こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は61話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
61話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 怪盗の立場で
マリはスオールの塔に閉じ込められていた。
スオールの塔は貴族が拘禁される場所であり、一般的な刑務所よりもはるかに清潔で快適だ。
ただ監獄は監獄だったので、ドアと窓には鉄格子がついている。
マリはその刑務所で黙って窓の外を見ていた。
何を考えているのか深い思いに耽っている様子だ。
(一体犯人は誰なんだろう?誰が私を罠にかけたのかな?)
彼女はじっくりと心の中で呟いた。
絶体絶命の危機に陥った人にしては意外と淡々としている。
(恐れていたって解決することはないから。私の濡れ衣を払うためには、絶対に真犯人を捕まえないといけない)
彼女がこの危機から立ち直る方法は一つだけ。
真犯人を捕まえること!
マリはそのために刑務所内で考えを集中させていた。
(考えて、マリ。完璧な犯罪なんて存在しない。あなたが知っていることの中で、きっと犯人を捕まえる手がかりがあるはずよ)
彼女は最初に自分が知っていることをまとめ、いくつかの事態を推測する。
犯人は単なる内部犯ではない。
確実に専門的な泥棒だ。
誰も知らないうちに大聖堂に侵入した点。
密かに聖杯を隠しておいた点など、色々な事項を見ると、犯人は一般人ではなかった。
専門的な泥棒であることは明らかだ。
(そして、もう一つの事実)
犯人は一人じゃない。
確実に内部に協力者がいる。
つまり、専門的な泥棒が内部の人の協力を得て潜入した可能性が高い。
外部の人が皇居に入ってきたなら、騎士団の捜索に引っかからないはずがない。
きっと内部に協力者がいるはずだ。
(その内部の協力者が私に悪感情を持っている人だろう)
彼女は考えた。
「まず真犯人を捕まえるためには、どうやって聖杯を盗んだのか突き止めないと。そこに答えがあるはずよ」
マリは考えを集中させた。
『心配するな。地中に消えたり、空に消えたりすればいいのだから。私たちは方法を知っているだろ?』
夢の中で聞いた言葉、
ここにヒントがあるのかな?
(どうか思い出して、マリ。きっと答えがあるはずよ。神よ、どうか私を助けてください)
しばらく悩みながら唇を噛む瞬間、彼女の頭の中に閃きが。
「ちょっと待って。地中に消える?」
今までは神出鬼没の逃亡を例えて言っていると思っていた。
しかし、そうじゃないとしたら?
本当に地中に消える方法があるとしたら?
「そういう方法が・・・。一つあるにはあるわ」
マリは夢の中の「怪盗」の立場になって考える。
まさか聖杯を盗んだ犯人もその方法を使って?
根拠は全くなかった。
人に話せば嘲笑われるかもしれない確率も高い。
けれど、マリは確認する必要があると考えた。
「ところで、どうやって確認すればいいのかしら?」
普段なら一気に駆けつけて確認してみたが、今彼女は刑務所に閉じ込められている境遇だ。
困っているとき、意外な声が聞こえてきた。
「フォン・ヒルデルン、面会です」
その言葉にマリは訝しげな表情を浮かべる。
今、自分は特級犯罪容疑者として面会が禁止されているはずなのに?
