こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

380話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 記憶の色⑥
魔法図書館に置かれた本棚からは、わずかな草の香りが漂っていた。
私は本の香りとともに、独特な匂いがすることに気づいた。
私は無意識に本を開いていた。何度も頭を振った。
ブランシュの暗殺事件から、まるで数時間が過ぎたかのように時間が流れたことを感じていた。
実際にはどう過ぎたのか、わからない。
ブランシュが殺されかけたという恐怖と怒り、暗殺者が子供だという衝撃。
そしてアビゲイルと似ている顔が、私の頭にさらに深く刻まれた。
「リリィ、入ってもいいですか?」
その時、セイブルの声が私の耳に届き、私は一瞬で意識を取り戻した。
すぐに立ち上がり、ドアを開けた。
顔を見合わせた瞬間、私たちは互いに目を合わせた。
実際、それはしばらくの間待っていたようなものだった。
セイブルは、その前にあった厳しい状態に疲れを見せていた。
入口の温かい空気が私たちに冷気を差し出した。
「顔の状態は大丈夫ですか?」
彼がゆっくり口を開けた後、私の頬を触りながら言った。
ベリテが治療をしてくれたおかげで痛みが和らいでいた。
「はい、全部治りました。全然痛くありません。」
「無理しないでください。私が調べるべきことを避けているのはわかります。」
「いいえ。痛みがひどかっただけです。」
「はい。協力しても反応はありません。」
それが暗殺の証拠だ。
名前を知らなかった彼にとって、時間が長く感じられた。
年齢は8歳だと聞いた。
8歳。
アビゲイルが亡くなり、私がこの体に入ってからも8年が経っていた。
ラタナが男の子に見えるのは不思議だった。
性別は違うが、どこか似ている。
外見、そして黒い髪。
その姿を見て、一つの可能性を思い浮かべた。
私は死んだ後、アビゲイルに憑依するのだろうか?
「セイブル、あれを見つけたのですが……。」
私は本棚の上に置かれた本を引き寄せた。
タイトルは『魂の転生』。
そのタイトルの通り、内容は転生や、輪廻、前世などについて書かれていた。
私は一節を読み進めた。
「『魂は消えることなく、転生を繰り返す。時に世界を越えて行く。自分と調和の取れた高い霊性を持つ者は、貧弱な肉体に宿り、魂を新たにすることがある』」
「その言葉は、リリィとアビゲイルの調和が高まったという意味ですね。」
私は眉をひそめた。
外見だけを見るとまるで一致しているかのようだった。
元々異なる人で、性格も違うが、どうしても自然にそう感じてしまった。
昔、色彩学の授業を受けたことがある。
その時、先生は「ブラック(Black)」と「ブラン(Blanc)」という名前を挙げたが、実際には「色の違い」を示すものだった。
セイブルとブランシュの名前を思い出し、少し笑ってしまった。
その名前の響きがまるで異なっているかのように感じられた。
そして、私とアビゲイルも同じようなものだったのだろうか。
最終的に色の違いは、同じように出てきた。
もしアビゲイルがこれを聞いたら、どう思うだろう。
私は笑ってページをめくり始めた。
「『魔力は魂と肉体、両方に宿る。だから、魔法使いの肉体に別の魂が宿っていても、強力な魔法を使うことができる。逆に、魔法使いの魂が再生する場合、その魂は同じ魔法を使うことができる』」
「その言葉は、リリィとアビゲイルの調和が高まったという意味ですね。」
私はそこまで読んで本を置いた。
正しい答えを探していたが、すぐに口を開けた。
「ラタナナがアビゲイルの転生なら、リリィと魔力が同じであっても不思議ではないでしょう。」
「はい。そうですね。」
私は望んでいた答えを見つけたが、それに続いたのはちょっとした一瞬の躊躇だった。
セイブルはただ静かにそれを繰り返した。
表情は変わらなかった。少し心配そうに見えた。
「ラタナはどこでブランシュに住所を尋ねたのでしょうか?誰かの許可を得たのだろうか。」
犯罪については触れなかったが、ラタナは何も言わなかった。
実際、ラタナは今、一般的な特別な扱いを受けている状態だった。
ラタナは王族の試練。
王族の試練においては中立が求められ、現在の状態で処罰されることはない。
背後を知るために処罰を回避していたが、刑罰を受けることはなかった。
その事実を思い出した。
「実際とても複雑です。ブランシュを殺そうとしたラタナは非常に美しい。しかし、同時にその美しさを見せることはできません。」
アビゲイルに似た外見ではないにしても、深刻なようだった。
私は少しため息をついた。
命令を受けるラタナに対し、彼の支配に従う理由はないと感じた。
ベリテの方向に従うことは避けられなかったが、8歳の子供が自分の命令を出せるのはなぜだろうか。
誰かが命令をした可能性が高い。
8歳の子供の精神の成長は、このような希望を感じさせることだった。
そして、その顔の違和感…どこかでその姿を目撃したような気がした。
顔の横に赤い痕があった。
その痛みがどれほどか分からなかった。
それは何か特別な傷がついたのだろうか?
