できるメイド様

できるメイド様【216話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「できるメイド様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...

 




 

216話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 神の手

キエルハンも同じ考えだったようで、彼は声を低くしながら静かにマリに話しかけた。

「陛下、ヨハネフ3世の状態は予想以上に悪いようです。治療が難しいと判断されるなら、撤退するのが得策かもしれません。」

「……」

「もし治療が失敗すれば、帝国はどうなるか分かりません。陛下の死の責任を押し付けられる危険性もあります。」

それはあり得ることだった。

マリはわずかに眉を寄せたが、それでもあきらめることはなかった。

彼女はガルト医師を見つめて尋ねた。

「陛下の病状は明確に診断されていますか?」

「確実ではありませんが、懸念される点はあります。」

ガルト医師はヨハネフ3世を見つめながら答えた。

「偉大な女王であるあなたなら、十分にお分かりいただけることでしょう。一度診断してみてはいかがですか。」

「……!」

その声には、曖昧な返答以上のものを期待していないといった諦めのような響きが含まれていた。

明確な結論を示せないのであれば、ただ静かに成り行きを見守るべきだという意図だ。

ガルト医師が彼女に不信感を抱くのも無理はなかったが、マリはそれに屈することなく毅然と答えた。

「はい、陛下を診察してみます。」

マリはヨハネフ3世のそばに歩み寄り、その驚異的な能力を駆使して診察を始めた。

『皮膚は青白く、脈拍が弱い。全身的なショック状態だ。呼吸も弱まっている。』

彼女はヨハネフ3世の生命徴候を観察し、血液循環の異常を分析した。

『以前から心臓発作が頻繁に起こっていた。そして繰り返される呼吸困難。』

マリはヨハネフ3世を治療するため、対策を練り始めた。

医療用器具を取り出したバッグから聴診器を取り出す。

彼女は肺と心臓の音を何度も確認し、集中した。

『呼吸困難は深刻だが、肺は正常。しかし、心臓からは雑音が聞こえる。やはりこの病気に間違いない。』

集まった情報が彼女の頭の中で組み合わされ、一つの診断が浮かび上がった。

彼女は聴診器を置き、ガルト医師をじっと見つめた。

「陛下が患っている病気はこれではありませんか?」

ガルト医師は彼女が診断名を言おうとするのを見て、目を大きく見開いた。

「心臓腫瘍。」

「……!」

「心臓内部の腫瘍が大きくなり、血液の流れに障害を引き起こし、結果としてショック状態になったのではないでしょうか。また、閉塞した肺の血管で色素物質が飛び散り、喀血や呼吸困難を引き起こしている可能性があります。」

ガルト医師の顔に驚愕が走った。

正確だった。

彼はヨハネフ3世のそばにさらに近づいた。

10年以上悩み抜いて出した結論を、その少女は一瞬で見抜いた。

「陛下の病気は心臓腫瘍に間違いありません。でも、病気を特定しても意味がありません。心臓内部の腫瘍は治療する手段がありませんから。」

ガルト医師の声には深い絶望が混じっていた。

なぜ陛下を治療しようと考えなかったのか?

しかし、心臓内部にできた腫瘍をどうやって治療するというのか?

それは不可能なことだった。

「いいえ、可能です。」

「えっ、それはどういうことですか?」

「腫瘍を切除すればいいのです。それによって血流が回復し、すべての症状が改善されるでしょう。」

ガルト医師は驚愕した。

確かに腫瘍がすべての症状の原因であり、腫瘍を取り除けば回復するのは理にかなっている。

しかし、心臓内部の腫瘍をどうやって取り除くというのか?

この問題について、彼女はさらに大胆な答えを出した。

「心臓を開いて、腫瘍に直接アクセスするのです。」

ガルト医師は驚きのあまり言葉を失った。

「心臓を開く……ですって?そんなことは前例がありません!」

「確かに危険な手術です。しかし、それが陛下を救う唯一の方法です。」

マリは真剣な眼差しで医師を見つめた。

「私は過去に同様の手術を成功させた経験があります。どうか私にお任せください。」

ガルト医師は葛藤していた。

彼女の言葉には確固たる自信が感じられたが、それでも心臓を開く手術など聞いたことがなかった。

「しかし、そのような手術はリスクが高すぎます。もし失敗すれば……」

「このままでは陛下の命は長くありません。手をこまねいていては状況は悪化するばかりです。」

マリの説得に、ガルト医師は深く考え込んだ。

そのとき、ステファン大公が口を開いた。

「ガルト医師、モリナ女王に任せてみよう。彼女は我々の最後の希望だ。」

ガルト医師はしばらく沈黙した後、ゆっくりと頷いた。

「わかりました。どうか陛下をお救いください。」

マリは静かに微笑んだ。

「ありがとうございます。では、すぐに手術の準備を始めましょう。」

手術は皇宮に設けられた医療施設で行うことになった。

ヨハネフ3世が長い間、病気に苦しんでいたため、皇宮内には病院並みの医療設備が整備されていた。

状況が一刻を争うため、時間を無駄にすることは許されなかった。

鎮静効果のある薬を服用し、手術の準備を整えた後、マリはすぐに手術に臨むこととなった。

しかし、手術室に入ろうとしたその瞬間、若き大公が彼女を呼び止めた。

「その……」

まさか手術の前に不安を漏らそうとしているのではないかと、キエルハンが彼女の前に立ち塞がった。

しかし、若き大公の口から出た言葉は予想外のものだった。

「どうか兄上を頼む。」

彼の目にはヨハネフ3世に向けられた切実な思いが宿っていた。

(ステパン大公は心からヨハネフ3世を想っているのね)

マリは医師としての心でその様子を見守り、決意を新たにした。

「最善を尽くします。」

手術台に横たわるヨハネフ3世のそばに歩み寄りながら、彼女は思った。

もし手術に失敗したらどうなるだろう?

青白く痩せ衰えたヨハネフの姿を見ると、瞬間的に不安が胸をよぎった。

いや、結果を考えるのはやめよう。まずは最善を尽くそう。

彼女は複雑な事情をすべて頭から追い払った。

ヨハネフ3世を救い、この戦争を終結させなければならないという使命感も、女王としての責任感も、すべて置き去りにした。

ただ医師として患者を救いたいという純粋な気持ちだけを胸に抱き、最善を尽くすことを心に誓った。

「始めます。」

マリは、事前に用意していた心臓手術の準備を整え、手術に臨む決意を固めた。

マリは道具を取り出した。

まず手術用メスを手に取り、肋骨の間を一直線に切り開いた。

瞬く間に血が溢れ出した。

「……!」

そのためらいのない動作に、助手を務めるガルト男爵の目が揺れた。

しかし、マリは止まることなく、動作を続けた。

皮膚の下にある脂肪層と筋肉層を丁寧に切り進め、準備していた特殊器具で肋骨の間を強引に広げた。

そしてヨハネフ3世の心臓が姿を現した。

『やはり腫瘍が右心室を完全に侵している。』

マリはヨハネフ3世の心臓を見つめ、深いため息をついた。

思っていたよりも腫瘍は大きかった。

外から見ても、右心室の下部から腫瘍が膨れ上がっているのがはっきりと分かるほどだった。

『できる限り迅速に、この腫瘍を切除しなければならない。』

マリは小型の手術用メスを手に取った。

これからが本番だった。

最速かつ正確な操作が求められる状況だ。

 



 

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