家族ごっこはもうやめます

家族ごっこはもうやめます【182話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【家族ごっこはもうやめます】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

182話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • カミーラ⑥

カミーラは結局風邪をひいた。

「ゴホッ!だ、大丈夫、ゴホッ!」

ラルクは風邪のような病気にはかからなかった。

単に健康だからというよりは、そういう平凡な病気にかかることのない肉体だった。

そんな理由で彼はカミーラの看病を引き受けることに。

自発的ではなかった。

「私たちももう老人と呼ばれる年頃ですからね、主君。この気の毒な老人たちが風邪にかかると、もっと悪化するでしょう?」

マーガレットが気の毒そうに見せかけた表情で彼に看病を押し付けたのだ。

『老人のようなことを言うな。休むこともできない老人が世の中にいるのか?』

ラルクは表情をじっと見ただけで、反論はしなかった。

その結果、水が少しずつ滴り落ちるタオルをカミーラの額にぐいと当てながら、ラルクはこれ以上ないほど無愛想な看病をしていた。

ラルクは圧の強い看護人だった。

「静かにして薬を飲め。」

風邪薬はミネルバが作ったものだった。

ミネルバはまだ子どもだが、風邪薬を作ることはよくあることだった。

カミーラは彼が言う通りに薬を飲んで、再びぐったり横になった。

彼女はぼんやりとした目でラルクをじっと見つめた。

気分がふわふわしていた。

ラルクは優しい看護師ではなかったが、他人からの気遣いを受けるということ自体が、彼女には大きな感動だった。

ラルクはじっと見つめられている視線を感じて、カミーラを一度ちらりと見て、また見返した。

「何見てんの?」

カミーラは今日に限って、彼のぶっきらぼうな口調が心地よく感じられ、思わず笑ってしまった。

「私たち、友達になりませんか?」

これくらいなら、もうかなり親しいんじゃない?

「ふざけないで、寝ろ。」

カミーラは咳き込みながらも笑った。

一体何がそんなに楽しいのか、笑顔を絶やさなかった。

とはいえ、無理に作る笑顔ではなかった。

彼女は本当にここで幸せそうにしていた。

それが、とても不思議だった。

カミーラの態度だけを見ると、ここがまるで天国のようにも思えた。

どうしてこの陰鬱で憂鬱な場所を、そんなふうに思えるのか?

『正気じゃないな。』

「お前、この黒ずくめの服って、館には合わないと思わないのか?」

「どうして?黒が好きなんですけど。」

「そういう意味じゃ……もういい。」

やはりこの女と話すと、自分の方が混乱してくるようだった。

ラルクはぬるくなったタオルを冷たい水に浸し、再び女の目元まで拭ってやった。

今回はさすがに文句も言わず、丁寧に水分を拭き取ってやった。

カミーラもその違いに気づいて、咳き込みながらもこっそりと微笑んだ。

ラルクは眉間にしわを寄せた。

次は文句を言わせないよう、口元にタオルでも叩きつけてやろうかと思った。

カミーラはそっとタオルを持ち上げながら、彼に問いかけた。

「公爵様、お名前は何ですか?」

「私がエセルレッドの公爵だとわかっているなら、名前も知っているはずだろう?」

「もしかして違うかもしれないじゃないですか。」

無理のある言い分だった。

それでもカミーラは、体調が悪いのを言い訳に冗談めかして切り出した。

彼の口から名前を聞いてみたかったのだ。

ラルクはふざけるなと言わんばかりに無表情で、しかし素直に名前を教えてくれた。

「ラルク。」

カミーラは鸚鵡のように繰り返した。

「ラルク……。」

『名前もカッコいいな。』

カミーラはこっそり、完璧すぎるラルクを見つめて感嘆した。

「よく似合ってますよ。」

ラルクは思わず鼻で笑った。

当たり前のように言い返してくるその表情に、カミーラはまた笑い出した。

今度はラルクの方が気になって尋ねた。

「昨日はどこにいた?」

いったいどこにいたから保護魔法が破られてしまったのか?

