こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は300話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
300話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 呪い
ベリテの白い魔力が私の右手を優しく包んでいた。
赤い火傷の跡が少し薄くなると同時に痛みが消えていく。
私はベッドに横になってベリテの治療を受けていた。
魔法の治療を受けるのは初めてで、とても不思議だ。
「王妃様。もう大丈夫?痛くはない?」
「お母様、大丈夫ですか?」
2人の子供が途方に暮れて私を眺めている。
その瞳が我慢していて、私はそっと微笑んだ。
「大丈夫です。大きな怪我でもないですから」
少しずきずきしたが、この程度は持ちこたえることができた。
にもかかわらず、ベリテは悔しそうに唇をかんだ。
「ごめんね。治療の魔法は専門じゃなくて・・・」
「いや、本当に大丈夫!さっきよりずっとよくなったよ」
私は2人を安心させるためににっこり笑う。
ベリテは少し不審そうな目で私を見つめ、小さなため息をついた。
「私が定期的に治療すれば苦痛は消えるけど・・・、傷跡は残るかもしれない」
私は自分の手をのぞき込んだ。
確かに赤く傷跡が残った方が完治は難しそうだったが・・・。
(それでもいい)
カリンは無事だったのだから、それでいい。
もし間違えたらあっという間に火が燃え広がり、もっと酷いことが起きたかもしれないことだから。
「ところで、クリノリンドレスがそんなに危険だとは知りませんでした。この頃、その服を
着た人々が少しずつ見えるけど・・・」
ブランシュは心配そうな声でつぶやいた。
それが私も心配だ。
この状況をどうすれは良いか悩んでいたところ、誰かがドアを開けて中に入ってきた。
セーブルだ。
彼の表情がよくなかった。
私の負傷の知らせを聞いた時よりはよくなったけど。
私が怪我をしたという知らせを聞いて部屋に飛び込んできた彼の姿が生々しく感じられる。
私の怪我をした手のひらを覗くその目が、自分の手足が切られた人より苦しそうに見えた。
彼はかすれた声で言った。
「しばらく主治医と話をしてきました。痛みは大丈夫ですか?」
「はい。ベリテが治療してくれたおかげです」
私はこれ見よがしに右手を軽く振る。
にもかかわらず、セーブルの表情は改善しなかった。
彼は低いため息をついてベリテを見た。
「ありがとう、ベリテ。一応、アビゲイルもいろいろ驚いたでしょうから、今日はもう休んだほうがよさそうですね」
その言葉にベリテはうなずき、席から立ち上がる。
ブランシュも気兼ねなく出かける準備をした。
「お母様、ゆっくり休んでください。早く治るといいですね」
「心配しないで、ブランシュ。おやすみなさい」
ブランシュは私に近づいてきて、そっと頬にキスをして引き下がった。
2人の子供が立ち去ると、セーブルは注意深く私の隣に座る。
彼の顔は酷くやつれていた。
まるで私の代わりに火傷をした人のように。
彼は静かに私の手をのぞき込んだ。
なぜか自分の足が痺れて、訳もなく笑ってみせた。
「ベリテが治療してくれて全然痛くないですよ」
「治療する前は痛かったじゃないですか」
う一ん、確かにそうだね。
彼の声に悲しみが満ちて、私は訳もなくきまり悪くなる。
彼はとめどなく私の傷をのぞき込んでいた。
「・・・あの状況で最善の方法を選択されたと思いますが、残念です。あなたが怪我をして」
「ごめんなさい。でも仕方なかったです。それでも人が燃えて死ぬより、火傷した方がいいじゃないですか」
「・・・」
セーブルは答えなかった。
彼の沈黙は、死んだ森のように重かった。
焼け落ちた残骸のように苦しそうな顔で、彼はかろうじて口を開く。
「あなたが怪我をするより、他の人が死んだ方がましだと思ったなら、あなたはこんな私を軽蔑するでしょうか?」
利己的で残酷な言葉だったが、それと同時に暖かくて凄然とした響きが滲んだ言葉。
私は肩を軽くたたいて、彼の髪をそっとかき上げた。
彼は悲しそうな目で私を見ている。
「申し訳ありません。一番痛くて驚いた人はビビですが、私が訳もなくご心配をおかけしました」
「こちらこそ心配かけてごめんなさい。これからは怪我をしないようにします」
「あなたが謝ることではありません。服のせいで起きた事故ですから」
彼の言うとおり事故に過ぎなかった。
カリンも、私の過ちでもなかったが、致命的な結果が訪れるかもしれない。
今日は運良く事故を防いだが、どこかで誰かが服のために死んでいっているかも知れないと思うと悪寒がした。
バスルドレスを作って流行させれは事故を防ぐことができるだろうか?
