こんにちは、ちゃむです。
「乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する」を紹介させていただきます。
今回は149話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
149話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 過去の残滓
「ルウェイン・ブルーフォート公爵閣下。」
会議が終わり、立ち去ろうとするルウェインを、ある声が引き留めた。
ルウェインは静かな目つきで振り返り、その場に立っていたのはアドリーシャだった。
「ええ、アドリーシャ・ベニテレ嬢。」
「無理なお願いだと分かっていますが、一つだけお尋ねしたいことがあります。」
「お話しください。」
「・・・以前にも話しましたよね。そのときは疑問があったのですが、今は確信に変わりました。以前にもこうやってお会いしたことがありますよね?」
「・・・。」
「いえ、それも何度か。」
アドリーシャは目を細め、眉間にしわを寄せる。
深く考えようとすると、頭痛がしてくるような感覚だった。
「妙に、公爵を見るたびに既視感を覚えるんです。初めてではないような気がする・・・そんな感じが。」
実際、アドリーシャは、以前ルウェインと舞踏会で出会ったときから、妙な違和感を覚えていた。
何かが順序を狂わせているような感覚が続いていた。
解決しないような感覚があった。
本来ならルウェインとは・・・どうだっただろう?
よく知りもしない相手なのに、なぜこんな気持ちになるのかも分からなかった。
しかし、ダリアが彼女に話してくれた。
彼女は別の世界から来たこと、その世界ではアドリーシャが(ぎこちないが)ヒーカン、(さらにぎこちない)メルデン、(話すことすらあまりしなかった)ルウェインたちの執着を受けていたこと、そしてルウェインが終わりなき同じ時間帯を繰り返していたことを。
アドリーシャは、その二つの事実を元に一つの仮説を立てた。
ひょっとすると、同じ時間帯を無限に繰り返しているというルウェインの話は事実かもしれない。
そして、その繰り返された時間帯が、まさにダリアが見た他の世界だったのかもしれない。
しかし、ルウェインの目つきは、かつて彼女に執着していた人間とは違い、やけに冷静だった。
ただ、冷たくて空虚な冬の終わりのような瞳。彼が冷ややかに口を開いた。
「ゆっくりと戻ってきているようだね、記憶が。」
それは認めるような言葉。
アドリーシャは息を呑んだ。
「ですが、私にもよく分かりません。昔の話です。」
「よく思い出してください。」
「真実でさえも、時の流れの前では塵に過ぎません。何の意味もないのです。」
「・・・私はダリアを助けたいと思って聞いているのです。」
アドリーシャは感情を込めて言葉を発する。
その名前に反応して、ルウェインの目に光が戻った。
彼はアドリーシャを見つめた。
「ダリアは今回が最後だと言いました。本当にこの仕事が終われば、ダリアは幸せになれるのでしょうか?」
彼女は言葉を再確認するかのようにゆっくりと話した。
「私が彼女を助けることはできないのですか?」
「・・・アドリーシャ嬢。」
ルウェインは重い視線でアドリーシャを見つめ、なおも返答をためらった。
やはり、簡単なことではない。
アドリーシャは確信した。
このような瞬間を、彼女はこれまでにも数百回、数千回と経験してきたのだろう。
しかし、このように他人のために切実に願うことは初めてかもしれない。
それぞれの立場で。
過去のロールとダリアを見つめていたが、今では二人とも同じ人のことを考えていた。
ルウェインが口を開いた。
「セドリック皇太子殿下の運命はまだ終わっていません。」
「それはどういう意味ですか?」
「私が経験した数百回の時間の中で、彼は死にました。」
「・・・」
「彼を救う唯一の方法を持っているのは、アドリーシャ、あなたです。私に協力していただけますか?」
断ることはできなかった。
アドリーシャは拳を握り締める。
いつの間にか、会議の日が翌日に迫っていた。
神聖帝国の使者たちは、今夜皇宮に到着すると告げられていた。
皇帝は宮廷の侍従たちに、彼らの動向を綿密に監視し、報告するよう命じる。
午後、日が沈みかけた窓の外を見つめながら、ダリアも徐々に緊張し始めた。
(アセラスがここにいる。明日、彼に再び会うことになる)
彼を再び見たとき、今回はどんな表情を浮かべればいいのだろう?
いや、笑顔を見せるべきだろうか?
自分は彼を許せるのだろうか?
(セドリック様は生き延びることができるの?いや、みんなが幸せになれるの?)
会議はまだ終わっていなかった。
終われば、ダリアを呼び出して全て説明してくれるという話だ。
数えきれない時間を戻してきたルウェインがいるので、この計画が失敗するはずはない。
それを知っていても、どうしても不安が先立ち、心が落ち着かなかった。
先の会合で聞いたルウェインの言葉のせいだ。
この出来事の結末がどうなるにせよ、誰かが死に、誰かが傷つくことになる。
その「誰か」が誰なのかは、誰にも分からない。
場合によっては、セドリックであるかもしれないし、彼が死ぬこともあり得る。
その考えが頭から離れず、彼女の心を重くのしかかっていた。
気にかけていることが消えないのは、まだ答えを出せていないことが原因だろうか?
セドリックは、ダリアが準備が整うまで待つと言っていた。
しかし、彼女にはセドリックのこと以外にも考えなければならないことが山積みだった。
だから、少し考えれば答えを出せるはずの事柄をずっと後回しにしてきた。
ダリアはセドリックのことを考える。
彼にすべてを打ち明けたいと思った。
あなたは明日、死ぬかもしれない。でも、私はあなたを守りたい。死んでほしくない。
なぜなら、なぜなら・・・セドリックはダリアにとって大切な人だから。
ダリアが好きな人だから。
ようやく遅い悟りが訪れた。
なぜセドリックだけがダリアの能力に特別敏感に反応したのか。
それはダリアが彼を好きだからだ。特別に。
初めて出会った瞬間から今までのすべての出来事が頭に浮かんだ。
最初に挨拶を交わしたこと。
二人で木の上からアセラスを守ったこと。
ヒーカンを救うために彼がダリアを救ったこと。
そして、彼がダリアに告白してしまったあの日——言葉にできなかったが、確かにあったあの気持ち。
図書館で出会った日、読書の感想を一緒に書いたこと。
ベスタへの旅行に出発するときに受け取った手紙。
神聖帝国の南部でダリアを救ってくれたこと。
皇后の手紙を探すために走り回ったこと。
皇帝とルウェインの話を聞いて納得した告白まで。
これらすべての瞬間が、彼女の中に徐々に積み重なり、いつの間にか彼女も彼を好きになっていた。
見るたびに鼓動が早まり、顔が赤くなる感覚。
危険な遊具で体がスリルを味わう時のように、心が下へと沈む感覚。
「どうしよう・・・」
ダリアは赤くなった頬を両手で覆い、床に膝をついて座り込んだ。
彼女はぎゅっと目を閉じ、唇をかみしめる。
「本当に好きなんだと思う・・・」
今さら気づいてどうするというのだろう?
その時、誰かがダリアの部屋のドアをノックした。
「お嬢様、皆様がお戻りになられました。お部屋にお迎えしますか?」
彼女は飛び上がったように立ち上がり、慌ただしく動き出した。
ダリアは手で顔を覆い、少し冷静さを取り戻した。
「う、うん。すぐに行くね。」
ダリアは上着を整え、急いで下の階へと向かう。