こんにちは、ちゃむです。
「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

7話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ⑦
ボルドウィン公爵家はしばらくの間かなり静かだった。
彼らの主人にいくつかの災難が次々と降りかかっていたからだ。
まず、6年の間、行方不明だった公爵夫人が謎の習慣に巻き込まれて死亡していたことが明らかになった。
そして、彼女が公爵に隠して育てていた幼い娘がいることも判明した。
公爵は夫人に何が起こったのか、なぜ娘の存在を隠してきたのかを知るよりも、事故現場で行方不明になった娘の行方を探し始めた。
「ボルドウィン公爵が行方不明の娘を探している」という話は、瞬く間に情報網を通じて広がり、暗闇の道をたどるように遠くまで伝わった。
誰かが、彼が一度も自分の娘に会ったことがない点を利用し、公爵夫人に似た女性を連れてきた。
幼い少女が彼のもとに送られてくることもあった。
「公爵様が行方不明にされた娘です」という言葉とともに。
そのようなことがかなり頻繁に起こった。
公爵はそのような不届き者たちがいると知りながらも、自分の娘だと主張するすべての子どもたちを慎重に迎え入れた。
司祭たちの神聖な力により、すべての真実が明らかにされ、何度も「公爵の血ではない」という答えが返ってきた。
それに対して、ある詐欺師たちは「公爵様、恐れ入りますが、公爵夫人が育てていた子どもの父親は別の方で……」という話を持ち出した。
もちろん、公爵がそのような話を信じるはずもなく、彼らは詐欺罪を免れることはできなかった。
そんな中、公爵夫人が襲撃を受けた場所の近くにある村で、「貴族の子どもを奴隷として売るつもりだ」という噂が聞こえてきた。
公爵は直ちにその村に向かい、そこで出会った子どもたちとともに馬車に乗り込んだ。
こうして公爵は屋敷へと戻っていた。
彼は真っ直ぐな姿勢で座り、向かい側に座っている少女たちを見つめていた。
長い時間馬車に乗っていると退屈するものだが、子どもたちはどこでも遊び場を見つけてはしゃぎ、笑い声を上げていた。
もちろん、それが長時間続くと、ロレッタという少女は疲れたのか、メロディの膝に頭を乗せて眠り込んでしまった。
「なかなか親しげだな。」
公爵は眠り込んだ子どもの無防備な姿を見ながらそう呟いた。
とはいえ、そうでなければメロディをこうして連れて帰るという発想も浮かばなかっただろう。
「ええ。ありがたいことに、ロレッタは私をとても気に入ってくれたんです。」
そう言うメロディの顔には微妙な影があった。
それが何か心に引っかかるものでもあるかのように。
「私……。」
メロディはしばらくためらった後、意を決したように口を開こうとしていた。
メロディは公爵に向かって慎重に話しかけた。
ロレッタを守るためについてきたものの、心に引っかかることは話しておいたほうが良いように思えた。
「これをお話しするべきか、ずっと迷っていました。」
「何を?」
「ロレッタのことです。」
メロディの声は少し前よりもさらに低く、落ち着いた調子に変わった。
もしかしたらロレッタが目を覚ましてしまい話を聞かれることを心配している様子だ。
「年齢の割に慎重な子だな。」と公爵は思った。
「時々、ロレッタが過去の出来事を正確に覚えていないように思えるんです。確信は持てませんが……。」
「過去の出来事?」
公爵はメロディが曖昧に表現したことに対して鋭く問い返した。
「母親のこととか……。つまり、その、公爵夫人のことです。母についてはよくわからないと言っていたことが何度かありました。」
公爵はメロディが「公爵夫人」について話すときに自分の表情をじっと見ているのが少し不思議に思えた。
まるで、公爵家の事情を知っているかのように見えて。
とはいえ、そんなことがあるはずもなく、この子はかなり気が利く子なのだろうと考えた。
そして、公爵は普段から小さなことでも気が利く人をかなり好むタイプだった。
「確実ではありませんが、事故があった日が傷として残っているのは間違いないと思います。光の反射を怖がるようでした。」
公爵は馬車が光に滑り込むことでそのような事故が起こった、という分析報告を思い出し、苦い記憶が蘇った。
