偽の聖女なのに神々が執着してきます

偽の聖女なのに神々が執着してきます【9話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【偽の聖女なのに神々が執着してきます】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載...

 




 

9話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 二人目の攻略対象

デイジーの移籍は、レイハスによって徐々に計画された。

ちょうど身支度を整え終えた私は、馬車に乗るために神殿の建物を出た。

いくつもの古城を彷彿とさせるような神殿は壮大で、建物の数も非常に多かった。

白馬がエリリウムの紋章をつけた白い馬車を引いてくる姿が見えた。

御者が馬を止めると、銀色の衣服をまとった男性が降りてきた。

頑丈な体格の男性が後ろを振り返り、私を見て一礼しながら言った。

「第二聖騎士団団長のドウェインと申します。本日は私が聖女様をお守りいたします。」

刈り込まれた髪を持つ彼は、近づくにつれ落ち着いた雰囲気が伝わってきた。

「よろしくお願いします、ドウェイン。」

軽く挨拶を交わした私は馬車に乗り込んだ。

馬車の内部は贅沢な作りで、期待以上に快適だった。

ベルベットで装飾された広々とした座席に腰を下ろし、私は背もたれに体を預けた。

今日は私は神殿の代表として、皇太子の20歳の誕生日祝賀会に出席することになっている。

特に男性パートナーを必要とする貴族の女性たちのためのエスコート役として、慣例的な社交の場だった。

馬車の後ろから馬蹄の音が聞こえてきた。

ドウェインを含む第二聖騎士団のメンバーが護衛として行進を始めた。

馬車の速度は速くはなく、私は壮大な神殿を出るまでその景色を眺めながら周囲を観察した。

これまで神殿の外に出たことがなかったので、大まかな予想しかしていなかったが、神殿は私が想像していた以上にかなり大きいようだった。

馬が走る速度ではないにせよ、少なくとも馬車の速度で神殿から抜け出すのに10分もかかったのだから。

『出るときには馬が必要だな。』

私は計画に馬を静かに追加した。

神殿の本館から遠くない場所に厩舎があるはずだから、いずれそこを探して習得する必要がある。

ノートがあれば計画を書き留めておくつもりだが、と考えながら、私は神殿の端から続く道を見つめていた。

神殿が辺鄙な場所に位置しているわけではないが、それほど遠くないところで、まるで大通りのような風景が広がっていた。

人々は道の両側に集まり、手に花を持ちながら撒いており、中には私が乗った馬車を見ながら祈りを捧げる者たちもいた。

聖女。

すべての人々に尊敬され、歓迎される存在。

神の代理。そして……。

[愛の神オディセイが誇らしげに微笑む。]

[知識の神ヘセドが微かにうなずく。]

[芸術の神モンドがこの風景を絵画として残す。]

さっきも考えてみたけど、どう考えても観衆に近い神々だ。

「本物の神々だって言えるの?」

自分でも言葉に詰まりそうな、不自然な文言だったが、これ以上適切な言葉を見つけられなかった。

この言葉を神々が聞いたのか、また会話ウィンドウが反応した。

[知識の神ヘセドが不快な気配を漂わせる。]

「まあ、私も偽物の聖女なんだから、偽物の神々かどうかなんて、分かるわけないでしょう。」

まるで逃げるように投げかけた一言だった。

そのとき、きらきらと輝く夜空に何かが光るのが見えた。

稲妻の光とともに轟くような雷鳴が聞こえた。

雨が一滴も降らないのに、乾いた壁が震えていた。

私はしばらく黙った後、口を開いた。

「……まあ、このくらいなら認める。」

会話ウィンドウにはそれ以上の返答は浮かばなかった。

不思議と二人の幼い顔が頭に浮かんだ。

「ふっ。」

私は思わず笑ってしまった。

少し気持ちが軽くなった。

『まあ、別にどうでもいいか。』

私は彼らの存在を受け入れることにした。

神々だとしても、私が考えることを聞けるわけでもないし、私が何を考えていようと反応するわけでもなかった。

しかし、私が動いたり言葉を発すると、彼らはそれに反応してきた。

[愛の神オディセイがあなたの笑みの意味を知りたがっています。]

