大公家に転がり込んできた聖女様

大公家に転がり込んできた聖女様【77話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。

今回は77をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【大公家に転がり込んできた聖女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

77話 ネタバレ

大公家に転がり込んできた聖女様【76話】ネタバレ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 今回は76話をまとめ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 息子の成長

夜遅く、ノアは静かに皇宮へと足を運んだ。

皇帝直属の騎士団に守られながら、誰にも気づかれずに皇宮の深奥まで進むことができた。

まだノアには神の呪いがかかっており、皇子に近づくことが禁じられていたため、この訪問は非公式のものである。

慎重にノアを待ち続けていた皇帝は、ドアが開く音に驚いて立ち上がり、外に飛び出した。

「ノア!」

明るく笑いながら両足で元気に歩いてくるノアを見て、皇帝の目尻が潤んだ。

「・・・本当に体が本当に回復したんだな。」

少し前までは意識もなく、心の準備をするよう言われていたほどだったので、このようなノアの状態が信じられなかった。

「陛下。お久しぶりです。」

「もっと近くに来なさい。一度抱きしめてみようじゃないか。」

優しい性格ではあるが、相手の体を気遣い遠慮していた皇帝。

しかし彼は我慢できず、ノアを強く抱きしめた。

久しぶりに感じる温かさに、ノアも胸がいっぱいになった。

「よく・・・過ごされていましたか?」

「お前をあのように送り出しておいて、私がどうやって平気でいられるというのだ。」

ノアが病気と診断され追放されてからの時間は2年。

成長期の年齢だけあって、その2年間でノアは大きく変わっていた。

皇帝は以前よりもしっかりし、大人びたノアを見て、すべてが自分の責任のように感じ、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「すまない。私の力が及ばず、お前を守ってやれなかった。」

「お父様のせいではありません。私が病気にかかったからです。」

「それでも、最後までお前を守るべきだった。それなのに・・・お前をあのように送り出したことを、毎日後悔していた。」

神殿の門前で震えるノアを送り出した日。

聖騎士に連れ去られるノアの後ろ姿が、毎晩夢に現れては彼を苦しめた。

彼はノアを城内に送った後、一日たりともノアのことを忘れた日はなかった。

「本当にすまないという言葉しか言えない。」

「私は本当に大丈夫です。今は宮殿で無事に過ごしていることを幸運だと思っています。」

自分を気遣うように成長したノアを見て、皇帝はかすかに笑みを浮かべる。

「お前、大きくなったな。」

いつの間にかこんなに背が伸びているなんて。

久しぶりに成長した息子を見つめる目には哀しみが満ちていた。

「お前が連れて行かれる時も、手放したくないと言うことすらできなかった子だ。一度も憎んだことはなかった。」

「だからこそ、お父様まで困難に陥るのが嫌でした。私のせいでお父様を苦しませたくなかったんです。」

「それなら、そんなお前がじっとしていて、今私を訪ねてきた理由があるのだろう?」

ノアの頭を優しく撫でる皇帝。

その目がきらりと輝いた。

 



 

ノアはその質問を待っていたかのようににっこりと答えた。

「はい。今度こそ、自分の居場所を取り戻したいです。」

「皇太子のことを言っているのか?」

「はい。そして、許していただけるなら、さらに高みを目指したいと思っています。」

皇帝を真っ直ぐに見つめるノアの声には力が込められていた。

その言葉は子供らしさのない、簡潔で決意に満ちたものだった。

「お前・・・」

以前から芯が強いとはいえ、ここまでとは思わなかった皇帝は驚きを隠せなかった。

(権力には興味がないと言っていたお前が。)

