残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【65話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

65話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 危険極まりない環境

ロベナは城門の外へと出て、しばらく歩いた。

その歩みは、一般人には到底追いつけないほど速く、後を追うことはほぼ不可能に近いことだった。

しかし、彼女の後を追う者がいた。

「そろそろ姿をお見せになるのはいかがでしょう?」

道らしい道もない荒れ地。

最近は干ばつが続いており、ほとんどの植物が枯れ果てていた。

すっかり乾ききったこの砂漠のような場所で、ロベナは誰かと対峙した。

その相手は全身を覆う分厚いローブで体と顔をすっぽり隠していた。

「皇子が滅んだ皇帝陛下が、こんな辺境で何の用かしら。」

ビルロティアン帝国の皇帝、ロンだった。

彼はローブのフードを脱いだ。

「その子の5年を奪おうとするなら、お前の首を差し出さねばならない。」

「そうですか?」

ロベナはロンと向かい合って立った。

剣を抜き、互いに間合いを測るように見つめ合った。

ロベナは剣先で自分の青い髪をぐるぐる巻き取った。

「それなら、なぜさっき姿を見せなかったのですか?」

「………」

スラッ——澄んだ剣鳴りの音が響いた。

「ついに剣を抜かれましたね。」

ロベナの顔からも笑みが消えた。

ロベナが唯一、緊張する存在が剣を抜いたのだから、彼女もふざけてばかりはいられなかった。

「でも、今さら退くのは恥ずかしいことだとわかっていますよね? だからあの時、姿を現さずにここに来たんでしょう?」

「………」

「この花冠は、約束の証です。あなた自身が見たのですから、嘘でないことはよくわかっているはずです。」

命の価は命で償う。

人を襲ったハチミツアナグマの命を救ったのだから、それに見合う代償を支払う必要がある。

ハチミツアナグマの主である皇女イサベルは、それを公に認めた。

「今さら陛下がそんな振る舞いをされたら、皇女としての品位はどうなるのですか? 皇室の品格は?これまで守ってきた名誉と伝統は?」

ロベナの言葉はすべてもっともだった。

また、皇女が自ら選択し責任を負ったことなので、これはむしろ皇女を称えるべき行いだった。

理性的にはそうだった。

「帝国の法と皇族の名誉ばかり考えていたけど、私が知っている陛下じゃない。そしてこの陛下の行動は、天空島の大公である私を敵に回す可能性があることもご存知でしょう?」