幼い子どもが事故現場で感じた恐怖が深く刻まれ、それを紛らわせることができないのも無理はない。
「詳しくはわからないのですが、それ以上のことは本人がまだ幼いので、あまり追い詰めたくはありませんでした。」
「その判断は正しいと思います。」
公爵はロレッタの心理状態を考慮しながら、穏やかに話を進めた。
「時間が……必要だろうな。」
その間、メロディの存在はロレッタにとって大きな助けになるだろう。
何より、ロレッタは彼女の心の支えを求めているように見えた。
「君が彼女の面倒を見てくれると助かる。」
メロディは迷いなく、むしろ熱心にそれを受け入れた。
公爵のために尽力することに対しても、メロディは誇りを感じているようだった。
こんな立派な馬車に乗せてもらって同行できるのだから。
「私よりも公爵様のほうがもっと大変でしょう。あの子は公爵様の娘ですから。」
メロディは冗談めかして微笑んだ。
その笑顔には少しばかりの気楽さが感じられた。
あの堅物の公爵が、自ら人形のような娘を相手に苦労している姿を思い浮かべたからだ。
「そうだな。」
公爵は、それでも娘を名乗って訪ねてきた多くの少女たちのことを思い出しながら短く答えた。
子どもたちを思い返してみると、本当に夫人にそっくりな子もいた。
しかし、血縁の娘ではなかった。
みな、誰かが背後で計画した子どもたちにすぎなかった。
もちろん、公爵はロレッタやメロディが誰かの命令を受けて彼を陥れようとしているとは考えなかった。
捕らえた詐欺師の女性たちを調査した際も、疑う余地のある者は一人もいなかった。
それはただ、家族を失った本当に不幸な子どもたちだった。
たとえロレッタが公爵の娘ではなかったとしても、公爵は二人の子どもが首都で生活を続けられるように十分な援助をするつもりだった。
あの小さな子どもにとって彼は、財産の詰まった袋のような存在でしかないのだから。
「現時点では、その子が私の娘であるかどうか確証は持てない。」
「ロレッタは間違いなく公爵様の娘です!」とメロディは抗うように答えた。
どうしてそんな確信を持てるのだろうか?
そのようなことを言えるのかという顔つきだった。
冷静で真剣な表情だったが、公爵は問題視することなく問いかけた。
「それを君がどうして分かる?」
これまで公爵は「この子は間違いなく公爵様の娘です!」という言葉を何度も聞いてきた。
幼い少女を連れてくる人は皆、そう口にしたからだ。
そのたびに彼は「それを君がどうして分かる?」と尋ねた。
すると彼らは決まって「亡き公爵夫人にそっくりな顔をご覧ください。間違いありません。」といった類の答えをしたものだ。
確かに、その子たちが夫人に似ているのは事実だったが、それだけでは確証とは言えなかった。
「この子が私の娘だということを、君はどうして分かるんだ?」
公爵は詐欺師たちにしたのと同じ質問をメロディに投げかけた。
「それは……。」
メロディは大きな瞳をぐるぐると回しながら、少し困った様子を見せた。
少女は手の先に触れていたロレッタの柔らかな髪を撫でながら、自信のない声で答えた。
「ちょっと似ているんです。」
またその言葉か。
公爵はその曖昧な答えに、わずかに眉をひそめた。
「公爵様とロレッタのことです。」
「ふむ……?」
彼は自分でもよく分からない疑問の声を上げつつ、眠っている子どもの顔をじっくりと観察した。
鏡越しに毎日見ている自分の顔とは大きく違う。
その心を察したのか、メロディは笑いながら説明を加えた。
「顔つきが似ているという意味ではなく、雰囲気がそっくりだということなんです。」
「それは一体どういう感じだ?」
「まさにこういう感じです!」
メロディは眠るロレッタの顔を隠しながら言った。
「キラキラしていますよね?こんなに可愛い娘なら、眠っている顔を見ているだけで一日中幸せになれそうじゃないですか?」という奇妙な言葉とともに。
公爵は幼い子どもに対して無駄なことを言ったと思い、窓の方を向きながら小さな声で呟いた。
「この世に、娘が眠る顔をただ眺めながら喜びを感じる愚かな人間がいるのか……。」
メロディは「愚かな幸せの象徴を見ているのはまさにあなたですよ」とは口に出さなかった。