彼が以前、皇太子の座を差し出しても答えを避けていたノアの変わった姿に、皇帝は困惑した。

ノアのこの変化が、もしや自分を見捨てた人々への復讐心からではないかという不安が頭をよぎった。

「以前は皇太子の座が重荷だと言っていたのに、どうして気持ちが変わったのだ?」

「目標ができたからです。」

「それは何だ?」

皇帝の問いかけに、ノアはにっこり笑った。

「いつまで神殿に支配されたまま過ごすつもりですか。大国の同盟国のように見えますが、何か神殿の顔色を伺わずにできることなんてありますか?」

「まさか・・・?」

「はい。神殿を壊すことです。」

皇帝は部屋には二人しかいないのにもかかわらず、周囲を鋭く見回し、急いでノアの口を塞いだ。

「ノアよ、どこにいても発言には気をつけなさい。聖女は我々のすべての言動を見ているかもしれない。」

一生神殿の顔色を伺いながら生きてきた皇帝の頭の中には、神殿に対する恐れが深く刻み込まれていた。

神殿が何かとその決定に干渉し、自分勝手に振る舞おうとしても、拒むことができなかった理由だった。

「怖くありません。」

ノアは、聖女が恐れるべき存在ではないことをエステルを通じて誰よりもよく理解していた。

「どうか私を信じてください。今の神殿が正しい存在ではないことは、よくご存じでしょう。」

ノアは皇帝の前で片膝をつき、命令を待つように皇帝を見上げた。

「はあ。」

皇帝はそんなノアを困惑した目で見つめ、深いため息をついた。

このような途方もない提案をしながらも、息子は全く怯む様子がなかった。

それどころか余裕さえ感じられた。

(いつの間にこんなに成長したのだろう。)