「………」

ロベナは龍眼を通して、ロンの気配を読み取った。

人間とは思えないほど強烈で、冷ややかな気配が感じられた。

竜の目がじんと熱くなって、涙が滲むほどだった。

「ビルティアン帝国において、エルベの空の島がどれほど重要な戦略資産か、知らないわけではないでしょう。」

「………」

「その子の5年が損なわれることは、それほどまでに重要なことだったんですか?」

ロベナの目が鋭くなった。

ロベナは一部、彼女自身の価値と立場を明らかにした。

一時的に理性を失ったように見える皇女に、再び理性を取り戻させるために。

『もう少し論理的に考えれば、きっとあの剣を下ろすだろう。もちろん“ノー”と答えるはずだ。』

それこそが皇帝らしい選択だから。

ロベナはそう確信していた。

――だが、その確信はあっさりと裏切られた。

「そうだ。」

「……え? よく聞こえなかったけど、もう一度言ってくれる?」

ロンはこの言葉を発するのに少し戸惑った。

他人の前で本心を明かすことはほとんどなく、それがイサベルに関係する思いだったため、なおさらだった。

「あの子の5年だ。」

「はい、その子の5年。」

「……」

「はっきり言ってください。」

「あの子の5年は、お前が言ったすべてのものよりも貴重だ。」

その瞬間、ロベナは違和感を覚えた。

『え?なに?』

龍眼に新たな何かが捉えられた。

ロンの中から特別なものを読み取った。

数十年間ロンと縁を結んできたロベナでさえ、初めて見る表情だった。

ロベナの目に映ったのは、はっきりとした「恐れ」だった。

その大きさは、米粒ほどに小さかった。

おそらくロンが、自分の心を隠し、また隠し、さらに隠していたからに違いない。

『でも、あの小さな点の深さが……』

隠そうとするその心は、測り知れないほど深かった。

人間には到底受け止めきれないほどの巨大な恐怖は、普通の人の精神を圧倒し、破壊するほどの感情だった。

『ロンが恐れを覚えただと?』

ロベナは思わず、ふっと笑ってしまった。

恐れとは無縁に見えたあの者から、恐怖が感じられる。

ロベナにとってはとても不思議で楽しいことだった。

「ようやく少し人間らしくなったね。」

「どういう意味ですか?」

「なんでもありません。」

ロベナは気分が良くなった。

「とにかく、陛下、私は今すごく気分がいいんです。だからその鋭い剣気、ちょっと下げてもらえますか?」

「………」

「わかりました。皇女の5年を持っていくのはやめます。」

そのときになってようやくロンが気を緩め、剣を収めた。

「いや、本当に気になったんだけど……もし私が気に入らなかったら、本当に私を処刑するつもりだったの?」

「………」

沈黙は、すなわち肯定だった。

ロベナは深く息を吐いた。

「本当に?本気でそんなふうに思ってたんですか?ふ、ふははははっ!」

「なんで笑う?」

「たまに思ってたんですよ。陛下がもしかして“機械”なんじゃないかって?でも今日見たら違うみたいですね。」

ロンが“恐れ”を感じているという事実だけでも、非常に興味深かった。

だが、さらに面白いのは、その恐れの根源が「愛」という感情に由来しているということだ。

イサベルを心から愛しているからこそ、あんなにも恐れているのだ。

『あんなにもイサベルを愛していながら、イサベルの前では何ひとつ表に出せずにいるなんて。』

すべての状況が、頭の中に鮮やかに浮かび上がった。

皇帝ロンはあらゆる面で完璧で円熟した威厳を見せていたが、父としてのロンは少し不器用に見えた。

あの重たいローブを着て、イサベルの周囲をうろうろしていたのだろう。

イサベルの前には堂々と現れず、ああして陰でこそこそと“操作(?)”をしていたのだ。

なんとも気の抜けた滑稽な光景だった。

再び思わず笑みがこぼれた。

『あの偉大な人間兵器、父親としては初めてなのか。』

人間の域を超越した絶対者。そんな存在でも、父としては不完全だった。

「陛下にもできないことがあるんですね。」

ロベナはしばらく笑ったあと、ようやく口を開いた。

「あの子から5年を奪うつもりはありません。でも、真実は確認しなければなりません。陛下も、それくらいは譲歩しないといけません。」

ロベナとロンはしばらくの間、話を交わしていた。

 



 

