大公家に転がり込んできた聖女様

大公家に転がり込んできた聖女様【53話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。

今回は53をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【大公家に転がり込んできた聖女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

53話 ネタバレ

大公家に転がり込んできた聖女様【52話】ネタバレ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 今回は52話をまとめ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • セバスチャンからの招待④

庭にはテーブルの脚が折れるほど多様なデザートが用意されていた。

以前だったらエスターの目がくるくる回っただろうが、今は慣れて理性を失ってはいなかった。

(これは初めて見るプリンだね)

興奮したエスターがテーブルの中央にある白いプリンを取る。

ぷるぷるとつやが出るのが美味しそうに見えた。

ところがスプーンで一口大きくすくって食べようとした瞬間、正面から負担な視線が感じられた。

「・・・?」

口を開いたエスターは、気まずそうに前を見る。

「どうしたの?」

あえて多くの席の中で向い側に座ったセバスチャンが、エスターのプリンをじっと見ていた。

周りを見回すと、よりによってこのプリンはこれ一つしか残っていなかった。

(これが食べたいのかな?)

悩んでいたエスターは、「すごく食べたいんだな」と思ってプリンを差し出す。

「差し上げましょうか」

「えっ、私にくれるの?」

「そうじゃなくて、ずっと見ていたから」

「ありがとう。もったいなくてどうやって食べるの」

セバスチャンはエスターがスプーン1杯のプリンを受け取り、とても感激したように口を塞いだ。

その後もセバスチャンの横目は続く。

エスターが何かを食べるたびに、くれと言うようにじっと見つめてきた。

しかも目が合うと知らんぷりして首をかしげると、顔がサツマイモのようにどんどん赤くなっていく。

 



 

ジェニーの仕事の後、公爵邸でのパーティーは順調に過ぎていった。

食事は美味しくて、セバスチャンはエスターが思っていたよりもずっとおとなしくしている。

今日は一言も発しなかった。

ちゃんと話し合ってみたら、親しい友逹ではなくても知り合いくらいで仲良くできそうだ。

ローズ夫人もジェニーの一件のせいかエスターにとても好意的だったので、今日来てよかったと思った。

豪勢な食事をしてティータイムまで持ったのに、口ーズ夫人はしばらく二人を手放さなかった。

日が暮れてやっとローズ夫人のおしゃべりから抜け出すことができた。

日程がすべて終わり、セバスチャンはジュディとエスターを正門まで見送る。

「私の母は口数が多かったでしょう?ごめんね。気分がいいからだよ」

「まあ、おかげで君の黒歴史をたくさん聞いたよ」

ジュディはくすくすとつぶやいた。

「ところでどうなの?今日見たら私の妹が最高だよね?」

「うん。気づかなくてごめんね」

セバスチャンが素直に認めると、ジュディの口が耳にかかった。

肩をすくめて精一杯偉そうな顔をしている。

「今日は楽しかったです」

エスターがぺこりと挨拶をすると、セバスチャンの口が大きく開いた。

「じゃ、また遊びに来てね」

「はい?はい」

そんなことはなさそうだが、軽い挨拶だと思ってエスターが先に馬車に乗り込んだ。

セバスチャンは何がそんなに残念なのかエスターの最後の姿を目に入れる。

「おい、俺も行くぞ」

ジュディはセバスチャンの後頭部を強く打って前に歩いた。

そして馬車に乗り込もうとしたが。

「ちょっと待って!!」

セバスチャンは急いでジュディに声をかける。

「なんだ?」

「耳をちょっと・・・」

「どうしたの?」

「ねえ、あなたの妹さん、彼氏いるの?」

「どうしてそんなのがいる!」

ジュディはイライラしてセバスチャンを押した。

そして激しい否定とともにセバスチャンの首に腕をかける。

「うちのエスターはまだ若いって」

「そうだよね。えへヘ」

セバスチャンは、「首が締めつけられて、きやあきやあしながらもいい」と言って、へらへらと笑った。

「気持ち悪いな、本当に」

ジュディはいくら攻撃しても笑い続けるセバスチャンをうんざりするという表情で見る。

「ジュディ、来月にあなたの誕生日じゃないか」

「ああ、まあ」

「エスターのパートナーは決めた?まだ友逹もあまりいないはずなのに、パートナーを決めるのが大変じゃないか・・・」

セバスチャンがしきりにエスターについて尋ねると、いくら気の利かないジュディでも警戒を引き上げた。

「あなた、まさか?」

ジュディの目が細くなる。

「うちのエスターが可愛くてきれいで我慢できないほど愛らしいよね」

セバスチャンは思わずうなずいていた。

「だから言うんだけど、あなた、私の妹は夢にも見るな」

「え?」

セバスチャンのドキッとした顔は真っ赤になってどもった。

「前もって警告する。そしてダンスは私と踊るから気にしないで」

ジュディはよろめきながら腕を緩め、セバスチャンを手放す。

他の人でも駄目だが、セバスチャンはエスターの相手にはあまりにも足りなかった。

「ちなみにエスターはむやみに話す子が嫌いだ。太っている子はなおさら」

ジュディの視線は上から下までセバスチャンを見回す。

それからくるりと回り、馬車に乗り込んだ。

「ぽっちゃり・・・?」

一人残されたセバスチャンは、ぼんやりとした表情で遠ざかる馬車を眺めた。

ゆっくりと頭を下げてみると、見えるのは地面ではなく、膨らんだ自分のお腹だった。

「私、太っているのかな・・・」

セバスチャンは彼のふっくらとしたお腹を3重にたたみ、泣きべそをかく。

 



 

