こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は204話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
204話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 圧倒的戦力差
クローヤン王国の貴族たちは衝撃で言葉を失った。
3軍団に勝利を収め、自信を取り戻しつつあったものの、これは策略や自信だけで対抗できる規模の兵力差ではなかった。
「なんと、20万だと・・・どうしてそんな大軍を・・・。」
「20万となれば、西帝国の全軍をかき集めたということではないのか?」
「20万の大軍に、我々がどう対抗しろというのだ?こちらの兵力はせいぜい2万しか残っていないというのに。」
「兵力の質も、西帝国軍に比べれば遥かに劣っています。」
貴族たちは恐怖に顔を青ざめた。
当然だ。
20万の大軍は3軍団の3万の兵力を相手にしていた時とは全く異なる状況であった。
「10倍・・・いや、兵力の質を考慮すれば実質20倍以上の戦力差だ。これではどんな策を講じても無駄だ・・・。」
マリは暗い表情で考え込んだ。
彼女が持つ「防守防衛」の戦略でも、この兵力差を埋めることは到底不可能だった。
「ましてや、相手が順当に防衛を固めた場合には策に嵌めることもできない・・・。」
西帝国軍を率いる総司令官の名を聞き、マリは再び絶望に陥る。
ラキ・ド・ストーン伯爵――彼女が過去に陥れられたその伯爵こそが、西帝国軍の総司令官だったのだ。
「ストーン伯爵は、西帝国内でも凶悪で悪名高い策略家よ。3軍団のように簡単に策には嵌らないわ。」
マリは自分が苦悩している様子を感じ取りながらも、さらに思い悩んだ。
狂気の混じった笑みを浮かべるストーン伯爵の顔が思い浮かんだ。
危険な狂気と冷徹さ、その狡猾さに疑いの余地はなかった。
彼は「防守防衛」と同等、いや、それ以上かもしれない。
手段を選ばないことで、さらに脅威的な存在であった。
「どうすれば・・・?」
客観的な戦力はもちろん、知略の面でも答えは見つからなかった。
「だめだ。何としても方法を見つけなければ。このままではクローヤン王国は完全に西帝国の掌中に陥るだろう。」
マリは以前の交渉時のストーン伯爵の態度を思い返す。
彼はヨハネフ3世とは異なり、クローヤン王国と共存する意図など微塵もなかった。
まるで蟻を踏みつけるように、同盟国を切り捨てて進む存在でしかなかった。
「クローヤン王国がこれほど滅亡に近づけば・・・ラエル、彼も無事では済まない。」
マリの心にはラエルの姿が浮かんだ。
彼はすでに東方教国という強敵と戦っている。
その状況で、さらに20万の大軍が敵方に加わることになれば方法はなかった。
「だめだ。どんな手段を使ってでも方法を見つけなければ。クローヤン王国のために、そして彼のために。」
しかし、いくら考えても解決策は思い浮かばなかった。
交渉を試みようかとも考えたが、それも不可能だった。
「ヨハネフ3世の状態が正常なら、交渉の余地があったかもしれないけれど。」
マリは徐々にヨハネフ3世を惜しむようになっていたが、まさかこのような事態になるとは思っていなかった。
しかし、情報によればヨハネフ3世は現在正常な状態ではないという。
「持病が極度に悪化した状態らしい。具体的な状態は分からないけれど、だからこそストーン伯爵が全権を委任されたというのか。」
マリは以前、同盟国でヨハネフ3世に会った時のことを思い出した。
カタラク伯爵として知られる彼はいつも元気そうな印象だったが、その時は明らかに顔色が悪かった。
おそらくその頃から病状が悪化していたのだろう。
「私が思っている病気が正しいなら、ヨハネフ3世は長くは持たないだろう。」
マリには「医師」としての能力もある。
その「医師」としての視点で見ると、ヨハネフ3世の寿命はもうあまり残されていなかった。
「手術をすれば完治も可能な病気だけど、この時代にそんな手術をできる医師なんて一人もいないだろう。」
ヨハネフ3世が受けなければならない治療は、極めて高い名声を持つ医師でも対応が難しい、非常に高度な手術だった。
そのことを考えていたマリが思案に沈んでいると、再び緊急の報告が会議室に飛び込んできた。
「殿下!緊急事態です!西部国境の砦であるウィセン城、リビング城、ヘイング城が西帝国軍に陥落しました!」
再び会議室が衝撃に包まれた。
この3つの城は国境を守る重要な砦であり、事実上、西帝国軍に国境地帯が完全に制圧されたことを意味していた。
「は・・・こんなことが・・・」
「一体どうすれば・・・。」
会議室の人々は呆然とし、言葉を失っていた。
20万の大軍が攻撃してきたのだから、当然の結果だった。
これで国境地帯だけでなく、さらに内側まで迫られるのは時間の問題だった。
クローヤン王国が全土を失う結末になるのは明らかだった。
「殿下、ご命令を・・・。」
人々は王座に座るマリを見つめる。
彼らに残された唯一の希望は彼女だけだった。
これまで幾度も奇跡を起こしてきたモリナ女王であれば、今回も奇跡を起こしてくれるかもしれない。
「・・・。」
マリはその視線を受けながら、口を開こうとした。
しかし、今回ばかりは彼女にも適切な策が浮かばなかった。
それほどまでに状況は厳しかった。
その時、黙って隣で状況を聞いていたキエルハーンが声を上げた。
「一言申し上げてもよろしいでしょうか?」
「お話しください、閣下。」
彼が連れてきた兵力は、現在クローヤン王国全域でかなりの割合を占めており、彼の言葉に皆が耳を傾けた。
「正面から戦う方法はありません。そこで守城戦を行うべきです。」
「しかし、どうやって守城戦を行うというのです?どれだけ堅固な城を頼りにしても、10倍の兵力差では・・・。」
「それでは不可能です。」
バルハンが反論した。
キエルハーンは地図を広げ、一点を指さした。
「城を守るのではありません。クロネ山脈、ここを拠点に防御戦を展開すればよいのです。」
「・・・!」
人々は驚いた表情を浮かべた。
クロネ山脈はクローヤン王国の中央を上下に分ける険しい山脈であった。
確かにその険しい地形を利用すれば、西帝国軍に対抗して持ちこたえることも可能かもしれない。
しかし、この作戦には致命的な問題があった。
マリがその点を指摘する。
「確かにクロネ山脈を頼りにすれば西帝国軍を防げるかもしれません。でも、山脈の西側の地域はどうするのですか?」
クロネ山脈はクローヤン地方の中央を分ける地形だ。
その場所を防衛線にすれば、西部地方を放棄することになる。
それはほぼ地域の放棄を意味する。
しかし、キエルハーンは冷静な口調で応えた。
「仕方ありません。西部地方を守ろうとすれば、逆にすべてを失うことになります。」
人々は沈黙に包まれた。
キエルハーンの言葉が響いた。
「陛下、侯爵閣下のご意見が妥当かと存じます。西部地方まで防衛するのは不可能に思えます。」
マリは唇を噛んだ。
彼女もキエルハーンの作戦が理にかなっていることは理解していた。
それでも、なぜかこの作戦をそのまま実行するのは避けるべきだという思いが頭を離れなかった。
西部地方を敵に通す必要があるという点にも引っかかり、何よりストーン伯爵の陰湿な動きが気になった。
(もしこのような形で出れば、ストーン伯爵が黙っているはずがない。きっと何かしらの計略を仕掛けてくるだろう。)
そうした不安が募ったものの、今の状況では他に妙案がなかった。
「分かりました。とりあえずクロネ山脈を中心とした防衛戦を展開します。」