悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す

悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す【37話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す」を紹介させていただきます。 ネタバレ...

 




 

37話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 錬金ギルド

ビビアン皇女が衝撃的な復帰とともに、ユネットの宣伝をしてくれた。

建国祭以降、噂は羽が生えたように広まり、ユネットはさらに順調に成長している。

いや、順調どころか絶好調と言えるだろう。

「この前はなかったアロエジェル、入りましたか?」

「はい、再入荷しました。」

「じゃあ、そのアロエジェルとカモミールクリームください!あと、あそこにある黒糖スクラブも!」

品切れ商品が出るほどだった。

それなのに、しっかりと供給に尽力しているのだ。

原材料の確保も難しくなく、化粧品を全力で製造・供給しているというのに!

『こんなの、話が通る?』

プリムローズ公爵夫人が使っているというカレンドゥラ(※マリーゴールドローションとクリームに続いて、ビビアン皇女が使用していたアロエジェルとカモミールクリーム。

公爵夫人や皇女が使っていた製品を、それほど高くない価格で使えるという点が、大きな魅力となった。

そして「今買わなければ手に入らない」という点は、意図せずマーケティングとして機能した。

今でなければ買えないという危機感は、サンプルだけを使って決めかねていた人々や、これまで訪れなかった人々の心を揺さぶるものとなった。

ウウウーン——

そして成長したのはユネットだけではなかった。

「確かに……最初より実力が上がった気がする。」

成長の祝福を重ねて使ったせいで、妖精の加護でも受けたのだろうか?

以前は少し力を込めるだけで気が抜けていたが、今ではその二倍の力でも問題なく使える。

『力を扱うのが楽になった。』

自分にかけられた成長の祝福について父に聞いてみるか、それとも兄であるジキセンに聞いてみるか。

思いがけない成長による困惑があらわれた。

「成長させることに関しては、神官の中でも上級レベルだな……」

「なんだって?」

「いや、なんでもない。」

どういうわけか成長の祝福が自分のような人間に与えられたことにセリアンが驚いていたようだが、気のせいか?

