こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
今回は55話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
55話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- セルベニアでの出会い④
「う・・・」
その時だった。
二人の間から細い声がする。
ルイーゼとロレインの視線が声の根源を探して移った。
ロレインの目は大きく開いた。
「なんてことだ」
ルイーゼの嘆声が終わるやいなや、カッセルの眉間が集まる。
彼はひび割れた声でうめき声を上げ、金色のまつげをふるった。
「カッセル,気がついたかい?主治医、こっちに来て確認してみて!」
「侯爵、お気付きですか?」
ついに金色のまつげが完全に開き、その間にルイーゼのような紫色の瞳が現れた。
「あ・・・。寝て起きたことで、みんなどうしてこんなに大騒ぎなの。主治医?あなたがなぜここにいる?それよりちょっとどいて。あそこの女性の方は・・・」
長く使わなかったため、荒々しく割れた声から切迫感がにじみ出ていた。
「寝耳にしたんですが、『旅立った者の声を聞く方法』を知っていると言いましたか?」
「はい?あ、はい」
「どこにも逃げないで、そこにいてください。ちょっとしっかりします」
彼は起き上がれず、再び力なく横になる。
「なんで体に力が入らないんだろう。お母さん、私はどのくらい眠っていましたか?」
「半年近く横になっていた。魔導具と水薬で辛うじて命だけ支えていたところだったわ。あなたは起きるやいなやまたそれから探すんだね」
そう言うロレインの声には喜びと安堵が混じっていた。
「ご愁傷さまですね。すいません、筋肉が全部消えるのも当然だね。水薬の助けを受けてもリハビリが長くかかりそうだが」
「そうだね、もうちょっと早起きしたらよかったのに」
「何か病気でもかかったのか。いくら過労だったとしても・・・」
「病気ではなく黒魔法だったわ。詳しい話はあとでしよう」
「分かりました。それよりも、そちらの女性の方は?」
カッセルはルイーゼを呼んだ。
当惑した顔で立っていたルイーゼが口を開いた。
「ルイーゼと申します。ルイーゼ・ディ・セルヴェニア。侯爵様のいとこです」
「ああ、私にいとこがいたんですか?それでそのご存知なんですね」
「カッセル。初対面のいとこに礼儀がなっていないわ」
「・・・すみません。もう一度礼儀正しくお聞きしますと、「旅立った者の声の聞き方」は今どこにありますか?」
続くカッセルの質問にロレインが「目が覚めたばかりの患者を叱ることもできないし」とつぶやきながら手のひらで額を触る。
ルイーゼのいとこは、両親が厳しくても、他人の言うことをよく間かない性格のようだ。
「私の頭の中です。実家に父が書いておいた文書もあるでしょうが本当に大したことではないし、もう世の中に知っている人も多いでしょう。当たり前かもしれないけど」
「何が当然だというのですか?家門の秘術じゃないですか。私がそれを探すために城の中を隅々まで3回も探しました。密かに首都の邸宅まで行って、この年を取って母に背中を当たりました」
「しかし、重要な治療術が私たちだけの秘密であれば、意味がないじゃないですか。治療術は皆を治療し、生かすためのものだと・・・」
「ああ・・・、それもそうだね」
カッセルはかすかにうなずいた。
「それで、いったいその大したことではないという内容は何ですか?名前は大げさだったけど。ああ、それでも家門の秘術だから、お母さんと3人だけ残った方がいいですね」
「しばらく席を外しております」
じっと聞いていた主治医が丁寧な顔で挨拶し、席から立ち上がって部屋を出ていく。
「ですから『旅立った者の声を聞く方法』は・・・」
内容を全て間いたカッセルが虚しい顔で笑った。
「たかがそんなものだったの?あ、あはは・・・」
「大したことないんですって」
ルイーゼは肩をすくめた。
カッセルが目覚めたという知らせを聞いたエドワードは、すぐに彼を訪ねた。
ベッドから起き上がれなかった彼は、不快な顔で大公と挨拶を交わす。
セルベニアにとってエドワードは複雑な存在だった。
思い切り咎める人であると同時に心の重荷。
皇室関連のことで家主を二つも失った。
しかし、セルヴェニアが皇室を守れなかったこともまた事実。
実際、後者のほうがより大きな叱責を受けるに値することだった。
セルヴェニアほど先代皇帝の死が単純な反逆ではなかったことが分かった。
反逆が起きた夜、皇城の敷居を越えてきた遺体の状態がそう言ってくれたからだ。
しかし、当主を失って若い後継者が当主の席に座ったその時、カッセルさえ死んだら、セルヴェニアは傍系の一つに押されるようになるはずであり、以前のような栄光を取り戻すことは難しくなる状況だった。
結局、彼らはそっぽを向いて逃げることを選んだ。
皇帝の目を離さないように首都を開き、エドワードとの縁を整理した。
皇帝は何度も書信と人を送ったが、廃太子は彼らを探したり責めたりしなかった。
そのため、彼らは無力な廃太子をより簡単に憎むことができた。
「領地を手伝ってくださってありがとうございます」
「私の副官と関連したことなので、感謝する必要はありません。むしろおかげで関連資料を簡単に手に入れて、私たち側で協力に感謝すると挨拶しなければならない状況です。セルヴェニアは騎士団にいかなる借りもありません」
その姿を見守っていたロレインも不便な顔で頭を下げる。
セルヴェニアはエドワードを責めて首都から逃げた。
それは安楽な逃亡であり、敗北者の卑劣な自己慰め。
彼らがそっぽを向いた廃太子は、セルベニアが彼にいかなる借金も負わなかったという答えで、セルベニアの蛮行に目をつぶることを選んだ。
ところが、なぜ彼らの心は不便なのだろうか。
「セルベニア侯爵であることを願っています」
「・・・はい」
エドワードがいなくなった部屋には深い沈黙があった。
カッセルはベッドから起き上がれる状況ではないので、夕食の席にはロレインとルイーゼ、エドワードが参加した。
その他の騎士たちは別館に別に用意された席で食事を進めている。
「あの有名なクロエト夫人があなただったとは・・・」
「恋人と言った時からまさかと思っていたが、あなたも君のお父さんに似て簡単な道を進んでいないんだね。浮気者の伯爵の次にあの大公とは」
「そういう方です」
ルイーゼはぎこちなく微笑み、うなずいた。
「その殿下が既婚者の情婦になったとは。個人的に残念ですね。殿下は私が小言をいう必要のない数少ない男だったのですから」
「まあ、今は既婚者ではないからいいのではないでしょうか」
「ああいう気楽な話がお上手ですね」
ロレインは眉間にしわを寄せ、短いため息をつく。
エドワードは食器の使用中に立ち止まった。
ロレインは彼のそのような動きに鋭く気づいた。
食事中にそのようなことが時々あったが、ルイーゼはまったく異常を感じないようだった。
「ルイ0ゼ。あなたはセラピストとしての実戦経験はどこで積んだの?」
「ペリルスからです。ほとんど怪我をした人を応急処置してくれる場合でした」
「なるほど。それなら気づかないのも当然だろう」
「え?」
「何でもない」
ロレインの視線はエドワードの方に移る。
「殿下」
「・・・はい、奥様」
エドワードは美しい笑顔で彼女を見た。
ロレインはルイーゼをちらりと見てすぐに口を開く。
「食事の後に先ほど伝えられなかった資料を後で伺います」
「分かりました」
そうして夕食が終わった。
ルイーゼが知っていた方法が気になりますね。