イサベルはこれまで、ビロティ出身の魔法士だと思われていた。

だが彼女が実は貴族ではなく、皇女であるという事実が広く知れ渡ってしまった。

「じゃあ、正体を隠していた魔法士じゃなかったってこと?魔法で子どもの姿になってるのかと思ってたのに。」

「つまり、本当に7歳の子どもだったってこと?」

「そう。ビロティアンの肉体を持っていたから10歳くらいに見えたんだって。」

イサベルに関する噂はあっという間に広まった。

「それが本当だって言うのか?」

「あり得ないことだよ。」

一般の人々にとって、魔法使いは非常に神秘的な存在だった。

彼らは雷を呼び、城を崩す超越的な存在。

人々の目には、魔法使いはまさにそんな存在だった。

そして通常、そうした魔法使いは老人であることが多かった。

魔法は非常に難解な学問であり、それを習得するにはとても長い年月がかかるからだ。

人々が驚愕したもう一つの理由。

「そんなに愛らしい方が、どうして魔法使いでいられるの?」

以イサベルのように愛らしい魔法使いは、絵本の題材にも使われなかった。

魔法使いは、普通は戦略兵器として扱われるからだ。

イサベルのように可愛らしい魔法使いが登場する童話が発表されたら、あまりに荒唐無稽な話だと酷評されるのは明らかだった。

「私もすごく驚いたけど、事実なら仕方ないじゃないか?」

嘘だと言うには、イサベルの魔法を実際に目にした人がとても多かった。

「あのドレッサーは本当に不思議だったよ。」

「それだけじゃない。食事を担当しているボランティアたちの間でも、皇女様への称賛が絶えなかったんだ。なんだったっけ、エアコンとか言ってたか?」

そして、多くの人がイサベルが自分の正体を隠していた理由について疑問を持っていた。

「なぜ皇女であることを隠していたのだろう?」

それについて多くの意見があった。

その中でも作業班長ヘクトルの意見が影響力を持ち始めた。

「ボランティアの中で特に目立つことは望まれなかったのでしょう。あの方の性格からして、ボランティア全員が大切で尊い存在だと思っていたはずです。みんなが輝くべき場所で、自分だけが目立つことを望まなかったのではないでしょうか。」

ヘクトルを見た数人がざわついた。

「ね、あの人の目、なんか変じゃない?」

「そ、そうだね。」

ヘクトルの目はうるんで光っていた。

それはまるでカルト宗教に心酔している信者のようだった。

「もしロベナ大公が現れなかったら、きっと永遠にその正体を隠していたでしょう。私たちは覚えているでしょう。いつか、ある暖かい日、幼い少女の姿をした美しい魔法使いがいたことを。…あの方は、私たち全員を輝かせてくださいました。」

彼が壇上で演説を始めると、人々は次第に彼の周囲から離れ始めた。

しかし、ヘクトルはまったく気にしなかった。

彼はイサベルをすぐそばで見守っていた人物であり、イサベルの本心を誰よりもよく知っていると自負していた。

「彼女は最後まで自分を隠そうとしました。自ら目立たないように。みんなを輝かせるために。辛い仕事も断らず、被災地の復旧のために最善を尽くし、汗を流しながら働いていたあの方は、私が知る中で最も美しく輝く皇族でした。」

特ダネを嗅ぎつけた多くの記者たちが集まってきた。

大陸で最も影響力のある情報誌『ささやきの言葉』の主任記者ユルリもこの場に駆けつけていた。

『いや、どうしてこんなことが…?』

ふつう誰かに関する取材をするときには一般的に見られる現象がある。

『9人が褒めれば、1人は悪く言うもの……』

悪口とまではいかなくても、誰かがケチをつけるものだ。

こうした点は仕方ないが、その点は特に問題ではなかった。

しかし、イサベル皇女に関する話の中で否定的な内容は一つもなかった。

彼女は経験豊富な記者であり、確信を得た。

『ここにいる全員がイサベル皇女を好きなんだ。』

好きというレベルを超えて、ほとんど“愛している”と言っても過言ではなかった。

「あの方は私たちよりいつも一生懸命でした。他の人が嫌がる皿洗いも進んで引き受けて真剣に取り組んでいました。私たちが10回皿を洗う間に、その方は100回洗っていました。私たちが疲れて顔をしかめている時も、その方だけは太陽のようにぱっと笑っていたんです。」

