こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は157話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
157話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 皇居を去る日
いよいよ皇居を去る日が近づいた。
マリは重い顔で皇帝ラエルに頭を下げる。
「すみません、陛下」
クロヤン地方に行こうと申し出て以来、マリは皇帝の顔を楽に見ることができなかった。
どれほど大きな心配を抱かせたかを知っているためだ。
たとえやむを得ない理由で行くのだとしても、彼はこの皇居で自分のことを心配するだろう。
「必ず仕事を完遂して帰ってきます」
マリは固く決心して言った。
その時、ラエルは首を横に振る。
「約束が間違っている」
「え?」
「仕事がうまくいかなくて失敗しても大丈夫。それより重要なことは、あなたが無事に帰ってくることだ」
「・・・」
「今この瞬間、約束して。毛先一つでも怪我.せずに帰ってくると」
マリは頭を下げた。
「はい、約束します。必ず、何事もなく無事に帰ってきます」
そんな彼女をラエルが優しく抱きしめる。
「必ず、気をつけなければならない」
マリは彼の温かくて居心地のよい懐を感じながら目を閉じた。
この胸元を永遠に離れたくなかった。
しかし、真に彼に向き合うためには進まなければならない。
「・・・はい、殿下」
その時、彼がマリのあごをそっと持ち上げて自分を見つめるようにした。
「目を閉じて」
「・・・はい」
すぐに彼の唇が彼女の唇に触れる。
以前のように荒いキスではなかった。
むしろ切ない。
彼女への気持ちが切々と感じられる、それで胸が痛くなるようなキスだった。
「陛下」
マリはキスを受けながら目を閉じる。
彼の心が感じられたので胸がドキドキした。
訳もなく涙が出そうだった。
そのように甘く切ないキスが終わった後、彼が古風な感じの十字架のネックレスを彼女の首にかけてくれた。
「陛下、このネックレスは?」
「帝国の皇后に代々受け継がれるネックレスだ」
「あ・・・」
ラエルはかすかに笑った。
「つまり、あなたが私のものであることを立証する証だ」
彼はもう一度彼女を優しく抱きしめ、額にキスをする。
「だから、あなたはどこにいても、私の女であることを忘れるな。分かったか?」
「はい、陛下」
マリーは手を上げてネックレスを撫でた。
彼と自分を繋ぐ印だと思うと、なんだか気分が良かった。
「それでは行ってきます」
マリが出発した後、オルンはぶっきらぼうに吐き出した。
「お上手ですね、陛下」
「そうかな?」
「はい、オペラ俳優をしてもいいくらいです」
オルンは気に入らないようにぶつぶつ言った。
「どうせすぐについて行くくせに。見ている皆が切々としていました」
ラエルはくすくす笑う。
オルンは深くため息をついた。
「もう一度お願いします、陛下。そのまま行かなかったらだめですか?」
「ダメだ。彼女一人で行かせるわけにはいかない」
「それでも陛下が直接行かれるのは・・・」
ラエルは首を横に振った。
「クローヤン地方を安定させることが何より重要だということにはあなたも同意しないのか?彼女一人で行くより、私が行って手伝ってあげた方が事態解決にはるかに良いだろう」
「それはそうですが、中央はどうするのですか?」
ラエルは不機嫌そうに笑った。
「どうせここの首都には帝国最高の名宰相がいるじゃないか」
「はぁ・・・」
オルンは再びため息をつく。
最近、1日に100回以上ため息をついている気がする。
「危なくないですか?」
「もちろん危険に晒されないように、できるだけ気をつけなければならない」
そしてラエルは言った。
「この前ヨハネフ3世が使った東方の力勇術が本当にすごかったよ。その逆用術を使えばまんまと変わることがあるので、見つかる可能性はほとんどないだろう」
東方の力勇術。
前回、ヨハネフ3世が東帝国に潜入した時、カタラク伯爵の外見に変わった手法だ。
ラエルは当時、彼が使った逆用術を調査し、ある程度自分も使えるように身につけた状態だった。
オルンはしかめ面をして言った。
「率直に言って陛下の力勇術は、生半可です」
「え?」
「ヨハネフ3世に比べて完全に生半可です」
