こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は103話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
103話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 以前どこかで
(でも、それはダメだよ)
マリは心の中で首を横に振った。
実際、彼女もそんなことを考えたことがないわけではない。
皇太子を恐れていた時、キエルと二人きりで皇居を抜ければどうかと想像したことがある。
白馬に乗った王子様のようなキエルと一緒なら、どこへ行っても悪くないと考えたから。
(だけど・・・、それは違う。ダメ)
彼女は皇太子と同様に彼の心を受け入れることができなかった。
それは彼を欺瞞することだから。
(もちろんキエルさんなら、私の正体を明らかにしても受け入れてくれるかもしれないけど・・・)
そして、マリの秘密よりも重要な理由があった。
(私はもう皇太子殿下から離れたくない)
今キエルが去ろうと言った時、瞬間的に浮かんだ顔。
それはまさに皇太子ラエルだ。
彼女は彼のそばを離れたくなかった。
愚かなことであっても、明日後悔したとしても彼のそばにいたかった。
「マリちゃん・・・、いいですか?」
キエルの声は彼女の心に気づいたかのように揺れている。
マリは胸を痛めたが、彼が傷つかないように慎重に、しかし明確に答える。
「すみません、キエルさん」
確かな拒絶にキエルは口をつぐんだ。
彼の顔が切なさとほろ苦さに染まった。
「・・・そうですよね」
「すみません、本当に」
「いいえ、むしろ私がマリちゃんの心も配慮せず勝手に話して申し訳ありません」
「・・・キエルさん」
「今私が言ったことは、そのまま忘れてください。余計に気を遣わせて申し訳ありません」
キエルの言葉にマリはもどかしさを感じる。
きっと傷ついたはずなのに、むしろ自分を配慮するなんて。
彼はいつもの柔らかな表情に戻った。
「散歩を続けましょう、マリちゃん」
「・・・はい」
二人は湖のほとりを歩き続ける。
二人とも湖を眺めるだけで、特に何も言わず静かに散歩をした。
やがて帰る直前、キエルが慎重に口を開いた。
「マリちゃん」
「はい?」
「マリちゃんにとって私は大切な友達でしょう?」
彼の青い瞳は穏やかだったが、マリはなぜかその静けさの後ろに隠れて揺れる感情が感じられた。
「はい、もちろんです。キエルさんは、私の一番大切な友達です」
その言葉にキエルは微笑んだ。
彼の瞳の後ろに隠れて揺れていた感情が少し安らかになる。
「なるほど、ありがとうございます」
・
・
・
その後、宿舎に戻ったマリはベッドに横になった。
「キエルさん。どうして急にあんな提案をしたんだろう?」
今日は何か変だった。
まるで何かを整理するような。
「本当に何かあったんじゃないよね?」
マリは窮屈な気持ちでベッドから起き上がる。
心が複雑だった。
散歩でもしてこよう。
もう遅い夜だった。
マリは夜の空気を吸い込み、息を吸い込んだ。
考えを整理するために、あてもなく足を運ぶ。
しかし、歩くほど頭は複雑になるばかりだった。
マリが再びため息をついた瞬間、意外な声が聞こえてくる。
「どうしてため息なのですか、美しいレディー?」
ビックリして首を傾げた彼女の目に、見慣れた顔が入ってきた。
「カラクタ伯爵様?」
カラクタ伯爵は、マリが自分のことを覚えていることを光栄に思った。
「お久しぶりです。美しい夜空の下なのに、どうしてそんなに心配そうな表情なのですか?」
「いいえ、何でもありません」
マリは気まずい顔で首を横に振る。
他の人に話せることでもなく、何より彼女はカラクタ伯爵を嫌っていた。
特別な理由はないが、訳もなく敬遠したくなる。
ところが、カラクタ伯爵はマリに会えたことが嬉しかったのか、色々な言葉をかけ続けた。
「この前、麻薬組織を掃討した話を聞きました。凄いですね。どうしてそんなことがやり遂げられたのですか?」
「ただ・・・、運が良かっただけです」
伯爵の目が誰も知らないうちに低く輝く。
「もしかして事前に情報を知っていたのでしょうか?」
マリはしきりに話しかけてくる伯爵に曖昧な笑みを浮かべた。
(そうでなくても頭が複雑だから、早くどこかに行ってほしい)
そんな彼女の本音に気付いたのか、伯爵は残念そうな顔を浮かべる。
「ああ、疲れているのに私が空気を読まずに話してしまったようですね。申し訳ありません」
「いいえ」
「ヒルデルン卿を見ると、訳もなく嬉しい気持ちになってしまって。まるで以前からずっと見てきた仲のように身近な感じがします」
マリは頷いた。
以前から見てきたような気がするのは彼女も同じだから。
ただ、彼女は親近感より拒否感があったからだ。
「もしかしたら実際に以前会ったことがあるのかもしれません。どこでヒルデルン卿を見たのでしょうか?」
「そうですね」
「ああ、思い出しました!以前どこでお会いしたのか」
「・・・?」
マリは不審そうな顔をする。
以前に会ったことがあるって?
そんなはずがない。
カラクタ伯爵は濃い笑みを浮かべ、そして晴天の霹靂のようなことを言った。
「私たちは過去、クローヤン王国の王城でお会いしましたよね?」
「・・・!」
今・・・、何て?
「クローヤン王城のどこだっけ・・・。ああ、そうだ。通院の宮でお会いしたような気がします」
マリは何の返事もできなかった。
通院の宮。
かつてモリナ王女だった彼女が幽閉されていた場所。
「そうじゃないですか?」
伯爵、いや、西帝国の皇帝ヨハネフ三世は依然として濃い笑みを浮かべたまま言った。
ついに直接言われましたね!
キエルも心配ですが、今はマリ自身にピンチが訪れています。
ヨハネフ三世は、この情報を利用して何を計画しているのでしょうか?