「もうお金持ちになったんだね。おめでとう。まあ、公爵令嬢だから元々お金は気にしてなかったのかもしれないけど?」

「関係ないわ。公爵家のお金は私のお金じゃないから。それって家門のお金でしょ。」

「…公爵令嬢なのに家門のお金を自由に使えないって?お父様がやれと言えば全部やってくれるんじゃないの?」

「プリムローズ公爵様には、私が事業をしていることも知られていないかも。」

私は細かい家庭事情までは話さなかった。

外で連れてきた庶子を私よりも愛する父とか。

私を産んでくれた母と、生まれた時から一緒にいた妹をひいきするジキセンとか。

そんな話をしても、ただ場の雰囲気を壊すだけで、面白くないから。

「あなたも秘密にしてね。」

「……」

セリアンも、空気が読めないわけではないので私の言葉の流れから、事業があるのだと察したセリアンは口を閉ざした。

私はむしろはっきりとした声で言った。

「それに、ユネットで得たお金は私の思い通りに使えるっていうのが利点でしょう!」

「えっ、このお金でもう満足できないの?また何かするつもり?」

セリアンの目が不安で揺れた。

「今のままで維持するのが一番かもしれない。下手すれば大きく失うか、失敗することもあるんだから!」

「私ってちょっと野心家だからね。化粧品にももっと投資して、開発もするわ。もっと良くて、もっと多くの種類の化粧品を提供するのが私の夢なの。」

正確に言えば、私の目標は化粧品だけにとどまってはいなかったけど。

「まあ……今日行く場所は化粧品のためじゃないけど。」

そう言いながら、私は今日の計画を思い出させた一人の人物を思い出した。

悪女と呼ばれ、皆に蔑まれ、最もつらかったあの瞬間。

私を訪ねてくるようなお客様なんていなかったのに、突然訪問の申し出が入ってきた。

公爵家に雇われている使用人たちも私を蔑み、私に仕えることを嫌がるのが日常だった。

そんな彼らも、思いがけない来客に疑いの眼差しを向け、すぐに私に知らせてきた。

―ダニエル・ベナルト?聞いたこともない名前だけど。

知らない名前だったけれど、あまりに突然だったので、むしろ好奇心が湧いてきた。

私に祝福の力があることを知っている人は何人かいたが、それが「成長の祝福」であるとは知られていなかった。

成長の祝福を受けたというのは、私が意図的に隠していたし、どうせ私に興味のある人たちは皆、私の過去の悪行にばかり注目していたからだ。

『妹に嫉妬していじめた悪女が今さら何をしに来たんだろう?』

これも何かの策略か陰謀だろうか。

それともただ単に私をあざけりに来た人なのだろうか。

知りたかった。

悪意があっても、なぜわざわざ「成長の祝福」を口実にして訪ねてきたのか。

応接室の扉を開けると、そこで私を待っていたのは、みすぼらしい身なりの中年の女性だった。

「―プリムローズ令嬢が……成長の祝福を受けていらっしゃると伺いました。」

視線は定まらず、どこか混乱したような目つきだった。

「これから私がする話は信じがたいかもしれません。……私は令嬢の助けがぜひ必要なのです。」

しかし相手が誰かを騙そうとするには、あまりにも真面目すぎる人物だと気づくのに時間はかからなかった。

「私の名前はダニエル。錬金術師です。」

緊張して固まっていた彼女の目は、まるで祈るような熱意に輝き、震えていた声には明確な確信が宿り始めていた。

ジキセンの「剣の祝福」、リリカの「治癒の祝福」。

それに比べて、あまりにも地味な私の「成長の力」。

しかし彼は、「悪女」でも「公爵令嬢」ユリア・プリムローズでもなく、「成長の祝福」を持つ私に関心を持っていた。

私はダニエルが説明する錬金術の説明に、いつの間にか深く引き込まれていた。

「成長の祝福でどこまで可能なのでしょう?本当に手に入れるのが難しい材料を集めましたが、最も重要な薬草がいくつか足りません。」

続いて必要な薬草を聞いた私は、思わず眉をひそめた。

『これが必要なの?』

珍しい薬草だった。

だが同時に危険な薬草でもあった。

『この薬草を研究していた錬金術師が行方不明になったって話、なかったっけ?』

私は社交界の噂でうすうすこの情報を知っていた。

この薬草は誰も採取せず、誰も再栽培しないだろう。

どうやって手に入れればいいのか、今となってはわからない。

『無駄に私を訪ねてきたわけじゃなかった。』

―あなたが何をする人なのか、なぜ私を訪ねてきたのかは大体わかる。でも、何を作ろうとしているのかは、ただ曖昧に答えるだけだな。

―……。

―何を作るのかも分からないのに、私が協力すると思う?

―……私が何を作ろうとしているのかを正確にご存じであれば、令嬢にも危険が及ぶ可能性があります。それに令嬢は公爵令嬢ですから、今回の件で後々問題が起きる可能性もあるため、事前に防ぎたかったのです。

―それなら、その前に私がその危険のせいであなたを告発するという考えはしなかった?

―考えました。

怒られると思ったが、返ってきた答えはただただ淡々としていた。

―ただ、他人の苦しみを知らないふりはしたくなかったのです。最後の可能性に希望をかけてみたんです。

しかし――

ダニエルに返答を伝える前に、私は死んでしまった。

実の父と伯父の手によって。

『今になって考えてみると、あの錬金術師はエリクサーを作ろうとしていたみたい。』

エリクサー。

錬金術の究極の成果。

鉛を黄金に変えることができる、人に永遠の命を与えることができる、切れた四肢をつなげることができる……。

さまざまな言い伝えはあるが、

あのとき彼女が言っていた言葉を思い出すと、研究はほとんど進んでおり、特定の材料だけが不足していると推測できた。

もしも錬金術師の秘伝とされるエリクサーが完成すれば、聖女の力にも匹敵するかもしれない。

だが、私はそれが可能だとは思っていなかった。

私が注目しているのは、エリクサーを作るまでに蓄積された錬金術の技術レベルだった。

エリクサーを研究している錬金術師なら、その技術レベルはどれほどだろうか?

