オオカミ屋敷の愛され花嫁

オオカミ屋敷の愛され花嫁【38話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【オオカミ屋敷の愛され花嫁】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

38話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 謎の少女

夕食が終わり、アルセンと私は膨れたお腹をさすりながらテーブルから立ち上がった。

「これで失礼します、ケンドリックさん。ごちそうさまでした!」

「お腹いっぱい。パパ、バイバイ。」

「そうか、休んでおいで。アルセン、リンシー。」

そのとき、少女の一人がそっと食堂の中へ足を踏み入れた。

私とアルセンは出て行こうとしたが立ち止まり、その少女をじっと見つめた。

ケンドリックが何事かをつぶやきながら腰をかがめて挨拶し、言った。

「ご主人様、あの子が目を覚ましました。」

「“あの子”?」

私は少女の顔を一度見て、それからケンドリックを一度見た。

「目を覚ましたんだね、リンシー。」

ケンドリックは私と目を合わせたまま微笑みながらうなずいた。

『あっ!』

あの女の子のことか。

私はすぐにうなずいた。

「うん、今行くよ、今!」

「でも時間が遅すぎて……」

少女が困っているようにベティをじっと見つめた。

家の中で静かにそばに立っていたベティが、淡々と口を開いた。

「今はダメですよ、お嬢様。明日の朝に会いに行くことにしましょう。」

「え?でも、起きたら会わせてくれるって言ってたじゃない。」

「でも、もう遅い時間です。早く上に行って、洗って寝なければなりません。」

「さっき夕食を食べたばかりなのに……。」

「子どもたちは9時前には寝ないと大きくなれませんからね。」

ベアティはきっぱりと言った。

結局、私とアルセンはとぼとぼとそれぞれの部屋へと戻るしかなかった。

部屋に戻ってから、私はベッドに横になり、ぼんやりと天井を見つめた。

「すぐに会いたいのに。」

あの少女が言っていた「黒い煙」とは何なのか気になった。

ケンドリックの異能を見たのか、それとも、エステルの体からじわじわと流れ出ていた黒赤い気流。

それを指していたのか。

そして、あの少女が言っていたことが、本当にあの日、私が見た「黒い煙」のことだったとしたら……。

私はぱっと立ち上がり、鏡の前へと走って行った。

クマの人形をどけながら、鏡に首を向けてみた。

まだ首には、はっきりと黒い斑点が残っていた。

私はその斑点を見つめながら、唇をきゅっと引き結んだ。

『呪いを解く方法を見つけないと。』

そうすれば、ケンドリックに自分が見たものを正直に話すことができる。

あの黒い斑点からじわじわと液体がにじみ出し始めた頃から、アルセンの病状が悪化したように思える。

もしかすると、それがアルセンの病と深く関わっているのかもしれない。

そう考えると、自分がアルセンを治さなければという気持ちが強くなった。

「私を飲み込もうとしているように近づいてきたから……」

私の力とは想像が合わないのだ。

私は大きく息を吐き、首にある黒いほくろを無意識に一度こすってみた。

やはりほくろは消えなかった。

だけど。

「んん……?」

髪の毛の間に、赤い髪の毛が数本混ざっていた。

私は不審に思いながら髪の毛を引き抜き、窓を開けて外に捨てた。

「もう抜け始めたらだめなのに。」

まだケンドリックには、私が変身すると赤い鳥になるという事実を正直に話していなかった。

私はその場でぴょんと飛び上がって変身した。

そして――

「ベイ!」

鏡の前で羽をばっと広げ、自分の羽を隅々までじっくり観察した。

『もしかして羽にも赤い羽毛が生えていたりしないかな?』

羽は完全に変身するたびに特に出やすい部分だから、もっと注意が必要だった。

『ふぅ、よかった。』

私は再び変身を解いた。

山を越えてもまた山とはこのことか。

前世で呪われ、裏切られた記憶がいまだにあまりにも鮮明だった。

