こんにちは、ちゃむです。
「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。
今回は56話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
56話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家族会議
この日の夕方。
ちょうど居間で家族会議が開かれた。
ドフィンが双子の誕生日パーティーの準備を点検するために集めた席だ。
ダンスパートナーのことで聞きたいことがあったエスターは、うまくいったと思っておとなしくソファに座る。
「それでは、まず私が任意に決めた日程をお伝えします」
ベンはソファーに並んで座ったドフィンとエスター、ジュディ、デニスを交互に眺めながらブリーフィングを始めた。
「まず、パーティーは昨年のように別館のルイスホールで行う予定です」
意見があるか数秒待った後、次の話に移る。
「1部のパーティーが始まる時、お坊ちゃまたちが2階から登場すればいいです。まずお誕生日を祝ってもらってから、エスターお嬢さんを紹介するのがどうかなと思うんですけど」
ジュディは話が終わるとすぐに手を上げて言った。
「私たちが出る時、エスターも一緒に手を握って出て行ってくれませんか?」
「そうなると、どうしても視線が分散して、お坊ちゃまたちが注目されないかも・・・」
大公家門に子供が養子縁組されたのは途方もないことだった。
それだけに、早くも人々の関心は初めて紹介されるエスダーに注がれている。
ベンはそれを知っているので、誕生日の双子がまともに祝われないか心配だった。
「私は構いません」
「うん。私も。僕たちだけ先に出たら、エスターは退屈じゃないですか」
しかし、ジュディとデニスは全く気にしないとし、エスターと同時に入場することを望んだ。
「子供たちが望むようにする」
「わかりました、殿下」
ドフィンも双子の味方なので、エスターは1部が始まる時に一緒に出ることに決まった。
その他にはジュディとデニスの好みに合わせて特大型ケーキの形と食べ物の盛り付けなどを決めた。
「何か他の意見はありますか?」
大まかなことが決まった後、ベンが念のために聞いた言葉に、ドフィンが意見を出し始めた。
「パーティーが始まる前に馬車に乗って、みんなで領地を大きく一周するのはどう?」
テルシアに新しい家族ができたということを公式的に領地に知らせるためだ。
「面白そう!」
ジュディはすぐに相づちを打る。
「もう一つ。パーティーが開かれる週にエスターが描いた絵を持って展示会を開くのはどうかと思う」
ベンは熱心にドフィンの言葉を書き取り、展示会という言葉に頭を上げた。
「何方の事ですか?」
「ルイスホールの隣にスペースが多いじゃない?」
「・・・はい。そうですね」
すでにドフィンの心が展示会をすることで固まったということを間き、ベンが「展示会」を大きく書いた。
「エスター、君の考えはどう?絵がたくさん積もってたよ。僕とデニスを描いてくれたのも、かけたらいいと思うし」
ドフィンはエスターの優れた絵を四方八方に自慢する計画だった。
一人で見るのはもったいなかった。
「はい、私も好きです」
展示会という言葉に少し戸惑ったりもしたが、ちょうど最近考えていたプレゼントをかければ特別になりそうだ。
「では、どのように展示するか計画してみます。かけたい絵を選んで教えてください」
「はい」
エスターは頭の中で草案を描きながら力強くうなずいた。
短い家族会議が終わるやいなや、顔色をうかがっていたエスターが双子に静かに尋ねる。
「お兄さんたちはパートナーを決めましたか?」
「パートナー?」
ジュディはソファーに座っていた。
「私は決めるのが面倒で、前にいる人と踊っている」
デニスはエスターにそのようなことを事前に決める必要はないと言った。
「お昼に先生がパーティーの時にパートナーがいなければならないとおっしゃったので」
普通の成人でなければ、パーティーに参加してもパートナーを決めて踊ることはなかった。
しかし、パーティーの主演になると話が変わる。
パーティーが始まれば、パーティーの主人公が前で踊るのが慣行であるためだった。
「エスター、私と踊ろう!私もパートナーがいない」
ジュディはパートナーの話が出るやいなや、セバスチャンの顔が浮び上がって、素早くエスターの手を握る。
「何だよ、じゃあ私もエスターと踊る」
しかし、欲のないデニスまでも「エスターとダンスをする」と言い出した。