うまく騙されるつもりはない。

ただ、「神聖力」は持つ者の中でも数人にしか許されない力。

私はそれが多くの人に宿っていることを願っていた。

「麻酔薬を作って不老不死となった錬金術師を中心に、かなりの研究が行われていたという噂があった。」

どうやら、研究対象はエリクサーだけでなく、複数の錬金術の研究が進められていたことに気づいた。

ならば、その研究をもっと発展させよう。

『今世では私が先に見つけてやる。』

セリアンを連れて銀行に向かった私は資金を引き出した。

彼はカバンいっぱいの金貨と宝石に気圧されたようだった。

「一体何をするつもりなの?」

そんなセリアンにも動じることなく、当の私は平然と目を細めて言った。

「お金を稼いだんだから、散財しなきゃね。」

 



 

錬金術ギルドは普通のギルドとは少し違う点があった。

魔塔のギルドのように、どこにでも存在しているというわけではなく、それほど圧倒的な規模の建物ではないのはもちろんのこと。

街の外れ、日の光が届かない酒場の地下にあったためだった。

ガタッ——

「ったく、今日に限って騒がしいな。」

時間が遅かったせいか、上の階の酒場は床板が外れそうなほど多くの人々が騒がしくざわめいていた。

「まあまあ、気にしないで。久しぶりの集まりなんだから。」

「酒場ってもともと騒がしい場所じゃないか。」

騒がしかったのも束の間、時間が経つと彼らの集中力はすぐに今日話し合うべきテーマへと向けられた。

「先ほどお話ししていた病のことです。患者の様子が……やはり我が領地では薬草の供給が難しいですね……」

椅子をテーブルの方に引き寄せて座った人々の表情は真剣だった。

自分の地域にしかない貴重な薬草を持ってきて提供したり、研究結果を共有したりもしていた。

誰もが情熱的な様子だった。

その瞬間、熱気に満ちた建物の中に声が響いた。

「いつも熱心な姿を見るのは嬉しいですね。」

「おお、ギルド長。」

「今日は重要な伝達事項がありますので、今している作業を中断して注目していただきたい。」

粗末な居酒屋の地下室とはいえ、ギルド長が費用を負担してギルド員たちのために用意した場所だった。

研究が最優先の者も、自分の仕事を優先する者も。

ラムもまた、そのギルド長の言葉に、それまで話していたことをやめ、集中した。

しかし——

「今日から新しいギルド長が来られます。」

それは彼がギルドの仲間たちに伝えた、まさに青天の霹靂のような知らせだった。

「えっ?ありえません!」

「いったいどういうことですか?まさかご病気ですか?」

これまで錬金術が冷遇される中でも、粘り強く多くの働きをしてきた現ギルド長が退くという知らせに、錬金術ギルドの建物は瞬時に騒然とした空気で満ちた。

「まさかそれ以外の理由では……!」

「落ち着いてください。そして、今後新たにギルド長になられる方は、プリムローズ公爵夫人でいらっしゃいます。」

続く発言に、ギルド員たちはさらに状況を受け入れられず混乱に陥った。

「聞き間違いじゃないですよね?なんで公爵夫人?」

「あのプリムローズ公爵がってことですか?」

人々の混乱を予想していたかのように、隅でそれを聞いていたユリアが、静かにため息をついた。

『予想通り、人々の反応は激しいわね。最初からギルド長として出なかったのは幸いだったわ。』

錬金術ギルドを自分の側に引き込もうというのがユリアの考えだった。

彼女が反発を受けながらも平然としていられるのは、自信があったからだ。

彼らの信頼を得る自信。