肌に触れるたびに痛みがあったが、それだけではなかった。
体に痛みを感じることはなく、ラタナの目が目立った。
それは子供の目ではなかった。
数年の痛みを経たように、目の奥には力強い光が宿っていた。
その時、セイブルの顔に変化が見られた。
「……だからブランシュが殺されかけたのです。」
「え?」
これがまたどういう意味か?
セイブルは今、どこかで他人を疑っているようだった。
「アビゲイルの転生ならば、個人的な復讐を目的で来たのかもしれません。彼女は私を……」
「セイブル、それは違います。ならばなぜ、ブランシュを殺そうとしたのでしょうか?」
「それは……」
彼は何も答えられなかった。
私の言葉に対して彼が意図的に返答を避けたようには見えなかった。
私の心は重く沈んでいった。
ラタナを非難することができなくて、それに対して処罰しなければならない理由も多かった。
もし私がラタナを攻撃したとしても、それは簡単ではないだろう。
小さなため息が漏れるとき、微かな音が聞こえた。
「お母さん、ブランシュですよ。開けても構いませんか?」
「あ、はい。」
私は本を閉じた。
転生や前生についてはセイブルと私だけの秘密だ。
ブランシュに話すべきではないことだった。
部屋に入ってきたブランシュは普通の顔をしていた。
あの疲れた顔に胸が痛んだ。
数日間、どうしてあげるべきかを考えていた。
「ええ、ラタナのことをお話ししたいと思います。」
セイブルは自分をきちんと整えて、ブランシュを見た。
ブランシュは戸惑いながら、何かをしっかりと決めようとしていたようだった。
「その……ラタナを許してくれませんか?」
「ダメ!絶対に許せない!」
ベリテが苛立った声を上げた。
彼は髪を最後まで振り回して、どうしようもなく振り向いていた。
そしてその瞬間、セイブルが優しく彼女を見つめた。ベリテは再び声を上げた。
「私はラタナを許せない!もし何かうまくいかなければ、ブランシュが……」
彼の怒りを察して、セイブリアンはベリテの怒りをただ黙って聞いていた。
普通ならすでに彼を怒らせていたはずだ。
ベリテがその事実を知っているのかどうかは分からないが、彼は自分の感情を無遠慮にぶつけていた。
本の表紙を両手でバンと叩く音が響いた。
「お父さん、お父さんがブランシュを説得してみてくれ!」
「俺も試してはみたが……ベリテ、お前だって分かっているだろう。俺たちはリリーとブランシュには勝てないってことを。」
淡々とした口調に、ベリテも何も反論できなかった。
セイブリアンが何かを深く飲み込むように言った。
「俺も過去にレイヴンを罰しようとしたが、リリーは許そうとした。結局、リリーには勝てなかった。」
それによって、今のベリテの心情がどんなものであるのかは言うまでもなかった。
自分もまたラタナを罰したいという気持ちは同じだったからだ。
ベリテは唇をきつく噛んだ。
そして、なんとかセイブリアンにもう一度頼んでから部屋を出て行った。
「お父さんは役に立たない!俺がブランシュを説得する!」
返事はなかった。
初めから期待していなかったので、ベリテは戸惑うことなくブランシュの部屋へ向かった。
部屋の中は静かだった。
ペン先が紙を削る音がかすかに聞こえるだけだ。
ブランシュは何かを書き込むのに没頭していたが、ベリテに気づいて手を止めた。
「ベリー。」
その声とともに目尻が下がると、ベリテも薄く微笑んだ。
反射的な反応だった。
「シュー、大変だったろう?」
ベリテがゆっくりと近づき、ブランシュの肩をそっと撫でた。
慎重に、そして優しく。
「いや、ベリーが普段からたくさん助けてくれるから、全然大変じゃないよ。」
そう言いながら、小さな肩がしっかりと張られていた。