積もったものが多いのか、オルンは悪感情を込めて言葉を吐いた。
ラエルはそうではないかのように首を横に振る。
「そうか?完全に他の人の外見に変わったけど?」
「外見は変わりましたが、気品や威厳はそのままです。他の人には知らなくても、少なくともヒルデルンにはすぐにバレるでしょう」
「・・・そうなのか?」
「はい、彼女にバレる確率は100%です。私の宰相職をかけます」
「・・・」
ラエルは黙った。
もともと彼はマリに内緒で彼女を助けに行くつもりだった。
「・・・もう少し努力しなければならないね。」
「努力しても無駄でしょう。絶対にバレます」
そのように多少軽く話を交わしていたオルンは、皇帝を眺めながら話した。
「陛下」
「なんだ?」
「マリがモリナ王女である可能性についてどう思いますか?」
「・・・」
その瞬間,ラエルの顔はこわばる。
心の中で推測だけしていながら、お互いに直接的に口に出せなかった話を、オルンが初めて言及したのだ。
しばらく沈黙していたラエルは口を開いた。
「可能性を排除することはできないだろう」
彼はうなずいて黙って話を続けた。
「しかし、私は彼女を信じている。モリナ王女であろうとなかろうと、彼女が私を裏切るはずがないということを信じる」
ラエルの言葉にオルンはため息をつく。
「もし、マリがモリナ王女なら、私は二人の結びつきに賛成できません。現在、モリナ王女は存在自体だけでもクローヤン王国を不安定にしています」
「・・・」
ラエルは重い目つきでオルンを注視した。
その時、オルンが意外なことを言った。
「だから、彼女を陛下の女として迎えたければ、必ずクローヤン地方を安定させてください」
ラエルはその言葉に目を見開いた。
いつもマリとの結びつきに反対していた彼が、制限はあるが肯定的な意味を表したのだ。
ラエルは強くうなずく。
「当然そうするつもりだ」
一方、その瞬間。
首都から遠い西に位置するクローヤン地方。
月明かりが漏れる廃建物に、一人の人物が興味深いという表情をしていた。
「ふむ。仕事が面白くなるね」
「くぅ!くぅ!」
まるで女性のように美しい男だ。
か弱い顔のラインにか弱い骨組み、見る人の保護本能を刺激する雰囲気が漂った。
突き出た首でなければ、誰も彼を男だと思わないだろう。
ところが、その美しい男の周りがおかしかった。
何人かの人物が全身が縛られたままなのだ。
「ウプ!ウプ!」
男はそんな人たちを気にせずつぶやいた。
「本物のモリナ王女がクローヤン地方に来る。私たちの「計画」にはなかったことではあるが」
男は歯をむき出しにして笑う。
美しいが、まるで悪魔のような不気味な笑みだった。
「とにかく悪いことではないね。利用できる場合の数がぐっと増えるようになったから」
「うっ!うっ!うっ!」
男は首を回して縛られた人の轡を抜いた。
すると、荒いうめき声とともに叫び声が聞こえてくる。
「こっ、これはどういうことだ!どうして私たちにこんなことを!?」
「ふーむ」
「これは約束したことと違うじゃないか!私たちは君だけを信じたんだ、ラキ!いや、ストルン伯爵!」
男の口から出た言葉は驚くべきものだった。
女性のように美しい人の正体がストルン伯爵だなんて。
ストルン伯爵は西帝国の悪名高い宰相の名前だった。
「ふむ、それにまだ気づいていないなんて」
「え?」
「私は君たちを利用しただけで、君たちは私に利用された。もっと説明が必要ですか?」
縛られた男の顔が赤くなる。
彼は怒りに満ちて体をひねったが、全く役に立たなかった。
「このろくでなしめ!私たちはあなただけを信じて反乱を起こしたのに!モリナ王女の名前までかけて!」
ストルン伯爵、いや、周囲の人物たちには「ラキ」と呼ばれる彼は、にやりと嘲笑を浮かべ、胸から短刀を取り出した。
「な、何するつもり?」
「処理」
「え?」
「利用価値が終わった道具はきれいに整理してこそ後腐れがありませんから。あまり恨まないように」
そのように話したラキは、何の憚りもなく彼の首に短刀を刺した。
男は悲鳴もまともに打てずに命を失う。
「ふーむ」
ラキは体にはねた血をハンカチで拭いながら席から立ち上がった。
今殺人を犯したとは想像もできないほど平然とした顔だった。
人を殺したが何の感興もないように見えた。
彼は窓の外を見ながらつぶやく。
「モリナ王女、早く会いたいね」
いよいよクローヤン地方へ!
ラキの存在が不穏でしかありません。