブルは二人の子どもを抱え、少し慌てた表情を浮かべていた。
しかし、なんだか……可愛い?
両手で子どもたちを抱えながらも、セイブルはまるでその重さを感じていないように見えた。
ただし、生まれたての子猫や子犬を初めて触った人のように、ぎこちなくも優しい動きをしていた。
「うん。この子がなぜ僕に懐いているのかは分からないな。」
一人の子どもを抱えているだけでも可愛らしいのに、二人抱えているとさらに微笑ましい光景だった。
二人の子どもを抱いている姿は本当に可愛い。
この機会にもう一人増やすことを考えようか。
そんなことを思いながらも、気づけばイベルとヒルデは仲良く遊んでいた。
すると、ナディアが笑いながら言った。
「これ、もしかすると親戚関係になるかもね!」
「それはダメですよ、ナディア様。私はブランシュ陛下の叔母なのですから。」
ああ、そうだった!
ヒルデは私たちの姪にあたるのだと改めて気づいた。
新しい生命と絆の神秘に気づかされた。
妖精の王国と人魚の王国、両方が血縁で結ばれているのだから。
ヒルデが私たちの姪だと知ると、彼女がさらに可愛らしく見えた。
ブランシュがヒルデに近づき、手を差し伸べた。
「こんにちは、ヒルデ。私はブランシュよ。あなたとは兄弟姉妹みたいなものね。」
ヒルデはにっこり微笑んで、ブランシュの手をしっかりと握った。
その後、ちらりとセイブルの方を見上げた。
ブランシュが微笑みながら言った。
「パパ、弟と妹が二人もできました!」
その嬉しそうな様子を見ていると、やっぱり三人目を考えるべきかと思えてくる。
セイブルと一瞬目が合うと、彼も同じようなことを考えている気がした。
そんな私たちの間に温かな雰囲気が流れる中で、ブランシュが何かに気づいた様子でカリンに尋ねた。
「ヒルデに人魚の尾がないのは、混血だからですか?」
「はい、そうです。混血の子が生まれるのは久しぶりなので、古い文献を調べてみました。」
「ああ、なるほど。そういえば、ナディアとカリンの結婚はどうなるの? 子どもができたから正式にするの?」
私はナディアに向かって質問した。
「まだ正式には結婚していないよね?」
「うん、ずっとカリンに結婚しようって言ってるんだけどね。」
ナディアはカリンをじっと見つめながら、慎重に近づいていった。
そして、彼女の様子を伺いながらそっと手を取った。
ナディアはその手の甲にそっと口づけをした後、真剣な表情でカリンを見つめた。
普段は見せない、心からの表情だった。
「カリン、私と結婚してくれないか?」
「外交官を辞めたらね。」
ああ!冷静な拒絶だ。
ナディアは打ちひしがれた様子で、哀れな子犬のようにしょんぼりしてしまった。
「もう531回目の失敗だよ!」
「まあ、そうだったの?」
ナディアとは対照的に、カリンは冷静そのものだ。
531回目のプロポーズとは、どんな意味でも並大抵ではない。
その情熱は本当にすごいものだ。
ナディアがまたもや失恋の悲しみをこらえていた時、一人の人魚が慌ただしく部屋に入ってきた。
その様子は緊急事態のようだった。
「ナディア様、少しお伝えしたいことがございます。」
臣下が部屋に入ってくると、ナディアは急に表情を引き締めた。
そして威厳をたたえた態度で、王のように問いかけた。
「報告しなさい。まさか、あの件か?」
「はい。申し訳ありません。」
「……厄介なことになったわね。」
「あの件」?
それが何を指しているのかは分からなかったが、その言葉を聞いた瞬間、ナディアの顔色が一変した。
うーん、これは深刻な事態のようだ。
ブランシュはその様子を見守りながら口を開いた。
「ナディア様、何か問題が起きたのですか?」
「それが……」
ナディアは臣下を下がらせた後、ブランシュを見つめた。
先ほどまでの和やかな雰囲気は消え、部屋の空気は少し重たくなったように感じた。
これまでの友人同士の会話から、ここからは王同士の対話へと移り変わったのだ。
ナディアは冷静な声で言葉を紡ぎ始めた。
「今回アトランシアに招待した理由は分かるかしら?」
「はい、中立地帯の建設の件ですよね?」
数年前、人間と人魚が共に暮らせる中立地帯を作ろうという計画が着々と進められていた。
そして、ブランシュとベリテアの結婚を機に、中立地帯の建設には妖精も協力することになった。
すべての種族を受け入れるというのが中立地帯の方針であり、種族に関係なく過ごせる都市になると聞いていた。
ある程度都市として安定してきたため、アトランシア側は中立地帯の状況を見せるために私たちを招待したのだ。
「中立地帯は上手く整備されていて特に問題はない……いや、問題が出てきたんだ。」
「問題とは?」
「中立地帯に様々な種族が集まるようになって、自然と貿易が盛んになり、商業活動が活発化したんだ。東方からも商人が訪れるようになってね。それで、この近辺に灯台を建てようとしたんだけど……」
その時、私は微かな震えを感じた。
地震か、それとも波のうねりのような感覚。
そして同時に扉が勢いよく開いた。
「コマインが来たのか!」
轟音のような声とともに、グンヒルドが現れた。
久しぶりに見ても、変わらず自然災害のような存在感を放っている!
彼女は嵐のように飛び込んでブランシュを無造作に抱き上げた。
グンヒルドは久々に姪を見る人のように、満面の笑みを浮かべていた。
「コマインは一つも育たないわね!」
「く、グンヒルドさん、大丈夫ですか?」
反対に、嵐のように勢いのあるグンヒルドとは違い、ブランシュは弱々しくしていた。
私もまた、グンヒルドを見て驚きを隠せなかった。
何?なんでこんなに傷だらけなの?
全身に包帯を巻きつけているし、それ以外にも新しい赤い傷跡が目立っていた。
誰が見ても重傷なのに、こんなに動いてもいいのか?
グンヒルドは気にしていないような表情で笑った。
「まあ、ちょっと怪我しただけよ。大丈夫。」
「ちょっとどころじゃないですよ!」
その場で冷静だったのはナディアだけだった。
ナディアは静かにグンヒルドに声をかけた。
「お姉さん、そのコマインは人間帝国の皇帝陛下ですよ。降ろしてください。」
「はいはい。命令通りにしますよ。」
グンヒルドはどこか皮肉っぽい口調で答えながら、ブランシュを降ろした。
ブランシュはまだ驚いた表情を浮かべていた。
「どうしてそんなに怪我をしたんですか?」
「それが……」
グンヒルドは簡単には答えず、どこか言いにくそうにしていた。
彼女は一瞬ためらった後、大きく息をついて話し始めた。
「ドラゴンと戦って少し怪我したのよ。」







