こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は190話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
190話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 火山噴火
翌日、マリはクローヤン州に戻る準備をした。
「すぐ行くのか?」
「はい、陛下。申し訳ありません」
マリは悲しそうな顔をする。
正直、離れたくなかった。
ラエルも残念そうな顔をしていた。
心だけは彼女を胸の中に閉じ込めておきたい彼なのに、どうして残念ではないだろうか。
ただ、二人の顔は物足りなさが込められていても暗くはなかった。
昨日したお互いへの誓約が、2人の魂を見えない紐で強く繋いでいたからだ。
「マリ、これを貰って」
ラエルは小さな箱を差し出す。
不思議そうな顔で箱を開けてみたマリは驚いた表情をした。
「これは?」
箱の中にはダイヤモンドの指輪が入っていた。
「正式な結婚式ではないが、それでも誓約をしたが何かしるしでも与えたかった。元々は式が終わったらあげようとした指輪だ」
マリは目の周りがひりひりした。
「ありがとうございます」
マリは急いで目元を拭きながら口を開く。
ラエルは彼女を優しく抱きしめた。
「大丈夫だから、何事もなく無事に帰ってくるように」
「はい、陛下」
マリは腕の中でうなずく。
この懐を離れたくなかった。
そうするうちに彼女はふと思い浮かび、胸の中から何かを取り出してラエルに渡す。
古い銀のネックレスだ。
「これは?」
ラエルは不思議そうな顔をした。
「母の形見です。すぐに戻ってくるので、戻ってくるまで預かってもらえますか?」
ラエルはしばらくネックレスを見る。
歳月が宿ったものの、傷もほとんどなくマリがどれだけ大切にしてきた遺品かが分かる。
「私が持っていてもいいのかな?」
「ええ、どうせすぐ戻ってきますから」
マリは「すぐに」という言葉を繰り返し強調した。
「すぐ戻ってくるから、大事にしておいてください」
そう、もう少しですべてがうまく解決するだろう。
その時は彼と離れないだろう。
二人は短いキスをした。
名残惜しい別れのキスを。
そのように二人が物足りなさで離れられずにいる時、突然遠くから遠い雲が上がって大きな声が響き渡った。
「急報です!クローヤン地方からの急報です!」
マリとラエルは驚いて首を上げる。
「どうしたんですか?クローヤン地方で?」
マリは急いで尋ねた。
突然の不安が背筋をよぎる。
(まさか?モリナ王女と関連して?)
幸いなことに、彼女が心配しているような問題ではなかった。
でも、もしかしたらもっと深刻かもしれない問題かもしれない。
「クローヤン沖のエトナ島の活火山が噴火を始める兆候を見せているそうです!」
「「・・・」」
マリとラエルは驚いた表情をせざるを得なかった。
突然これはどういうことだ?
マリは急いで馬車に乗り込んだ。
「陛下、今すぐクローヤン地方に行かなければならないようです」
もし火山が本当に噴火したら、その周辺は焦土化するだろう。
彼女は領事としてできるだけ被害を減らさなければならなかった。
ラエルはうなずいた。
そして、去ろうとする彼女の手首をつかんで頼んだ。
「マリ!私との約束を絶対忘れないでね!きっと。何があっても無事に私のところに帰って
来なさい!わかったか?」
マリは強い意志を持った顔でうなずく。
「はい、陛下。必ず約束します」
マリはクローヤン州に急いで戻った。
ラエルはマリの後姿をずっと見ていた。
誓約までしたが、彼女が去ると胸が空っぽになるようだった。
胸の片隅をナイフで切り取ったような。
「・・・はあ」
ラエルは深いため息をついた。
その時、オルンが彼に近づく。
彼は重い表情で話した。
「私は今でもヒルデルン子爵を捕まえるのが正しいと思っています」
「・・・」
ラエルが黙っていると、オルンはため息をついた。
「もちろんヒルデルン子爵を疑うわけではありません。それでも帝国のためには万が一の可能性でも遮断するのが正しいです」
しかし、ラエルは首を横に振った。
「もういい。私は彼女を信じることにした」
「陛下」
オルンは残念そうな顔をした。
その時、ラエルが重い声で話した。
「もし今日の私の選択が帝国に少しでも良くない結果をもたらすなら、その時は私がすべての責任を負うようにする」
ラエルの宣言に右がこわばった顔をした。
皇帝の責任。
決して口に出してはならない重い単語。
ラエルは彼女のためだけに大きな負担をかけることにしたのだ。
マリと警護を担当した近衛騎士たちは、死に物狂いで馬を走らせ、クローヤン地方に到着する。
マリは時間を節約するためにクローヤンの首都であるコモン城ではなく、問題が発生したエトナ島に隣接した海岸に向かった。
「火山の調子はどうですか?」
海岸に到着したマリは、急いで尋ねる。
現場にはあらかじめリン男爵と役人が到着していた。
「良くないです。まだ噴火は始まっていませんが、様々な兆候を考慮すると、近い時期に溶岩が噴出することは明らかです」
「島の住民たちを避難させる船は手配しましたか?」
「はい、近くのすべての船を集めました」
「すぐに避難を開始しなければなりません」
マリは島民の避難を指揮するために船に乗り込んだ。
ところが、彼女が直接島に入るという事実に驚いて顔が青白くなる人物がいた。
反帝国運動の中心であり、モリナ王女の追従者である王室騎士団のバルハン伯爵だ。
「王さ・・・、いや、総督閣下が直接島に入るということですか?」
「そうですが、何か問題でも?」
ポンティル男爵は不思議そうな表情でバルハン伯爵を見た。
「島の中は危ないんじゃないのか?それなのに閣下が直接入るって?」
バルハン伯爵の立場では、彼女はクローヤン家の最後の血筋だ。
絶対にこのような危険を甘受してはならない人物だった。
「危ないよ。当然危ないとも。下手をすると火山噴出に巻き込まれるかもしれないから」
「それでは?」
バルハンは理解できなかった。
帝国の立場からも、彼女は「予備皇后」ではないか。
ところが、こんな危険なことをするように放っておくなんて。
「あなたの言葉のように、本来は止めるのが正しいが・・・皇帝陛下もそうだし、私たち予備皇后さまもそうだし、いつも前に立つことを当然のことと思っている方だから止められない。私たちは、ただ何も起こらないように最善を尽くして守るしかないんだ」
「・・・」
「総督閣下のそばにいると、これからもこのような姿はよく目にするだろう。だから慣れた方がいいよ」
そのように話したポンティル男爵は、硬直したバルハンを置いて自分の席に戻る。
バルハンは首を回して甲板に立っているマリを見た。
遠くに水蒸気が噴き出す火山を見る彼女の瞳は緊張に満ちていた。
「怖がらないわけでもないのに?」
バルハンは混乱していた。
その時、マリが言った言葉が彼の頭の中に浮かんだ。
『方向は違いますが、クローヤン王の国民を思う気持ちは伯爵も私も同じです。だから私が信じられる存在なのか見守ってください』
バルハンは固い目で長い間マリを見つめていた。
誓いをおこなった直後の火山噴火。
島民を全員助けることはできるのでしょうか?