こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は323話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
323話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 兄弟での食事会
春は戦争の季節だ。
戦争をするには最悪の季節を選ぶとしたら、大多数の軍人は冬を選ぶだろう。
歴史書を見ると、敵軍と戦って死んだのではなく、寒波で敗北した事例も簡単に見つけることができた。
だから戦争をするには冬よりは春の方がましだ。
レイブンがその考えをかみしめていると、ドア越しに終始の声が聞こえてきた。
「レイブン様、もうすぐお約束の時間です」
「うん、分かった」
彼は黙々と席を立つ。
約束の時間に間に合わせないといけない相手なので、足を急がなければならなかった。
レストランに向かう間、彼はかすかな焦りと喜びを感じた。
どちらもレイブンにとっては馴染みのない感情。
今日はアビゲイルと食事をする日だった。
正確に言えば、アビゲイルとセイブリアンが一緒にすることだが。
この前アビゲイルにセイブリアンとの食事を求めた後、彼らはしばしば食事を共にした。
二人きりで食事ができるなら申し分ないが、この程度でも感謝しなければならないところだ。
アビゲイルの声を聞いて、目を合わせることができれば、セイブリアンの存在は甘受するに値するものだった。
足を速めたおかげで約束の時刻より早く着くことができた。
彼がレストランに着いた時は、まだ相手が来ていないところだった。
ところが、ふと食卓の上を見回すと、食器が2人前しか用意されていない。
(セイブリアンが来ないのかな?)
彼はしばらくそのような考えをしたが、それが無駄な希望であることに気づく。
まもなくセイブリアンが中に入ってきた。
予想通りだった。
「殿下、デイナーにお招きいただきありがとうございます。今日は一人でいらっしゃったようですね」
レイブンは腹違いの弟に礼儀正しく挨拶する。
その姿は兄弟というより徹底した他人のように見えた。
「アビゲイル王妃は今日、用事があって欠席しました」
「そうなんですか」
レイブンは失望感を巧みに飲み込んだ。
最初の食事が出る間、兄弟は約束でもしたかのように沈黙を保っていた。
他の人が見れば本当に奇異な風景だと言えそうだ。
双子のようにそっくりな2人が向かい合って座った姿は、まるで鏡のよう。
そうするうちに先に口を開いたのはセイブリアンだった。
彼はワインで口を潤しながら黙々と話した。
「お兄さんとこのように食事を交わすことができて、とても嬉しいです」
突然の言葉に、レイブンはゆっくりと視線を向けた。
彼は静かに微笑んだ。
「どうされたのですか、殿下」
「この場では王ではなく兄弟で話をしてみようと思います」
兄弟か。
実におかしな言葉だと思いながらも、レイブンは感激した表情をしていた。
「殿下、そう言っていただけると、ただ嬉しいだけです」
何の風が吹いてあんなことをするのだろうか。
あいつが自分を兄と呼ぶなんて。
敬語を受ける気分は悪くなかった。
ただ、少し不安ではある。
セイブリアンは静かに話し続けた。
「恥ずかしい話ですが、国政の面倒を見るのにに没頭し、私の周りの人たちを見落としていました」
セイブリアンの声にはかすかな罪悪感が漂っている。
レイブンはその変化に感激することなく、表情を引き締めたまま言葉を待った。
「お兄さんが多くのことを助けてくださったと聞きました。魔法官にも魔力を与え、またアビゲール王妃の無罪を明らかにしようと努めたと」
やっとこの好意の理由がわかった。
レイブンは巧みな俳優のように口角を上げる。
「なんでもありません、殿下。不十分な魔力でも役に立つかと思って聞こえたのです」
その時、ちょうど食事が出て、しばらく会話が途切れた。
レイヴンは血が薄く染み込んだ肉を一切れかんで、セイブリアンの顔を見る。
ふと、アビゲイルが魔法館を訪れた時が思い浮かんだ。
