乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する【１３０話】ネタバレ

ダリアの本当の成人式の舞踏会の日になった。

ヒーカンは仕方なく、今回もアドリーシャをパートナーに。

セドリックやダリアとは違って、2人はお互いと艶聞説が出ると、誰よりも激しく否定したため、特にどんな言葉も広がらなかった。

そしてルウェイン・ブルーポートが首都に到着したという噂が広がる。

もしかしたらメアリー・ブルーポートも一緒に来たのではないかとわくわくしたが、残念ながら彼女は来なかったという。

首都はまだ彼女に関する悪い噂が多いからだろう。

一度暴走した超越者は再び暴走するかもしれないという考えが首都に広まっていた。

おかげでルウェイン・ブルーポートまでそのような視線を一緒に受けている。

皇室の厳格な管理の下、いかなる超越者も及ばなかったのに、なぜブルーポート公爵から再び暴走が始まったのか？

ブルーポート家の形質自体に何か問題が生じたのではないだろうか？

ブルーポート家は首都に位置していないため、そのような偏見を訂正することも難しかった。

おかげでルウェインの首都到着は、公爵にしてはやや寂しくなったという。

とにかく彼が首都に来たと言うと、ダリアも本格的に落ち着かなくなる。

まもなく破棄されるダービー・ガトラン条約とアセラスを思い出すからだけではない。

新しい男主人公であり、最後の男主人公の登場自体がダリアにとってストレスだった。

ここの男性主人公たちは、みんなそのまま放っておけば、原作で軽く国一つくらいは滅亡させる偉人たちだったからだ。

（その結末でいつもセドリックは死んで・・・）

その上、ルウェインはどういう考えなのか、今回のダリアの成人式に必ず参加したいと手紙を送った。

断るのも礼儀ではなく、メアリー・ブルーポートのせいだろうと思って承諾したが、気が気でない。

ルウェインはアドリーシャを初めて見た瞬間、一目ぽれしてしまうから。

ところが、その隣に訳もなく原作の最終悪党であるヒーカンがいて、火の粉でも飛んでしまうと・・・。

「いや、そんなはずないじゃないか」

ダリアは首を横に振る。

ルウェイン・ブルーポートは誰よりも傲慢で騎士らしい人だった。

ロマンス小説の男主人公のように無愛想だが、猫が好きなど密かに情の深い性格。

同時に彼はこの原作ゲーム「ウロボロスの迷宮」で「真」の男主人公の役割に最も近い人だった。

つまり、それでもアドリーシャと最も情緒的な交感に似ている人だったということだ。

しかし、彼はついに他のライバルの男性主人公たちを皆殺し、アドリーシャの最後の翼を破った。

彼女を強制的に彼のそばに座り込む方法は、他の男性主人公と絶対変わらない道だ。

しかし、過去の罪を後悔するという点、未来には変わる可能性があるという余韻を残して終わったというのが、他の男主人公と違う点だった。

彼の最後の場面はこうだった。

『ルウェインは泣いているアドリーシャを見た。遅ればせながら後悔が押し寄せてきたが、すでにすべては終わった後だった』

『いや、終わってないよ』

『もう一度できる』

『もう一度、最初から始められる』

『絶えず彼はその言葉を繰り返し、アドリーシャのカ抜けた肩を抱きしめた』

もう一つ重要な違いがある。

彼の超越者の特性は、最後まで決して原作に登場しないということ。

この明らかになっていない特性のため、ダリアはもやもやしていた。

もし彼が秘蔵の一手だと思って何かを隠して敵に回った時、それがどんな後遺症に戻るかは誰にも分からないからだ。

「むしろ今のようにライバルがいない時、彼がアドリシャの心を掴めば平和に終わることができるのでは？」

ダリアはふとそんな考えをして、慌てて首を横に振る。

アドリーシャが何の罪でそんな人間に耐えなければならないのか！

ダリアは原作の男性主人公たちそのままの姿は全部嫌だった。

根深い不信感だ。

とにかく舞踏会は始まったし、ダリアは出なければならない。

彼女はもう一度着替えを点検し、彼女を待っているセドリックの元に向かう。

セドリックは彼女の手を握って笑った。

彼女は今日に限ってもっと輝く彼の外貌を眺めながら決心する。

（私が必ず守ってあげます）

セドリックも視線を感じ，ダリアをじっと見つめた。

そうするうちに突然上体を下げて手を上げてダリアの目元を盗んだ。

「泣いたの？目が腫れてるけど？」

ダリアが泣いたのは3日前だったが、恐ろしいほどの観察力だった。

彼女は首を横に振ったが、セドリックは心配そうな表情で彼女の顔をつかみ、あたりを見回す。

「誰かがあなたにまたむやみにしたの？」

（こんな友逹がどこにいるの？）

首を横に振りながら、ダリアは考える。

メリダの手を一度経たためか、来る人ごとにダリアのドレスを褒めない人がいなかった。

皇帝もダリアを見て、父親のような笑みを浮かべる。

貴族の令嬢の成人式に現れたのは、任期中に初めてのことで、非常に異例のことだと言った。

一方、セドリックは毎回不安そうな表情でダリアのドレスの開けた部分をちらっと見る。

その視線がそれとなく楽しかった。

しかし、ダリアの神経はまだ到着していないルウェインに注がれていた。

彼女はアドリーシャとヒーカンの様子を見続ける。

二人はぽつりぽつりと一言二言を交わすと、それぞれ用件のある人を探して散った。

ルウェインがいつ現れるか分からないこのような時、ヒーカンやダリアがアドリーシャをそばに置いていれば少しましだが、彼女は今回の舞踏会で皇帝を助けて採掘権契約を協議しなければならないと言った。

ちょうどアドリーシャがある中年男性に話しかけながらバルコニーに出るのが見えた。

ダリアは唇をかんだ。

「不安だ」

ルウェインがアドリーシャに一目惚れするようになる原作の中で初めての出会いがあまり残っていない。

原作でアドリーシャの交渉は思うように進まない。

どんな理由だったのかは覚えていないが、相手といがみ合うようになり、結局彼女は舞踏会場から武器を取り出すかどうか悩む。

その時、ルウェインが現れて状況を仲裁する。

そんなことが起こらないように、ダリアはヒーカンにアドリーシャが交渉しに行ったら守るようにと言っておいた。

しかし、ヒーカンは特に気がついていない。

ダリアの頼みはどんな場合でもすべて聞いてくれる彼らしくない姿だ。

不思議なことに。

結局、今回もそのようなやり方で行くようだった。

ブルーポート公爵が暴走したように。

アセラスがダリアに元々アドリ＾シャに言うべきセリフを言ったように。

メルデンとアドリーシャが再会したように。

始まりはいつも変わらない。

結局、ルウェインはアドリーシャに一目惚れするだろう。

ダリアが邪魔しなければ、アドリーシャに執着して彼女を苦しめるだろう。

原作の抑制力はある程度慣れてきたが、このような度にゲームの中の世界に落ちたという実感がしたりもした。

現実ではなく、ただ仮想世界の中。

しかし、ダリアはこれまで多くの人のために努力し、彼らを助け、彼らに助けられてきた。

それは決して偽物ではなかった。

捕まえたセドリックの腕から伝わる温もりは、本当に誰も嘘だと疑うことができなかった。

「・・・」

彼女はセドリックの腕をしっかりとつかんで意志を固めた。

そして。

「ルウェイン・ブルーポート公爵閣下の入場です！」

いよいよ最後の男主人公の登場だった。