こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は105話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
105話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- カタラク伯爵の望み
邸宅の中に入ったマリは、大きなホールの奥から聞こえてくる音楽に怪訝な顔をする。
(なんで音楽の音が?)
そんな彼女の疑問に気づいたかのように伯爵は親切な口調で話した。
「先日皇太子殿下に裁可を受けた文化事業のためです」
「文化事業ですか?」
カジノって言ったっけ?
最近、首都の社交界ですごい流行っているそうだ。
「カードゲームをしている途中で気分転換できるように、いくつかの公演を一緒に行っています。幸いには反応は良好のようでして」
マリは頷いて宴会場の中を見回す。
当時、皇太子は人々が過度にカードゲームにハマって資金を使い果たすのではないかと思い、出入りやベッティング金額などに制限を設けるなど色々な安全装置を用意していた。
(まだ皆が遊戯程度で楽しむだけで、大きく抜けた人は見えないけど、引き続き注目しなくちゃ)
そう思っている間に、マリはカタラク伯爵が案内した応接室に到着する。
「食事でもしながら、お話ししましょうか?」
「結構です」
マリが首を横に振ると、カタラク伯爵は悲しそうな表情で彼女に席を勧めた。
「分かりました。ところで、私に話したいこととは?」
「伯爵様は私に言いたいことはありませんか?」
「それはどういう意味でしょうか?」
「言葉通りの意味です。私に言いたいことはないのでしょうか?」
そう尋ねたマリは黙って彼の反応を待つ。
(とりあえず、私が先に手札を見せる必要はない。それは愚かな行為よ)
伯爵は自分のことを知っているに違いない。
そして、それに対して何か意図を持っている。
それは確かだった。
しかし、この蛇のような伯爵が自分の意図を簡単に表すことはないだろう。
彼女はできるだけ慎重にアプローチし、彼の意図を把握し、談判しなければならなかった。
「私がヒルデルン卿に言いたいこと・・・」
そう呟いた伯爵はニッコリと微笑んだ。
そして一気にこう吐き出した。
「通院の宮で会ったことを話しているのですか、モリナ王女様?」
「・・・!」
マリの体がこわばった。
思いがけず、彼が一気に自分の正体を吐き出したからだ。
青ざめた彼女の顔を鑑賞するかのように見つめ、カタラク伯爵は深い笑みを浮かべながら席を立つ。
そして、まるで道化師がするかのように雄大な礼を表した。
「もう一度挨拶するのが正しいでしょうか?ハンザ同盟のカタラク伯爵が、クローヤン王国のモリナ王女様に礼を上げます」
挨拶を終えた後、応接間に重い沈黙が舞い降りる。
マリは青ざめた顔で考えた。
(やっぱり私の正体を知っていた)
予想していたが、直接耳で聞くと衝撃が大きい。
(しっかりしろ。どうせ見当がついていたこと。ここで重要なのは彼の意図よ)
マリは固い目で彼を見た。
「私に何を望んでいるのですか?」
カタラク伯爵の微笑みが濃くなる。
「欲しいものですか?そうですね、私はただ思いがけない再会に喜びを表しただけです」
その滑稽な言葉に、マリは唇を固く閉じた。
馬鹿でも彼の言葉を信じないだろう。
そんな彼女の表情に伯爵は悲しそうな顔をする。
「本当です。私が王女様の正体を明らかにして、王女様を困らせたことで何の利益も得られないでしょう?」
「・・・」
「信じてくれないかもしれませんが、私は王女様に好感を持っています。偶然にも私は王女様の姿を見て、どれだけの夜をワクワクして眠れなかったのか分かりません」
そう言っていた彼の目つきが、ある瞬間低く沈んだ。
「正体を明らかにすれば、私の心の中に入ってきた王女様が残虐な皇太子の手で命を落とすかもしれないのに・・・。私がそんなことをしでかすでしょうか?」
「・・・!」
マリの体が震える。
悪戯っぽい言い方だが、彼は自分を脅してきたのだ。
「それで、欲しいものは何ですか?ふざけないで言ってください」
「ふむ」
カタラク伯爵は、ゆったりとした表情で椅子に背を向けた。
「欲しいものは、実はないわけではないですね。王女様の思い通り、私はあなたに望むことがあります。それも切に」
「それは何ですか?」
彼の微笑みは何度も既視感を与えた、どこか不気味な感じの笑顔だ。
「まさにあなたです」
「え?」
マリは彼の言葉が理解できず反問する。
「私が望むのは、まさにあなたです。モリナ王女」
「・・・!」
「もう一度申し上げます。私はまさにあなたを望んでいます」
マリの目は当惑して揺れた。
これは一体どういう意味なのだろうか?
思いもよらない彼の言葉に、マリは淡々と口を開く。
「冗談が・・・、過ぎますね、伯爵様」
「冗談ではありません。私の話はひたすらに本気です」
伯爵の声はいつもと違って慎重だ。
全く予想外の話だったので、マリはどう反応すればいいのか分からなかった。
ヨハネフ三世の望みは、予想通りマリでしたね。
この要求を拒めば、彼はラエルに密告するのでしょうか?