こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は180話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
180話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- それぞれの思い②
その後、しばらく時間が経った。
季節は完全な夏になり、クローヤン人たちはもうすぐ秋の収穫を豊かに迎えるために忙しく働いていた。
「閣下、いい一日ですね」
「はい、いい一日です」
「閣下、食事はされましたか?」
「はい、お気遣いありがとうございます」
マリは城内を視察しながら人々と親しく会話をする。
彼女に対する王国民の態度は以前とは全く違っていた。
みんなこの小さな女の子が好きだった。
そばで護衛していた近衛騎士団の副団長ポンティル男爵が尋ねる。
「閣下、今日はご機嫌そうですね」
「ああ、そう見えますか?」
「はい」
マリはにっこりと笑う。
実は、気持ちの良いことが一つあった。
「明日には陛下の手紙が届くんですよ」
「あ・・・」
「ただ・・・待っていて。しばらく会ってないから」
マリは少し顔を赤らめる。
そんな彼女の顔は、間違いなく恋に落ちた少女の表情だったので、可愛いばかりだった。
(陛下がどうしてこんなに閣下にはまったのか、分かるような気もする)
ポンティル男爵は咳払いをした。
信じられない能力を持った彼女だが、こういう時に見ると可愛く見えるだけだ。
(早くお二人が国婚を経験してほしい)
そばでお迎えしてみると、彼女はまさに完璧な皇后だった。
このような皇后を迎えることができるということは、帝国の大きな福だろう。
そして何より二人はお互いを切実に望んでいた。
ポンティル男爵はあの弱い少女が肩に重い荷物を背負って愛する人と離れているという事実が心が安らかではなかった。
(まあ、もうすぐクローヤン地方も落ち着くでしょうから、すぐに国婚を行うでしょう)
残った関門は前王室の騎士団だけ。
彼はマリが最後の難問を無理なく解決すると信じていた。
しかし、その瞬間、隠密なところでまた別の魔手が近づいていた。
前王室の騎士団とは全く別の危機で、まさに西帝国の計略家、ラキ・ド・ストールン伯爵の真っ黒な手が。
「よろしいのですか?」
「何がですか?」
リン男爵,いやいやストールン伯爵は美しい顔で微笑みながら尋ねた。
ストールン伯爵に話しかけた男は、呆れた表情で床をちらっと見た。
「<ぅ。<ぅ」
床には弱い印象の少女が倒れていて、真っ青になった顔で血を吐いている。
毒にやられて死にかけていた。
「モリナ王女をこのように殺してもいいのですか?」
男の言葉は驚くべきものだった。
あの死にゆく少女がモリナ王女って?
ストールン伯爵は首を横に振る。
「正確には偽のモリナ王女ですね」
「とにかく、彼女をモリナ王女にするために投資した功績が多いのではないですか?こんな風に殺してもいいのですか?」
男は心配だという口調で尋ねた。
しかし、ストールン伯爵は肩をすくめるだけ。
「まあ、計画が変わりましたからね。敢えて生かしておく理由はないでしょう」
彼は歯をむき出しにして笑う。
美しいが、悪魔のような残忍な微笑だった。
男は忌まわしい表情をした。
あの蛇のような非情さを見る時、背筋がぞっとした。
(いや、あれは非情さじゃない)
単なる非情さではなかった。
ストールン伯爵は人間として持つべき何かが欠けているようだった。
無心に死んでいく少女の姿を眺めていたストールン伯爵がつぶやく。
「だんだん面白くなっていきますね」
「はい?それはどういうことですか?」
ストールン伯爵は答えなかった。
その代わり、顔を上げて遠くの窓の外に視線を向ける。
「とても楽しくなっています」
ストールン伯爵は口角を持ち上げた。
彼の視線が向けられたところには、モリナ王女がいるクローヤンの王城が位置している。
「モリナ王女・・・」
この瞬間、彼が考えるのはまさにモリナ王女、いや、マリだった。
ラキはにやりと笑う。
実は彼は彼女に執着する自分の気持ちが不思議だった。
もともと彼は他人に対して何の感情も持っていない。
単純に非情なのではなく、さっきの部下が考えたように、彼は確かに人間としての感情が欠如していた。
そして、それはおそらく彼が幼い頃貧民街で人々に言葉で説明できない虐待を受けながら育ってきたためかもしれない。
彼は果てしない地獄の中で一生を生きてきた。
『面白いやつだね。私について来ないか?』
そんな彼を救ってくれたのはヨハネフ3世だった。
その後、彼はヨハンの手足となり、ヨハンの敵を除去しながら生きてきた。
「簡単なことだった」
ねじれた彼に他人を没落させることは適性に合うことだった。
彼はあっという間にヨハネフ3世の最側近であり、西帝国の皆が恐れる銀幕の存在となる。
もちろん、ヨハネフと一緒にしたことがあまり面白かったわけではない。
アリを踏んで殺すからといって、感興が生じるわけではないから。
そのように退屈に過ごしていた人生の中で、彼は心を強く剌激する人に会った。
それはマリだった。
「気になるね、まったく・・・」
自分と正反対の存在。
輝くような善良さ。
気になった。
踏み潰して潰したくなるほど。
でも、なぜだろう?
