家族ごっこはもうやめます

家族ごっこはもうやめます【185話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【家族ごっこはもうやめます】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

185話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • カミーラ⑨

「ひゃあああっ!」

騎士たちは見る影もなく潰れてしまった。

生き残ったのはテオルバンひとりだけ。

無惨で冷酷な様子に、テオルバンはまるで風に揺れる柳のように全身を震わせ、恐怖におののいた。

ラルクは自分ができる限りの優しさを見せた。

なにしろカミーラの前なのだから。

「黙って、俺が言うことだけちゃんとやれ。わかった?」

テオルバンは狂ったようにうなずいた。

ラルクの言葉はそれだけでは終わらなかった。

「これから3階に入る者は、俺の許可を得た者以外は全員命はないと思え。」

3階を自由に出入りできるのは、彼の召使いたちとカミーラだけだった。

ラルクはその通告を終えると、カミーラと共に寝室へと向かった。

カミーラは寝室へ向かう途中、困ったような表情でラルクの広い背中を見つめた。

『背中から怒りの気配が伝わってくるんだけど……』

寝室のドアが静かに閉まり、二人の足音が止まった。

カミーラは喉元をいじりながら、おずおずと口を開いた。

「ごめん。私のせいで……」

その謝罪にラルクがぱっと振り向いた。

表情はしっかりと引き締まっていた。

「これは俺が謝るべきことだ。君が謝ることじゃない。」

「そ、そうなの?」

カミーラはそれでも謝った。

自分に非があると思っていたから。

それでも先ほどのようなことがもう起きないだろうと思うと、心が少し落ち着いた。

「ねえ、ラルク。私、魅力ない?」

ラルクはしばらく口をつぐんだ。

『それを魅力って言うのか?』

彼女は堂々としていた。

とても無遠慮で、気を使っていた。

「まったく。」

でも口から出たのは、考えとは違う言葉だった。

「君は全然魅力的じゃない。」

余計なことは考えるなと言わんばかりの、断固とした表情であり、確信に満ちて冷たかった。

ただ「魅力がない」と言っただけなのに、まるで重大な宣言でも聞いたような気分だった。

『おかしいな。』

カミーラはふと視線をそらした。

不思議と心がざわついた。

ラルクはずっとカミーラの手を離さなかった。

彼はカミーラを自分の方へ強引に引き寄せるのではなく、自ら一歩近づいた。

「今日は出かけるな。」

まるで寂しそうに聞こえる言葉だった。

たとえそう聞こえたとしても関係ない。

実際、彼は寂しかったのだから。

彼の赤い瞳には複雑な感情が込められていた。

「ここにいて。君の視野が届く場所に、僕が行ける場所に。外には出られないんだ。」

カミーラは困ったように笑った。

「どうしたの?お金を稼がなきゃ。」

ラルクは彼女がなぜお金を稼ぐために外に出ていくのか理由を知っていた。

ここで無為に過ごすことが申し訳なくて、何とか役に立とうとしているのは明らかだった。ラ

ルクが言った。

「じゃあ、僕のお金、全部君が使えばいい。」

「え?」

「足りなければ、いくらでも稼いであげる。」

お金を稼ぐことなど、ラルクにとってはたやすいことだった。

彼が家門を貧しくして運営しているのは、単なる気まぐれに過ぎなかった。

『魔道具を一つ売るだけでも、豪邸がいくつも買えるのに。』

でもそれをやると、首都の中心に立つことになる。

人間たちは決して彼を黙って見逃さないだろう。

欲を出したら、争ってしまい、みんなが不幸になるだろう。

ラルクはそんな苦く、厄介な過去をあまりにも多く経験していた。

「君が望むようにしてあげる。だから、外には出ないで。」

——彼はそれをすべて受け入れるつもりだと語っていた。

カミーラさえ外に出なければ、戦争が起きようが、世界が滅びようが構わなかった。

本当に、何一つ関係なかった。

カミーラは彼の言葉を黙って聞いていたが、ふと真剣な表情で尋ねた。

「ねえ、私のこと好きなの?」

「……え?」

「いや、なんか告白みたいに聞こえて。もちろんそんなわけないけど!」

カミーラは自分でも妙なことを言ってしまったと感じていた。

ラルクは眉間をじっと見つめ、何か文句を言うかと思った。

だが予想に反してラルクからは何の反応もなかった。

彼はこれまで見せたことのない奇妙な表情をしていた。

まるで茫然としているようだった。

『好きかって?』

俺はこの女が好きなのか?

ラルクは考え込んだ。

「好き」ってどういう気持ちなんだ?

彼は誰かを愛おしい対象として見たことがなかった。

どれだけ記憶を遡っても、そんな感情を感じたことがなかった。

「好き」というのは、自分には無縁の感情だった。

だから何と比べればいいのかもわからなかった。

『俺はただ、この女がここにいてくれればいい。』

自分の人生が三十歳くらいで終わらなければいい。

この女性の弱った体を癒やして、長く生きてほしい。

僕と一緒に生きてほしい。今生でも、そして来世でも。

「………」

初めてだった。

カミーラに対して抱いた感情、その気持ちはすべてが初めてのものだった。

ラルクは手のひらから心臓がドクドクと跳ねるのを感じた。

初めてだったから、その感情が何なのか分からなかった。

だから、口にしてみた。

「そんな気がする。」

彼女の言葉を借りただけかもしれない。

感じたことのない気持ちだった。

この感覚は憎しみでも憎悪でもない。

胸がきゅっと締めつけられるこの感情は、罪悪感でもない。

「あなたのこと、好きみたいだ。」

今度はカミラーが戸惑った。

「え、え……?」

ただ何気なく言っただけなのに、肯定されるなんて?

