こんにちは、ちゃむです。
「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

116話ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- レイハスIF
[運命の神の権能によって、四つの分岐点が設けられます。]
[1. レイハス ルート]◀️
[2. カイル ルート]
[3. ディエゴ ルート]
[4. ダガルサル ルート]
[すべての分岐点は、運命の神がそれぞれの分岐点を新設した時点から始まります。]
[各分岐点は独立した次元の出来事であり、現在、あるいは他の分岐点に影響を及ぼすことはありません。]
『ロトゥニアには二つの花言葉があり、どちらもアルテイオン妖精の悲劇的な伝説から伝わっている。特に知られている最初の花言葉は「破滅の愛」である。妖精の羽根を燃やし尽くしてでも、そして妖精が大切にする人を踏みにじってでも、妖精を手に入れようとした少年の誤った欲望は、すべての者に凄絶な破滅をもたらした。』
『101のバラの豆知識 中』
裏庭の丘には、おそらく帝国で最も高価な花でつくられたバラ園がある。
淡いピンクと紫が混じった神秘的で美しい白バラの庭園だ。
霊力と神力を持つ者だけが光を見ることのできる、不思議な花「ホワイト・ロトゥニア」……。
私はその花が好きだった。
レイハスが私のために造ってくれた、このロトゥニアの花壇もまた気に入っていた。
『アリエルが生涯この場所にいるのなら、花を摘むことはないでしょう。』
目を閉じると、彼の声がまだかすかに聞こえてくるようだった。
“けれども、アリエルがどこかへ行ってしまうなら、私は一枚一枚この花をちぎり持って、あなたを探しに行かねばなりませんね。”
私が商店を開いたとき、彼はロトゥニアの花びらを贈り物としてくれた。
けれども毎日訪れなかったのは、その必要がなかったからだ。
『私は一生、神殿にいるから。』
そしておそらく、一生レイハスと顔を合わせながら暮らしていくのだろう。
だが最近の私は、寂しい日々を過ごしていた。
レイハスはあまりに忙しく、私は彼の顔を一度見ることすら難しかった。
その間にも、あれこれと複雑な思考が頭の中をぐるぐると巡っていた。
エリウムでカミーラに会った日、レイハスは「自分に対する君の正直な気持ちを知りたい」と尋ねてきた。
だがその時の私は、まともに答えることができず、ただ大司祭としての立場から「素晴らしい」と取り繕うことしかできなかった。
「すまない。また私が過剰に反応してしまったようだね。君のちょっとした関心でさえ、重荷にしてしまう……。」
つらそうなレイハスの眼差しにさえ、「大丈夫だ」と答えられなかった理由は、その時の私がまだ心の行き先を定められなかったからだ。
だがそれでも、その後も変わらずレイハスは私の味方であり続けてくれた。
カミーラの部屋で聖像を盗み、逃げようとしたとき、カミーラに捕らえられた出来事を思い出した。
『カミーラの拷問や、偽りの神の誘惑にも屈しなかった。』
むしろ、私が地下牢へ彼を救いに行ったとき、彼が私をカミーラと誤認し、攻撃してきた姿こそ、彼の覚悟を示していた。
彼はいつも私の背後にいた。
私に負担をかけまいと、一歩下がりながら、常に私を見守り、守ってくれていた。
今こうして忙しくしているのも、大人になった私がやるべきことのすべてを、自分が背負っているからだろう。
そしてその時間と努力は、少しずつ私の閉ざされた心の扉を開いてきた。
そんな彼に、私はいつまで気づかずにいなければならないのだろう。
私たちがカミーラを退け、偽りの神が運命の神となった日から、すでに数か月が過ぎていた。
いるときは押しやり、いざ離れると妙に目について仕方がない。
実のところ、私自身でさえ自分の胸の内を理解できなかった。
けれど、もし彼が再び私の気持ちを尋ねてきたなら、今度こそは違う答えを言えるのではないか――そう思えた。
