こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は65話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
65話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 軽い気持ち?
皇居の雰囲気が和らぎマリがあちこちで褒められている時、恐怖に震えている人がいた。
「どうしよう?どうしよう?私までバレたんじゃないわよね?」
レイチェルは誰もいない部屋で爪を噛みながら呟く。
「もしバレたら終わりよ」
まさかこの完璧な陰謀が失敗に終わるなんて想像もできなかった。
焦りに染まった彼女の姿に、いつもの優雅さは跡形もない。
「キエルハーン侯爵が調査しているみたいだけど。私が関与したことがバレたら、その時はどうしよう?」
レイチェルはキエルハーン侯爵を思い出す。
誰にでも親切な態度を見せる彼だが、決して柔らかい人物ではなかった。
むしろ敵には極めて恐ろしい人物だ。
「いいえ、落ち着いて。もしバレてもとぼければいい。あの働き手が泥棒だとは全く知らなかったと。実際にあの働き手を推薦したのは私ではないのだから」
間違った考えではなかった。
彼女はヨハネフ三世の連絡を受けて泥棒が離宮の働き手に入ることを許しただけだ。
だから全く知らなかったと言えばいい。
「そう、そうしよう。落ち着いて、レイチェル。あなたなら大丈夫よ」
そう考えたレイチェルは気を取り直した。
ちょうどその瞬間。
荒い音が彼女の部屋の外から鳴る。
「イーストバーン伯爵家のレイチェル令嬢以外は外に出てください!」
「・・・!」
レイチェルは来るべき時が来たと直感した。
彼女はできるだけ落ち着いて客を迎える。
「どうしたのですか?」
彼らは皇室親衛隊の騎士だった。
騎士は冷たく彼女を見つめ、短く告げる。
「今回の聖杯盗難事件で調べたいことがありますので、今すぐ獅子宮に来てください」
獅子宮には皇太子と宰相が待っていた。
調査を担当していたキエルハーンは、どういうわけか見当たらない。
「なぜあなたを呼んだのか知っているか?」
レイチェルは皇太子の話を聞いた瞬間、すでに全てを調べた後だということに気づき、すぐに跪いた。
「申し訳ありません、殿下。どうしても口に出せない凄惨たることですが、犯人が私が管理する離宮の働き手に偽装して入ってきたという話を聞きました。何も知らずに泥棒を皇居に呼び入れた罪、どんな罰でも甘んじて受けます」
レイチェルは涙で罪を認める。
本当に自分は何も知らなかったという見苦しい姿で。
美しい彼女が涙ぐみながら頭を下げる姿は、どんな男の胸にも驚くほど残念に見えるだろう。
しかし、この場所にそんなことで揺れる男は誰もいなかった。
「本当に知らなかったのか?」
皇太子がそっと尋ねると、レイチェルはさらに頭を下げる。
「はい、殿下。私の能力が足りず、下の働き手が誰なのかはいちいち確認できませんでした。ただ部下を信じて大きな問題はないと思って承認しました」
嘘だったが、彼女がこのように言い張っている限り、誰も確認する方法はなかった。
「そうなのか?」
「はい、殿下。別宮の管理者として働き手たちの詳細を几帳面に確認できなかったことを本当にお詫び申し上げます。どんな罰を下されたとしても甘んじて受け入れます」
そう言ったレイチェルの内心はドキドキしている。
皇太子はどのように反応するのだろうか?
自分の話を受け入れて、このまま見過ごしてくれるのか?
それとも?