テルシアに戻る馬車の中。

エスターは窓から外の景色を眺めた。

神殿に長くいたせいか、外の世界はいつ見ても不思議だ。

「これ、おいしい」

おやつで持ってきたドーナツをもぐもぐ食べていたジュディが、エスターに別のドーナツを渡す。

その甘い匂いに気分が良くなった。

エスターはドーナツをもぐもぐ食べながら、また窓の外を眺める。

ところが、何度も見た道が今日に限って不慣れに感じられた。

「おかしいね~」

エスターが特におかしいと思ったのは、大通りに沿って流れるランパス川の幅だった。

「川が元々あんなに狭かったっけ?」

「どうした?」

エスターの独り言を間いたジュディはドーナツを一口に入れて横にぴったりくっつく。

「あれ?川が乾いたじゃないか」

ジュディの目にも明らかな違いが見えるほど川が狭くなっていた。

「最近日照りがひといそうですが、だからそうなのかも」

テルシアの中心部までつながっているランパス川は、帝国の最大の川の一つだ。

こんな川が目につくほど乾いていたら、小さな川はすでに底をついていたかもしれない。

「神殿は何をしているの?」

もともと日照りや梅雨のような自然災害は女神に捧げる聖女の祈りである程度防ぐことができた。

聖女がすることが帝国の安定を図ることであり、そのような能力を認められ、今の地位に上がったのだ。

現セスフィア聖女が本来の役割を果たせずにいるので、大きく日照りになったのは不思議なことではない。

しかし、このような時こそ、神殿から神官を派遣し、川を守らなければならなかった。

こんなに川が干からびて放置するのは話にもならない。

「どうか助けてください。幼い弟が家で飢えています。水がなくて農業もできないんですよ・・・」

馬車の近くには来ないが、肋骨が丸見えの子供が物乞いする声が聞こえてきた。

あの子だけでなく日照りのために生計が苦しくなった人が一人二人ではないはずだった。

エスターは自分の手を見下ろす。

自分の祈りなら、もしかしたら干ばつを終わらせることができるかもしれない。

しかし、まだ能力を見せる時ではなかった。

まだ神殿と戦う準備ができていないから。

そのような心を読んだかのように、そばでジュディがはつらつと聞いてきた。

「エスター、あの水を呼べる?」

「え?」

エスターは目をばちばちさせてそっと後ろに退いた。

「それはどういう意味ですか?」

「あっ!違う。聞かなかったことにして」

誤って吐いた言葉だったのか、ジュディが自分の口を急いで塞いだ。

エスターはジェディをじっくりと癒したときの状況を思い出した。

ジュディがセバスチャンを捕まえて時間を稼いでいたのもそうだし、先ほどの言葉も偶然というにはおかしかった。

「お兄さん、何か知っていますね」

幸いジュディは嘘に弱かった。

「あ、違う」

「うそ」

エスターが腕を組んですねたふりをすると、もぐもぐして結局告白した。

「ああ、デニスはまだあなたに知ったかぶりをするなと言った」

ジュディは隠そうとしていることがばれると、照れくさそうに頭を掻く。

「実は私、全部見たよ。君が庭で噴水台の水を使うこと。驚かせようとついて行ったんだ」

「まったく知りませんでした」

エスターは「なんてこった」とつぶやきながら頭をかきむしる。

次の日に起きた時、部屋なのがおかしいと思うだったが、デニスとジュディが自分を隠してくれたのだった。

「そうだったんだ。変だと思ったのに」

やっとその日の疑問が解けた。

「私、そうでなくても本当に気になってたの。あなた本当に聖女なの?」

エスターは言葉に詰まったまま口を大きく開けてやっと声を出した。

「せ、聖女って?」

「デニスが言ってた。あなたが聖女かもしれないって」

あまり大したことないような口調でジュディは尋ねた。

(さすがデニス様だ)

デニスが気が利くことは知っていたが、自分の正体をすでに把握しているとは想像もできなかった。

エスターは唇をかんだ。

もっとうまく隠すことができなかった自分に腹が立つ。

もう前のように過ごせないと思って心がずきずきした。

今のこれらの関係を失いたくなかった。

「エスター、大丈夫?」

エスターの表情が暗くなると、ジュディは当惑してそわそわする。

「当たったら・・・どうするんですか?」

「どうするって?」

ジュディはエスターの額に手を当ててにっこり笑う。

そして、緑色の瞳をエスターにそのまま合わせてきた。

「うちの妹が、すごくかっこいいんだなって。それで全部だよ。あなたは私の妹じゃないか」

エスターの目つきが揺れることに気づいたジュディが頭を撫でる。

「君が誰でも構わない。私たちの元を去らなければいい」

ジュディはエスターの震えが止まるまで額を離さずにささやいた。

「誰も私たちからあなたを連れて行けない」

瞬間、ジュディの目つきが強烈に変わった。

腕がゾッとするほどに。

(お父様と似てる)

まだ幼いがドフィンの血筋らしく、彼の目にそっくりだった。

「もし君が本当に聖女で、神殿から君を迎えに来たら」

巻き上がったジュディの口元がそのまま固まった。

笑っているのか怒っているのか分からない表情だ。

「私は神殿と戦うつもりだ。私たちは家族じゃないか。一緒にいないと」

エスターは笑いながらうなずく。

今までは誰にも、それが家族だとしても絶対に正体がばれてはならないと思っていた。

自分が聖女であることを知れば、眺める目つきが変わると思ったから。

ところがジュディのおかげで心が楽になった。

不安だった心は雪が解けるように消えて、かちかちに閉ざされていた心のかんぬき一つがするすると開いた。

 



 

セバスチャンのこれからの行動に注目ですね!

そしてジュディの言葉でエスターの心が楽になったことが嬉しいです。

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