自分と正反対の存在だからだろうか、それとも自分が持っていないものに対する潜在意識の中の憧れだろうか?
彼は心の中に一つの欲望が芽生えるのを感じた。
まさに彼女に対する欲望だった。
もちろん、その感情は愛などではない。
そんなおかしな感情ではなかった。
むしろ近いのは___。
「徹底的に壊したい」
彼はゆっくりとつぶやく。
いつも輝いていたあの顔が苦しみに染まるのを見たかった。
挫折して涙を流すのを見たかった。
それでその輝いていた姿が墜落する姿を見たかった。
まるで自分のように惨めに。
「気になるな。本当に」
彼は遠くの空を眺める。
「その日が来た時、彼女はどんな顔をするだろうか」
翌日、マリは伸びをしながら眠りから覚めた。
なぜかすっきりした。
「寝坊したね」
マリは窓の外を見る。
すでに日が高く昇っていた。
「もう少し寝ようか?」
悩んだ末、彼女は席を立る。
手紙が届いたかどうか気になったのだ。
「陛下はお元気でしょうか?」
もともとラエルはクローヤン地方にすぐ戻るつもりだった。
しかし、南部地方で発生したことが難航しており、皇居を離れられずにいたのだ。
(正直、これは当然のことだよ)
以前まで自分のところに来ていたのは異例のことだった。
いや、それだけ無理して自分のことを考えてくれたというか?
(会いたい)
マリは心の中でつぶやく。
彼のことを思うと、むずむずした幸福感がありながらも、会いたくて胸が痛かった。
(すべてのことが終わったらその時は絶対に離れてはならない)
手紙は午後遅くやっと届いた。
マリはよろめきながら封筒を開ける。
<天気が暑くなってきたけど、元気にしてるかな?>
便箋から彼の無愛想な口調がそのままにじみ出ていた。
「はい、私は元気です。陛下は?」
<私は元気に過ごしている。あなたに会いたいことを除けば。忙しいからといってご飯を食べなかったりするのではないだろう?何よりもあなたより大切なものはないから、絶対無理せずに気をつけるように>
手紙には特に大した内容は書かれていなかった。
彼女のことを気にかけている話がその内容の大半を占めている。
日常的な話だったが、それでもマリは手紙を几帳面に読み、何度も読んだ。
手紙からでも彼の痕跡を感じたかった。
「会いたい」
マリはぼんやりと考える。
手紙を読んだら、彼に対する懐かしさがさらに大きくなっていった。
<尊敬する陛下へ?
そこまで書いたマリはペンを止める。
他の手紙は一筆書きで書き下ろすが、彼への手紙はそうすることができなかった。
できるだけ端正な筆跡で心を込めながら軽薄でないように、そのように心を込めて書いた。
「何て言えばいいんだろう?会いたいって?」
だめだよ、手紙で言うには軽薄すぎるように見える。
「何か他の表現がないかな?」
マリはくよくよと悩んだ。
適当な文章が浮かんでこない。
そのようにして彼女は夜遅くまで手紙と格闘して眠りについた。
それでもしばらく悩んだおかげか、気に入るように文章が出て良かった。
「会いたいです、陛下」
マリは彼が去った後、何回やったか分からないことを考えながら目を閉じる。
夢でも彼に会いたいという気がした。
次期皇后として認められていくマリ。
ラキの次の作戦が気になりますね。