こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

169話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 赤ちゃんになったナビア④
ラルクの腕にしっかりと抱かれたまま、ナビアは椅子の上に座っており、他の人々はソファに腰掛けていた。
ラルクはミルクが入った温かいスープを匙で取り、息を吹きかけて冷ました後、ナビアの口元へと運んだ。
「さあ、食べてみなさい。」
ナビアは空腹で仕方なく、大きく口を開けた。
「あーん。」
スープを飲み込むと、緊張していた気持ちが少し和らいだようだった。
ナビアは夢中で口を動かし、スープを飲み込み、また口を大きく開けた。
普段のナビアなら決して見せない無邪気で品のない行動だ。
その姿が可愛すぎて、ラルクはもう幸せでたまらない気持ちになった。
『本当に、なんて可愛いんだ!』
ラルクは頬が緩みきった顔で、その様子をじっと見つめていた。
『うちの娘は誰に似てこんなに可愛いんだ?やっぱり私かな?』
ナビアは待ちきれず、食べ物がなかなか口に運ばれないことにしびれを切らし、ラルクの腕を軽く叩いて早く食べさせてほしいと催促した。
「あーん!」
ラルクは思わず心臓が跳ね上がりそうになった。
『これを見られずに死んでしまったらと思うと、なんてことだ。』
本当に生きていてよかったと心の底から感じていた。
「そうそう、いい子だ。はい、どうぞ。」
「あーん。」
使用人たちは皆、ラルクと同じような表情で、胸に手を当てながらナビアをじっと見つめていた。
『可愛い……。あのほっぺを一度だけつねってみたい。』
「ご主人様、お疲れではありませんか? 私が赤ちゃんのお世話をお手伝いいたします。」
スレイマンが控えめに提案すると、ラルクの目が鋭く光った。
「……疲れたら頼むという意味です。」
「ふん、気を引き締めておく。ミネルバ、ナビアの状態はどうだ?」
ラルクは簡潔に話を締めくくった後、ミネルバに発言を促した。
ミネルバは緊張した様子で真剣な表情を浮かべ、診察結果を話し始めた。
「とても健康な赤ちゃんですね。」
「ほぅ。」
まるで重大な結果を聞いたかのように、感嘆の声が漏れた。
ナビアはそれがなんだか恥ずかしく感じた。
「ふむ、やはりそうか。」
ラルクはテーブルの上に置かれた壊れた懐中時計をじっと見つめた。
「私もナビアに特別な異常は見つけられなかった。赤ちゃんになった原因が魔法によるものではないということだな。」
ナビアは真剣な表情でラルクを見上げた。
「それなら……?」(「つまり……?」)
困惑しながらも少し希望を持った顔には、わずかに緊張の色が見えた。
時計だと…。
ラルクは思わず小さく笑いそうになったが、ぐっとこらえた。
『いけない、ここで喜びを露わにしたら、ナビアが怒ってしまう。』
可愛すぎて思わず眺めたい衝動を感じたが、もし「お父さんが悪い」と言ってナビアが泣きながら他人の腕に飛び込んでしまったらどうしよう、と考えると、それは絶対に避けたい事態だった。
その間、ラルクはナビアを観察しながら、彼女の性格を少しずつ理解していった。
しかし、どうしても娘の可愛らしさを抑えきれず、ついに唇の端が少し緩んでしまった。
すると、赤ちゃんになったにもかかわらず、鋭い目つきのままのナビアがじっとラルクを睨んだ。
「笑いましたね?」
ラルクはぎくりとし、少し困惑した表情を浮かべた。
『状況に応じて適切に振る舞うべきだ。自分勝手な性格だなんて。』
誰に似たのだろう。
「うーん、お父さんは笑ったんじゃなくて感動したんだよ。」
「嘘だ。ナビアは馬鹿じゃない。」
「本当なんだって。」
ナビアは目を細めてラルクを睨んだ。
まるで威圧するような表情を浮かべているつもりだったが、その赤ちゃんの顔では威圧感よりも可愛さの方が際立ってしまった。
「ナビア、痛いのにどうして?どうして笑うの?」(「娘が痛がっているのに笑ったの?」)
ゴン!