だから自分の口で話すのは簡単ではなかった。

私が呪われて得た赤い髪を持つことになるという話だ。

もちろん、ケンドリックは私を見捨てないと言ってくれたし、エクハルトの使用人たちも皆、私に親切だったけれど……

それとは別のことだった。

ラニエロの使用人たちも私に親切だったから。

私が赤に新しく変貌するまでは、という話だけれど。

『とりあえず考えないでおこう。』

私は羽をたたんだ。

急を要するのは、エステルの体からじわじわとにじみ出ていた、あの赤黒い液体。

そして、私の首にかけられた呪いだった。

私は朝が明けるとすぐに、あの女の子を探しに行った。

ベティが心配そうに眉をひそめながら、私のあとをちょこちょことついてきた。

「お嬢様、朝ごはんを食べてから行かれては……!」

「でも、あの子が目を覚ましたなら。早く会いたいの。」

私はほとんど走るようにして、あの子が横たわっている部屋へ向かった。

約束どおり、ベティ、そして他の侍女ひとりが私と一緒に同行した。

ベティは、昨日私が出入りした部屋の扉を勢いよく開けた。

「えっ……」

痩せた体つきの少女が、私が昨日置いていったマフィンをいじっていた。

少女は驚いてマフィンを床に落とし、言葉を失った。

私はあわてて駆け寄り、マフィンを拾って少女に渡した。

「はい。」

「……ありがとうございます。」

少女は震えながら答え、マフィンを大切に受け取った。

『お腹がすいてるの?』

お腹がすいてマフィンを食べようとしているのかと思って少し待ってみたが、そうではなかった。

少女は毛布をまくり、その下にマフィンを隠したのだ。

そして手先でおそるおそる触れながら、マフィンがうまく隠れているか確認した。

私はそれをじっと見つめていたが、ゆっくりと自己紹介をした。

「私の名前はリンシー、リンシー・ラニエロ。あなたは?」

「……」

しかし、少女は何も言わなかった。

私はなんとなく気まずくなって、「へへ」と笑うだけだった。

見かねたベティが前に出た。

「無礼にもほどがあるわ。この方はまもなくエクハルト家のご主人になられるお方よ。ちゃんと挨拶なさい。」

ベティが鋭く言い放った。

私はベティの腕をそっと引いて、彼女を制した。

「ベティ、やめて。私が話すから。うん?この子と話したいことがあるの。だから、ちょっとあっちに行っててくれる?」

「でも、お嬢様……」

「大丈夫だから。危なくなったらすぐ呼ぶわ。」

結局ベティは我慢できなかったようで、しばらく席を外した。

ベティと他の少女たちはドアの外に立って、私を見守っていた。

危険な状況になったら、すぐにでも駆けつけられるように、ということだ。

「……」

「……」

一瞬、静寂が流れた。

私はただ手をいじっている少女をじっと見つめた後、ゆっくりと口を開いた。

「ねえ、体の調子は大丈夫?」

「は、はい……」

「よかった。ほかに痛いところがあったら、いつでも言ってね。」

「……」

少女はうつむいた。

私は少女にならってうつむきながら、単刀直入に尋ねた。

もちろん、外にいるベティや侍女たちに聞こえないよう、声は抑えた。

「ところで、『黒い煙』って、どういう意味だったの?」

「……」

「私のことを見て言ったよね。『黒い煙』って。」

そのとき、少女が顔を上げた。

焦点の合っていないようにほかの場所を見ていた灰色の瞳が、はっきりと私を見つめた。

「ま、まさか……黒い煙。」

「黒い煙って、どこにあるの?」

私は少女を問い詰めるように聞きながら、さらに近づいた。

すると少女は、少し悩むようにうつむき、やがて手を上げて私の首を指さした。

「……え?」

「首に……煙が。」

「私の首に見えるの?」

私は目を大きく見開いたまま、思わずのけぞった。

少女は繰り返し、ゆっくりと羽をいじった。

『……ということは、本当に。』

私が見たあの赤黒い霧を、この少女も見ていたのだ。

 



 

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