こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は337話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
337話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 解けない呪い②
絶望のような衝撃で心が打ちのめされ、正気を保つことができなかった。
なぜ、どうしてこんな姿になってしまったのか。
なぜ・・・!
「だめだ・・・だめだ・・・!」
陽光があまりにも無情に感じられた。
その光の中で、自分の顔があまりにもはっきりと見えた。
光に身体が溶けていくようだった。
消えてしまいたかった。
消え去ってしまいたかった。
こんな姿では生きていけない。
決して以前のようには戻れない。
どうすればアビゲイルの姿を取り戻すことができるのだろうか?
ついさっき、ギデオンは私に「呪詛をかけた」と言った。
それならば、解くことができるかもしれない。
私は力の限り自分の顔を凝視する。
そこに刻まれた呪詛の痕跡が読めた。
私はそれを解読し、解析を始めた。
蜘蛛の巣のように絡みついた呪詛が形を成し始めた。
呪文の一部を急いで読むと、心臓が砕けるような音が聞こえたような気がした。
[この呪詛を解く方法はない。]
絶望感が押し寄せる。
どんなに呪文を読み直しても、その解法は見つからなかった。
水面を掻き乱してみても、私の顔は変わらなかった。
背後から嗤うような声が聞こえた。
「お前が思う一番みじめな姿がそれか?本当に面白いね。」
「解法・・・解法は・・・。」
「解法?そんなものは最初からないよ。」
彼は狂ったように楽しそうに笑っている。
その満ち足りた表情で、私をじっと見つめた。
「お前は永遠にその顔で生きていくんだ。そのみじめな顔で!宮殿に戻ることもできない!誰もお前を見分けることはできないだろう!」
宮殿に戻ることはできない。
セイブリアンのもとへも、ブランシュのもとへも戻ることができない。
顔を失った時以上に、比べ物にならない絶望が押し寄せてきた。
恐怖が押し寄せてきた。
私は宮殿に戻ることができない。
家族に二度と会うこともできない。
私はもう王妃でもないし、何者でもなかった。
屈辱と怒りが喉の奥から湧き上がり、それに合わせてギデオンが爆笑した。
その逆上した笑い声が耳をつんざいた。
「いや、素晴らしいね。俺が堕ちた分、お前も堕ちなければならない!お前も俺のように惨めな人生を送るべきだ!」
永遠に響き渡るかと思えたその笑い声が、急に止まった。
私は震える手で彼を押しのけ、彼を見上げた。
彼は急に口をつぐみ、どこか混乱した表情を浮かべていた。
その薄い唇から何かが流れ出ていた。
「えっ?いったい・・・どういう・・・。」
ギデオンがむせびながら私の口元を拭こうとしたが、溢れる量が多すぎた。
一瞬で彼の手が赤く染まっていくのが見えた。
喉が血で満たされた。
「まさか?まさか・・・!彼はすでに治療したと言ったのに・・・くそっ!俺を騙したな、このクソ野郎・・・!」
彼は絶叫しながら苦しみもがき、地面に倒れ込んだ。
私の首を掴んで激しく揺らしたかと思うと、そのまま静かに横たわる。
死んだの?
でも、どうして?
彼の死を目の前にしても、私は喜べなかった。
むしろ絶望的だった。
呪いを解く鍵は彼しか持っていない。
彼が死んだ以上、私は永遠にアビゲイルとして戻ることができない。
ダメだ、ダメだ。
宮殿に戻らなければならない。
ベリテ、ブランシュ、セイブリアンに会わなければ・・・。
「アビゲイル?」
聞き覚えのある声が響いた。
私は驚いて声のした方を見た。
セイブリアンが、いつの間にか森の陰から現れ、私を見ていた。
一体いつからそこにいたのだろう。
彼は広い肩を揺らしながら私に近づいてきた。
私は逃げることも隠れることもできず、ただ彼を見つめていた。
近づくにつれ、彼の瞳が混乱と驚きに満ちているのが見て取れる。
そしていつの間にか、彼は私の目の前まで来て、静かに口を開いた。
「・・・その姿、一体何ですか?」
まるで信じられない光景を見ているかのような目つきだ。
世界で最も恐ろしい何かを目撃した人のように。
「セ、セーブル・・・その、それは・・・」
「私の名前を呼ばないでください。私はあなたのような醜い女を妻にした覚えはありません。」
地面に倒れたガラス瓶のように、全身が数千の破片に砕け散ったような感覚だった。
彼の冷ややかな目が私の名前を呼び、かつて愛を誓ったはずのセイブルが私の胸に深い傷を刻み込んでいた。
死にたかった。
消え去りたかった。
自分が愛する人がこんなにも冷たい眼差しを向けるとは思わなかった。
それでも、私はまだ彼を愛している。
彼のすべてを愛していた。
その鋭い唇に自分の唇を重ねたかったし、あの冷たさに満ちた青い瞳さえも・・・。
・・・あれ?
