こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は21話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
21話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 友達と温もり
猫の仮面がクラリスを振り返った。
表情は見えなかったが、なんだか呆れているような気がした。
「・・・」
そのように眺める視線が続くだけで、特別な答えがないとクラリスは少し泣き顔をしながら慎重に尋ねる。
「もしかして、私が嫌いなの?」
「・・・」
「私は・・・あなたが好きなのに・・・」
特に何か石のように感じられるのがそうだった。
初めて会ったけど、なんだか親近感が湧いてくるというか。
しばらく沈黙を守っていた少年は、もぐもぐするような返事を聞かせてくれた。
「・・・私は怪物だ」
怪物?
クラリスは少年をじっと見たが、どこもそんな気はしなかった。
むしろ空色の髪の毛が天使の羽のように飛び散って、とても美しく見えただけで。
しかし、このように褒め言葉をかけると少年が恥ずかしがるようだったので、クラリスはいたずらっぽく笑いながら答える。
「あなたが怪物だったら、私は囚人よ!」
ちぇっと、小さく笑う声が聞こえてくる。
それはなゼかノアの心が少しは動いたという意味のようで、クラリスは素早く手を伸ばした。
「私たち、握手!」
「・・・」
しかし、ノアは彼女の手をじっと見下ろして、やっと裾の先を譲っただけだった。
「そのだぶだぶの服でもいい」とクラリスは楽しそうに握手をし、また前に倒れそうになる。
「また落ちそうになったじゃないか!」
ノアはそう言いながらも、すぐにクラリスの手首をつかんだ。
「わあ、本当にびっくりした」
今度はとても驚いたのか、クラリスは心臓をなでおろして窓から数歩後退する。
自然に彼らの手が離れた。
ノアは依然とし自分私の手の中に残った温もりをぎゅっと握り、背後に隠す。
(・・・温もり)
彼は一瞬、頭の中に浮かんだ慣れない単語を再び数える。
怪物になった彼の体はいつも冷たかった。
触れた相手をあっという間に冷たくしてしまうほど。
そんな彼にとって、温もりとは本当に刹那に近いもので、事実上ほとんど感じにくいものだった。
ところが、あの女の子と触れた手は今でも・・・。
(いや、勘違いだ)
彼は思い通りに流れる考えをつかみ、何も残っていない手を無駄に払い落とす。
もう感じることはなかった。
先ほどのことは一種の幻想に他ならないものだったのだろう。
「ノア!」
彼は親しみやすそうな声にびっくりして頭をもたげた。
「入ってこないの?窓をずっと開けておくと寒いのに」
「わ、私は・・・」
再び窓のところにやってきたクラリスは彼のローブを引き寄せる。
ノアはクラリスの部屋に入ることを余儀なくされた。
ここでもっと断るのがおかしいような気もして。
彼が降りてくると、クラリスはすぐに窓と雨戸をすべてしっかりとかけ、鍵をかけ、暖炉の前に駆け寄る。
熱い火の前で両手をこすっていたクラリスはノアに手招きした。
「こっちにおいで。暖炉のそばにいると、すぐに体が溶けるよ」
それは人間たちがすることであって、ノアのような怪物とは関係のないことだ。
「ここに早く来いって?」
しかし、両足を踏み鳴らしながら頼むうるさい女の子の頼みを断ることはできなかった。
なんだかもっとうるさくなりそうだったし、ノアはうるさいのは苦手だから。
「わ、分かった」
彼はクラリスのそばに立る。
暖炉に火がめらめらと燃えているので、周辺の温度がかなり高いだろうな、という気がすること以外には、大きく感じられることはなかったが。
「じっとしていないで、こうやって突き出してみて」
クラリスはこう言いながら、差し出した手をそっと振る。
「・・・」
手を火に当てる怪物だなんて。
なんだかちょっと酷い感じがしたけと、ノアはクラリスがつぶやくのが嫌で気前がいいかのように手を前に出した。
彼の肩にも届かない子供に寛大さを与えるほどの雅呈はあるからだ。
「どう?」
彼が手を差し出すと、クラリスは彼の横に一歩近づき、琥珀色の瞳を輝かせながら質問をする。
「すごく暖かいでしょ?体が溶けそうでしょ?」
ノアはクラリスをじっと見つめたが、すぐに3歩ほど離れては首を逆に向ける。
「・・・べ、別によく分からない」
ただ、何と言うか。
なんだか指先がかゆいような感じ?
