こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は115話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。

115話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- これからのこと②
「驚かないように。大丈夫」
ラエルの胸に抱かれたマリの顔が真っ赤になった。
(な、何が良いってこと?全然大丈夫じゃない!)
「あの、殿下」
完全に倒れるように胸に抱かれたせいで、全身に彼の体が感じられる。
胸が張り裂けるほどドキドキした。
マリは気が狂って何とか彼の腕から抜け出そうとする。
しかし、皇太子の言葉に彼女の体は固ってしまった。
「そのままでいて。そうでなければ口づけをしてしまうから」
(い、今何て!?)
ラエルはニヤニヤ笑い、彼女の耳元で再び話す。
「試してみるといい。ちなみ私はそちらも悪くないと思うよ」
「こ、このままにします!」
本当にキスをする勢いにマリはあたふたと話した。
(きゅ、急に何なの?)
彼女は泣きべそをかく。
思いもよらなかった奇襲攻撃で、このように彼と密着していると心臓が破裂しそうだ。
丈夫で温かい彼の感触と、柔らかな彼の匂いに息が止まりそうだった。
その時、ラエルが口を開く。
「何をそんなにため息をついていたんだ?私が以前言ったじゃないか。問題があれば私が全て解決してあげるから、私に任せろと」
彼は小さくため息をつく。
「まあ、君も当然人に言えない悩みがあるのだろう。それでも忘れるな。君がため息をつくと、私はその何倍、何十倍も心配するということを」
「・・・!」
それを聞いたマリの瞳が揺れた。
さっきとは違う意味で胸が震える。
なんでだろう?
なんでこんなに胸が熱くあるんだろう?
「話しにくければ、すぐに話さなくてもいい。だが、あまり無理はしないように。いつでも私に寄りかかっていいから」
マリは何とも言うことができず、ただこう言うしかなかった。
「・・・ありがとうございます、殿下」
彼女はこの瞬間、彼の胸に抱かれて良かったと思った。
もし彼と顔を合わせていたら動揺する気持ちが一瞬でバレていただろう。
(暖かい)
マリは目を閉じた。
自分を抱きしめる皇太子の手が、彼の胸が、彼の心がすべて暖かいと感じる。
そのためだろうか?
ほんの少しの間、このままでいられたら良いのにと思った。
何の考えもしないで。
そんな彼女の気持ちに気づいたのだろうか、ラエルは黙って彼女を抱きしめる。
静かに自分の胸に胸に抱かれているマリを見る彼の青い瞳に、チラッと切なさが通り過ぎた。
「マリ」
「・・・はい、殿下」
「知ってる?私が最近、仮面をあまり使わなくなったことを」
マリは不審そうな表情を浮かべる。
「そういえば?」
もともと皇太子は他人の前に出る時、必ず鉄仮面をかぶっていた。
ところが最近は自分と一緒にいる時はもちろん、たまに仮面をつけずに国政を行う時もある。
「もともと仮面をかぶっていたのは心を強くするためだった。内戦の時、揺るがないために仮面をかぶり始めたんだ」
マリは彼の言葉に耳を傾けた。
初めて聞く話だ。
「内戦が終わった後は仮面をかぶる理由が変わった。勝利するためだったとしても、あまりにも多くの血を流してしまった。その贖罪をするため、その血を忘れないために誓う気持ちで仮面をかぶったんだ」
「・・・」
「つまり、自分自身を追い詰めるために仮面をかぶったんだ。いいや、本当は正直に言うと、仮面をかぶることで罪悪感から脱したかったのかもしれない」
ラエルは話し続ける。
「ところで、最近になって仮面を使う機会が少なくなった理由が何なのか知ってる?すべて君のせいだ」
「どうして私のせいなのですか?」
ラエルは首を横に振った。
「私も正確な理由は分からない」
「・・・?」
「ただ君と一緒にいるから、心が以前より楽だからだと思う。私の罪を忘れるつもりはないが、それでも君のおかげで心は一層楽になったようだ」
実際、ラエルも自身の変化を正確には説明できなかった。
それでも一つ確かなことがある。
「マリ、君のおかげだと思う。ありがとう」
「・・・!」
「これからも永遠に私のそばにいてくれるように」
マリはその言葉に唇を噛んだ。
胸がドキドキして口を開くのが難しかった。
彼女の沈黙を拒絶と誤解した皇太子が言った。
「君が嫌だと言っても構わない。私が放してあげないから。君のすべては私のものだ」
それを聞いた瞬間、マリは胸がドキドキする。
ラエルは彼女をまっすぐ見つめた。
「だから私から逃げようと思わないように。どこへ行っても永遠に追いかけるから。分かった?」
マリの瞳が揺れる。
彼の目つきが彼女の胸に突き刺さり、しばらく黙った。
何か口を開けば動揺する気持ちが見つかりそうだったから。
そろそろラエルに正体を明かしてほしい・・・。
でも、それをするとお互いに葛藤してしまうのは明らかですよね。


