こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は265話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
265話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 葬儀
遠くから鐘の音が聞こえてきていた。
水の中に深く沈んでいるように、その音は非現実的に遠く感じられる。
私は部屋に一人で座っていた。
雲が立ち込め込めたように部屋の中は暗い。
こんなに宮殿が静かで、廃墟のようだったか。
ふと見下ろすと、一面黒いドレスが見える。
新しく服を作る時間がなく、昔作っておいたドレス。
喪服。
これは喪服だ。
喪服という単語を何度も繰り返してみても現実感が感じられなかった。
「アビゲール」
その声にギョッと驚いて後ろを振り返る。
鏡の中には、黒い喪服を着たヴェリテの姿が。
不思議なことだった。
セーブルとヴェリテの声は少しも似ていないのに、今私を呼んだのがセーブルだと思うなんて。
いや、セーブルであってほしかった。
それが不可能だということを知りながらも。
「・・・もう行かないと」
そうだ。
行かないといけないんだ。
私はぼんやりと立ち上がり、部屋の外に出た。
誰かが私の体を勝手に動かしているようだ。
私は葬儀場に向かった。
後を追う侍女たちもみんな黒い服を着ている。
まだ葬儀の準備中なので、片隅に設けられた小さな部屋に案内された。
クララとノーマが私のそばで躊躇っていたので、しばらくの間送り出すことに。
セーブルの死後2日が過ぎた。
この二日間は一瞬で過ぎたようで、彼の死はずいぶん前のことのように感じられる。
突然の死で王宮は混乱状態だった。
彼の遺体に向き合って哀悼する時間さえ与えれないまま、私は摂政になっていた。
温室の花園に倒れていたセーブルを最初に発見したのは彼の護衛騎士。
急に何か倒れる音が聞こえて振り返ってみると、セーブルだったという。
悲鳴さえない死。
主治医が急いで駆けつけたが、すでに死亡者を助けることはできなかった。
ミラードは叫び、花園にいた全員を勾留するよう命じる。
花見の真っ最中だった使節団も例外ではない。
反抗する彼らを強制的に拘禁し、宮殿に戻ると、対処しなければならないことが多かった。
『きっとあの人魚たちが殿下を殺害したに違いありません!』
『奇怪な魔法を使って殿下を殺したに違いありません!』
『厳罰に処してください、王妃殿下!』
人々は人魚を犯人だと固く信じ、彼らの死を望んだ。
その凶暴な雰囲気に人魚たちも激しく反発した。
無実の自分たちを犯人に追い込むことに対する怒りのため。
憎悪と怒りが氾濫して王宮を侵食していく。
私もそうしたかった。
何も考えず、その津波に身を任せたままただ悲しんで、ただ起こりたかった。
あなたが死んだのに国政が何の役に立つのか。
狂った人のように頭を突き破って、壊れるように胸を殴り合い、セーブルの名前を呼びながら血を吐きたかった。
ブランシュがいなかったら私もそうしていただろう。
私は娘を守らなければならなかった。
ブランシュがいなかったら、自分を見捨てて、自分の涙に溺れるまで涙を流していただろう。
『使節団が犯人だという証拠はないわ』
『しかし・・・!』
殿下が崩御した今が他国には良い機会だ。
『今この状況で何の証拠もなく人魚を処罰し、彼らさえも敵に回したならば、ネルゲンの安全は誰も保障できない』
その言葉に大臣たちもようやく理性を取り戻した。
そして、混乱と恐怖の中で二日が過ぎた。
まだ鐘の音が聞こえてきていた。
国葬を知らせる鐘の音は絶えず、永遠に聞こえてきそうだ。
ああ、セーブルにキスをしてあげることにしたのに。
彼と交わした対話が思い浮かぶと涙がドッと溢れ出そうだった。
馬鹿だった。
愚かだった。
彼が愛していると言った時、向かい合って愛していると答えてくれたらどんなに良かっただろうか。
彼が永遠に私のそばにいると思った。
時が私たちを待ってくれると早くも予想していた。
『ビビ、あなたが私を愛さなくても、私はあなたの幸せのために生きていきます』
セーブルは死ぬその瞬間までも私にくれる花束を握っていた。
私が彼を愛していないと思って死んだ。
あなたと一緒に死にたかった。
そうしたかったのに・・・、本当にそうしたかったのに。
「王妃様」
その時、誰かが私を呼んだ。
門の周りを見回した瞬間、私は飛び起きてしまった。
「セイブリアン」
セイブリアン。
彼は光に背を向けて日陰に立っていた。
幽霊?
幽霊でもよかった。
あなたならなんでもよかった。
私は彼に向かって歩こうとしたが、そのまま座り込んでしまう。
足に力が入らない。
「王妃様、大丈夫ですか?」
彼は急いで私に近づいた。
その時になってようやく、何かがおかしいと感じた。
見慣れた瞳ではなく、金色の瞳が私をみている。
「レイブン・・・、卿・・・」
レイブンは髪を低く束ねていたので気づかなかった。
私が黒いベールを垂らしていたのでなおさらだ。
空笑いが出てしまう。
「ごめんなさい、余裕がなくてつい勘違いしてしまいました」
私を見つめる心配そうな視線と出会うと、私は震えてしまった。
本当にセーブルとよく似ている。
亡くなった彼が帰ってきたのではないかと思うほど。
「大丈夫です。とりあえず起きましょう」
私はレイブンの助けを借りてやっと立ち上がった。
彼は私を椅子に座らせて私の顔色をうかがう。
「医者を呼びましょうか?」
「いいえ、大丈夫です」
驚きすぎて足の力が抜けただけだ。
本当に面白くもない。
「ごめんなさい、セイブリアンと呼ばれるのは嫌ですよね・・・」
レイブンはただ笑っていた。
セーブルとは違うが、あまりにも似ていてしきりに視線が向かってしまう。
彼はそれからそっと私の手に手を置く。
暖かい手だった。
「そう呼びたければ、呼んでもいいですよ」
セイブリアンが亡くなったことで宮殿は大混乱。
このまま人魚たちと軋轢を生むことになれば大変なことに・・・。
レイブンの意味深な発言にも要注意ですね。