こんにちは、ちゃむです。
「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。
今回は55話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
55話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プレゼントを買いに②
「私はもう行かないと」
エスターは空が暗くなるのを感じて言った。
夕食前には邸宅に戻らなければならない。
「うん。これ私の住所だよ。いつでも見に来てね」
そのまま行ってしまうのではないかと思って、ノアが急いで住所を書いてエスターに渡した。
「数日後に会おうね。申し訳ないから聖水を作って持ってきてあげる」
「ありがとう」
きれいなノアの笑顔を見て、エスターもにっこり笑って背を向けようとする。
ところが、ふと招待する人がいるかと聞いていたベンの言葉が思い浮かんだ。
「そうだ。あなたもパーティーに来る?」
自意ではなくても友逹になったのはノアだけだから、ノアがパーティーに来たら楽しそうだった。
しかし、当然受け入れそうだったノアが慌てて首を横に振る。
「私はだめだ」
エスターはノアの拒絶にわけの分からない寂しさを感じた。
そのような感情が不慣れで、わざともっと平気なふりをする。
「うん。ただ思い浮かんで聞いてみたんだ」
「もしかして気分悪かった?」
「わ、私がどうして?何ともないよ」
エスターは心がばれたのでびっくりして振り向いた。
自分は表に出さなかったと思ったが、ノアがダメだと言った瞬間から口が大きく出ていた。
家に帰る馬車の中。
「お嬢さん、あんなに親しい友逹がいるとは知りませんでした」
ドロシーは好奇心に満ちた表情で目を輝かせる。
「ノアと私?あまり親しくないよ」
「そうなんですか。とても仲が良さそうに見えましたが」
ドロシーは嬉しそうに微笑み、ノアと一緒にいたエスターを思い出した。
エスターは最初テルシア家に来た時から子供なのかと思うほど大人っぽい少女だった。
しかし、今日解けた姿でノアと遊んでいたエスターは、初めてその年代の子供のように見える。
同年代の人と会話をしながら、あんな表情もできるんだな、と驚いて訳もなく胸が熱くなった。
「いくら親しいと言っても手を握ってそういうのはちょっと・・・お嬢さんに違う心を抱いてどうするんですか」
ビクターはドロシーとは考え方が違うのでぶっきらぼうに呟く。
「うちのお嬢さんがこんなに綺麗だから喜ぶのは仕方がないんです」
エスターはビクターとドロシーがまた言い争うのを見て笑う。
そうするうちに手に持った紙を慎重に広げた。
しわくちゃになった紙にはノアの住む所の位置が示されている。
同じ時間。
市場に一人残ったノアは、エスターが帰った後も席を立つことができずにうろついた。
「可愛い」
何がそんなにいいのか、手のひらを見下ろしながらニヤニヤ笑っている。
「やっとお会いになったんですね。そんなに嬉しいのですか?」
隠れてついて行き、エスターが行った後に現れたファレンは、そのようなノアを見て首を横に振った。
ファレンが仕える第七皇子ノアは、決して今のような性格ではなかった。
エスターといる時には他の人でもなったように明るく変わるノアが不思議なだけ。
「お嬢さんはこの出会いが本当に偶然だと思うでしょう」
「偶然だよ」
ノアは余計なことを言うなとファレンを睨む。
「こんなに故意的な偶然がどこにあると・・・それでも幸いです。もう皇子様が毎日大公邸の近くに潜伏することは終わりですから」
引っ越してきた後、ノアは毎日テルシア邸の近くを徘徊し、エスターが出てくるのを待った。
今日会ったのは偶然ではなく、ノアが待った末に取った機会だ。
「うん?またやるんだけど」
「ええ?でも、お嬢さんが直接訪ねてくるとおっしゃいませんでしたか?」
「でも、待つ時間が好きなんだ」
エスターを思い出したせいか、ノアの顔にはまた笑いが溢れた。
ファーレンはノアが理解できないという表情で呆然として後に続く。
「そうですね!そこでまたターン!」
目を見開いたジェームズがエスターの身振りをーつも欠かさず追う。
「右手をもう少し横に伸ばして・・・」
「とてもよくできました」
「・・・」
ジェームズは今日もエスターのダンスを練習していた。