だが、それでも最初の一歩は慎重に踏み出す必要があった。

公爵夫人の名前を借りた理由は、ユリアが自分で前に出たとき、「悪女」と呼ばれる自身の評価のせいで、被害が及ぶのではと恐れたからだ。

フードを深く被ったまま、プリムローズ公爵令嬢であることを隠して別の身分を名乗る案も考えたが、それも少し卑屈に感じられた。

『人々の厳しい視線が集まる錬金術ギルドだからこそ、堂々とした身分で信頼を得なきゃ。』

そう思って、プリムローズ公爵夫人をギルド長に据える形で、自分が代理として出ることにしたのだった。

母親が錬金術ギルドにいるから、娘として見学しに来た、ということにするためだった。

プリムローズ公爵夫人も快く名前を貸してくれただけでなく、錬金術ギルドの活動を支援する意思を示してくれた。

『以前は公爵邸にしかいなかったけど、うちの娘のおかげで、やるべきことがたくさんできたわね』

― ご迷惑をおかけしてすみません、お母様。

― 全然そんなことないわ。まだあなたが私の助けを必要としているなんて……むしろ嬉しいわね。

またお母様は、娘が自分を必要としてくれることが嬉しいと口にした。

子どもを産んだことのないユリアには、その頼みを受けて喜ぶ母を理解するのは難しかったが……。

娘の負担を軽くしようとするだけの言葉ではないことは分かった。

『お母様の助けがなければ大変だったわ。』

ユネットのことはもちろん、他のことまでやらなければならないユリアにとって、恵みのような助けだった。

「ギルド長がフリムローズ公爵夫人ですって!」

ギルド長が変わるだけでも驚きなのに、その後任が、思いもしなかった人物だった。

ざわめく声は時間が経つほどに、ユリアのいる空間にまで大きく響いてきた。

前ギルド長は騒がしくなった空気を静めるために出て行った。

「みなさん、落ち着いてください。新しいギルド長に失礼があってはいけません。」

「ふん、どうせあいつらの野心か欲望でここを手に入れようって魂胆でしょう?金で錬金術ギルドの長になるなんて、私たちが黙っていると思いますか?」

驚いたことに、プリムローズ公爵家を相手に堂々と意見を述べるギルド員がいた。

それでも、前ギルド長は驚かなかった。

それもそのはず、錬金術ギルドのギルド員たちは、誰ひとりとして平凡な者がいなかったのだ。

錬金術。

その始まりは、金属から金を作るという幻想から始まったが、ある日、一つの発見が錬金術の方向を変えることになった。

-あの試薬のことだよ。私がうっかり蓋を閉め忘れてて……

-はは。ものすごく強烈な臭いだったよな。頭大丈夫だった?

-いや、むしろ……不思議とその臭いを思いっきり吸ったのに、全然痛くなかったんだよ。
-え?

-痛みが全然感じなかったってことだよ。

元々、神が創った金属という性質から、神殿では人間が勝手に金に変えようとする錬金術をよく思っていなかった。

しかし、麻酔剤の発見は、神殿の考えとは異なる方向に錬金術師たちの目を開かせるきっかけとなった。

-麻酔剤があれば……神官のところに行かなくても痛い部位を治療するのが簡単だね?歯を抜く時も。

「麻酔薬をもう少し研究すれば、抜歯くらいなら他の手術もできるんじゃない?」

「もし“エリクサー”を完成させたら、傷ついた部位に塗るだけで、すぐに皮膚が再生するかもしれない? だったら……」

そう思うと、少数派の勢力だと侮られていた錬金術師たちだったが、今では、痛みのときに神官ではなく錬金術師を探すかもしれない――そんな考えが新たな信念となって、彼らは教団から切り離された。