魔女裁判を受ける前、自分に魔力がないことを証明するために。
その場にはレイブンもいた。
その時、ダリアはアビゲイルの血を受けて行き、魔力がないことを確認した。
過程そのものには問題がなかったが、現場にいたレイブンはある違和感を感じた。
(あの時出会ったアビゲイルは何か違った)
彼女が挨拶をしたとき,彼女はとても冷たくて控えめな視線をしていた。
以前にも自分と距離を置くアビゲイルだったが、確かに何かが違った。
いつもと違う色の警戒心。
かすかな違和感が感じられるほど。
そして、その違和感はいつか感じたことだった。
アビゲイルでない他の人から。
レイヴンはしばらくセイブリアンを見つめた後、何気なく口を開いた。
「殿下もご心配でしょう。間もなく戦場へ旅立つという話も聞いたのですが」
「在庫中です。終戦協定を試みなければならないのだから」
「お帰りになったら、王妃様のご心配が大きいでしょう」
王妃が取り上げられると、セイブリアンの目つきが一瞬で変わる。
その目つきはまるで魔法館で向き合ったアビゲイルの瞳に似ていた。
しかし、まだ確信を持つには早い。
レイブンはにっこり笑って話し続けた。
「少し違う話ですが、私はいつも殿下に感謝していました」
「何がですか」
「過去、クローネンバーグが盟約を口実に国婚を要求した時。ブランシュ姫や私を相手にすることもできたでしょう」
その時、大臣の中でセイブリアンの結婚に反対する人が多かった。
強大国の王が小国の王女と結婚するなんて。
そのため彼らはレイブンを相手に送り出すよう強く主張した。
セイブリアンはそのような大臣たちの言葉にすべて反対した。
ブランシュに自分のような苦しみを味わわせたくなかっただけに、レイヴンにも着せたくなかった。
しかし、そのような配慮をレイブンが知るはずがない。
「そうなったら、私がアビゲール王妃と結婚していたかもしれませんから」
その言葉が出た瞬間、セイブリアンの目つきが真っ青に輝いた。
ああ、あの色だ。
魔法館で自分を見つめていたアビゲイルの瞳。
確かに紫色の瞳にもかかわらず、霜のような青色が映っていた。
「私を配慮してくださる心に強要しなかったことを知っています。殿下にいつも感謝しています」
彼は内心を隠そうと自然に言葉を変える。
しかし、セイブリアンの瞳は依然として激情的な青色を帯びていた。
それを見ると、レイブンの心の中にあった心証が確信に変わった。
(私が魔法館で会ったアビゲイルは、セイブリアンだったんだ)
彼女のそばに妖精の王子がいたので、変化魔法を使うことぐらいは簡単なことだっただろう。
すると、また別の疑問が浮かんだ。
(それなら、なぜあえてセイブリアンがアビゲイルに変わってやってきたのだろうか?)
いくつかの可能性が通り過ぎる中、ガラスの鳥を通じてちらほらと盗み聞きした意味深長な情報が浮び上がる。
(もしかして彼女に魔力があるのか?)
そう考えると、思い当たる部分が多かった。
あえてセイブリアンがアビゲイルのふりをして魔法館を訪れたのも。
しかし、今のところ心証だけだ。
もし物証を取ることができれば・・・。
まずは、セイブリアンの警戒心を和らげることが先だった。
彼は依然として殺すような覗線でレイブンを見ている。
「ブランシュ姫様が結婚されることも本当におめでとうございます。私もやはり会っている人がいるのですが、うまくいったらすぐにお話しします」
「・・・そうなんですか?誰なのか気になりますね」
「まだ交際しているわけではなく、たまに話をする程度ですけどね」
レイヴンに会う人がいるという話に、セイブリアンの表情がかすかに和らぐ。
もちろん、会う人がいるというのは嘘だ。
この世にアビゲイルに代わる女はいなかった。
レイブンは血のように赤いワインを一口飲んだ。
ワインは苦くて渋みが強かった。
その後の会話は、手入れの行き届いた木材のように、気に障ることなく静かに流れていく。
くだらない子供時代の話を持ち出して聞いたり、最近の国政に対する論議を交わしたりもした。
レイブンがアビゲールの黒魔力に気づくのも時間の問題?
セイブリアンが出征した後が不安ですね・・・。