カミーラは急に何かを指摘されたような反応で、タオルから手を離した。

そのせいで目元がタオルに隠れて見えなくなった。

「ええっと……こことか、あそことか?」

はぐらかそうとするそぶりが明らかだった。

ラルクは気まずさを隠そうともせず、率直に言った。

「私がかけておいた保護魔法は、ちょっとやそっとの力じゃ壊れない。覚悟を決めて殺そうとして使った魔法とぶつかっただけだ。」

「わぁ。そんなすごいものを私に使ってくれたんですか?」

「話をそらすな。」

すると、得意げにしていたカミーラの口元がしょんぼりと落ちた。

「実は、死にかけました。」

カミーラは昨日、正気を失ったままエセルレッドを抜け出し森へ入っていった。

葉も生えていない森はまだ世界が冬だと主張しているかのようだった。

そこで彼女は刺客と鉢合わせた。

カミーラはもうダメだと死を覚悟して目をぎゅっとつぶった。

だが、刺客の爆撃は彼女にかすり傷一つ残さなかった。

『今回は助かったけど、次は保証できない。』

刺客を送り込んだ者の正体は、カミーラのような才能あるコピー・キャット魔法使いを利用して闇商人を支配していた家門の長老たちだった。

刺客はカミーラがどこに隠れていようとも必ず見つけ出した。

日が経つごとにより正確で強力な刺客が現れるようになっていた。

『私のせいでこの人たちまで被害を受けるかもしれない。』

ラルクが並外れた魔法使いであるという事実に、ようやく思い至った。

とはいえ、何度も命を懸けて守ってもらえるだろうか?

彼にとって面倒くさくはないだろうか?

カミーラは実はここを離れたくなかった。

親友のエステルを除いて、こんな温もりは初めて感じた。

欲が出た。

この場所に留まりたかった。

カミーラはそっと下唇を噛んでから正直に告白した。

「私を殺そうとする人たちがいるんです。彼らが送った爆発する鳥が現れたときに……それでここへ逃げてきました。」

ラルクは彼女の話をじっと聞いてから、あまり感情を込めずに口を開いた。

「たかがその程度のことで一人で震えていたのか?」

カミーラは自分でも気づかぬうちにタオルを上げ、ラルクと視線を合わせた。

「私に効く魔法なんてない。」

彼が落ち着いてそう言うと、カミーラの顎をそっと下ろした。

「……?」

彼が何の前触れもなく唇を重ねた。

開いた唇の間に息がすっと入り込んできた。

「!」

カミーラは一瞬驚いた表情で目を見開いた。

だが、はっとした。

自分とはまったく違う、寒々しい冬の香りが全身に染みついていた。

これがこの人の魔力の香りなのか。

ほんの少しラルクが近すぎて、柔らかく唇が触れた感覚すらしばし忘れてしまった。

やがて、二人の唇が離れた。

ラルクは表情を変えることなく、カミーラを見つめた。

「刺客が君を見つけたのは、魔力のせいだろう。俺の魔力で君の香りをかき消したから、もう感知はできない。」

「あ……」

だからキスしたんだな。

カミーラはぽかんとした表情で顎を引いた。

ラルクは説明を終えると席を立った。

彼が部屋を出ようとしたとき、カミーラが慌てて上半身を起こして彼を呼び止めた。

「公爵様!」

「……友達になろうって?」

カミーラは何も言えず、目だけぱちぱちさせた。

ラルクはドアノブを握ったまま後ろを振り返らずに言葉を続けた。

「“公爵様”って呼ぶのはやめろ。」

「あ。」

カミーラは呆然とした表情のまま、呆然とした声を漏らしてしまった。

彼女はかなり遠慮のない性格だったため、名前を呼んだ。

「ラルク。」

それだけでなく、かすかに寂しげにこうも言った。

「助けてくれてありがとう。」

ラルクは答えず、ドアをバッと開けて部屋を出ていった。

去っていく彼の耳が真っ赤に染まっていた。

 



 

キスではないが唇を重ねたあと、ラルクとカミーラの関係はどこか曖昧になった。

少なくともカミーラは、彼をかなり親しく感じていた。

「ラルク!」

彼女はラルクの執務室のドアを勢いよく開けて入ってきた。

手には小さな花瓶を持っていた。

ラルクは無表情な顔で彼女をちらりと見て、すぐに視線を下ろした。

しかし「出ていけ」とは言わなかった。

お互いがそばにいるのが次第に当たり前になっていった。

カミーラは外に出て戻るたび、やはり彼のために花を持ってきた。

ここは庭園でもなんでもない。

狩り場を隠すカーテンと陰鬱な木だけの空間だった。

だからこそ、彼に春を贈った。

カミーラはすでにぎっしりと詰め込まれた花瓶に今日も花束を無理やり押し込みながら、鼻歌を歌うように言った。

「私は春が一番好き。」

ラルクはカリカリと文字を書きながら、ふっと笑った。

『そんなものが好きなんだな。』

ひたむきなカミーラのおかげで、ラルクの寝室と書斎は花でいっぱいになっていった。

そのとき、カミーラが彼のそばにぴたりと寄って立ち、腰をさっと引き寄せた。

二人の視線が近づいてぶつかった。

「あなたはどの季節が好き?」

ラルクは普段より少し大きく見開いた目で、彼女の潤んだ瞳を見つめた。

一瞬、心臓がドンと落ちるような奇妙な感覚がした。

ラルクはわざと不機嫌そうな顔をして、神経質に答えた。

「そんなものはない。」

カミーラは「やっぱり性格の悪いラルク……」とぶつぶつ言うだけだった。

キスの後、そのことを気にしているのはラルクの方だった。

表情は何事もなかったかのように平然としていたが、赤く染まった耳はそうではなかった。

『なんだ、最近どうしちゃったんだ?』

彼はカミーラがいて気楽なのに、なぜか落ち着かず居心地が悪かった。

『気楽なのに不快だなんて、これじゃバカみたいじゃないか。』

カミーラのせいで冷静さが失われてしまったのだろうか?