「は、はは、あ、なんか、戸惑うね。からかってるんでしょ?」

「違う。」

ラルクの簡潔な言葉に、カミーラは口を閉じた。

彼の視線には笑みがなかった。

普段なら茶化すような表情が見えたはずだが、今は一切なく、真剣で緊張感すら漂う目つきだった。

その視線に出会った瞬間、思わず乾いた唾を飲み込んでしまった。

心臓がどきどきして、なぜこんな雰囲気になったのか自分でもわからなかった。

カミーラは無理やり笑顔を作って気まずさをごまかした。

「好きなら好きってことよ、“みたい”とかじゃなくてさ?」

雰囲気を軽くしようとする、照れ隠しのような言葉だった。

ラルクは正直に言った。

「初めてだから。」

「ん?」

「人生の中で誰かを好きになったのが初めてだから、よく分からないんだ。」

「………」

カミーラは静かに衝撃を受けた。

『ってことは、私が初恋ってこと?あの顔で?』

あり得ない!初恋だなんて!私がこの男の初恋だなんて!

カミーラはひどく戸惑った表情でおろおろしながら、ぎこちなく手をばたばたさせた。

『あ、ああ、どうしよう?この状況、どう対処すればいいの?』

そのとき、ラルクがぐっと近づいたまま顎をすっと持ち上げた。

「“好き”ってどういうことか知ってる?」

もし「知らない」と言おうものなら、何としてでも目の前の相手を滅ぼす気なのかという勢いだった。

カミーラは目をさらに大きく見開き、緊張した表情で慌てて顎を引いた。

『き、キスされるかと思った……。』

よく考えてみれば、二人は一度唇を重ねたことがあった。

カミーラはその時の記憶を頭の片隅に追いやっていたのに、急に思い出してしまい、どうしていいかわからず視線をそわそわと彷徨わせた。

顔は、よく熟したリンゴのように次第に赤くなっていった。

「……私も、よくわからない。」

愛だの何だのといった感情をよく知らないのは、カミーラも同じ。

それを感じる機会さえなかったのだ。

彼女の答えに、ラルクは満足そうに微笑んだ。

ただでさえ魅力的な彼が、穏やかに笑ったせいで、目を逸らしたくなるほど眩しかった。

カミーラは気まずさに耐えられず、一歩後ろへ下がった。

するとラルクが一歩近づいてきた。

「じゃあ、僕のこと嫌い?」

それは違った。

「好きか」と聞かれたら、たぶんそうだと答えるだろう。

ただし、それは恋愛感情ではない。

彼と一緒にいるのは楽しいのだから――。

だから嬉しいんだけど……。

「い、いや……」

彼女の答えに、ラルクが一歩さらに近づいてきた。

「じゃあ、好きか?」

「え?あ……それは……」

いつの間にかカミーラは壁に背を預けていて、ラルクはまるで彼女を飲み込むかのように距離を詰めていた。

カミーラはその瞬間、頭の中で考えた。

『ああ、これが噂に聞く壁ドンってやつ……』

ラルクは、彼女が一瞬ぼんやりしているのをじっと見つめ、鼻先で軽くつついた。

「きゃっ。」

カミーラは冷えた鼻をこすりながら彼を見上げた。

ラルクは真剣な表情で言った。

「俺の質問に答えろ。早く。」

――まったく、告白の瞬間までも強引で堂々としている男だった。

カミーラは乾いた唾を飲み込んで口を開いた。

「え、うん、その、あるにはあるんだけど……。」

声が震えた。

ただの友情だと答えたかったが、なぜかその言葉が出てこなかった。

震えていたのは声だけでなく、自分の心そのもののような気がした。

だから「違う」とは言えなかった。

「よくわからない。」

それが、彼女にできた精一杯の返答だった。

ラルクは、その答えが気に入らないという気配をはっきりと見せた。

『俺が片思いだなんて。』

信じられないことだった。

納得がいかない。

ラルクは大きく譲歩した。

「じゃあ、今回の人生では俺を好きになってみて。」

『今回の人生、だなんて、普通そんな言い方する?』

まるで冗談のようにも聞こえるその言葉が、妙に胸を締めつけた。

カミーラはそのむず痒い気持ちを振り払い、少し意地悪な口調で尋ねた。

「来世ではあなたを好きにならなくてもいいってこと?」

「……俺のことが気に入らなかったら仕方ないよ。」

そう言って、彼は肩をすくめた後、少し冷静な声で続けた。

「でも、もし俺のことが気に入ったなら、次の人生でも……その次の人生でも、俺のことを好きでいてくれ。今回みたいに、絶対に俺を見つけて。俺、頑張るから。」

そう話すラルクの表情は、決して冗談ではなかった。

カミーラの顔が真っ赤になった。

こんなラルクに対しては耐性がなかった。

心臓が破裂しそうで、頭が混乱していた。

脳にまで熱が伝わって、湯気がふわっと立ち上りそうだった。

(このままじゃダメだ。このままでいたら、呼吸困難で死ぬか、心臓が破裂して死ぬか、脳が溶けて死ぬか、とにかく死ぬ!)

カミーラは彼から逃げるように手をバッと上げ、ドアの方へ走り出した。

「わ、私、出勤しなきゃ!じゃあね!」

バタン!

ドアが閉まった。

ラルクは思わず笑ってしまった。

「やれやれ……可愛いんだから。」

 



 

 

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