こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は160話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
160話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- クローヤン地方③
「以上が現在のクローヤン地方の状況です、閣下」
簡単に休憩した後、リン男爵の報告を間いたマリは深刻な表情で口を開く。
「最悪ですね」
「はい、そのとおりです」
リンはうなずいた。
「実は、これまで陛下が繰り広げてきた融和策は間違っていません。むしろ税金を減免してくれたり、いろんな恩恵を保障するなど、とても立派な融和策でした。しかし、問題が生じたのです」
リンはゆっくりと話し続ける。
「何年も続いた干ばつと大洪水です。実際、災害に帝国が関与したことは全くありませんが、民は帝国が王国を占領したためにこのような災難が来たと考えています」
マリは重々しく口を開いた。
「よりによって占領後から干ばつになりましたからね」
リン男爵はうなずく。
「はい、そのとおりです。だから帝国がいくら親和的な融和策を展開しても、王国民はびくともしないのです。そして、ここにもっと大きな問題があります」
マリはリン男爵が何を言おうとしているのか推測した。
「モリナ王女ですね」
「さすが帝国の聖女、ヒルデルン子爵ですね。そのとおりです」
リン男爵が感嘆しながら言った表現に、マリは恥ずかしそうな顔をした。
帝国で立てた功績で最近彼女を「帝国の聖女」と呼ぶ人々がいたのだ。
「苦しい立場に置かれるほど、人々は精神的な逃げ場を探そうとしますから。王家の最後の末裔であり、幼い年齢にもかかわらず様々な救済活動を展開した「顔のない聖女」、モリナ王女がその逃げ場となったのです」
「・・・」
「実際に王家の復活を願う残党勢力が広めた噂まで加わり、民衆は毛利や王女を自分たちを救ってくれる希望と考えるようになりました」
そこまで聞いたマリは深くため息をつく。
知ってはいたが、状況が予想より深刻だった。
「どうしますか?」
リン男爵とウィンター伯爵が同時に尋ねる。
同じ問いだったが、中に入っているニュアンスは少し違う。
リン男爵はあの有名なヒルデルン子爵がとんな妙策を出すか期待されるという様子で、ウィンター伯爵の目には彼女に対する心配と信頼が同時に含まれていた。
(状況は複雑だけど、やるべきことは明確だ)
マリは考えを整理して口を開いた。
「まずは民の考えを直接聞いてみます。外遊を準備してください」
身分を隠した後、街に出たマリは直接人々の話を聞いた。
いい印象の彼女に、人々はあまり警戒心を持たずに自分の考えを聞かせてくれる。
「こんなに災いが来たのも、すべて血の皇太子が我が王国を侵略したからだ。天が怒ったんだって」
「そうだね。日照りが続いたが、今度は大洪水だなんて、以前はこんなことが一度もなかったのに」
戦争が終わるやいなや訪れた日照りに大洪水、反乱まで。
相次ぐ災難に人々は苦しい生活を続けていた。
明日の食事を心配する人も多かった。
そのように生活に疲れた民は希望を取り戻したのだ。
「モリナ王女が早く来てほしい。王女様なら私たちを救えるのに」
「そうだよ。幽閉された子供の頃にも、私たちのことを考えてくれた方だから、きっと私たちを助けてくれるよ」
「ただでさえ隣町の不思議な力を持つジプシーが未来を予知する夢を見たが、モリナ王女がもうすぐ来るそうだ」
「それは本当なの?」
「そう、それからまた別の話があるんだけど、これは秘密だから誰にでも騒ぐな」
「何の話なの?」
人々は一人の男の話に耳を傾ける。
マリも人ごみに紛れて話を聞く。
「モリナ王女が密かに前王室の騎士団に連絡を取ったということだ。もうすぐクローヤン王国を解放しに来ると」
「それは本当なの?この前の反乱みたいに嘘じゃないの?」
「違うよ。今回は本当だと思う」
人知れずその話を間いていたマリは、呆れた顔をした。
(私がいつ?)
そんな事を言ったことはないが、それだけではなかった。
城の中にはモリナ王女に対するありとあらゆる噂が流れていたのだ。
王国を解放するために緻密な準備をしているとか、すぐ軍隊を駆ってくるとか、実はモリナ王女が天使だとか。
本当のモリナ王女である彼女としては、呆れるほどの話だった。
思ったよりモリナ王女を望む声が高い。
このような荒唐無稽なデマが飛び交う理由は一つだけ。
それは、民衆がそれだけ彼女を望んでいたからだ。
(どうしよう?)
王国民がまさかこれほど自分を望んでいるとは知らなかったマリは、困った表情をした。
訳もなくラエルがモリナ王女の首を叩こうとしたのではなかった。
人々の意見を十分に間いたマリは官邸に戻る。
(このままではだめだ)
直接間いた民心は非常に深刻だった。
このままではクローヤン地方は混乱から抜け出せないだろう。
(方法を考えなければならない)
彼女は丹念に対策を講じた。
(まず最初の課題は、王国民の暮らしを安定させること。こんなに窮乏した状況では、どんな方法も通じないだろう)
マリは複雑な状況に惑わされずに事態の本質を見抜く。
民が帝国に背を向けた最大の理由は、結局人生が窮乏するためだ。
モリナ王女を探すのも、彼女が自分たちを救ってくれることを願うものだ。
(まず収穫期まで持ちこたえる食糧を配給しなければならない。このままでは多くの人が餓死してしまうだろう)
マリはリン男爵とウィンター伯爵を呼んで自分の考えを語る。
ウィンター伯爵はうなずいた。
「正しい考えです。しかし、財源はどこで賄うのでしょうか?」
「総督府で利用可能な金額はいくらですか?」
それはリンが答えた。
「ぎりぎりまで集めれば50万ペナ程度追加で使うことができます」
50万ペナ。
全然足りなかった。
「少ないですね。もっと使えるお金はないのですか?」
「これも帝国皇室が支援してくれて可能な金額です。繰り返し災害に遭ったクローヤン地方民に税金をほとんど免除してあげたため、総督府の財政はすでに破綻状態です」
(陛下に支援を要請する?)