「ちょっとおかしい話かもしれませんが、その明るい笑顔が私たちにとって大きな支えになったんです。」

「世の中にあんなに美しく笑う人は初めて見ました。ただ見ているだけで幸せな気分になれました。」

ボランティアたちは口をそろえてそう語った。

『写真が少し必要だな。』

カメラは非常に高価なマド工学製の品だった。

とても貴重で、上級記者になってやっと支給されるようなものだった。

一般人が写真を手に入れるのは非常に困難なことだったが、幸いにも彼女の長年の友人の中に、被災地を記録していた記録官がいた。

ユルリは口角を上げた。

「ねえ、どうして5枚のうち1枚だけイサベル皇女様なの?」

「そ、それは……」

写真の中のイサベルは、彼女が知っているイサベルとは少し違う顔立ちだった。

姿を隠していたとはいえ、顔つきも少し変わった様子だった。

しかし、ひとつだけ確かなことがあった。

変わった顔のイサベルも、とても幸せそうに笑っていた。

「イサベル皇女様がいくら愛されていても、災害現場を記録する人たちがどうして災害現場を記録せずに、イサベル皇女様ばかり撮ってたの?これ、偏ってるよね?」

「偏りって何さ。」

災害現場の記録員として配属されたマイケルは苦笑した。

「場所が全部違うじゃん。この写真は安全帽…その写真では道具を握っておられ、この写真ではドレアを持ち上げておられ、この写真では厨房にいて、そしてこの写真は……」

「……ん?そうだね?」

写真の背景がすべて異なっていた。

「私がイサベル皇女様を追いかけながら撮ったのではなく、皇女様がどの現場にもいらっしゃったんです。まるで体が十個もあるかのように。普通の人だったら倒れてしまっていたでしょうね?」

「……」

「そのすべての現場にいらっしゃった方です。その方がいるところは本当にキラキラと輝いて、生命力があふれていました。」

あの幼い少女があれほど一生懸命で、あんなにも幸せそうに奉仕していたのだから、大人の私たちはもっと頑張らないといけない——

そう思わせてくれたのだと彼は語った。

ユルリはイサベルの写真を一枚一枚めくりながら見つめていた。

経験豊富なベテラン記者である彼女は、写真の中のイサベルの表情とその心からの思いを十分に読み取ることができた。

『あの笑顔は作り笑顔じゃない。どうしてあんな風に笑えるの?』

彼女にはあと14年が残っていた。

大公に5年を渡すと、残りは9年になる。

それでもイサベルは、まるで太陽のようだった。

「……ん?ユルリ、なんで泣いてるの?」

「ううん、なんでもない。」

ユルリはそっと唇を噛んだ。

彼女はまっすぐ王城へと向かった。

イサベルと親しい関係だったのか、すぐに許可を得てイサベルと会うことができた。

「ユルリ記者さん。お久しぶりです!」

「皇女様。どうしてもお見せしたいものがあります。」

そのとき、王城全体に緊急警報が鳴り響き始めた。

ビアトンがノックもせずに部屋の中へ入ってきた。

表情自体は落ち着いていたが、ノックもせずに入ってきたということは、今この状況が決して穏やかではないことを意味していた。

「せ、先生、何があったんですか?」

ビアトンが言った。

「少しばかりの問題が起きました。」

「少しのことじゃないってわかってます。」

イサベルがビアトンを見つめると、ビアトンは口をつぐんだ。

そして短くため息をつき、言葉を続けた。

「はい。少しのことではないようです。」

「何があったんですか?」

「強力な魔力の波動が現れました。」

「魔力の波動?突然ですか?ここは……」

「はい。王城の近くです。」

王城の近くはすでに開発が完了しており、結界を通じて魔力の流れを意図的に調整している場所だ。

したがって、強力な魔力の波動が現れるのは考えにくい状況だった。

「ロベナ大公と陛下が対面されると……」

「陛下って……あっ、お父様ですか?」

イサベルは思わず驚いた。

突然ここで「お父様」という言葉が出てきたことに戸惑った。

ビアトンはひとまず詳しい説明は避けた。

「とても偶然、すごくとんでもなく偶然で、あまりにも偶然すぎて逆に不自然なくらい偶然にそうなったんです。とにかく、そのせいで強力な魔力の波動が……絵になった出来事だったようです。300年ほど前、ここはもともと“外眼渓(ウェヌンバク)”という巨人たちの居住地だったんですよ。」

「え、ウェヌンバクが巨人なら……1級魔物じゃないですか?」

1級魔物。

少なくとも王室騎士団級以上の戦力でなければ対処が不可能な魔物を意味する。

「どうやらこの土地の持つ本質的な性質を刺激したようです。なんと4体が現れました。」

ドン!

