こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

157話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家族ごっこはもうやめます
ナビアは突然、ぼんやりしていた視界が少しずつ戻ってくるのを感じながら、目をぱちぱちと瞬かせた。
「……何なの、突然?」
炎がちらつくのも驚くべきことだったが、振り返ってみるとそれがあまりにも当たり前のように存在していた。まる
で初めから最後まで適当だった神そのもののように思えた。
『そうだね。神だから適当なのかもしれない?』
とにかく無事に戻れてよかったと安堵した。
ところが、時計を確認すると神殿にいる間、時間が一切経過していないようだった。
まるで自身の星座が移動した瞬間だったかのように。
ナビアは手首を確認した。
黒い存在はすぐに強烈な存在感を放ち始めた。
月の力も完全に半分ずつ黒と白に分かれたわけではなく、白い力が消えたわけでもなかった。
むしろ互いの力が補完し合い、能力値が削られていた状態から完全に解放された。
それはまさに完璧な力だった。
「黒月の力と白月の力を両方使えるのだから、これは『グルム(均衡)』と呼ぶのが良さそうだ。」
ナビアは新しく得た能力に向かって挨拶をした。
「よろしくね、グルム。今から私たちがやるべきことがある。」
ぱっ!
視界はもう一度姿を変え、アグニス宮殿の壮大な庭園が現れた。
何百もの部屋と五つの大きな区画に分かれた大規模な庭園と星座の間があった。
これほどまでに宮殿と呼ぶにふさわしい壮麗な邸宅は、かつてナビアの誇りそのものだった。
このような豪華で雄大な邸宅を所有している家門はほとんど存在せず、魔力の鉱山を所有している家門でさえ、この威厳には及ばなかった。
ナビアはアグニスがさらに、そしてずっと偉大であり続けることを願った。
私の家門だから。
私はナビア・アグニスだから。
彼女はそうやってアグニスを深く愛し、この場所を大切にし、尊重していた。
家族であることを望み、アグニスが最も完璧な後継者を求めることを理解していた。
世界はここ以外には存在しないのだから。
「久しぶりね、ここも。」
ナビアは感慨深い表情で正門に近づいた。
しかしその瞬間、険しい表情をした衛兵たちが彼女の前に立ちはだかった。
「どなたですか?」
衛兵たちは困惑した表情を浮かべながらも、風になびく黒いベールの奥に輝く赤い瞳を目にした。
首都で銀髪と赤い瞳を持つ女性といえば、ただ一人しかいなかった。
「えっ、エセルレッドお嬢様……?」
「まさか、約束を果たしに来られたのですか?」
ナビアは肩をすくめて答えた。
「そんなはずがない。」
衛兵たちが「えっ?」と問い返そうとしたその瞬間、ナビアは呪文で彼らを眠らせた。
どさっ!
彼らが崩れ落ちる間をすり抜け、ナビアは軽やかに正門を通り抜けた。
ゆっくりと歩みを進めながら、ナビアはアグニスとの関係について考えたことを思い出していた。
長い間、自分を苦しめてきた悪夢のような過去をどう清算すべきだろう?
事業を破綻させるのか?
政界から引きずり下ろすのか?
それとも誰にも知られずにただ消し去るのか?
それとも、ゆっくりと彼らを苦しませながら、このアグニスという王国が崩壊する様を見届けるのも悪くない。
そんなふうにじわじわと毒を注ぎ込み、彼らを破滅へと追いやるのだ。
『私が長い間苦しんだのだから、彼らにも同じだけの痛みを味わわせたい。』
だが、自分に家族ができて、幸福を確信する瞬間から、自分を苦しめてきた過去の影響が消え去り始めていた。
多くのことが虚しく感じられた。
今やアグニスは尊く、まるで幻想のような存在により近づいた。
それでも復讐をしないという選択肢はまるで考えられなかった。
誰かが「復讐なんて無意味だ」と語り、「空しい」と言うかもしれないが、ナビアはそうは思わなかった。
復讐とは病の根源を取り除く行為だった。
化膿した傷をそのままにして、いくら薬を塗ったとしても、よりひどくなるだけである。
だからこそ、傷を根本から取り除かなければならなかった。
それが心の傷を癒す最初の行動ではないのだろうか?
さらに今、彼女には不幸に抵抗する力が芽生えていた。
膿んだ傷を癒す方法を、ナビアは持っていた。
ナビアは建物のすぐ前にある噴水台の前で足を止めた。
アグニスは依然として童話の中の世界から飛び出してきたかのように美しかった。
しかし今や、この場所が美しい「新章」という名の場所であることをナビアは知っていた。
「9回目とはいえ、ずいぶん時間がかかったわね。」
ナビアが噴水台に静かに立ち、邸宅を見つめる姿が周囲を忙しく歩き回っていた使用人たちの目に留まった。
「え……? あの人、もしかして……?」
「エセルレッド嬢じゃないの?」
周囲が瞬く間にざわめき、一気に騒ぎが広がった。
「誰か家主様を呼んで来て!」
招かれざる客が突然現れたことで、どれほど驚き戸惑ったことだろうか?
ナビアは無表情のまま本館の正門の前に立っていた。
知らせを聞いたのか、リンという執事が慌てて飛び出してきた。
彼は明らかに動揺した表情を隠すこともできず、ただ立ち尽くしていた。
「お嬢様、どうやってここまでいらしたのですか?何の前触れもなかったのに……。」
ナビアは微笑みを浮かべた。
『反応を見る限り、使用人たちには万神殿のことは知らされていないようね。』
自分が明日の生贄として捧げられる予定だと知っていれば、何が起こったのかを尋ねるどころか、すぐさま魔法使いを連れてきたはずだ。
ナビアはわざわざ答えることもせず、執事のそばを通り過ぎた。
「お嬢様?」
執事は慌てて彼女の後を追った。
「お嬢様!これは一体どういうご無礼ですか?今、屋敷の中には他のお客様がいらっしゃいますので、後ほど訪問の約束を……!」
「黙りなさい、執事。」
ナビアはつかつかと横を歩いて自身を気に掛けている執事を冷たく見た。
「私がここにいい感情を持って来たとでも思う?」
「え……?」
ナビアはこれ以上説明する気がないかのように、固く閉じられた門扉に向かって手を伸ばした。
そして正門が爆発した。








