オオカミ屋敷の愛され花嫁

オオカミ屋敷の愛され花嫁【37話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【オオカミ屋敷の愛され花嫁】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

37話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • みんな一緒に②

「まあまあ、ありがとうございます、お嬢様。」

「お祝い申し上げます。いただきます、ありがとうございます。」

「市内のデザートですって?有名だって聞いたことがありますが、食べる機会があるとは思ってもいませんでした……。ごちそうさまでした、お嬢様、坊ちゃま。」

すべての人に渡せたわけではないけれど、私に好意的だった使用人たちには、ほとんど配ることができた。

私と一緒に手押し車を引いて回っていたアルセンが、疲れたように芝生にドサッと座り込んだ。

「うぅ、疲れた……休む……。」

「うん、ホントに疲れた。」

私はアルセンの隣にドサッと座り込んだ。

ラニエロでは、誰かの隣に座るなんて想像もできないことだったのに。

エクハルトの自由な雰囲気には、少し慣れてきたようだった。

そして、次第に薄暗くなっていく空を見上げながら、深呼吸をする。

『そういえば、そろそろ夕食の時間だね。』

問題は、手袋を握ったままクロエやベティに隠れて一つずつデザートをつまみ食いして回ったせいで、もうお腹が空いていないという点だった。

それはアルセンも同じだったようだ。

そのとき。

「お嬢様?ここにいらっしゃいましたか?ずっと探していました。」

遠くからエイデンがぽかんとした様子で、そろそろと近づいてきた。

私はうれしい気持ちで立ち上がって挨拶したかったが、体力が残っておらず、座ったまま挨拶するしかなかった。

「ねえ、エイデン。よく休めた?」

「はい、もちろんです。そして……、どうか言葉を砕いてください。それが気楽です。お嬢様はもうエクハルトの一員なのですから。」

私はエイデンの言葉を聞いて、グラスを手でなぞった。

「うん、じゃあそうするね。」

「はい。正式にお礼のご挨拶を申し上げに来ました、お嬢様。」

エイデンは私に丁寧に礼をし、頭を下げて挨拶した。

「私の馬を治療してくださったと聞きました。そのご恩をどうお返しすれば……。」

「それじゃ、ひとつお願いがあるんだけど。」

私はエイデンを見上げた。

エイデンは、まるで「それぐらい当然のように渡してやるさ」と言わんばかりの、毅然とした表情で私を見つめた。

「エイデンとちょっと仲の良かったあの子、彼に怒ったり……してないよね?」

「え?」

「もちろんケンドリック様は処罰しないって言ってたけど……エイデンがその子を探して怒るかもしれない。あの子、今邸宅の中にいるよ。」

私は指先をもぞもぞと動かしながら、エイデンの顔を見上げた。

私の言葉を聞きながらまばたきをしていたエイデンが、自分の手のひらを軽く叩いた。

「怒るだなんて、お嬢様。そんなこと考えたこともありません。聞くところによると、目も見えない子だそうで……」

私は鼻先を少しつねった。

ケンドリックと向き合っていたときは、明らかに目が見えていないようだったのに。

『私のこと、まっすぐ見てたじゃない。』

確かに目が合った。

焦点もなくぼんやりと床を見つめていた視線が、鋭く私に突き刺さった。

そんなときはまた、前が見えているようにも見えて……。

本人が口を開かない以上、目が見えているのか見えていないのかは、まだ誰にも分からなかった。

私は疑わしそうにエイデンを見つめた。

「ともかく、怒らないってことでよかった。エイデンのこと、信じてたから。」

私がへへっと笑うと、エイデンも微笑み返した。

「私のほうこそ感謝申し上げます。今後また何か必要なことがあれば、どんなことでもおっしゃってください。誠心誠意お手伝いします。」

エイデンは、そろそろ戻らなければといって、先に席を立った。

私は席を立ち、お尻のほこりをトントンと払った。

アルセンが私をじっと見つめていた。

「戻るの?」

「うん、戻らなきゃ。いつまでも座っていられないしね。」

アルセンに手を差し出すと、彼は私の手をしっかり握って立ち上がり、お尻の埃を払った。

私たちは空になったワゴンを引いて住宅の中に戻った。

ベティが笑いながら、私たちをあたたかく迎えた。

「お疲れさまでした、お腹すいてませんか?ケンドリック様がお待ちですって。」

「待ってるって?」

「はい、さっき食堂に行かれました。それで……あら。」

全身が砂埃まみれの私とアルセンを見たベティは、思わず口をつぐんだ。

「お嬢様……、まさかデザートだけ配ったわけではありませんよね?」

