こんにちは、ちゃむです。
「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。
今回は66話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
66話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 双子の誕生日会④
目の前に監獄に閉じこめられている時の姿が走馬灯のようによぎった。
死なせてほしいと祈っていた自分が、このような願いをすることになるとは、明日を願うことになるとは想像していただろうか。
ゆっくりと目を開けたエスターの前には、彼女を待ってくれる家族の顔が視野にあふれるほどいっぱいに見えた。
「願い事はした?」
「はい」
「必ず実現するよ」
ジュディは微笑んでエスターに目をしかめた。
そして、正していた方に力を入れて下ろす。
3段のケーキが上からまっすぐに切られた。
イチゴがいっぱい入っている生クリームケーキだ。
「それではパーティーを始めます。プレゼントを持ってきた方々は今からこちらに渡して
くだされば・・・」
案内コメントとともに場内に止まっていた音楽も再び演奏され始める。
その時だった。
ドフィンがケーキの一番上に剌さっている大きなイチゴを取って、エスダーの口にすっぽり入れた。
「イチゴが好きだったよね?」
「ありがとうございます」
エスターは思わず、受け取ったイチゴをもぐもぐと噛みながら、えへヘと笑う。
先ほどの案内のため、階段には双子にプレゼントをしようとする人たちが長い列を作っていた。
そのため、エスターにイチゴを食べさせるドフィンの姿は多くの人の目に留まる。
「大公殿下がイチゴをですか?」
「信じられませんね。人が変わったりしたようじゃないですか」
「やっぱりどこかで産んできたに違いありません。そうでなけれはあんなに可愛がることができません」
おかげであらゆる推測が飛び交う中でも、テルシアの4人がお互いを見つめる目つきには何の揺れもなかった。
プレゼント贈呈式が終わった後は、パーティーの主演たちが踊る時間が用意されていた。
エスターはついに来るべきものが来たと思い、表情を固める。
人前で踊らなければならない。
今度のパーティーを準備しながら一番心配した部分だが、数えきれないほど練習した。
練習した通りにやれば十分なはずだ。
「きっとうまくいくよ。あまり緊張しないで」
「はい」
エスターはデニスの激励を受けながら一緒に立ち上がる。
パーティーの主演は双子も一緒なので、今回だけは.パートナーが二人だった。
二人と一緒にゆっくりと階段を下りていく。
ホールは主人公たちのために空いていて、周りは人でいっぱいだ。
「失敗ばかりしないようにしよう」
ホールの真ん中に立つと、ピアノの演奏音が間こえてきた。
シャンデリアの照明も熱く照らされている。
エスターの向かいに立っていたデニスは最初に手を差し出した。
軽く組み合ってドレスの裾を持ち上げて挨拶する。
デニスは震えるなと言わんばかりに手をぎゅっと握った。
なじみ深い緑色の瞳はエスターを心地よくした。
ピアノの旋律の上にバイオリンの音が加わり、ゆっくりとした拍子が演奏された。
水が流れるように自然にダンスが始まり、エスターとデニスがダンスを踊る間にジュディも割り込んできた。
3人で踊るダンスが珍しい方であるうえに、3人の兄妹が見せる呼吸がとても良かった。
可愛くて愛らしい姿にパーティー会場は息もなく静かになり、皆が3人のダンスに夢中になっている。
「ああ、かっこいい」
ドフィンっぽい双子を見て感嘆する人も少なくなかった。
すでに双子は大部分の令嬢たちが指折りの1等新郎候補だ。
そのため、エスターを眺める目つきに嫉妬も込められている。
ダンスはだんだんクライマックスに突き進んだ。
後半のパートナーであるジュディが腕に力を入れてエスターを押してからまた受け取ることまで完壁に片付けた。
ジュディが一歩後ろに下がって腰を下げ、エスターもドレスの裾を持ち上げて応える。
フィナーレが終わると、人々は歓声を上げた。
拍手喝采と口笛の音も聞こえた。
エスターはやっと安堵しながら明るく笑う。
病んでいた歯が抜けたように、こんなにすっきりすることができなかった。
3人は人々の拍手を受けながら降りてきた階段を再び上る。
「よくやった」
「うん。最高だったよ」