新たに驚かされながらノアを見つめる皇帝の目は輝いていた。

彼の目は深く沈み、真っ黒な瞳孔が虚空を見つめていた。

これまで神殿の支配から脱することなど一度も考えたことのなかった皇帝は、自分とは全く違うノアを見て感慨深い気持ちになった。

「とりあえず立ちなさい。」

彼はノアを起こしてソファに座らせた。

そして自分も席につき、ノアの肩を掴んで語り始めた。

「お前はまだ若く、世の中を知らない。神殿の本当の恐ろしさを・・・。聖女の力なしでは帝国の安定を保つことはできない。神殿に逆らえない理由なのだ。」

聖女という言葉にノアは寂しそうに微笑んだ。

「その聖女が私たちの味方ならどうです? いや、私たちが聖女の味方だと言わなければならないのでは。そうなれば問題ありませんよね?」

肩を掴んでいた皇帝の手がゆっくりと離れ、彼の目は大きく見開かれた。

「もしそうなら、可能かもしれないが・・・。」

「それは本当の話です。私は次の聖女が誰なのかを知っています。そして、その聖女は絶対に神殿の味方にはならないでしょう。」

「え、本当に?それは誰なんだ?」

皇帝は体面も忘れて驚いて立ち上がり、再び席についた。

そして興奮を隠せない様子を見せた。次の聖女という存在がそれほどまでに重大だったのだ。

「まだお話しすることはできません。しかし、それは事実です。」

自分を見つめるノアの瞳は澄んでいて揺るぎなかった。

嘘をついているとしても信じずにはいられない眼差しだった。

そのおかげで皇帝の頭の中は複雑になった。

静かだった水面に大きな石を投げ込まれたように波紋が広がったのだ。

聖女が神殿を背くという話は信じがたいものの、神の加護を受けていたノアが回復したというのもまた信じがたい話だった。

「病気は本当に治ったのか?」

「はい、ほぼ治りました。」

「お前がいない間に、デイモンの勢力が神殿と結託し、かなり勢いづいている。お前が現れたら、何としてもお前を排除しようとするだろう。」

「そんな隙を与えるわけにはいきません。私が表舞台に立つ前に、まずは自分の陣営を固めます。」

ノアの決意は揺るぎないもので、それが皇帝の心を動かした。

いつもノアに恩を感じていた皇帝は、ノアからどのような提案をされても拒否することができなかった。

「そうだな。もし本当にお前が神の加護を脱したのなら、お前を元の地位に戻すのはたやすいことだ。私が信じれば、皇太子の座も可能だろう。」

皇帝は腕を組み、体をゆっくりと前に傾けた。その声はさらに深く落ち着いていた。

「だが、今はまだだ。お前には勢力が足りない。」

「その通りです。」

ノアも皇帝の冷静な指摘を素直に受け入れた。

「ちょうど1年だけ耐えてください。その間に私を支える勢力を作ります。」

「いいだろう。しかし、すでに神殿ではデイモンに皇太子の座を与える準備を進めている。急がねばならない。」

ノアは優雅に笑みを浮かべながら頭を下げる。

その穏やかで落ち着いた笑顔は、皇宮を去る前の挨拶だった。

「では行きます。あまり長く滞在しましたね。誰かが疑い始めれば計画が狂うかもしれませんから。」

 



 

久しぶりに再会したのに、心温まる会話もないままノアをそのまま送り出さなければならないという思いが、皇帝の目に陰を落とした。

「どこへ行くつもりだ?」

「元々いた場所に戻ろうと思いましたが・・・急ぎなので、皇宮近くにいることにします。主要な人物たちはすべてここに集まっていますから。」

テレシアを行き来するのは時間がかかりすぎる。

首都にいるほうが人と会うのに便利だった。

「そうか。助けが必要ならいつでも連絡しなさい。」

「はい、お父様。」

ノアは頭を下げて席から立ち上がる。

別れの挨拶をしようとしたところで、皇帝がノアを呼び止めた。

「行く前にお母様に会ってきなさい。お前を送り出してから、まともに眠れた日がないそうだ。会いたがっている。」

久しぶりに母親の話を聞いて、ノアの目には一瞬で涙がにじんだ。

「今はまだ駄目です。まだ皆さんにお伝えするには早いです。お母様や姉上にも適切な時期が来るまで秘密にしてください。」

「・・・分かった。」

ノアの母が彼を想わないはずがなかった。

眠れないほど心を痛めているという話が胸を締め付けた。

それでも、自分のために感情を押し殺して後ろを向き、出て行こうとするノアの背後で、皇帝が立ち止まり声をかけた。

「二度と。」

ノアが振り返ると、皇帝の哀切な眼差しがノアに向けられた。

「どんな状況でも、もう二度とお前を諦めたりはしない。二度目は絶対にない。本当にすまない。」

「・・・一度もお父様を恨んだことはありません。理解してください。」

そう静かに語ったノアだったが、振り返った彼の目からは涙が一筋、頬を伝い落ちた。

ひょっとして皇帝がその涙を見てしまうのではないかと気にしながら、急いで外に出たノアを見て、そわそわと待っていたファレンが駆け寄った。

「おや、急に出ていかれましたね。何かあったのですか?」

「いいや、話はうまくいったよ。」

ノアは目に何かが入ったふりをして、ファレンに言い訳をしながら袖で急いで涙を拭いた。

自分でもなぜ涙が出たのかわからなかったが、泣いた後の表情はどこかすっきりしていた。

「もうテレシアには戻れなくなった。」

「え?それならどこに行くんですか?」

「これから探しに行く。手伝ってくれるだろう?」

「またですか?ええ、まあ・・・これじゃ家探しの名人になりそうですね。」

「それは頼もしいね。」

ノアはファレンに微笑みながら、再び皇帝直属の騎士たちの護衛を受け、隠された出口へと足を向けた。

「はあ、もう少し見てから出ればよかった。」

予想はしていたが、もう二度と戻れないかもしれないと考えると、エステルの顔が空中に浮かび上がってきた。

今後1年間はすべての行動に注意を払わなければならないため、事がうまく運ぶまでエステルに会えない日々が続くかもしれなかった。

父との話がうまくいって幸運だと思う一方で、寂しい気持ちは拭えなかった。

 



 

 

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