こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
今回は143話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
143話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 完成する最後のピース
「・・・」
「・・・」
ラルクがいる時は気づかなかったが、二人きりになると急に気まずくなった。
もじもじとした空気、やたらと相手の反応をうかがう視線、そわそわと震える指先。
ナビアはわざと席を立った。
何か行動することでこの緊張感を紛らわせたかったのだ。
「今日は少し暑いわ。」
ラルクとクリードが去った後、固く閉じられていた窓を勢いよく開ける。
4月の花の香りが流れ込んできた。
ああ、開けてよかった。
ナビアは二人が互いの気持ちを探り合っていた夜を思い出した。
庭園で自分がいた窓を開けようとしたクリード。
その周りに咲いていた花々。
その記憶が香りとともに押し寄せてきた。
いっそ告白するなら、堂々とやろう。
ナビアはこの甘くも気まずい雰囲気に耐えきれず、さっと振り返った瞬間、驚いてしまった。
いつの間にかクリードが彼女の背後に立っていたのだ。
「気をつけて。」
クリードは、彼女が後ずさりして窓に体をぶつけそうになるのを手で防いだ。
「あ、ありがとう。」
ナビアはつい振り返って後ろを確認するふりをしながら、内心でため息をついた。
(昨日のニックスから、今日のお父さんまで、ずっとドキドキしっぱなしじゃない!)
ナビアは、窓に寄りかかるふりをしつつ、窓枠をつかみながら、近すぎる距離にいるクリードから何とか距離を取ろうとした。
心臓が激しく高鳴りすぎて、ひとまず一歩後退することにしたのだ。
その時、黒い手袋をはめた大きな手が彼女の手のすぐ横に降りてきて、窓枠をつかんだ。
どことなく冷静な動作だった。
私たちはお互いが必要なんだ。私にはあなたが、そしてあなたには私が必要なんだ。
クリードの唇がそっと開かれる。
「好きだ。」
言わなくてもわかるけど、それでも言わずにはいられなかった。
神さえも切り裂くような力を持ちながら、この感情には逆らえなかった。
それで、告白した。
「好きだ、姉さん。」
彼女が好きだと告げた。
「愛している。」
そして愛していると告げた。
「ずっと昔から。」
たぶん、あなたを見たその初日から愛してしまったのだと思う。
あなたを愛さなかった日は一日もなかった。
すべての瞬間を愛していた。
「愛してる。」
ナビアは澄んだ目で、強く注がれる熱烈な告白を受け止めた。
「愛してる」と告げるクリードの姿は、目がくらむほど美しかった。
真剣な表情から、長い間秘めてきた愛情が伝わってきた。
「私もだよ。」
ナビアは握っていた手をそっと置き、彼の頬に手を伸ばして撫でた。
「私も、あなたが好き。」
過去の人生で一度も自分のために手を差し伸べてくれた人はいなかった。
そんな中、唯一の救いの手を差し伸べてくれた彼だった。
そうだね。
それでたぶん、あの時から君が特別な存在になったんだと思う。
「君を愛している。」
だから君を愛しているんだと思う。
これが愛というものなのかもしれない。
クリードはそのまま彼女を抱きしめると、ナビアがそっと目を閉じる。
彼は愛情に満ちた視線で彼女を見つめながら、その唇にそっと触れた。
一方の手で彼女が窓の外へ身を乗り出さないようにしっかりと支え、もう片方の腕で自然に彼女を抱きしめた。
柔らかな唇が重なり、穏やかな息が混じり合う。
二人のキスは欲望や魔力ではなく、ただお互いを求める気持ちから生まれた純粋なものだった。
その感覚に酔いしれる二人は、徐々にその場の雰囲気に身を委ねていった。
森林の香りが満ちるように、二人の心もお互いの愛で満たされていく。
馴染みのある空気感に包まれつつも、どこか新鮮で甘い感覚が漂っていた。
広大で豊かな力がナビアの全身を包み込んだ。