私はそっと頬を赤らめた。
そよ風に、ホワイト・ロトゥニアの花びらが水面のように揺れた。
私の会話窓は、今日もいつものように黙したままだった。
[芸術の神モンドはレイハスを喜んで迎えます。]
[死の神カイロスは鋭い目でレイハスを見つめつつ、ベラトリクスには切実な眼差しを向けます。]
[正義の神ヘトゥスは、モンドとカイロスの嗜好を嫌悪します。]
[知識の神ヘセドは、まるで自分はすべてを見通しているかのように、ゆったりと脚を組んで座っています。]
まあ、レイハスの嗜好はどうにも危うい雰囲気ではあるが、顔立ちだけは本当に見事に整っていた。
おそらくどんな画家が描いても、その姿を完全には表現できないだろう。
淡い金髪と金の瞳は、まるで太陽の化身を見るようだから。
「聖女様、足の甲に口づけしてもよろしいですか。」
久しぶりに彼の執務室で神殿にまつわる話をしながらお茶を飲んでいると、不意に彼がそう口にした。
[慈愛の神 オーマンがくすりと笑います。]
カミーラを召喚し、ベラトリクスを運命の神とすることに対する私の功績を称えながら、突然そのような言葉が出てきたのだ。
私は少し驚き、困惑した眼差しで彼を見つめた。
「ご迷惑でなければ、ですが。」
彼の金の瞳がきらめいていた。
胸の奥がかすかにざわめいた。
少し戸惑ったが、私は微笑んで答えた。
「気にしないでください。」
私がそう言うや否や、席を立ったレイハスが近づいてきて、私のそばに腰を下ろした。
「聖女様。」
清らかな白い祭服をまとい、長剣まで帯びた大神官が、こうして私の目の前にひざまずくなど、妙な畏れ多さを感じさせた。
彼が私の心の隙間に入り込んだのは、いつからだったのだろうか。
落ちていた聖典を彼が地面から拾い、差し出してくれたあの日からだろうか。
それとも、私のためにカミーラに立ち向かい、必死に盾となってくれたあの日からだろうか。
『それとも……私のために、一生ロトゥニアを摘み続ける、と儚げに告げてくれたあの日からだろうか。』
彼の少し風変わりな趣向を知っているだけに、多少気後れするところはあったが、互いに言葉を交わせば問題だった。
金糸のようなレイハスの髪が目前に近づいてきた。
そして彼が身をかがめ、柔らかな手で私の足を包み込んだ。
くすぐったいほど優しい感触が足の甲に伝わった。
私は思わず足を引こうとした。
「聖女様に永遠の賛美を。」
すると彼の手が、私の足が逃げないように足首をそっと押さえた。
「聖女様にふさわしき神々の加護を。」
そしてレイハスは再び私の足の甲に口づけをした。
[慈愛の神 オーマンがくすりと笑います。]
「レイハス様、くすぐったいです。もうやめてください。」
そう言うと、彼は私の足を支えていた手をすっと引いた。
その瞳はまるで、大切なおもちゃを取り上げられた子どものように寂しげに揺れていた。
『私の足ごときに、どうしてここまで……』
「……」
しばらくして、レイハスはどうしようもないというように、諦めを含んだ表情で席を立った。
そして、再び私の向かい側に腰を下ろした。
胸がどきどきしていた。
「申し訳ありません。聖女様のおみ足を見ているうちに、聖女様への自然な敬意があまりに溢れてしまい、つい行き過ぎた振る舞いをしてしまいました。」
[正義の神 ヘトゥスが、レイハスの厚かましさにため息をつきます。]
私も「自然だ」という言葉に異議を唱えたかったが、やめておくことにした。
代わりに、レイハスの首に今もかかっているチョーカーに目をやり、それから話題をそらした。
「それで、本当に明日で大丈夫なのですか?」
皇宮から建国祭の祝祷を依頼されていたが、レイハスが代わりに行くと答えていたのだ。
「あなたには大事な務めがあるのでは?」
「それでも……。」
「私は大丈夫です。最近は文書に埋もれて息抜きする暇もありませんでしたから、ちょっとした外の風でも浴びたいのです。」