「・・・」
皇太子はしばらく何も言わなかった。
レイチェルには千年万年のように感じられる時間が過ぎ、やがて彼が口を開く。
「分かった。雑用する労働者たちをいちいち直接確認するのは難しかっただろう」
「・・・!」
レイチェルの顔色が明るくなった。
驚いたことに、皇太子が彼女の潔白を信じてくれたのだ。
「しかし、離宮を管理する責任者として今回のことに責任が全くないとは言えない。当分は謹慎して自重するように」
「ありがとうございます、殿下」
謹慎は罰でもない。
危機から脱出したレイチェルは、笑いを堪えようとするのを辛うじて我慢し、頭を下げた。
「もう退いていい」
「はい、殿下」
レイチェルが引き下がると、皇太子はチラリと首を傾げて後ろを見る。
「どう思う、侯爵?」
するとラエルの後ろからひんやりとした声が聞こえてきた。
「憎らしいですね」
キエルだった。
彼は怒り混じりの表情で話し続ける。
「あんな平然とした態度だなんて。本当に憎らしいです」
皇太子はニヤリと笑う。
「そうだな。レイチェルがあの泥棒を助けたのは、ほぼ確実だろう」
彼らは全てを見抜いていた。
その理由は簡単だ。
罠に嵌めるほどマリに悪感情を持っている人物はほとんどいない。
レイチェルがマリを罠に書けなかったら、彼らも彼女を疑わなかっただろう。
泥棒が彼女の離宮の働き手になりすましたが、それだけで彼女を容疑者に追い込むのは無理だ。
しかし、マリを罠にかけるほど悪感情を抱き、泥棒を別宮に入れるのを助けることができるのはレイチェルだけだった。
「問題は、心証は確かだったが、明確な証拠が足りない」
皇太子はボソッと呟く。
「このまま捕まえて尋問してみようか?」
オルンがビクッと驚いて首を横に振った。
「その、それは・・・、イーストバーン伯爵家の令嬢を明確な証拠もなく尋問することは・・・」
「証拠は尋問してみれば出てくるだろう。彼女がどんな理由で聖杯を盗むのに役立ったのあも明らかになるだろうし。どう思う、侯爵?」
ところが意外にキエルは首を横に振る。
皇太子は訝しげな声で尋ねた。
「どうした?」
「無理やり自白を受けては、まともな処罰ができないからです」
「・・・!」
キエルは固い表情で話す。
「ご存じですか、殿下?」
「何がだ?」
「私はマリちゃんを大切に思っています。私がどうしてこんな気持ちを持つようになったのか不思議に思うほどです」
「・・・」
慎重な声でラエルは口をつぐんだ。
「そんな大切な人が大きな危機に陥るところでした。マリちゃんが濡れ衣を着せられた時、私がどんな凄惨たる気持ちになったのか、お伝えすることはご存じないと思います」
キエルはゆっくりと話を続けた。
「それだけに、私は今回のことを適当に見過ごすつもりはありません。明確な証拠で背後までハッキリと明らかにし、必ずきちんとした処罰を受けさせるようにします」
彼が話し終えた後、執務室には沈黙が漂う。
皇太子は重い顔でキエルを見つめ、キエルも彼に向かい合った。
そばにいるオルンがハラハラするほど鋭い視線で。
「マリを大切に思っているのは・・・、私も同じだ」
「そうなのですか?」
キエルが反問する。
「それならば、どうして再びこんなことが起きたのか理解できませんね」
鉄仮面の下でラエルの顔が固まる。
今回のことも結局、彼がマリを寵愛するために生じたことだ。
キエルは怒りを抑えるような声で話した。
「この前申し上げたように、彼女を軽い気持ちで扱わないでください」
「・・・」
「それでは失礼します」
やがてキエルが短く挨拶をして執務室を出て、皇太子は彼が出た席をしばらく見守った。
キエルが残した言葉が、彼の胸を再び掻き乱す。
(軽い気持ち?)
ラエルは唇を噛んだ。
(彼女を思うだけでこんなにも胸が張り裂けそうなのに、これが軽い気持ちだと?)
彼は呟いた。
「笑わせるな」
レチェルはとりあえず危機を脱出しましたが時間の問題でしょう。
ラエルとキエル、どちらもマリへの気持ちを抑えきれていません。
どちらのキャラも好感が持てますので、マリがどちらを選ぶのか気になるところです!