こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

353話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 新しい命③
その時、セイブルを止めなかったことが本当に悔やまれた。
私が妊娠したばかりの頃、セイブルは喜びにあふれながらも、私たちの将来に対する不安を隠せなかった。
【リリー、大丈夫ですか?妊娠と出産の痛みはとても辛いと聞きました。】
【ああ、ええ。普通そうだと言いますね。】
私は子どもを産んだ経験はなかったけれど、周りからさまざまな話を聞いていた。
心配そうにしているセイブルは、私の手をしっかり握りしめて続けた。
【それと、他人の痛みを代わりに引き受けられる呪術があると聞きました。本当ですか?】
【ええ、ありますね。】
【それなら、リリーが妊娠し、出産を終えるまで、私にその呪術をかけていただけませんか?】
その提案に、私は驚きを隠せなかった。
それは、元々そんな用途で使われる呪術ではなかったのだ。
通常は拷問用や、さもなくば貴族や王族に対してのみ許されるものだったから。
貴族が自分の苦痛を召使いに押し付けるために作られた呪術だ。
それを自分自身にかけてほしいだなんて!
私は手を振って断り、周囲の側近たちも同様に反対した。
そのときミラードがどれほど驚いたことか。
【陛下、他の召使いにやらせてください。さもなければ囚人にその呪術をかけることも可能です。】
【私とリリーの子どもなのに、その痛みを他人が背負うべきだなんておかしいだろう?私たちの子どもだ、苦痛も私が受け止めるべきだ。】
誰もセイブルの意思を変えることはできなかった。
期間を分け合おうと提案したが、それすらも拒否された。
数日間にわたる議論の末、私は折れた。
そして私が背負うはずだったすべての痛みがセイブルのものになった。
現在、セイブルはむせただけで倒れ込んでいるが、彼が耐えている痛みはむせるだけでは済まされないものだった。
腰痛、腹痛、関節痛、歯痛、うつ症状、疲労感、不眠症……。
むせるだけでもこれほど苦しんでいるのに、他の痛みまで伴うとどれほど辛かっただろうか。
感謝と申し訳なさで目に涙があふれた。
私はセイブルの頬をそっと撫でながら言った。
「セイブル、これまで本当に辛い思いをさせてしまったから、呪術を解いてください。本来私が受けるべき痛みなのだから、私が再び引き受けます。」
「それだけはできません。」
汗を流しながらも彼は断固として言った。
その表情は毅然としていて、セイブルの壁のような意志が輝いて見えた。
「あなたが苦しむ姿を見るほうが、私にとってはもっと辛いことです。だから大丈夫です。」
「でも……。」
「それに、私が耐えられるのは痛みだけではありませんから。あなたの体で起こる後遺症すべてを私が代わりに受けられたらいいのに……。」
彼の言葉通り、この呪術は痛みを伝えることはできても、体に残る影響まで代わることはできなかった。
例えば私が刃物で刺されたとしよう。
私は痛みを感じることはなく、セイブルが代わりにその痛みを感じる。
しかし、出血しているのは私の体であり、血が流れるのも私の体だ。
結局、直接的なダメージは私に降りかかるというわけだった。
腰をひねる痛みはセイブルが受けるが、実際に腰をひねるのは私だった。
それでもセイブルが受ける必要のない痛みだった。
彼にこれ以上申し訳ない思いをさせたくなかったし、苦しませる理由もなかった。
彼は私の手をしっかりと握った。
セイブルの冷たい手の感触が、妙に優しく感じられた。
その時、彼が穏やかに笑って言った。
「それでもリリーと一緒にいられるなら、どんな痛みも怖くない。」
周りにいた人々も皆、言葉を失って沈黙していた。
ブランシュの目にも悲しみが浮かんでいた。
その子供がベッドの横に近づくと、セイブルは大きな手でブランシュの手を優しく包み込んだ。
「お父様、お母様、ごめんなさい。私がどうしても弟が欲しいって言ったから……。」
「ブランシュ、心配しないで。私は大丈夫だから。」
彼は穏やかな声で言った。
本当に大丈夫なのか分からないが、それがこの国で一番優しい嘘だろう。
少し離れて立っていたベリテもそばにやってきた。
その指先には白い魔力が宿り、私の周りを包み込んだ。
「まずは回復魔法を少し使ってみたよ。義母様の体調が回復したら、残っている毒も少しずつ薄れるはずだ。」
「ありがとう、ベリテ。」
「……人間の出産の仕組みは本当に恐ろしいね。」
ベリテは沈痛な表情で言った。
私が妊娠したという知らせを聞いたとき、ベリテは驚きと戸惑いを隠せなかった。
花から生まれる妖精にとって、人間の出産は大きなカルチャーショックだったのだろう。