いや、完全に防ぐことはできないだろう。
頭がずきずきした。
もっと楽な服を作ることはできないかな?
服のせいで死ぬ人がいないことを願うのは欲張りだろうか?
歴史に沿って行くと、不便で華やかなドレスは消え、現代的な衣装が流行するだろう。
しかし、その時まであまりにも長い時間がかかる。
また、そのような流行をもたらすためには、王国に大きな変化が必要だった。
西洋史で婦人服が利便性を追求するようになったのには様々な理由があるが、最も大きなきっかけは戦争だ。
戦争のために家庭にいた女性たちが住んでいる会が開かれ、衣服も活発になった。
私は服の流行が変わることを望んでいるが、だからといって戦争を望んでいるわけではない。
とりあえず小さいことから、今すぐ変えられる部分から手をつけなければならないようだ。
私は悩んだ末に口を開いた。
「殿下。法律でクリノリンの使用を禁じることはできるのでしょうか?」
「可能ではありますが・・・」
セーブルの言葉は、終わりに近づくにつれてますます曖昧になっていく。
「宮内で王妃に対する世論が良くありません。今の状況でクリノリンの使用を禁じれば、王妃の名前が俎上に載せられる可能性があります」
うん、私についての噂の中には服についてのものもあった。
寝巻のような服を作って貴族の女たちの品格を散らしたという話も、遊ぶとはただ、足が見える変な服を作るとも言った。
このような状況で私が外国から輪入された衣装を禁止すれば、良くない反応が出るはず。
しかし、知らんぷりをするわけにはいかなかった。
「それではクリノリンのサイズを規制する法案は可能でしょうか?今日の火災事故を理由に挙げれば可能だと思いますが」
「そのくらいは大丈夫だと思います。関連法案を発行するようにしますが、あなたはなるべく後ろに隠れていたほうがいいと思います」
私はうなずいた。
この程度なら応急処置にはなるだろう。
その時、外で騒がしい動きが感じられた。
一体どうしたんだろう?
セーブルもその気配を感じて席を立つ。
それと同時にミラードの声が聞こえてきた。
「殿下、ミラードです」
「入れ」
間もなくミラードが中に入ってきた。
彼は葬式に立ち寄った人のように顔が青白く固まっていた。
「何かあったのか?」
「それが・・・、殿下にだけ申し上げなければならないようです」
セイブリアンにだけ?
何事かと思って彼をじっと見ていたところ、セーブルがきっばりと言った。
「私が聞くべき話なら、アビゲイルも聞くことができる。話せ、ミラード」
ミラードはためらいがちだったが、結局は王命だった。
彼は短い間をおいて口を開く。
「ある女中が呪われた靴を履き、何時間も踊っているそうです」
呪われた靴。
それを間くと、狂ったように足を踏み鳴らす踊りの音が聞こえてくるようだった。
足首が折れて血が漏れても止まらない足。
騒がしい静けさの中で、ミラードはゆっくりと話し続けた。
「そして、その靴が王妃様のドレスルームにあった靴だそうです」
一難去って、また一難ですね・・・。
呪われた靴。
それをドレスルームに置いた人物は?