もう1ヶ月前。
パーティーまで2ヶ月が残った頃に始まったダンス授業初日を思い出すと、まだくらっとした。
「他のことは全部お上手ですが、ダンスには全く素質がないんですね」
勉強なら驚くほど早く学ぶエスターだが、体を使ったことがないからか、とても硬かった。
それでも1ヵ月間、基本ステップから一つ一つ教えたおかげで、最初とは比べ物にならないほど良くなっている。
「先生、私は今一つも間違ってないでしょ?」
音楽とダンスが終わると、上気した顔のエスターが満面の笑みでジェームズのところに駆けつけた。
「はい、いよいよ成功です」
ジェームズは満面の笑みを浮かべながら激しく拍手する。
丸1ヵ月がかかった成果だ。
「よかったです。ずっとミスばかりして終わるかと思ってはらはらしたのに」
「私もです。もうこの段階は進んでもいいと思います」
これまで思ったように体が動いてくれなくて、エスターも気苦労が多かった。
勉強のように頭でできるわけではないので、ずっと練習するしかない。
そのため、体に傷もできた。
「また何時間も練習を続けたのですか?靴底がすり減っています」
ジェイムズはエスターの練習用シューズが傷んでいるのを見て眉をひそめる。
「あ・・・。体が思うように動かなくて」
「無理しなくてもいいと申し上げたのに」
ジェームズは心配そうな目でエスターの足を見た。
最初はエスターが自分の名前に泥を塗るのではないかと心配したが、今は無理をしてエスターが大変なのではないかとそれがさらに心配だった。
「無理はしませんでした」
大丈夫だと言って笑うエスターを見るジェームズの口元にも笑みが浮かんだ。
ジェームズは授業が始まってからエスターに夢中だった。
させることごとに最善を尽くして要領を得ないのが感じられ、何をしても感心して綺麗だった。
今日だけでも授業を始めて3時間が過ぎてかなり疲れたはずだが、大変だという話は一度もしない。
「お嬢さんは確かに帝国の人材として成長しいただきます」
「それでは全部先生のおかげですね」
エスターは大きな目を半分に折って笑う。
誰が見てもかわいい姿にジェームズは心臓をつかんだ。
授業を始めてからエスターはジェームズが何を教えても熱心にした。
これからどうなるか分からない状況で、ジェームズと仲良くしておきたい気持ちだった。
静かに、その一方でジェームズが嫌がる礼儀のない行動は絶対にしなかった。
それが的中したのか、ジェームズは彼が教えたすべての子供たちの中でエスターを一番可愛がっている。
最近、人々に会うたびに口が渇くほどエスターを褒めているほどだ。
「ちょっと休んでからやりましょうか?」
「はい、先生」
何時間も体を使うためにお腹が空いていたエスターは、目を輝かせながらテーブルに置かれたクッキーを手に取る。
ジェームズはクッキーを食べながら楽しんでいるエスターを見てにっこり笑った。
「ベンさんがパーティーで演奏する音楽を事前に教えてくれたので、持ってきてみました」
いくら基本を身につけたとしても、初めて聞く音楽に合わせて踊るのはまだエスターには無理だ。
しかし、幸いパーティーがテルシア主催なので、どんな音楽を演奏するか事前に知ることができた。
「残りの期間は、これらの音楽に合わせてダンスを練習しながら慣れるだけです」
基本となるステップはすべて学んだので、あと1ヶ月で音楽に慣れるには十分な時間だった。
「さて、パートナーはお決まりですか?」
「パートナーですか?」
エスターは思いもよらなかった話に驚いて、クッキーをかじって食べたまま固まる。
「はい、当然パートナーと踊ることになると思いますが・・・知らなかったんですか?」
「知りませんでした」
ダンスを踊るのも心配なのに、パートナーまでいなければならないなんて。
一体誰に頼まなければならないのか、エスターの顔に心配が満ちてきた。
「心配しないでください。お坊ちゃまたちがいらっしゃるじゃないですか」
「お兄さんたちと踊ってもいいのですか?」
「もちろんです。お坊ちゃまさんたちと踊るなら、次の時間から一緒に練習するのもいいと思いますよ」
「とりあえず、お兄さんたちに聞いてみます」
エスターは不安そうな表情でうなずいて、残ったクッキーを押し込んだ。
エスターの前でだけ態度が変わるノア。
彼はパーティーには来ないのでしょうか?
エスターのダンスパートナーは誰に?