「えへへ、ごめんね、ベティ。ご飯は後で食べればいいかなって?」

私は気まずく笑いながら、うなじを掻いた。

この格好のままケンドリックと食事なんてできなかったから。

ベティはため息をついたあと、私に手を差し出した。

「まずは体を洗ったほうがいいですね。ケンドリック様にはちゃんとお伝えしておきます。坊ちゃまにも。」

アルセンはクロエに手を引かれて部屋へと消えていった。

ベティは私を連れて浴室へ向かった。

彼女は大きな浴槽に温かいお湯をたっぷりと張ったあと、私をゆっくりとその中に入れる。

「もし熱かったらおっしゃってくださいね。」

私は軽くうなずいた。

思ったよりちょうどよい温かさで気分がよかった。

バラの香りがするお風呂でさっぱりと体を洗ったあと、ベティと他の侍女たちが私の体を丁寧に拭いてくれた。

「さあ、腕を上げてください。」

ベティは私に室内着を着せたあと、食堂へと案内した。

『ケンドリック様はもういないかな?』

身支度にずいぶん時間がかかったので、ケンドリックは先に食事を終えて戻ったに違いない。

異能について聞いてみたかったのに。

そして、あの少女をどうやって連れてきたのかも。

私は名残惜しい気持ちで目をぱちぱちさせながら食堂に足を踏み入れた。

「ようやく来たな。」

食堂にはケンドリックが座っていた。

私は驚いた気持ちで急いで食卓に駆け寄り、席についた。

「まだ召し上がってなかったんですか?」

「一緒に夕食を食べたくて。アルセンも来る頃だと思って。」

ケンドリックの言葉が終わるや否や、きれいにさっぱりと整ったアルセンが登場した。

アルセンは自然に私の隣に座った。

私たちが全員席に座るとすぐに、順番通りに料理が運ばれてきた。

私は温かい野菜スープをスプーン一杯すくって口に入れながら、ケンドリックを見つめた。

『あっ。』

そのとき、ケンドリックも視線をこちらに向け、目が合った。

私はえへへと、照れくさそうに笑いながらスープをもう一口飲んだ。

「今日、デザートを配ったそうだね?」

「はい?ええ、全部食べるには多すぎて……捨てるのはもったいないので。」

スプーンを動かしていると、ケンドリックの口元にやわらかな微笑が浮かんだ。

「よくやった。」

「ありがとうございます、本当に美味しくいただきました。」

黙々と食事をしていたアルセンも、満足そうにフォークを置いた。

「うん、美味しかったです。」

「次もまた買ってきてね。いや、いっそ今度の宴会のケーキはその店に任せたほうがよさそうだな。」

「でも、アキムがいるじゃないですか?」

「アキムのデザートも素晴らしいよ。でも君たちがあの店のデザートをより気に入っているようだからな。」

「そうね、アキムのよりそのお店のデザートの方が美味しかった。」

アルセンはアキムが聞いていたら涙を流していたかもしれないと思い、ひそかに言葉を呟いた。

「君たちの結婚式のケーキまでそのパティシエに任せなきゃな。」

そう話すケンドリックは、いつもより機嫌がよさそうに見えた。

私はスプーンを動かしていたが、勇気を出して慎重にケンドリックを呼んだ。

「えっと、ケンドリック様。お願いしたいことがありまして……。」

「話してごらん、リンシー。」

私は手にしていたフォークをそっとテーブルの上に置いた。

「邸宅に滞在しているあの少女のことですが。」

「彼女がどうした?」

「彼女が邸宅にもっと滞在できるようにしていただきたいのです。」

「理由を言ってごらん、リンシー。」

ケンドリックが私をじっと見つめた。

「聞きたいことが……あるんです。ただ、個人的に……。」

ケンドリックは肉を切る手を止めて、私に視線を固定した。

やっぱりダメかな?

私はそっと、ケンドリックとアルセンを見比べた。

一瞬、沈黙が流れた。

先に沈黙を破ったのはケンドリックだった。

「そうか、お前が望むならそうしよう。その子が屋敷でできることを探してみないといけないな。目が見えないと、多くの仕事をするのは難しいだろうから。」

「本当ですか?ありがとうございます!」

「ただし、危険かもしれないから、あの子に会うときは必ず二人以上の侍女を同行させなさい。」

「え?でも、私には普通に見えるんですけど……。」

「それでも油断は禁物だよ。リンシー、君はラニエロの直系の一族であり、これからはエクハルトの女主人になる人だ。君を狙う者たちが増えるということなんだ。」

ケンドリックはゆっくりステーキを切りながら続けた。

「もしこの程度の約束すら守れないのなら、私も許可できない。」

ケンドリックはきっぱりと言った。

結局、私はうなずくしかなかった。

「はい、そうします。」

「うん、いい子だ。」

 



 

 

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