上がる間ずっとジュディとデニスは口が渇くほどエスターを誉めた。
「お兄さんたちもですね」
エスターも恥ずかしがりながら、2人と愛情のこもった覗線を交わす。
2階の席に戻ってきたら、今どうやって踊ったのか一つも思い出せなかった。
こっそり下を見下ろしても人がすごく多かった。
あの大勢の人の前で踊ったなんて信じられなかった。
「エスター、練習の時よりずっと上手だったよ。舞台体質じゃない?」
「そうだよ、ジュディはもう少しエスターに教わるべきだね」
今はデニスとジュディの冗談にくすくす笑うほど心が楽になった。
エスターは胸をいつばいにしてパーティー会場を見下ろす。
今日のすべての瞬間がすべて夢のようだった。
その後もパーティーは夢中になっていた。
エスターは双子の隣にくっついて人々に会っていた。
「うまく適応しているようでよかった」
「はい、心配しなくても大丈夫です」
人々と挨拶もよくし、よく歩き回るエスターを見て、ベンとドフィンがうなずく。
ドフィンはずっと人につかまっていたところだ。
そうしてしばらく暇ができると、展示会場に行こうとベンを促した。
「ところで展示会の絵がすごく良かったと聞いたけど。私だけまだ見ていないなんて話になる?」
「殿下はパーティー会場を空けることができないので仕方ありません」
パーティー会場と一緒にある展示会場に行ってくるのは少しの間でいい。
そのため、ほとんどの人が展示会場とパーティー会場を行き来していた。
展示会を見て来たという人たちは、口が酸っぱくなるほど絵をほめた。
ドフィンは満足しながらも、まだ展示会場に行っていないことに腹が立っている。
特に、エスターがプレゼントだと言った絵をできるだけ早く見たかった。
「ちょうど今時間が空いているようだから、ちょっと行ってこよう」
「え?パーティー会場を空けるんですか?」
「それでも10分ではないか。もう挨拶も大体終わったみたいだし」
ベンが止めても無駄だった。
すでに心を決めたドフィンは、大股で歩いてパーティー会場を抜け出す。
展示会場のある隣の建物に入ろうとすると、ちょうど見て出てくる人たちがエスターを褒めていた。
「これが本当にさっき見た幼い娘が描いた絵なの?」
「驚いたわ。信じられないわ。次の展示も早く見たいくらいだよ」
会話を聞きながらドフィンの肩が大きく開いた。
エスターをほめたたえる言葉に彼は胸がいっぱいになった。
展示場に入ると、ちょうど前に立っていたデルバートが彼を迎える。
「いらっしゃいましたか」
「そうだね。人の反応はどう?」
「とてもいいです。普通の展示会よりもいいと思います。早くも次の展示会を一緒に開こうという提案も入ってきました」
ドフィンはデルバートの言葉を聞いて満足そうな顔をした。
「そうでなくても、いついらっしゃるのか待っていました。必ず見なければならない絵があるんですよ」
デルバートはにっこり笑って、エスターがプレゼントとして準備した絵の前にドフィンを案内する。
そして、その絵を見たドフィンの目つきが揺れた。
彼は絵の前に立ち止まり呆然となる。
「プレゼントと言っていた絵がこれだったんだ」
静かに詠む独り言に多くの感情が込められていた。
エスターが家族を描いたというのは特別な意味だった。
今は心から家族を受け入れているという気持ちがにじみ出て心が痛かった。
「お嬢さんがこのメッセージを伝えたかったようですね」
絵の横に小さくついた「家族」という題名を見てベンも目頭を赤くする。
そうでないふりをしてハンカチを取り出して目元まで拭いた。
「そうだね、家族。家族だよ」
ドフィンは感情の高まりを感じながら絵をじっくりと見た。
本当に万感が交差する気持ちだった。
「今回の誕生日はもっといいと思う。そうじゃない?」
「はい。私もそうです」
絵を見ながら胸が熱くなったドフィンは、「だめだ」とベンを呼んだ。
「これは双子もすぐに見なけれはならないと思う。今行って連れてくるように」
「それは私もお嬢さんの絵に本当に感動しましたが、お坊ちゃまたちはパーティーが終わってご覧になった方がいいんじゃないかと思います」
「いや、これがもっと重要だ。それともみんなで来て見るのもいいと思う」
ベンがパーティーの主役である双子が一緒に抜けるのは困ると説得しても無駄だった。
ドフィンは頑固に話し、結局双子が展示会場に来るまで絵から一時も目を離さなかった。
ダンスも無事に成功して良かったです。
エスターが描いた絵を見た双子の反応が気になりますね。