残された錬金術師たちは、自分たちが神の意志を冒涜していない研究を行っていることを証明しなければならなかった。

こうして、神殿の支配のもとで錬金術師たちの脈は一度は絶たれたかのように見えた。

しかし、すべての者が研究をあきらめたわけではなかった。

可能性を見出した数名は、今日のように秘密裏に集まり錬金術を学んだ。

神殿にばれながら錬金術を研究するのは普通のことではなかった。

そのため、皆使命感がすごかった。悪く言えば少し狂っていたともいえる。

「人を救いたい」「人体の仕組みに興味がある」など。

「人を治すこと」に並々ならぬ執着がなければ、そもそも錬金術ギルドにいることはなかっただろう。

そして錬金術ギルドには帝国各地から上がってきた人々も多かった。

このような症状を見たとき、どう治療したのか。

患者は本当に健康になれるのか。

どうにかして処置法を得ようとし、技術一つでも習得しようという思いだった。

神殿では一瞬で人を治すことができるが、神聖な力があるにもかかわらず、それに頼らず人を癒そうとすること自体が不敬だと批判されることもあったが、

神官の治療をまともに、適切に受けられない人が大半で… ただ人が死んでいくのを見ているしかないという現実に立ち向かった人々。

彼らが互いに少しずつ錬金術について議論し、意見を交わす場所がまさに錬金術ギルドだった。

「フリムローズ公爵夫人は、錬金術の歴史についてご存じなのですか?」

「ただ金を無限に作らせようとしているのでは?いや、その前に錬金術が何かを知っているのかと問いたいのですよ。」

一人がまず口火を切ると、他の人々も次々と声を上げ始めたのは、ほんの一瞬のことだった。

説得しようとしていた元ギルド長の声は次第にかき消されていった。

「皆さん、まずは説明を聞いてから……」

ユリアはここで自分が出なければならないと感じた。

彼女は普段開けられることのない地下室の扉を開ける姿を見せた。

「こんにちは、私はユリア・プリムローズです。」

「えっ?」

「新しいギルド長であるプリムローズ公爵夫人の娘です。」

ユリアは錬金術ギルドのメンバーの前に立って自己紹介をした。

そして、ぶれのない声で口を開いた。

「とにかく、私の口からなぜ新しいギルド長が任命されたのか説明させていただいた方がよいと思います。そうではありませんか?」

「……」

騒がしかった地下室は静かになった。

しかし、それはユリアに対する敬意からではなく、「何を言うのか聞いてみようか」という雰囲気だった。

張りつめた緊張の中でも、ユリアは平然とした面持ちで中央へ歩みを進めた。

『自分が考えてきたことを話せばいい。』

これまで化粧品を開発し、研究してきた中でユリアには一つの考えがあった。

『肌が傷んだ箇所に塗るアフターサンクリーム。多少違いはあれど、傷に塗る軟膏とそう変わらないんじゃない?』

今でこそ「ユネット」は有名になったが、あくまでも「化粧品」として分類されている。

肌が荒れていても、不信感を抱いたり、「化粧品だから」と試そうとしない人がいるのも事実だった。

『もっと専門的な方向へ進めるのなら、そんな人たちでも、肌に塗る薬だと言えば、疑いもせずに塗るだろう。』

そしてそんな考えは、化粧品を使ってから変わったという人々を見ながら徐々に具体化されていった。

最初はただ清楚な令嬢と見なされるリリカを牽制するための手段程度だったが――

『肌に限定されず、もっと人々の健康のためになることをしたくなったの。』

これらすべては「ユネット」を通して流通させる予定ではあったが、まだ自分がその代表であることを明かすつもりはなかった。

「私が錬金術ギルドに関心を持つようになった理由は、数ヶ月前に母が鉛中毒で倒れかけたからです。」

ユリアは自分の別の身分は明かさなかったが、別の動機を用意していた。

「これ以上、鉛中毒で人が死んだら原因を明らかにするのは難しかったのですが、私はその原因を明らかにできる手がかりを見つけました。」

「そ、それは何ですか?」

「“ビイコスの花”です。」

ユリアは一人ひとりの好奇心に満ちた目を見つめながら、ビイコスの花を母のそばに置いたときの反応を話し始めた。

もしあのとき何もしなかったら、母は花粉中毒で死んでいたかもしれないというのも事実だった。

「令嬢の話が本当なら……花粉中毒による悲劇的な死を防げたことになりますね。」

「それに、母が最近ゆねっとの製品を使っているのを見て、研究の必要性を感じました。」

「ユネットといえば……あの化粧品のことですか?」

「はい。母がその化粧品を使い始めてからは、花粉を混ぜた薬を使う必要がなくなったんです。」

「いや、それは単に綺麗になりたいということで…。」

「薬であれ化粧品であれ、人々が健康で幸せになることを願って作られたものなのは同じではありませんか?」

ユリアが登場して一連の話をした後、さっきよりも少し場の雰囲気が和らいだ。

「いや…なぜ錬金術に関心を持つようになったのか、概ねは分かるけど。」

しかし突然すぎるとは感じなかった。

「私があの『ビイコスの花』をどうやって見つけたのかというと――」

しかしユリアは、自分に向けられた好意的な雰囲気を手放す気はなかった。

彼女はギルド員たちが口を開くよりも先に、錬金術ギルドの一角に並んだ化粧品の方へと視線を移した。

ユリアがその容器を見つめた。

そして、驚くべきことが起こった。

ユリアの視線が注がれたただけで、何もなかった花瓶に花が咲き始めたのだ。

 



 

 

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