こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は120話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
120話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 3種類の足跡
音もなく雪が降っていた。
綿の尻尾のような雪が常緑樹の上に、乾いた噴水台の上に、そしてブランシュの頭の上にも降っている。
ブランシュが雪を踏む音だけが響き渡る。
彼女は雪を初めて見た子犬のように楽しそうに雪原の上を走り回っていた。
「お父様!お母様!」
遠く離れた場所でブランシュが手をブンブン振っている。
アビゲールは手を振って答えた。
「ここ見てください!」
遠くから見ると、ブランシュは足跡で大きなハートの形を作っていた。
ブランシュが走ってくる。
どれほど楽しく遊んだのか、顔が真っ赤になっていた。
「ブランシュ、寒くないですか?中に入りましょうか?」
「お母様がこれを作ってくださったので寒くないです!」
ブランシュは手袋をはめた手でマフラーを掴む。
どちらも白で色を合わせたものだ。
セイブリアンはアビゲールの隣に立っていた。
彼の視線は雪の降った庭に当たっている。
さっきまでは綺麗だった雪原が足跡で散らかっていた。
ブランシュが駆けつけてセイブリアンを引っ張る。
「お父様、お父様もこちらへ!」
「ブランシュ、君は残念じゃないのか?あの白い雪原に足跡を残すのが」
真っ白だった雪原はこれ以上見られなかった。
それが残念だとも言える。
けれど、ブランシュは意に介さないように笑った。
「また雪が降るでしょうし、来年も雪が降るから大丈夫です」
その希望的な答えにセイブリアンはしばらく黙っていた。
そうするうちに少し厳粛になった声で尋ねた。
「ブランシュ、君は将来何になりたい?」
一度も聞いたことのない質問。
当然ブランシュが王になると信じていたため、あえて問わなかったのだ。
ブランシュは雪原にポツンと立っていた。
彼女は丸い目で、しかし真剣な目つきでセイブリアンを見上げながら口を開く。
「王になりたいです」
「私も君を王に育てようとした。王が歩く道は険しくて残忍な場所だから、私は厳しく育ててきた」
君の雪原には血が残るだろう。
数多くの怨念の足跡が残るだろう。
セイブリアンはそれを見たくなかった。
ブランシュはしばらく黙っていた。
雪景色を後にして、雪に打たれていた子供が口を開く。
「それでもなりたいです」
ブランシュはそっと微笑んだ。
雪原のように。
優しくて強靭な微笑を。
「お父様とお母様が生きているこの国を私が守りたいのです」
その大人らしさがセイブリアンとしては恐ろしかった。
自分がそう仕向けたように思えて。
ブランシュを説得するように彼は話し始めた。
「この前も言ったが、甘えてもいいのだよ」
「これが私の甘えです。私は王になりたいです。あ、でも結婚はしたくないです」
ブランシュはそう言いながら、えへへっと笑う。
以前とは違って、茶目っ気が幼くてやや厚かましい反応に、セイブリアンはボーッとした表情を浮かべる。
「それでもいいですよね?」
「もちろんだ」
ブランシュは楽しそうに笑いながら再び雪原を駆けつけた。
アビゲールは笑いながら、その後を歩く。
二人が雪原を歩き、足跡が残る。
その代わりに笑い声が聞こえてきた。
セイブリアンは依然として同じ場所に立って、その姿を眺めている。
足跡が残っても、また雪が降るだろう。
「お父様。お父様もこちらへ。一緒に散歩をしましょう。早くきてください!」
愛らしい声に向かってセイブリアンは一歩一歩近づく。
雪原に彼の足跡が押された。
雪原に3種類の足跡が。
「殿下、あなたの娘は私たちが思っていたよりもっと凄い子ですね」
アビゲールがセイブリアンを見ながら言った。
微笑ましい笑みを浮かべて。
彼はゆっくりとアビゲールの手を握る。
「いいえ、私の娘じゃなくて・・・」
セイブリアンはそっと微笑んだ。
ただ暖かく優しい笑顔で。
「私たちの娘です」
その言葉にアビゲールの顔が一瞬で熱くなる。
セイブリアンはその顔を見るのが好きで、手を離さずしばらく眺めるだけだった。
その時、先に行っていたブランシュが後ろを向いて走ってきた。
「お二人に申し上げたいことがあります」
「どうしたんだ、ブランシュ?」
ブランシュはニッコリ笑いながら話し続けた。
「お二人は甘えてもいいと仰いましたが、これからは私一人で寝ます!」
アビゲールの顔に別の当惑が重なる。
彼女はあたふたしながら尋ねた。
「ブランシュ、また何かあったんじゃないですよね?」
「はい!クララが二人だけで寝ないと、良いことができないと言われました」
良いこと。
その言葉にアビゲールの表情が固まる。
セイブリアンは何の反応も示さなかった。
ブランシュはニコニコ笑いながら、茂みから現れたウサギたちの元へ走っていく。
セイブリアンは瞳を転がしてアビゲールを凝視した。
「私たちの娘は、どうも親孝行のようですね」
「へ?」
アビゲールの問いに彼は答えなかった。
少し意地悪に笑ってブランシュの方へ行ってしまうだけ。
雪原には足跡と共に幸せな記憶が刻まれた。
悪い記憶の上にはまた雪が覆われるだろう。
綿雪がしばらくの間降り続ける。
雪が降っていても暖かい冬だった。
大妃の問題はこれで一段落ですね。
ブランシュとセイブリアンの親子の絆が深まったと思います。
クララの発言に意味をブランシュは理解していないと思いますが、セイブリアンからすれば嬉しい言葉だったでしょう。