人間の出産について調べてきた後はさらにそうだった。
その後、死ぬのではないかと言いながら、恐怖に怯えていた。
今でもまだ心配しているようだった。
「おかげで少し良くなった気がする。食事の場を乱してしまって申し訳ない、ベリテ。私は別に食事をするから、ブランシュと一緒に食事を取らないか?」
そう言いながら、セイブルはブランシュの方をじっと見た。
ブランシュは行きたくなさそうな様子だったが、結局椅子を引き寄せた。
「……はい。私たちは別の場所で食事をします。この後また来てもいいですか?」
「もちろんだ。また後で会おう。」
その言葉を聞いてから、ベリテとブランシュはしぶしぶ部屋を出ていった。ミ
ラードも気を利かせて使用人たちと一緒に外へ出ていった。
「リリー、リリーも食事を取りに行きましょう。」
「いいえ、私もあとで食べます。今はただ、こうしてあなたのそばにいたいんです。」
私の夫が呪いによって苦しんでいるというのに、一人でどうやって食事を取れるだろう。
彼はそれ以上私に無理強いはしなかった。
ただ静かに私を椅子から起こし、隣の席に横になれるよう助けてくれた。
膨らんだお腹のせいで、体を少し横向きにして横になるしかなかった。
妊娠の影響で痛みを伴う膨れた手を、セイブルがそっと握り締めてくれた。
「最近、赤ちゃんの服を作っているようですが、手が大変ではありませんか?無理をしているわけではないですよね?」
「大丈夫です。私も楽しんでやっていることなので。それにしても、もしかして手が痛いのですか?」
「いいえ、大丈夫です。ご心配なく。」
うーん、嘘をついているのではないだろうか?
私も本当のところは分からないが、彼にまた別の苦痛を与えてしまうのではないかと心配になった。
「そういえばリリー、赤ちゃんの名前は何にするか決めましたか?」
セイブルはそっと私のお腹を撫でながら話題を切り替えた。
赤ちゃんの話をもっとしようとしたが、彼が言葉を続けた。
「いいえ、まだ決めていません。ぴったりくる名前が思いつかなくて。」
いくつかの名前を挙げたり、本を探したりしてみたが、心に響く名前は見つからなかった。
出産が近づいているのでそろそろ決めなければならないけれど……。
「とりあえず、赤ちゃんが生まれた後で決めても遅くはないでしょう。直接顔を見てみれば、ピンとくる名前が思い浮かぶかもしれません。」
そうね、そのほうがいいのかもしれない。
両親も私が生まれる前、百合という名前をあらかじめ考えて待っていたと聞いている。
名前を先に決めるのではなく、生まれた顔を見てから決めてもいいのかもしれない。
もし名前を事前に決めていたらどうだったのだろう。
絶対に「白百合」のような名前は付けなかっただろう。
そのとき、両親はかなり期待していたはずだ。
この顔を見てもなぜ「白百合」という名前を付けたのか、当時は疑問に思ったものだ。
「白百合」という名前で驚かれることも多かった。
名前は「白百合」なのに、顔はまるでカボチャみたいだったとか。
「それなら、後で決めましょう。二人目がどんな顔になるのか気になりますね。セイブル、あなたに似てくれたらいいなと思います。」
心配しなくても、きっとセイブルに似るだろう。
セイブルやブランシュ、レイヴンを見ると、彼の家系の遺伝子がどれほど強いかがよくわかる。
故人となった先代の王――つまりセイブルの父親――の顔は、私の義父である義理の父親と瓜二つだった。
だからきっとセイブルに似るに違いない。
そんなことを考えながら微笑んでいると、セイブルも穏やかに笑っていた。
「私はリリーに似てくれると嬉しいです。」
「うーん。私は今の自分の容姿が気に入っているわけではないけれど……。」
客観的に見れば美しい顔立ちではないのだから。
私はセイブルの顔色を伺いながら慎重に話を続けた。
「いつか子供が母親に似て不細工だって文句を言ったら……ウワッ!」
私は思わず小さく声を上げた。
突然お腹の中の胎動を感じたからだ。
私のお腹に手を当てていたセイブルもそれを感じ取ったようだった。
彼は私と目を合わせて少し冗談めかして言った。
「ママがそんなことを言うから、二人目が怒っちゃったんじゃない?」
彼の言葉により、普段よりも胎動が少し激しくなった。
本当に私の言葉に反応しているかのようで、少し驚きつつも私は笑顔を見せた。
「分かりました。これからはそんなことを言いません。」
そう約束すると、胎動もすぐに静かになった。
本当に聞き分けの良い子なのだろうか?
まあ、どんな姿かたちであれ、私とセイブルの子供だ。
この子に会える日が待ち遠しい。
「いいですね。それでは食事を……うわっ。」
……そして早く赤ちゃんを産んでセイブルのつわりも終わらせなくては。
パパを困らせるのは、そろそろやめようね、二人目!