すぐに続く声に彼女の体はこわばった。
「皇太子殿下です」
まもなく鉄格子越しに皇太子の姿が現れる。
「あ・・・」
マリはラエルと向き合い、こわばって何も言えなかった。
自分は潔白だが、「もし殿下が自分を信じてくれなかったらどうする?」「もし自分を犯人だと思ってガッカリしていたら?」と考えてしまったのだ。
皇太子が先に口を開く。
「一日で痩せたね。食事はちゃんと取れているのかな?」
心配のこもった声にマリの瞳が揺れる。
皇太子は依然として自分を信じてくれていたのだ。
「申し訳ありません、殿下」
マリはなぜか泣きそうになってしまい頭を下げた。
「君がなぜ申し訳なくなる?」
「そ、それは・・・」
「とりあえず何か食べないと。痩せ細って顔色も悪い。おい、食事を持ってくるんだ」
すぐに看守が料理を出し、ラエルはドアを開けてマリが入っている部屋に入る。
看守は後ろから難色を示したが、彼は気にもしなかった。
「とりあえず先に食べなさい」
「あ、ありがとうございます」
ただでさえ犯人に追い込まれた後、水を一口も飲めなかった。
気が重くて到底食べる気にならなかったのだ。
ところが本当に不思議なことに、皇太子が依然として自分を信じてくれていると思うと、マリは食事を取れる気がした。
ラエルはじっと彼女が食事を取るのを見守った後、口を開く。
「マリ」
「はい、殿下」
「今の状況が困るのは知っているよね?」
マリは頷く。
「私は君を信じているが、無闇に君を守ることはできない。まず君の潔白を証明しなければならない」
「存じております」
「君の潔白を証明するには真犯人を捕まえるしかない。もしかして、君は何か思いつく方があるのかな?」
マリはしばらく自分が思いついた推測をしていいのか悩んだ。
(根拠はない。違う確率も高いし。荒唐無稽だと思われる可能性も高い)
しかし、彼女が首を横に振った。
受け入れられなくても話をしてみなければ結果は分からない。
「今回のことは、まず犯人が聖杯を盗んだ方法に注目しなければなりません」
「そうだね、でも、どうやって隔室に入ったのか分からないから問題じゃないのかな?まるで空から落ちてきたようだから」
「それがまさに私たちが注目すべき点です」
「どういうことかな?」
「空から落ちるように隔室に入って、誰も知らないうちに抜け出した点。この事実自体が事件を解決する鍵になるかもしれません」
皇太子の顔が少し固まった。
マリが話そうとする点をぼんやりと気づいたのだ。
「マリ、まさか君の言いたいことは?」
「ええ、大聖堂の数多くの警備兵の目を欺くことは不可能です。そうするためには、本当に空から隔室に落ちるしかありません」
皇太子は固く口をつぐんで彼女の言葉を聞いた。
「ですが、どこも通じずに隔室の中に入ることが不可能なわけではありません。隔室内に直接繋がる秘密通路があれば、それも可能です」
「・・・!」
「もちろん、大聖堂に秘密の通路が存在するかどうかは誰にも分かりません。大聖堂は建築されて300年も経った建物ですから。ですが、犯人が秘密通路を利用したのでなければ、この事件を解明することはできません」
マリは重い声で締めくくった。
「したがって、私はまずこの秘密通路の存在を確認しなければならないと思います」
彼女の言葉が終わり、皇太子は深い沈黙に陥る。
「秘密の通路か。皇居の一番奥に位置する大聖堂だから秘密通路があるかもしれない」
もともと古い城には、敵の侵入で危機に陥る時に備えて秘密通路を設けておくものだ。
「私もこの皇居の秘密通路はほとんど知らない」
皇居秘密通路の位置は、皇帝と皇太子にのみ口頭で継承されている。
したがって、秘密の通路を知っているのは現皇帝トルン二世と前皇太子の第一皇子しかいなかった。
ラエルは力で皇太子の地位を奪取したため、秘密通路の存在を知らない。
「そう、一理ある言葉だね。もし本当に秘密通路を利用したのなら、犯人を追跡する決定的な手がかりになるのだから」
彼はマリの目を見た。
「マリ」
「はい、殿下」
「君には、その秘密通路を探す仕事をしてほしい」
「・・・!」
「他の人より君が一番適任だと思う。受けてもらえるか?」
マリの目がもう一度揺れた。
変わらぬ彼の信頼に胸がドキドキする。
「・・・ありがとうございます、殿下。最善を尽くします」
皇太子は席を立った。
「それならすぐに始めよう。時間をかけてしまうと犯人が永遠に逃げてしまうこともあるから」
まさかの秘密通路。
存在するかどうかは分かりませんが、ラエルがマリに全幅の信頼を置いているのがいいですね。
秘密通路は見つかるのでしょうか?
そして、聖杯も見つかるのでしょうか?