こんにちは、ちゃむです。
「乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する」を紹介させていただきます。
今回は150話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
150話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 告白の返事
「ダリア、こちらに来て。」
ヒーカンが応接室の前でダリアを待っていた。
彼は部屋に入れば会えると分かっていたが、待つのが耐えられなかったのだろう。
どこか表情が硬かった。
ダリアが彼の手に導かれて中に入ると、集まっていた人々が彼女を振り返る。
ダリアの視線は無意識にセドリックを探し、部屋を見渡した。
そして、ソファに座っている彼の目と視線が合う。
セドリックはいつものようににっこり微笑んでいたが、どことなくいつもより力がないように見えた。
彼の顔を再び正面から見ると、以前と同じようには戻れないと実感する。
ダリアはまたしても顔を赤らめた。
ダリアは赤面しそうになるのを意識と努力で抑え、拳をしっかりと握った。
(・・・セドリック様にまだ返事をしていない。)
いつ返事をするべきなのか?
セドリックはずっと待つと言っていたが、もう返事をすることができる。
ダリアの頭は複雑な思いでいっぱいだった。
アドリーシャもセドリックの反対側のソファに座っている。
彼女もまた、不満そうな表情を浮かべていた。
ダリアは、ヒーカンとアドリーシャまでが何となく不機嫌であることを察した。
(・・・会議の結果が芳しくなかったの?)
しかし、セドリックの表情はそのようなものではなく、むしろ無邪気な子どものようだった。
それに対して、メルデンは立ち上がっており、5人の中で唯一上機嫌そうに見えた。
彼はダリアを見ると、にっこり笑ってこちらにやってきた。
(何があったの?)
ダリアはすぐにその理由を理解する。
メルデンが自然とダリアの手を取り、その手の甲に軽く口づけをしながら満面の笑みを浮かべていたのだ。
ヒーカンが奥歯を噛みしめる音が微かに聞こえた。
「彼が今回の舞踏会で君のパートナーになった。」
「え? 私のパートナーがメルデン様ですか?」
「嫌ですか?」
メルデンはにこやかに笑いながらそう言った。
ダリアは少し戸惑った表情で彼を見上げる。
「いいえ・・・嫌というわけでは・・・。」
「嫌だと言え。さあ。」
ダリアの後ろに立っていたヒーカンがはっきりとした口調で言った。
他の二人も似たような表情をしている。
どうやら今回のパートナー選びに非常に不満を持っているようだ。
(でも今回の武道会はルウェインさんと行くつもりだったのに・・・)
すでに心の中で諦めていたつもりだが、言葉にしてみようという気持ちが湧いてきた。
ダリアはヒーカンの目線を見ながら、少し迷いながら答える。
「元々ブルーポート公爵と行くことになっていましたので・・・。」
「・・・元々次の舞踏会は私と行く予定だったよな?」
ヒーカンの声の終わりがわずかに震えていた。
ダリアははっと気づいた。
(そうだった、そうだよね。)
セドリックと一度行ったから、次はヒーカンと行こうと約束したのだった。
ダリアは申し訳なさそうな目で彼を見つめる。
「そ、それは・・・どうもこうも・・・ごめんなさい。」
「どうしてダリア嬢にそう言わせるんですか? 行きたいと思わせられないあなたの責任が大きいでしょう。」
「詐欺師出身は言うことだけは達者ですね。」
ヒーカンは冷たく言い放つ。
その辛辣な言葉にメルデンは片方の口角を上げて笑い、こう返した。
「まあ、ペステローズ公爵。公爵といえども、パートナーは譲れませんよ。」
「それより、なぜメルデンさんが私のパートナーなのか、きちんと説明していただくときが来ているのではありませんか・・・?」
ダリアは言葉を引き延ばしながら言った。
その瞬間、全員がダリアの存在を意識して言葉を飲み込んだ。
素早く気づいたメルデンは、ダリアの気持ちを察してすぐに対応する。
彼は彼女をソファに案内した。
そして、一人用のテーブルと椅子を引っ張ってきてダリアの向かい側に座った後、大きな地図をテーブルの上に広げた。
「他のことではなく、明日の会議で私がダリア嬢の後援者としての役割を果たします。」
メルデンが広げた地図には複雑な宮殿の詳細が描かれていた。
彼は万年筆をくるくる回しながら、地図の特定の箇所を指で示した。
「神聖帝国側からは、今日の午後10時に到着する予定だという連絡を受けています。彼らの宿泊先はこちら。ブルーポート公爵の予測が正しければ、彼らは今夜から動き始めるはずです。」
「もし動きがなかったら?」
「その場合、ルウェイン・ブルーポート公爵は妄想癖がある詐欺師だということになりますよ。私のような。」
メルデンはヒーカンを見つめながら冷ややかな声でそう言った。
ヒーカンは腕を組み、静かに彼を睨み返す。
(どうしてこの人たちはお互いに仲良くなる気配が全くなく、毎回ケンカばかりするんだろう)