クリードはナビアを抱き寄せ、窓枠にしっかりと腰掛けるよう、彼女の腰を引き寄せた。
一瞬唇が離れたその間に、彼はそっと言葉を囁いた。
「愛してる。」
お互いの気持ちを確かめ合い、その感情に余裕が生まれることは別の問題のようだった。
クリードは、もう抑えきれないかのように、唇が離れるたびに愛を告げた。
「愛してる。」
「うん、私も・・・。」
彼女は答えながら言葉を飲み込み、その口に浮かんだ言葉をさらに深く内にしまい込んだ。
しかし、彼への思いは隠せなかった。
もっと、もっと彼を求めた。
そして彼女は、自分が完全に彼に包まれていることを感じた。
完成する最後のピースだった。
そのピースがはまると同時に、彼は完全な自分を取り戻した。
彼の人生の中心はナビアだった。
彼女なしでは自分は何者でもなかった。
(だから、どうか僕を愛してくれ。)
(ずっと僕を愛してくれ。僕のそばを離れないでくれ。永遠に。)
「愛してる。」
彼は切なげに告白した。
まるで、さらに可愛がってほしいと甘えるように、その愛を何度も繰り返し伝えた。
「愛してる。愛してる。」
まるで砂糖漬けの果実に完全に埋もれたような幸福感だった。
ナビアは彼の表情を見て、くすっと笑いをこぼし、その笑顔のまま大胆な決断をして唇を重ねた。
「私たち、結婚しようか?」
ぴたりと止まった。
クリードは思わず表情を固めた。
ナビアがそんなことを突然持ちかけたのは、自分に重荷を感じさせるのではないかという恐れからだったのか、彼女の意外な求婚に一瞬驚き、呆然とした顔を浮かべる。
「・・・本気?」
ナビアは微笑みながら頷いた。
「私はあなた以外の誰とも結婚したいとは思わない。ただ、あなたと一緒に結婚したいの。」
周りの状況がどうであれ、彼女の決断は完全に感情に従ったものだった。
「私はクリードと一緒にいたい。この人と一生を共にしたい。」
ナビアはそう思いを込めて話した。
「・・・」
しかし、クリードが泣いた。
ナビアは彼が突然涙を流し始めたことに驚き、目を見開いた。
「クリード? 私、何か間違ったことした?」
彼はぎこちなくナビアの手を取り、そっとキスをする。
涙が頬を伝い、ぽたぽたと彼女の手に落ちた。
「幸せで。」
その言葉にナビアはさらに困惑した。
結婚しようと言ったら涙を流して喜ぶなんて、普通は自分がその役割を担うはずではないか?と少し困惑しながらも。
(まあ、どうでもいいか。)
ナビアはそう思い、笑みを浮かべた。
結婚を提案しただけなのに、まさかこんな展開になるとは思いもしなかった。
知らず知らずのうちに好きになり、誰が幸せにならないだろうか?
「少しだけ婚約の発表から始めないと。」
ナビアは彼の頬を優しく撫で、涙を拭ってあげた。
クリードはまだ涙で潤んだ目を半分閉じた状態でじっと彼女を見つめていた。
「うん。」
何でも良かった。
婚約発表から始めようと、結婚式から始めようと、どちらでも良かった。
「姉さんがやりたいようにするよ。」
二人はしっかりと抱き合った。
それはまさに完璧な瞬間だった。
クリードはナビアを背後から抱きしめたまま、静かにゆっくりと歩き出す。
窓を離れ、ソファの方へと移動していった。
彼は少しの間も離れたくないというように、彼女の頬に絶え間なくキスをしながら、その場の甘い空気を満たしていた。
光が柔らかく差し込んだ。
ナビアは彼の腕を引っ張って抱き寄せながら、じっと視線を合わせた。
「それにしても、あなたの魔力って以前とは明らかに違うわね。魔力を吸収する速度も随分と速くなった。」
「そう?」
魔力の流れがクリードの中に貪欲に吸い込まれていた。
まるでそれが完全な循環を成した時のように、ナビアの全身にクリードの爽やかな森の香りが広がった。
「これが化身の力なのね。」
ナビアは感嘆しながら魔力を練り動かしてみた。
ソファにゆったりと腰掛けてその様子を眺めていたクリードは、笑みを浮かべながら問いかけた。
「気に入った?」
「うん。」
「それなら、毎日君に捧げるよ。」
「うん・・・え?」
ナビアは無意識に答えたものの、すぐに何かおかしいと気づいた。