しかし、すぐに首を横に振る。
帝国皇室も財政がぎりぎりであることは補佐官だった彼女がよく知っていた。
巨大帝国は入ってくる収入も多いが、出費はもっと多い。
すでに、クローヤン地方の底抜けの壷に水を注ぐやり方で財政をつき込んでいるため、これ以上の支援は不可能だった。
その時、ウィンター伯爵が口を開く。
「どうしますか?救愉が必要であることには顧問官である私も同意します。財政が問題なら皇帝陛下に私が何とか話してみます」
その言葉にマリは感謝の表情を浮かべた。
「はい、ありがとうございます。ですが、帝国皇室も財政が足りないのは同じなので、まず他の方法を講じてみなけれはならないようです」
「しかし、ないお金を急に作ることはできないのではないですか?皇帝陛下もご理解いただけると思います」
ウィンター伯爵の言うことは正しかった。
他の問題ならともかく、財政問題は彼女がどんなに飛び回っても解決できない。
(でも皇室の助けを受けるのは、結局私の国民全体に負担を強いることだ。他に方法はないかな?)
本当に仕方がないのなら手を広げなければならないが、マリは何とか方法を考え出したかった。
その時、リン男爵がため息をついて言った。
「どこかで金鉱や宝石鉱山でも見つかるといいですね。そうすればどんどんお金が使えるのに」
それを聞いたマリの目が大きくなる。
「ちょっと待って。今、何と?」
「え?あ、ただの鉱山でも見つかったらいいと・・・。どうしたのですか?」
リンは不思議そうな表情で問い返したが,マリは彼のことを気にしなかった。
方法が思い浮かんだのだ。
(そう、それだ!それなら皇帝の助けを借りずに財政問題を解決できる!)
ウィンター伯爵は彼女に言った。
「それでは皇居に連絡して財政支援を受けるようにします」
「いいえ。その必要はありません。お金を用意する方法がありますから」
リン男爵とウィンター伯爵は驚いた表情をした。
「それはどんな方法でしょうか、閣下?」
「私の個人財産を使えばいいのです」
リン男爵は困惑した表情をする。
「もちろん閣下もお金持ちではありますが、国民全体を対象とする救愉です。一銭や二銭になるのが・・・」
「1千万ペナ」
「・・・はい?」
マリは懐から書類を取り出した。
その書類を見たリン男爵の目が大きくなる。
預置証明の書類だったのに、本当に1千万ペナという金額が書かれていたのだ。
「私が持っている財産です。これで民を救愉します」
1千万ペナ。
以前のカタラク伯爵、いや、ヨハネフ3世との賭博で勝利した代価として得たお金で莫大な大金だった。
この程度なら、民を救愉しても残るだろう。
「1千万ペナだなんて。とてつもないお金持ちでしたね」
リン男爵は首を横に振りながら言った。
「ただ運良く手に入れたお金です」
賭博で取ったんだから運良く得たのは事実だ。
(すっかり忘れていた)
マリはきまり悪そうに思った。
個人的にお金を手にすることがないため、1千万ペナを受け取ったことを忘れていたのだ。
(とにかくよかった。この程度なら急な火は十分消せるだろう)
その時、リン男爵が妙な声で尋ねる。
「ところで、よろしいのですか?1千万ペナをすべて失うことになるのに。返してもらうこともできないでしょう。もったいなくないですか?」
「・・・」
マリはしばらく口をつぐんだ。
彼女も人間だから物欲がないわけではなかった。
全く残念ではないと言えば嘘だろう。
「私が持っていれば、どうせ銀行で腐るお金です。反面、このように使うと多くの人の命を救うことができますから。どうせ神様がただでくださったお金。このように使うのが正しいと思います」
そう言った彼女は、這う声で注意深く話した。
「それでも少しは惜しいから・・・、1万ペナだけ残してください。あ、いや、もし足りなければ大丈夫ですが・・・」
リンの目つきがますます妙になる。
他人のために全財産同然の大金を出すことが理解できないという視線だった。
しかし、その妙な目つきもつかの間、笑い出した彼はうなずいた。
「1万ペナぐらいは十分に残るでしょう。心配しないでください」
その時、じっと間いていたウィンター伯爵が口を開く。
「皇帝陛下には何とおっしゃいますか?その1千万ペナは陛下が閣下に直接下賜したのではないですか?」
マリはしばらく悩んだ末に答えた。
「たぶん、陛下なら喜ばれると思います。私の知っている陛下は、誰よりも民のことを考えている方ですから」
その答えにウィンター伯爵は満面の笑みを浮かべる。
「なるほど。むしろ陛下なら、もっとあふれ出るように注いでくださるかもしれません。とにかく救愉米を用意することは私が担当するようにします。長くはかからないと思います」
彼はこのように付け加えた。
「できるだけ安く手に入れるようにします。1万ペナ以上は十分残しておきますので、心配しないでください」
マリの顔が少し赤くなる。
「た、ただ言ってみただけです。残さなくていいですから・・・」
「いいえ、残しておきます。それもとても豊かに」
ウィンター伯爵はニヤリと笑いながら席を立つ。
「私はこう見えてもいろいろな人脈が多いので、おそらく皆安く売るように努力するでしょう」
そうしてマリの自費で救愉が始まった。
モリナ王女の神格化が進んでいますね。
そんな中でのマリの施策は、民心に響くのでしょうか?