ラルクは考え込んだ。

カミーラは自分が持ってきた花で花冠を作っていた。

彼女が完成させた花冠をラルクの頭にポンとのせて、くすくすと笑った。

「すごくきれい、ラルク。とても似合ってる!」

「……」

エセルレッド家門史上最高の天才である自分が、こんな返しようもない冗談に振り回され、日常はバカげたことと大差ないレベルになっているなんて、プライドが傷ついた。

「こんなもの、お前がつけろ。」

ラルクは素っ気なく言いながら、自分の頭につけられた花冠を彼女の頭の上にのせた。

「へへ、どう? あなたくらいきれい?」

「ふざけるな。」

カミーラの頭にちょこんと乗った控えめな花々は、やや雑に編まれた花冠にもかかわらず、なぜかとてもよく似合って見えた。

あの詐欺みたいな見た目のせいだった。

あの顔のせいで、どんなにぼんやりしたことをしても、ぼんやりして見えなかった。

むしろ、可愛く見えた。

バン!

ラルクが机を拳で叩いた。

「きゃっ! びっくりした。」

カミーラは呆れたようにラルクを見てため息をついた。

「急にどうしたの?」

ラルクは無表情で口を開いた。

「虫がいた。」

「そうなの?」

ラルクはさっき自分が思ったことに衝撃を受けていた。

『俺があの女を見て可愛いと思ったなんて――もしかしてこの女、正気を失った魔法使いかもしれない。そうでなければ、あんな女を可愛いと思うはずがないだろう?』

ラルクは自分が一瞬よぎったその考えを強く否定した。

カミーラは鼻歌を口ずさみながら、今度は花の指輪を作っていた。

あまりに不器用で、茎を五回も連続で切ってしまっていた。

「はい、どうぞ。」

ラルクはうんざりした顔で花を受け取り、あっという間に見事な花の指輪を作ってみせた。

「すごい……」

カミーラは感嘆しながら、思わず大きく拍手をした。

彼女は花の指輪まで作り終えると満足げに茎をいじりながらラルクに聞いた。

「あなたも一つ作ってあげようか?」

「さっきその指輪を作ったのが誰か覚えてる?」

「あるじゃん、この中でどの花が好き?」

「……」

言葉を交わしても会話がかみ合わないので、ラルクはむしろ黙ることを選んだ。

カミーラは答えが必要ないとでも言うように、彼の左隣にちょこんと座り込んで指輪作りを始めた。

彼女は器用に作業し、10分ほどで細い指にぴったりはまる可愛い形の花の指輪を作り上げた。

カミーラは日差しの下で花の指輪をかざして、にこりと微笑んだ。

「さあ、私がはめてあげるね。」

彼女は手を上に伸ばしてラルクの手を取り、ラルクはそれに任せてそのまま差し出した。

「え?指輪がちょっと小さい。」

彼女は最初、人差し指にはめようとしたがサイズが合わなかった。

中指にも入らず、小指にはめてみた。

「ここがぴったり!」

なんと、ぴったりだったのは左手の小指だった。

ラルクは思わずカミーラの表情をちらりと見た。

カミーラは特に何も考えていなかった。

左手の小指に指輪をはめたという事実を意識していたのはラルク一人だけだった。

そのことがまた自尊心を刺激した。

だが、指輪を外さなかった。

彼はそのまま花の指輪をくるくると回しながら見つめていた。

カミーラは「マーガレットとスレイマン、ミネルバの首飾りまで作るんだ」と言いながら、また花の指輪作りに熱中していた。

ラルクは、彼女が視界にいるこの瞬間が一番平和だと感じていた。

サクサク。

ペン先が奏でる柔らかな音が書斎に響いた。

ラルクは最近、新しい研究をしていた。

死なない方法ではなく、もう少し生き延びる方法だった。

そのとき、太ももに何かが触れた感覚があった。

視線を下ろすと、カミーラが彼の太ももに頭をもたせかけ、ぐっすり眠っていた。

「……」

ラルクは眠る彼女をそのままにして、再び書類に視線を移した。

サクサクッ。

彼は「バカ」と書かれた紙を彼女の頭にそっと乗せた。

彼は満足げに笑った。

 



 

 

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