「ふむ、お父さんと踊るのはだめ?」
「ええ?お嬢さんと殿下の体格の違いを見てください。当然ダメです」
ドフィンが一言加えると、ベンはびっくりして引き止めた。
「お嬢さん、お坊ちゃまたちと交互に踊ればいいです」
「そうしないと」
エスターはベンの言葉を肯定してにっこり笑った。
パートナーの悩みはおかげであっけなく終わった。
ある程度議論が終わった雰囲気なのでベンが整理しているところ、ドフィンが急に思い出したと話した。
「ああ、これを忘れるところだった」
「どうぞ」
「今回の子供たちの誕生日を最初から英知休日に指定するようにしなさい。食べ物も回してね」
「休日ですか?」
「そうだね。そうすれば、双子とエスターに感謝の気持ちを持たない?」
「・・・このままだとお嬢さんの誕生日が決まったら、領地内休日に指定されるのではないかと怖いです」
「おお、それはいい考えだね」
ベンが冗談で言ったことだが、ドフィンはさらに一歩進んでそうしようと真剣に答えた。
(日増しに酷くなっている・・・)
ベンはこれからドフィンの子供の自慢話がどこまで大きくなるか、すでに心配していた。
数日後。
月が昇らず、漆黒のように暗いある夜。
黒いローブをまとったドフィンが馬に乗って邸宅を抜け出した。
ベンと3人の直属の騎士が後に続く。
黒く覆われた白は自然に闇に埋められ、彼が通り過ぎたところには緑色の眼光だけが線のように残った。
ドフィン一行が2時間ほど休まずに馬を走らせて到着したのは、ハルスタールの領地だ。
領地の始まりを知らせる城壁の前で、立ち止まったドフィンがゆっくりと馬の頭を回して一行を待つ。
一人で速度があまりにも速いために時間差を置いて騎士たちが来て、最後にベンも息を切らして現れた。
「私が行ってドアを開けます」
「これを見せればいい」
遅い時間なので城門は堅く閉ざされていた。
ベンは1人で門に近づき、強くドアをノックする。
何度か打つと、ドアに窓が開いた。
居眠りして起きたのか、警備兵の声にはイライラが満ちていた。
「今は通行時間ではありません。朝にまた来てください」
ベンは急いで手紙を中に押し込んだが、言いたいことは何でも言って窓を閉めようとした。
「ちょっと待て。これを見ろ」
「大したことじゃないのに・・・」
警備兵は無邪気な表情でベンを見て手紙を開封する。
貴族だけが使う貴重な紙に唾をごくりと飲み込むのもつかの間、手紙の内容と最後に押された印章を見た警備兵の目が丸くなった。
「はっ!」
手紙はハルスタールの領主が直接印章を押した通行許可証。
これを持った人が来れば、それがいつでも開けてくれという内容と共に、貴重なお客さんだから絶対に気に逆らわないようにという頼みがあった。
「し、失礼しました!今すぐドアを開けます!」
「日が昇る前に戻ってくるから、その時もまた頼むよ」
「はい。わかりました!」
ついに城門が開け放たれる。
ドフィン一行は必須とする検問も経ず、馬に乗ったまま素早く城門を通過した。
「ここからは私が道を案内します」
領地に入った後は、あらかじめ地図を見て道を覚えておいたベンが先頭で一行を案内する。
大通りを通って領地の外郭に入ると、一目で見ても陰湿で汚い貧民街が出てきた。
「あそこかな?」
「はい。神殿の記録通りならあそこが正しいです」
「行こう」
ドフィンは目を激しく輝かせて貧民街に向かって突進する。
飛ぶ鳥も落とすような凶暴な勢いだった。
ハルスタールのスラム街は思ったより規模が小さかった。
端から端までが視野に一度に盛り込まれる大きさだ。
しかもまともな家もない。
がらんとした野原に藁で編んで建てた家8軒が並んで立っているのが全てだった。
「みんな寝てるみたいだけど、起こしましょうか?」
騎士たちがすぐにでも飛び出しそうな勢いで尋ね、ドフィンはとっしりとうなずいた。
その時だった。
馬のひづめの音を間いて外に出た中年男性が、ドフィン一行を見つけて驚いて声を上げる。
「だ、誰ですか!?」
すると、寝ていた他の人たちまで目を覚まして外に飛び出す。
「どうしたの?」
「なんで?誰か来たのか?」
そうしても初めて出た男性を含めて6人だった。
思ったより人が少なく、白い顔をしている。
「少なすぎる」
「もっと探してみます」
騎士たちは貧民街の周辺をくまなく探しながら逃げた人たちと家の中に残った人たちを全て集めてきた。
それでも10人にもならなかった。
それも子供はおらず、すべて50代以上の高齢者だ。
エスターのダンスパートナーも無事に決まって良かったですね。
ドフィンたちが貧民街に向かった理由とは?