ナビアは怒りを抑えきれず、小さな拳を固く握りしめてぶるぶる震えた。
「もう!痛い、痛いってば!こんなことじゃお父さん、死んじゃうよ!」
ラルクがあたかも苦しんでいるかのようにわざとらしく呻くと、ナビアの怒りはさらに増した。
「ぎゃー!」
「お姉さん。」
クリードの声にナビアは怒りを止めた。
さっきまで自分が何をしていたのかに気づき、顔が真っ赤になった。
クリードはいつの間にかナビアのそばにしゃがみ込み、心配そうな表情で見つめていた。
「痛かったの?」
ナビアは急に黙り込んでしまった。
「大丈夫!全然痛くないよ!」
赤ちゃんになったとはいえ、ナビアは姉であることには変わりなかった。
だからこそ、クリードに心配をかけたくなかったのだ。
しかし、彼女の毅然とした返答にもかかわらず、クリードは曇った表情を隠せなかった。
「でも、お姉ちゃんがこんなに小さくなっちゃったんだよ。すごく心配だよ……。」
「クリード……。」
クリードは言葉をだんだんと習得し、簡単な意思疎通ができるほどになっていた。
子供らしい純粋さが込められた言葉に、真摯な心配がにじみ出ており、それに触れたナビアの心はチクンと痛んだ。
『私をこんなに心配してくれるのは、クリードだけだわ。』
「お利口さん。」
ナビアは小さな赤ちゃんの手を伸ばして、しきりに自分を撫でようとするクリードを撫でてあげようとした。
しかし、手が短すぎて届かなかった。
「きゃっ!」
それでもなんとか手を伸ばそうとしたとき、クリードが彼女の手に顔を近づけてきた。
「えへへ。」
ナビアは満足そうに笑いながら、頼りがいのあるお姉さんらしくクリードを撫でてあげた。
クリードもナビアに倣って無邪気な笑みを浮かべた。
二人の子供たちの愛らしい姿に周りの者たちが堪えきれず、微笑みながらも心の中で感嘆の声を上げる様子は微笑ましかった。
その時、ラルクは片目をそっとぬぐった。
『なんだ?最初に見たときから涙腺が緩みっぱなしだ。まさか、こんな些細なことで嫉妬するなんて?』
ラルクは普段からそうであったが、今は特にナビアの関心を独占したいと思っていた。
それもそのはずで、いつまた赤ちゃんの姿をしたナビアと共に過ごせる機会が訪れるか分からないのだから。
この一分一秒が何よりも貴重だった。
娘の注意がそれるたびに、ラルクは焦りを感じながらもナビアをそっと見つめていた。
しばしの間、ナビアの頭を撫でていた小さな動きが止まると、クリードが鋭い目つきで彼女を見つめた。
クリードにとっては、まだ野生の本能が完全には消えていなかったのだ。
そのため、自分の縄張りを奪われまいとするかのように、すぐに鋭い視線を送り返してきた。
二人の視線が虚空で軽やかにぶつかった瞬間だった。
ぐう。
スープをスプーンでたった二口与えただけでは、ナビアのお腹は満たされず、ついに「ぐう」と音を立てた。
ナビアの目には再び涙が浮かび、ぐるぐると揺れ始めた。
「ひぃん……。」
見かねたマガリットが「主君」と呼びかけ、ラルクを戒めるように注意した。
ラルクは、ナビアが空腹でふらつくのを見て急いでスプーンを手に取った。
「ご飯!ご飯あげるよ!」
彼は新米パパのような様子で急ぎながら、すくったご飯を差し出した。
「ごめんね、ナビア。お腹空いたよね?」
ナビアの口に食べ物が入ると、涙がついに止まった。
すぐに食べ終わった。
赤ちゃんというのは本当に単純で大変なものだな……。
ラルクは育児が容易なものではないことを少しずつ理解し始めていた。
そして、ナビアに食事を与えながらさらに説明を続けた。
「ナビアが突然赤ちゃんになったのは、ただの魔法のせいじゃない。おそらくポリモーフ魔法の問題が発生して、百年以上の時間が逆行したみたいだ。それを安全だと判断したんだろう。」
「逆行?」(「時間が逆戻りするってことですか?」)
「うん。回帰に似てるけど、全体の時間が戻るんじゃなくて、肉体の時間だけが巻き戻された。だから魔法では元に戻すことができないんだ。」
……戻せないだって?
ナビアはラルクの言葉に耳を傾けた後、その意味を悟り、呆然とした表情で固まってしまった。
「ナビア、赤ちゃん……? 永遠に……?」
『本当に赤ちゃんになってしまったの? このまま赤ちゃんとして生きていかないといけないの? そんなのあり得ない。』
「ふぅぅ……。」
聞くだけでも不幸な話の連続に、ナビアがまた泣き出しそうな様子を見せたので、ラルクが慌てて言葉を足した。
「永遠じゃない!」
「……永遠じゃないの?」
「当然だ。百年以上も前にニクスが授けた力だろう。もちろん、お前が安全になったときに元の姿を取り戻せる。」
「お父さんは役立たずだって言ったじゃない。」(「お父さんは役立たずだって言ったのに。」)
ラルクはまたしてもその発言が問題だと思い、心の中で愚痴りながらもぎこちなく笑った。
「お父さんがそう言った? 聞き間違えたんじゃないか?」
「いいえ。」
ナビアはきっぱりと答えた。
「とにかく! 今、百月が一生懸命にあなたの時間を元に戻そうとしている、それが重要でしょう?」
「それはその通りだね。」(「その通りです。」)
赤ちゃんとして生き続けるわけではないという言葉を聞いて、ナビアの表情が再び和らいだ。
『うん。赤ちゃんのナビアの前では特に言葉遣いに気を付けないといけないね。』
「それでも、しばらくの間は赤ちゃんのままで過ごさなければならないよ。今の状態でポリモーフの魔法で成長を一時停止してしまったから、固定された時間に新たな問題が起きる可能性もある。意味は分かった?」
それくらいなら我慢できるというものだった。
「はい。」
ナビアの毅然とした返答に、ラルクは満足げに微笑んだ。
「よし、しっかりしているな、うちの娘は。」