「あなたは死んだことにしておきましょう。お金を渡すので、適当な場所でひっそりと暮らしてください。」
「あなたは誰?」
その言葉に男の表情が一瞬凍りつく。
短い沈黙の後、彼はまるで呆れたように言った。
「もう頭がおかしくなったのですか?私はこの国の国王、セイブリアンです。」
「あなたはセイブリアンじゃない。」
顔は確かにセイブリアンと同じだったが、彼ではなかった。
明らかに違うと分かる。
目の前の男の瞳は確かに黒かったが、セーブルの瞳の色とは異なる色合いだ。
何百、何千、何万もの青色を集めても、私は彼の瞳の色を再現することはできない。
私はその色を忘れることなど決してできなかった。
男性は動揺していたが、その感情を巧妙に隠していた。
まるで仮面を被ったような表情だ。
「レイヴン、あなたなの?」
何度も見たことのある顔だった。
レイヴンが私に見せてくれた顔。
男の顔から血の気が引いていく。
「何を言っているんだ?私はセーブルだ・・・。」
「違う。あなたはレイヴンよ。私は見分けがつくわ。」
セーブルも黒色であり、レイヴンも黒色だが、二つの色は明らかに異なっていた。
同じ色だと考えることはできなかった。
太陽の光があまりにも眩しかった。
魂さえも照らし出すほどに。
私たちは逃げることができなかった。
レイヴンの唇が震える声が漏れ始めた。
「どうして・・・アビゲイル、あなたは私を・・・」
レイヴンの顔が蒼白に凍りついてく。
壁が火に焼け崩れるように、その中身が見えてくるかのようだった。
「誰も私を認識しなかった・・・誰も私の名前を呼んでくれなかったのに・・・どうしてあなたが私を・・・」
彼は崩れ落ちるように私の前にひざまずいた。
不思議なことに、彼は捨てられた小鳥のように見えた。
全身で震え、孤独な少年のように映った。
自分を見つけてほしいと泣き叫ぶ子供が、暗闇にひとり取り残された姿だった。
彼が憎いはずなのに、同時に哀れでもあった。
彼を抱きしめることしかできなかった。
「・・・レイヴン。ギデオンが持っていた宝石を・・・それはあなたが与えたものですか?」
ギデオンはその宝石を誰かからもらったもののように話した。
そしてギデオンが死ぬや否や、レイヴンが現れた。
セーブルの姿をしたまま。
彼はしばらくの間、震えたまま黙っていた。
一呼吸おいて、ようやく彼は口を開いた。
「・・・はい。私が渡しました。その呪いがギデオンの命取りになるものだとは伝えませんでした。」
「なぜそんなことを・・・?」
「それで完全な呪いが完成するからです。」
レイヴンはゆっくりと顎を上げる。
その瞳には終わりのない執念が宿っているかのように輝いていた。
「ただ、一つだけ方法があります。あなたの呪いを悪化させる魔法が施された宝石です。ただし、完全ではありません。」
レイヴンはまるで神聖なる存在か、あるいは悪魔のように見えた。
どちらにせよ、私の命を奪うのは目に見えていた。
「その宝石を使えば、日が沈むまでの間、元の美しい姿で生きることができます。」
彼はそう言いながら、私の手を握った。
驚いて手を引こうとしたが、彼はさらに強く握りしめる。
微かに金色の光が彼の瞳に漂い始め、私をじっと見つめていた。
「私と一緒に来れば、その宝石をあげます。一緒に行きましょう、アビゲイル。私の妻になってください。私の唯一の家族になってください。」
悪魔のようだった彼の目は少しずつ柔らかさを帯び、今では子供のような表情を浮かべていた。
彼は私に懇願していた。
震えているように見えた。
私がいなければ、生きる術を失ったかのように私に縋りついていた。
「お願いです、一緒に来てください。宮殿で暮らすだけではなく、一生あなたが何一つ足りないものがないようにしてあげます。一生幸せにしてあげます。」
その時、不意に川面に映った私たちの姿が目に入った。
それはまるで悲劇の一幕のようだ。
洗練された美しい男性が、醜い女性にすがるように愛を懇願している。
こんな姿の私が、これまで一度でも「愛している」と言われたことがあっただろうか?
こんな醜い私に愛を告白する人が、これから先現れるのだろうか?
昼間だけ元の美しい姿に戻ったとしても、それでも愛してくれる人がいるのだろうか?
愛情というものはあまりにも強力だ。
乾いた唇に水が触れると、それを引き離すことができる人がいるだろうか。
「レイヴン。」
私はそれでも彼の手を握っていた。
彼の震えが痛いほど伝わってくる中で、私は口を開いた。
「私は、あなたの愛を求めていません。」
レイヴンは壊れた人形のように私を見つめた。
彼の瞳は依然として切ないほど哀しみに満ち、問いかけるようだった。
「セイブリアンが原因なのですか? それなら私がセイブリアンになります。一生この目を青に染め、レイヴンという名前を捨てます。」
「違う! 違います! あなたが何になろうとも、あなたはレイヴンなのです!」
私は泣きたくなった。
私は永遠に醜いままであり、彼は永遠にレイヴンであった。
それは覆すことのできない真実。
私たちは変わることができなかった。
それが、この悲劇の本質だ。
レイヴンは私を見つめながら唇を震わせた。
その瞳に宿る哀愁に、この運命の重さが込められていた。
「どうせあなたには行く場所なんてない!そんな醜い顔をした人間を、誰が愛してくれるという?私以外には誰もいない!」
さらに胸が痛んだ。
その言葉は、まるでセイブリアンが話しているように聞こえた。
彼の言葉通りだった。
この世界で、この姿を愛してくれる人はレイヴンしかいないのかもしれない。
それでも私は魔力を振り絞り、彼に呪いをかけた。
目から毒が流れ出し、彼の身体が苦痛に耐えるように震えた。
その隙をついて、私はレイヴンを押しのけた。
慌てて逃げる最中、彼の悲痛な叫び声が耳に届いた。
「アビゲイル、アビゲイル・・・!」
彼は目の前が見えなくなったかのように、空を掻きむしっていた。
目を閉じているその顔は、セイブリアンに酷似していた。
それでも私は、自分を愛してくれる人を後にして走り出す。
レイヴンの嗚咽が長い間、背中越しに響いてきた。