『考えることすらも簡潔にして、ただの行動として受け入れろと言いたいのか。』

複雑な思考に囚われていたとき、どこからか馬車が皇宮の中へと入っていった。

神殿に似ているが、それよりも少し大きく見える荘厳な建物がいくつも並び、神殿の灰色の壁とは異なる赤褐色の外観をしていた。

アーチ型の脚を持つ馬車は、宮殿の中を進み、無数の景色を抜けて、まるで芸術の殿堂のような壮大な建物の前で止まった。

『つまり、あそこに二番目の男性主人公がいるってこと?』

少し寒気がする思いがした。

宴会場は、誰が見ても公演や宴会が行われる場所であることが分かる外観だった。

どこか曇った薄暗い雰囲気が漂い、宴会は徐々に人々で賑わってきていた。

馬車から降りると、聖騎士たちが整列して私に一礼をした。

ドレスの裾をつまみ、青いカーペットに沿って堂々と歩いた。

騎士や貴族たちの多くの視線が私に向けられたが、緊張はしなかった。

以前の生活で友人の家に入るとき、私に向けられたあのたくさんの軽蔑の視線と比べると、この好奇心に満ちた視線はむしろ心地よかった。

『背筋を伸ばしてまっすぐ前を見据える。ドレスの裾を広げて歩き、目はしっかりと輝かせて。』

私は自分が臆病で弱々しく見えないように努めた。

私を見てざわめく声は、貴婦人たちや貴族たちに向けられることなく、静かに宴会場の中へと歩みを進めた。

オーケストラは宴会の雰囲気を盛り上げるために演奏を続け、あちこちでトレイを持った侍従が歩き回り、貴族たちにワインのグラスを手渡していた。

私は引き続きカーペットをたどり歩いた。

そして長いカーペットの先にある2つの玉座に目をやった。

重厚感のある王冠をかぶった、白髪混じりで赤みを帯びた髪の50代半ばの皇帝と、20代に見える金髪の若い皇妃の姿があった。

その男性は皇帝ラウヘン・アンセン・イライドだ。

『そしてあの女性は……。』

3年前に再婚によって迎えられた皇妃ロゼ・イライド。

ミハエル伯爵家の縁戚だったと聞く。

玉座の隣に立つ、正装を身にまとい長剣を携えた男性が見えた。

おそらくこの宴会の主役である皇太子だろう。

レイハスと比べても引けを取らないほどの優れた容姿。

大柄な体格と広い肩幅、鍛え上げられた体つき。

火のように赤く染まった髪と鋭い目つきの中で燃え立つような深い赤の瞳。

帝国の皇帝となるべき、誰よりも冷徹で鋭い男性。

しかし、ヒロインのカミーラにだけはその冷たさを失う心を持つ男。

『カイル・アレクシス・イライド』

深紅の制服に飾られた数々の勲章が、彼の功績を物語っていた。

「……。」

私は皇帝夫妻と皇太子の前に立った。

その際、ドレスの裾を握り、一方の手を胸に当てながら、彼らに恭しくお辞儀をした。

「皇太子殿下の二十番目のお誕生日を迎え、エリウムの祝福をお届けに参りました。」

「感謝します、聖女殿。頭をお上げください。」

皇帝の冷静な声が響くと、私は静かに頭を上げた。

「神のご加護を受け、エリウムと全ての神殿の祝福をお伝えいたします。」

私はそっとカイルの顔を見た。

冷たく鋭い目つき、挑むような眼差し、何か不機嫌そうな表情に加え、わずかに寄った眉間。

エリウムとして彼と会ったのは初めてではないが、どうやら良い関係ではないということはその雰囲気から感じ取ることができた。

「幼少の頃に……」

彼の目つきがわずかに揺れ動くのが見えたが、私は話を続けた。

神殿の祝福は非常に重要な儀式であり、全ての人々が私を注視していた。

「主神はこの世界を創造し、その力を九つに分け与えました。その中でも卓越した力が帝国に授けられたことで、ギドゥサ・イリド帝国が繁栄する運びとなりました。そして、正義の神は皇帝を選び出すことで、帝国を導く正当な君主を与えたのです。」

彼の視線を受け止めながら、私は真剣な口調で話を続けた。

「皇太子殿下はシエルの祝福の月にお生まれになりました。誰よりも聡明で、国政を守護し、慎重さを欠くことなく帝国に繁栄と祝福をもたらす存在であることを、すべての神々が認めています。」

「それは……」

彼の目線は依然として冷たく不敬なものだったが、私はひるまずに話を続けた。

「唯一の後継者である皇太子殿下の誕生日に際し、神々への敬意を示す機会を賜ることができたのは、何よりも大きな名誉でございます。破壊の神シエルの祝福と、他の八柱の神々の祝福が殿下に授けられますように。」

言葉を終えた私は、内心で小さく息をついた。

書き上げた祝辞文には、たぶん間違いがなかったはずだ。

「では……」

冷ややかなその表情は、決して心を和ませるものではなかった。

しかし、それでも私がやるべきことをやらなければならなかったのだ。

私は礼儀正しく手に持った杯を差し出し、彼の手に触れるよう心を込めて差し出した。

「……」

彼はしばらくしてからやっと私の手に自身の手を重ね、その重みが私の手のひら全体に伝わってきた。

視野の中に彼の手が見えた。

男性らしい大きな手、長い指。

それが私の手の上にそっと乗っていた。

初めて会う男性と接触することに慣れているわけではなかった。

しかし、伝統的な神殿の祝祭の儀式において、この場面は欠かせないものであり、私はそれを避けることはできなかった。

私は彼の手の甲に杯を押し付け、自分の唇を近づけた。

正確に言えば、杯に唇を触れる瞬間、少しだけ内側に押し込んで認証を行った。

周囲では、神殿の祝祭を称賛する貴族たちの拍手の音が響いていた。

ああ、これだけ多くの人々が見守る中で、男性の手の甲に唇を当てなければならないとは、なんとも試練の多い儀式だ。

『こんなことをアリエルはなぜしたいと思ったのだろうか。』

少しして杯を持ち上げた時、彼の視線がさらに近づいていた。

『すみません。気分が悪いのは私の方なんです。』

一瞬、彼の赤い唇がわずかに動いた。

「お前……。」

そしてその時だった。

突然、視界が閃き、轟音と共に何かが爆発する音が響いた。

それに続いて人々の悲鳴が周囲を満たした。

 



 

 

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