こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は93話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
93話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ラエルからのプレゼント
一方、マリと皇太子は馬車に乗り、どこかに向かっていた。
「殿下、何かご不便なことでもございますか?」
マリが訝しげな表情で尋ねる。
伯爵の邸宅を出た後、皇太子はずっと何も言わなかったのだ。
「ああ、さっき伯爵との取引を考えていた」
「何か問題でもありましたか?」
「問題は全くない。むしろ帝国にとても有利な取引だ」
「じゃあどうして?」
マリは不審な顔をした。
彼女が考えても、帝国に有利な取引だ。
新しい交易都市への投資は別に、カード事業も帝国にとって悪くない。
カード事業で稼ぐ収益の4割を税金で進上すると言ったからだ。
しかし、良い取引をした割には皇太子の雰囲気が重すぎる。
「有利すぎてカラクタ伯爵の真意が疑われるな」
マリの顔がこわばった。
「伯爵に他に隠されれた意図があるとお考えですか?」
皇太子はうなずく。
「もちろん根拠はない。単純な勘である。しかし、私が伯爵だったら、このように他人に与える取引はしなかったと思う」
マリは皇太子の考えに同意した。
彼女もカラクタ伯爵に似たような感じを受けたからだ。
(考えてみると、妙に不吉な感じがする。何の理由もないのに)
「殿下、私が伯爵について別に調べてみます」
しかし、意外にも皇太子は首を横に振った。
「いや、君はいい」
「え、どうして?」
「もう任されている仕事があるじゃないか?」
「あ・・・」
マリはハッとする。
彼女は皇太子の補佐官として、内務大臣と協力して麻薬密売事件について調べていたのだ。
(皇太子が私を信頼して任せたことだ)
いくら補佐官だとしても、侍女である彼女が麻薬密売事件に関与することに反対の声は大きかった。
しかし、皇太子が彼女の能力を信頼して電撃的に任せたのだ。
「マリ、君はその仕事に集中するように。カラクタ伯爵のことはオルンに任せるから」
「はい、分かりました」
そのように話題が終了した後、会話はしばらく中断された。
マリは窓の外を見て不思議そうな表情を浮かべる。
「殿下、ところで馬車の方向は?」
しばらくしてみると、馬車は皇居に向かっていないことに気づく。
初めて見る坂道を登り続けていたのだ。
「ああ、ちゃんと向かっているようだね」
「何処か他に立ち寄る場所があるのですか?」
「そうだね」
マリは首を傾げる。
どうして事前に知らせてくれなかったのだろうか?
ところが皇太子は思いもよらなかった話をした。
「ごめんね」
「殿下?」
「実は今日の外出の核心はこれだったのだが、途中で色々あって気にできなかったんだ」
マリは皇太子の突然の謝罪に当惑した表情を浮かべる。
これはどういう意味だろう?
「殿下、一体どういうことなのか・・・?」
「行ってみれば分かる。もうすぐ着くだろうしね」
一体何だろう?
その時、馬車のそばで馬を運転していたアルモンドが言った。
「殿下、もうすぐ目的地です」
「準備は滞りなく終わったね?」
「はい、事前に確認しました」
マリには理解できない会話。
彼女がもう一度尋ねようとしたとき、皇太子が口を開く。
「着いた」
「・・・?」
皇太子のエスコートを受けながら馬車から降りたマリは、彼が言った言葉の意味に気づく。
「あ・・・」
彼女は目の前に広がる光景を見て、手で口を覆った。
皇太子が少し照れくさそうな顔で話す。
「気に入ってくれたら嬉しい」
「あの、殿下・・・、どうして・・・」
首都の全景が一望できる庭園。
その庭は無数のロウソクで満たされ、綺麗に光っていた。
まるでマリを歓迎するように、祝福するように。
ロマンチックで美しい光景。
皇太子がひたすら彼女のために準備した光景だ。
「あの、殿下どうして・・・?」
マリの瞳が揺れた。
彼が自分のために準備したものを見ると、胸がドキドキしてくる。
そして、胸の片隅に疑問を抱いた。
どうして急にこんなことを?
皇太子は返事の代わりに首を動かす。
「持ってくるように」
すぐに庭の片隅から使用人が何かを持ってきた。
侍従が持ってきたのを見たマリは、まだ驚いた表情を浮かべる。
バラと大きなダイヤモンドのネックレス。
隣のトレイの中には生クリームケーキもあった。
(もしかして?)
マリは先日、皇太子が自分に尋ねたことを思い出す。
『好きな花は?』
『好きなケーキは?』
その時、皇太子が照れくさそうな表情で言った。
「実は、私はプレゼントをしたことがあまりない。だから喜ぶか分からないのだが」
彼は花をマリに差し出す。
「誕生日おめでとう」
「・・・!」
「もっと良くしてあげたかったのに、そう出来なくてごめんね」
マリの目が大きくなった。
皇太子がこのような準備をした理由。
それは本人も考えられなかった自分の誕生日のため。
「あの、殿下・・・」
花を受け取ったマリの声が震える。
胸が波に出会ったように揺れて、何も言葉が続かなかった。
皇太子はしばらく躊躇った後、ダイヤモンドのネックレスを慎重な動作で彼女の首に直接かける。
「あなたの誕生日だけど、実は私にとってもっと嬉しい日だ。何故か分かるかな?」
「・・・」
「マリ、あなたがこのように生まれてあなたに会えたからだ。ありがとう、この世に生まれてくれて。ありがとう、私と出会ってくれて」
彼女への思いのこもった声。
マリはその声を聞いた瞬間、胸が熱くなった。
理由もなく涙が出そうで唇をギュッと噛んだ。
皇太子は温かい光が漂う瞳でしばらく黙って彼女を眺める。
それから手を上げて彼女の頭を優しく撫でた。
「永遠に祝福されますように。私の大切なあなた。この瞬間、一緒にいてくれてありがとう」
その言葉を終えたラエルがマリを抱きしめる。
慎重ながらも柔らかい抱擁で。
このままハッピーエンドにならないのでしょうか?
圧倒的にラエルがリードした気がするのは私だけでしょうか?
これでもマリは首都から逃亡するつもり?