ベリテは黙ったまま、しばらくその姿に見入っていた。
ブランシュは静かにベリテの手のひらに顔を預ける。
どこか安らぎを求めるように。
ベリテがゆっくりと口を開いた。
「……私には全部話してもいいんだよ。ラタナの件で、もっと気が張ってしまったんだろう?」
ラタナの名前が慎重に口にされた瞬間、ブランシュはそっと後ろを振り返った。
険しい表情のベリテが目に入った。
ブランシュはベリテと目を合わせると、困ったように言った。
「ベリー、まだ怒っているの?私がラタナを許すって言ったから?」
胸の内を突かれたベリテは、鋭い視線を送った。
しかし、それを否定することはできず、しばらく沈黙した後、再び口を開いた。
「私は……あの時、本当に怖かった。」
肩をつかんでいた手が静かに止まった。
振り返ると、ベリテの顔に恐怖がにじんでいるのが見えた。
「世界が崩れるかと思った。ラタナが、世界が、私にとってあまりにも大きすぎた。」
ベリテは後ろからブランシュをぎゅっと抱きしめた。
腕が少し震えていた。
その震えを抑え込むように、さらに強く抱きしめた。
「もしまたラタナが君を傷つけようとしたらと思うと怖い。私がそれを止められなかったらと思うと怖い。そして……君を失うんじゃないかと怖いんだ。」
自分は優れた魔法使いだと考えていた。
実際にそうだ。
自分より強い魔法使いはほとんどいなかったはずだ。
しかし、この瞬間、自分の力がひどく無力に感じられた。
ブランシュをきちんと守ることすらできなかったのに、何を誇れると言うのか。
「私は最善を尽くして君を守るよ、約束する。そうしようと決心したんだ。でも……。」
そう後悔を飲み込んでいるうちに、唇に温かいものが触れた。
それはブランシュだった。
短い口づけに一瞬驚いて、ベリテは少し落ち着いたようだった。
「ベリー、ごめんね、君を辛い目に合わせて。それでも私は……ラタナを許したいんだ。」
「ラタナの背後を探るつもりなのか?」
「そうだとしたら、背後を探ってから罰すればいいんじゃないか?」
ブランシュは、そんなベリテの気持ちが理解できるように見えたが、口を開いた。
「それもあるけど、実はラタナの個人的な復讐であっても、私は許すつもりだよ。」
「なんで?どうして?」
「私はこの国の王であり、ラタナは私の臣下だから。」
ブランシュの顔には慈悲と決断が同時に浮かんでいた。
そして少し警戒が緩んだ表情で微笑んだ。
「もしラタナが誰かに利用されていたのなら背後を突き止めて罰しなければならない。それに、もしラタナの意思が自分自身のものだったなら……8歳の子どもが私を殺したいと思うようなことを私がしてしまったということだ。」
慈悲は弱者のためのものであり、結局のところ悪人のためのものではなかった。
だからラタナを許すしかなかったのだ。
ベリテは彼女が許す理由を理解していた。
だが、それでも憤りを飲み込むことはできなかった。
「だからラタナを許してあげよう、ね?ベリ。」
ブランシュがベリテの名前を優しく呼んだ。
その愛おしげで清らかな笑顔を見ると、どうしても反論できなかった。
「ごめんね。いつも君を支えるって言っておいて、こんなふうに反対するなんて。」
今度はベリテがそっとブランシュに口づけをした。
いつの間にか、表情は普段のように柔らかくなっていた。
「努力してみるよ。ラタナを許すように。」
「本当?」
「うん……。まあ、指十本ぐらいは折るつもりだけど……。」
「ベリー!」
ブランシュが唇をきつく結んだ。
その様子は怒ったウサギのようだった。
ベリテは冗談だと言うようにくすくす笑いながら、ブランシュの頬を軽くつついた。
「嘘だよ。シュー、君をどうして裏切れるものか。」