突然、壁と天井が揺れた。

「たぶん、戦闘が始まったようです。」

「こ、これは……」

ウェヌンバクの巨人が城壁を叩くたびに軽い地震が起きた。

ここは王宮の中であり、外城までもかなり距離があるというのにもかかわらず収まらず、震動がここまで伝わってきた。

「1級魔物を相手にするには王室騎士団クラスの戦力が動員されないといけないじゃないですか。」

「はい。それで王室騎士団が緊急出動しました。」

「4体ですって!?」

東、西、南、北。

4方向からそれぞれ1体ずつ現れたとのことだった。

「東門側は全く心配いりません。ちょうどその方向には陛下がいらっしゃいますので。」

「お父様?まさかお一人で?」

「お一人ですが、あそこが一番安全なはずです。」

その瞬間、イサベルは今まで感じたことのない不思議な感情に包まれた。

『心配……』

父を失ってしまうような喪失感。

父が永遠に消えてしまうのではないかという恐怖。

彼女は初めて、家族に対する心配と不安を学んだ。

『怖くて死にそう。』

イサベルも頭では分かっていた。

ロンは今この時点で世界観最強の存在であり、1級魔物くらいなら一人でも十分に相手にできるという事実を。

しかし、それを頭で理解するのと、胸で感じるのとでは違った。

ドン!ドン!

次々と伝わる衝撃。

ウウウーン—!

内臓の奥まで響く揺れ。

そのすべてと重なるロンの顔が彼女にとっては大きな恐怖へと変わっていった。

読者だった時とは気持ちがまるで違った。

テキストでこの状況を見ていたら「世界観最強者には通用しない」と思ったに違いない。

しかし読者ではなく娘になると、気持ちが本当に大きく変わった。

『でも…お父さんを信じなきゃ。』

イサベルはしっかりと気を引き締めて再び尋ねた。

「では、西側は?」

「王室騎士団が出動しました。」

「南側は?」

「外城守備隊が結集して防いでいるところです。」

東・西・南・北すべての守備隊が南に集まり、外壁に迫る巨人を押し返しているという。

「外城守備隊の力では……。」

「はい。対処できません。だから時間を稼いでいるんです。陛下、もしくは王室騎士団の到着を待ちながら。おそらく陛下が先にお越しになるでしょう。」

再び言うが、王室騎士団全員が束になってもロン一人には敵わないという話だった。

ビアトンの言葉を聞いて、イサベルは少し安心した。

ロンと共に戦場を駆け巡ってきた元近衛剣士がそう言うのなら、父への心配を少しは和らげてもよさそうだった。

「でも北側が空いてますよね。」

「はい。北側の城壁が一番堅いんです。」

城壁を頼りに、一先ず急ぎの形で残りの三軍団を防いでいるところだという。

「もしその城壁が崩れたら?」

「そうなると……多くの被害が出るでしょう。今は大規模な避難作業を行っています。城壁が持ちこたえてくれることを願うしかありません。」

ビアトンが話すときの表情は実に落ち着いていた。

この程度の騒動は、騒動とも言えないという感じだった。

イサベルは今日もまた新しいことを学んだ。

『ここって……日本みたいに安全な場所じゃないんだ。』

実際、王宮は世界で最も安全な場所の一つと言っても過言ではなかった。

これほど安全な場所にいるため、これまで危険を肌で感じることは少なかった。

『それにここは王国の首都なんでしょ。』

ここはこの世界でも非常に安全な部類に入る場所だった。

それなら、外郭に住んでいる人々は?結界の保護を受けられない地域の人たちは?

ものすごく多くの人が、地球とは比べものにならないほど別の環境で、危険極まりない環境の中で生きている。

それがあまりにも当然の世の中だった。

 



 

 

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