クリードはナビアの右手首をそっと握り、内側を指で優しくなぞった。
まるで四つ葉のクローバーの形を探しているかのようだった。
彼はナビアの手首の内側に何も見えないことを確認したが、そこに四つ葉のクローバーが描かれていると信じていた。
クリードは彼女の手首の内側に口づけを落とした。
「僕は四つ葉が好きだ。」
ナビアは彼が手首にキスをした瞬間、無意識に手を引っ込めてしまった。
小さな一瞬の接触が胸を締め付けた。
触れられている部分から徐々に熱が広がっていくように感じた。
その熱が腕を伝って心臓にまで届いた。
クリードは痛みを与えないように慎重に手首を握り、その部分にそっと唇を落としてゆっくりと囁いた。
「黒月に飲み込まれる感覚が好きだ。」
彼の言葉通り、黒月は嬉々としてクリードの魔力を吸い取った。
さらに強大で完璧になったクリードの魔力に触れ、ナビアは全身が高揚感で満たされるのを感じた。
まるで身体の中に雨が降り注ぐような心地だった。
ナビアは戸惑いを覚える。
黒月も白月も、クリードに向けて快く浸透していくことがなんだか悔しくも感じられたのだ。
ナビアはその揺らいだ感情を抑えながら、手を離して静かに口を開いた。
「私、もう仕事に戻らなきゃ。」
まるで軽くあしらうように話していたが、彼女は本当にやるべきことが山積みだった。
「君もこんなことをしている時間はないんじゃない?遺産の整理もしないといけないだろうし。」
「うん。」
クリードは少しだけ眉間にしわを寄せ、肩をすくめた。
そのとき、誰かが応接室のドアをノックした。
「お嬢様、エルキン・ブラディナ侯爵様がいらっしゃいました。」
ナビアはすぐにクリードの横顔を軽くつついた。
すると、クリードが問い返した。
「どうして?」
「離れないと。」
クリードは気が進まなかったが、仕方なく彼女の正面の席に移動した。
そのとき、ナビアが言った。
「お通しして。」
パタン。
徹夜で多くの仕事を片付けたのか、疲労がにじんだ顔のエルキンが応接室に入ってきた。
彼は中にクリードがいるのを見て、穏やかに微笑んだ。
「陛下もこちらにいらっしゃったんですね。ちょうどよかった。」
彼はテーブルの上に箱を置いた。その中には書類がぎっしり詰まっていた。
「アグニスで皇后と結託した痕跡のない証拠です。」
ナビアはすぐに真剣な表情で書類をめくり、顎に手を当てた。
「叔父さん、さらに調べてもらえますか?」
彼女は紙に貴族の名前をいくつか書き連ねた。
「これらの証拠を明日の午前中までに受け取ることは可能ですか?」
「もちろん。」
それくらいはカンパネラ情報網の主であるエルキンにとって大したことではなかった。
「叔父さん。」
クリードがエルキンを呼んだ。
その唇には微笑みが浮かんでいた。
エルキンはまだ自分を「叔父さん」と呼ぶクリードを微笑ましく見つめた。
「どうしたんだ?」
公の場ではお互いを敬称で呼び合うべきだが、二人は私的な場面では以前のように叔父と甥のように振る舞っていた。
「私たち、結婚することにしたんです。」
ナビアは「あらまあ」という表情を浮かべ、思わず額に手をやった。
エルキンは大きな声で笑い出した。
「それで今、叔父に結婚するって自慢してるのか?」
クリードはただ笑うだけだ。
その笑顔があまりに幸せそうで、エルキンはさらに愉快そうに笑った。
「私はいつだって君たちを応援しているよ。実のところ、君たちを知る人はみんなこうなる日を予想していただろうね。」
ナビアは顔が熱くなるのを感じた。
(私だけがこんな状況を予想できなかったなんて。)
「それで、公爵様はお見えにならないんですか?」
エルキンは、こうした状況にそぐわないほど真剣な表情を浮かべる彼らを疑問に思い、尋ねた。
「父は用事があって少しの間、神託所に行っています。」
「ああ、神託所に・・・。」
エルキンは信託所という言葉を、隣の家に行くような調子で話すナビアを見て、自分もこの奇妙な世界に適応しなければならないと考えた。
その後、話が一段落したと思ったナビアは席を立ち、きっぱりと言った。
「では、みなさん、それぞれの仕事に戻りましょう。」