ダリアはすべてを諦めて深く息を吐き出した。
「会議は明日の午後3時から始まります。交渉は午後7時です。その際、ルウェイン・ブルーポート公爵がアセラスと会う予定なので、彼はパートナーの席から外れることになりました。」
「そうなんですね・・・」
(そういうことだったんだ)
ダリアは顎を手に当て、地図を眺める。
「それで、お兄様はどうして・・・?」
「彼はこの帝国の騎士団長です。国防と皇宮の安全の総責任者なら、本業に専念しなければなりません。」
メルデンは誰が聞いても驚くほど自然な口調で言った。
ダリアはヒーカンが口元をもごもご動かしているのを見た。
驚いた彼女は彼を見つめ、そっと肩をすくめた。
ヒーカンは深い息をついて、ダリアの髪を優しく撫でた。
ダリアは目を細め、アドリーシャを見る。
彼女もまた、肩を落としていた。
「それで、アドリーシャは・・・?」
「彼女は皇宮所属の情報員でしょう。狂信者たちを捕まえるべきで、どこかの会議に行くなんて。」
「ダリア、アルトス公爵をただ殺してしまえばいいんじゃないですか?」
アドリーシャが真剣な声で言った。
ダリアは小さく肩を震わせる。
「それじゃあ・・・」
残る候補者は一人だけ。
ダリアはそっとセドリックを見つめた。
セドリックもダリアを見つめ返し、柔らかく笑う。
「うん、ダリア。僕は別にやらなければならないことがあって、無理そうだ。」
「・・・ああ。そうなんですね。」
ダリアは気が抜けたように息をつき、ぎこちなく笑みを返した。
(露骨に落ち込んだのが分かりすぎたかな?)
可笑しい。
ダリアが何の権利で落ち込むのだろうか?
メルデンにも例外ではなかった。
彼女はメルデンを見て笑う。
「それでは、明日私をよく守ってくださいね、メルデン様。」
以前は大切なものがなかったので、失うことを恐れていなかった。
死ぬことも同じ。
だから、どんな状況でも彼は平然としていた。
しかし今は・・・。
(死ぬのが怖いのか?)
セドリックは自分自身に問いかけた。
だが答えはすぐには出なかった。
愚かしいというのが恐怖の本質だ。
彼は苦笑する。
(死が運命だなんて、笑い話にもならない)
ルウェイン、あの盗人めが人間として信じがたいことを述べてからだ。
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セドリックは会議が終わった後しばらくして、馬車の中で直接ルウェインを呼び出した。
「皇太子殿下。少しこちらへ。」
「・・・私?」
ルウェインが真剣な目で顎をしゃくった。
セドリックは不審げに顔をしかめる。
以前から彼はルウェインを信頼していなかった。
今日の出来事を経てもそれは変わらなかった。
(終わりなく繰り返される時間軸の中で運命を知っているというのか。)
そう考えながらも、セドリックは身体を動かし、ルウェインに近づいていく。
「それで、何が言いたい?」
「殿下、ダリア・ペステローズ嬢がとても大切な方だということをお伝えしたいのです。」
「何も知らないくせによく言うな。まあいい、話してみろ。」
「申し訳ありません、殿下。私も同じ時間を何度も繰り返し、その中で殿下もまた同じ運命に囚われているのを目撃しました。」
セドリックは一瞬いら立ちを覚えたが、それをぐっと抑えた。
それはダリアが以前、ルウェインの話をしていたことを思い出したからだ。
「・・・簡単に要点だけ言ってくれ。」
「私が見た殿下の未来では、殿下は今回の交渉からいつも無事に帰還していました。」
「ああ、世の中に、もう失うものなんてないのに。」
「殿下。」
セドリックはその場に立ち止まった。
ルウェインの声の中にある真実が彼を突き動かした。
そして、ルウェインは彼にすべての話をした。
彼に残された道、やるべきこと、そのほかのすべてを。
話が進むにつれ、セドリックは目を細め、眉をひそめた。
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死ぬこと、死ぬことか・・・。
そんな話になるなんて。
だが不思議なことに、涙は流れなかった。
しかし、何か別の感覚が彼に何かを知らせようとしているようだ。
頭痛がひどくなってきた。
「充分だ。これ以上、何も成し得ることなく・・・。」
そう口にする自分の声を聞いた気がした。
(もし私が死ねば、ダリアは泣くだろうな。)
彼女は本当に優しすぎる。
自分のような人間にこんなにも簡単に情を与えるなんて。
(もし死ぬのなら、あの答えを聞いてから死にたい。)
死んで生まれ変わったら、年齢を言い訳にして彼女を誘惑できるだろう。
セドリックはそんな自分の考えに笑いがこみ上げ、一人でくすくすと笑った。
いつの間にか馬車の前にいた。
馬車に乗る直前、彼は無意識に振り返り、ダリアの部屋の窓の方を見上げる。
それに特別な意味はなかった。
だが、ちょうどその窓にダリアが立っていたのだ。
それも、こちらを見て。
彼女はとても困惑しているようで、その場で慌てて手を振る。
その距離ではセドリックには表情までは見えなかったが、笑っているようだった。
とても明るく。