私は彼の揺れる髪飾りを見ながら、思わずくすりと笑った。
「それなら、行ってらっしゃい。」
私の仕事といっても、それほど大層なものではなかった。
以前ヘーゲンから購入した建物にアクセサリーショップを開いたのだ。
最初からそうしようと決めていたわけではなかったが、いつの間にか位置追跡用の髪飾り専門店となり、街では私の店が評判を呼んでいた。
さらに使用人を雇い、週に二度は店を訪れて整理をし、売上を確認するのが日課となっていた。
明日はちょうどその日だった。
「そうだ、これを。」
店のことを考えていたら、うっかり忘れていた贈り物を思い出した。
レイハスに渡そうと店から持ち出していたのに、渡しそびれていたのだ。
「これは……。」
彼のチョーカーがまた揺れた。
あのデザインも悪くはないが、大司祭としては少し派手に見えるため、模様の入った黒いチョーカーを選んだのだ。
彼は感激したようにチョーカーを受け取った。
「ご主人様から……いや、聖女様から私にくださる新しい首輪なのですか?」
[慈愛の神 オーマンがレイハスの言葉選びを大いに称賛します。]
少し言い回しが妙ではあったが、私は咳払いをして誤魔化した。
「ええ。ずっと同じ物ばかりでは、飽きてしまいそうでしたから。」
どうせ持ち歩くのなら、少しは似合う方がいいのではないか。
レイハスの瞳は金色に輝き、まっすぐ私を見つめていた。
そして彼は髪飾りを両手でしっかりと握りしめると、そのメダルに口づけを落とした。
私を見つめながら浮かべた微笑みは、どこか退廃的でもあった。
「……本当に嬉しいです。主よ。」
[慈愛の神オーマンが、髪飾りと繋げるための紐を選んであげようと提案します。]
[芸術の神モンドは、レイハスの肌の色合いに最も映える首飾りのリストをすでに用意していたと言います。]
彼の赤い唇を見つめているうちに、私は思わず頬を赤らめて微笑んでしまった。
「ご主人様」という呼び方も、聞き慣れると不思議と馴染んでいく気がする。
翌日、私は目が回るほど忙しかった。
「聖女様、どうやら発注をもっと増やさないといけないようですね?」
「神聖な品でもないのに、ただ大々的に貼り付けただけで、なぜこんなに注文が殺到するのかしら。」
商売が順調すぎる自分の店で、私は小さくため息をついた。
神殿から正式な許可を得ているとはいえ、当初の目的はただ気ままに趣味として楽しむことだったのに――。
使用人を五人に増やしたのに、それでも手が足りないほど人が押し寄せていた。
ふと見ると、腹の出た中年の後援者が首に髪飾りをつけたまま姿を見せていた。
「まあ、あなた。衣装ととてもよく似合ってますわ。」
「はは、これならどこへ行っても目立つだろうな。」
隣ではその妻が「本当に似合っている」と感嘆の言葉を並べていた。
[正義の神ヘトゥスは、内心あまり快く思っていないようです。]
『私が新しい流行を導くことになったのだろうか。』
見方によっては、レイハスのチョーカーが妙に見えないのは幸いだろう。
けれど、このチョーカー騒ぎはやはり少々気が重い。
「発注は絶やさないように。待っている客のことも考えないとね。」
「承知しました、聖女様。」
喧騒の中、帳簿の確認や物品の点検に追われていた私は、うんざりした腰を伸ばして大きく伸びをした。
ジイイィン――。
そのとき、身につけていた魔法通信機が震えた。
「……誤作動か?」
レイハスは今日、皇宮へ行くと言っていた。
国際で危険なことが起こるはずが……。
「どうされたのですか、聖女様?」
「いや、何でもない。」
大丈夫だと思おうとしたが、胸騒ぎのような不安に駆られ、早めに戻ることにした。
「今日は神殿の用事で先に戻るわ。最後まで片付けを頼むね。」
「はい、聖女様。お気をつけてお戻りください。」
店員たちの挨拶を受けながら、私は神殿へと戻った。
そして、その予感が間違っていなかったことを知ることになるのだった。