理由は分からないけど。
魔法使い団のアルステア・アストが訪れた一年の最後の日。
体を回復したノア・シネットとマクシミリアン公爵は、同じ馬車に乗って北の城壁に沿ってずっと移動していた。
公爵は向かい合った少年を注意深く見つめる。
彼は今日も猫の仮面をかぶっていた。
(11歳だと言っていたのか)
確かにノアはその年にふさわしい小柄。
しかし、年齢に合わない面もある。
まっすぐな姿勢で座った姿もそうだったし、時々仮面の向こうから感じられる老練な覗線もそうだった。
そして何より。
「調査許可に心から感謝の意を表したいと思います。まだ王室の内部では、ウイザードを嫌がっていると聞いていますが」
長老会の老人たちが使うような言い方がそうだった。
声変わり前の子供っぽい声がぎこちないほどに。
公爵はノアが小柄な大人ではないかと疑ったのかもしれない。
公爵はノアを観察するように眺めるのはやめて、仕事に関する話に集中した。
「シェリデンは私の権限下にある。王室の理解はすぐに得られるから、魔法使いのシネットは心配しないで研究に邁進してほしい」
「誠にありがとうございます。こんな姿で・・・気まずくなるのに」
彼はぎこちない手つきで自分の仮面をいじくり回した。
少し照れているようで、公爵は彼が初めて少年に見えた。
「あなたの師匠、魔法使いのアストが私に保証しました」
生きる日があまり残っていないとし、自分を紹介した老魔法使いは、自分の愛弟子がどれほど立派な魔法使いの逸材なのか、一つ一つ説明したことがあった。
『現存する魔法使いの中では、ノア・シネットだけが崩壊したゴーレムを研究できる』
公爵は魔法使いについてはよく知らないが、老魔法使いの長い経歴と文体から感じられる気品から深い信頼を感じた。
さらにノアは有名な5大魔法使いの1人。
実力を疑う必要はなかった。
たとえ猫の仮面がかなり疑問ではあるとしても。
「先生がそうおっしゃったのは、私がすごい魔法使いだからではありません」
「・・・それは」
公爵は少年を見つめながら何かを話そうとしたが、唇をぎゅっと閉じた。
ノアは彼がためらったことを知っていたのか、片手を上げる。
「どうぞ話してください」
「ノア・シネット、あなたは先代の魔法使い団長の息子だね」
公爵はしばらく背もたれにもたれかかり、窓越しに視線を向けた。
「私も幼い頃、あの方にお会いしたことがあった。その時までは、魔法使い団と王室も交流があったから」
先代の魔法使い団長はノアと同じ水色の髪の毛を持った女性だった。
誰よりも強いゴーレムマスターでもあり、彼女の前では銀色の魔物もあえて人間たちの地を楽に踏むことができなかった。
「臨月にも直接魔物戦争に出るほど情熱的な方だった。私も彼女を指導者として非常に尊敬している」
彼は今になって再びノアを振り返った。
悲しむのではないかと思った少年は、以前と同じ姿で座っているだけだ。
馬車はゆっくりと速度を落とし始める。
崩れたゴーレムにほほ到着したのだ。
「大丈夫かな?」
公爵はノアの年を改めて思い出しながら心配そうに質問をする。
崩れたゴーレムが持つ様々な意味のためだった。
それは11年前、銀色の魔物と戦っていたゴーレムが崩れ落ちた残骸。
主人の魔力で動くゴーレムの崩壊は、ゴーレムマスターの死あるいは魔力の喪失を意味した。
その巨大なゴーレムの主である団長の遺体は、石の山の最も深いところに閉じ込められた.まま、今まで発掘されなかった。
ノアはその残酷な現場の唯一の生存者。
当時、団長に従っていた若い魔法使いアルステア・アストが比較的軽い石の山の下にいたノアをやっと救い出したおかげだった。
先代の魔法使い団長は、もしかしたら人生の最後の瞬間に全力を尽くしてやっと産んだ子供を巨大な石の向こうに押し出したのではないだろうか。
つまり、崩れたゴーレムはノアの誕生地であり、母親の墓でもあった。
ついに馬車が止まる。
「「大丈夫か」というその質問は・・・公爵にもそのままお返ししたいです」
公爵は苦笑いした。
何歳も幼い少年に質問を戻してもらうとは思わなかったのだ。
崩れたゴーレムは彼の父親である先王が他界した席でもある。
先王の騎士や兵士たちもゴーレムの崩壊に巻き込まれてしまったのだから。
あっという間に頭を失った王家と魔法使いたちは、その場でお互いに向かって刃を立てた。
銀色の魔物と共に戦ったという同志意識など、すべてを捨てたまま。
「私は大丈夫だ」
公爵がそう言うとき、使用人が馬車のドアを開けてくれた。
「それなら私も大丈夫です」
少年は彼と同じように答え、先に馬車から飛び降りる。
公爵もノアについて行き、崩れたゴーレムの前に並んだ。
冷たい野原の上に奇怪な形に崩れ落ちた巨大な赤い石ころがあった。
そのそばに新しく建てられた慰霊碑が、この下にに人が埋まっているという事実を改めて悟らせた。
公爵はノアをちらりと振り返った。
なんだか心配にもなるし。
いくら大人の仕事をしているとしても、まだ子供ではないか。
(クラリスよりたった2歳しか多くない・・・)
「今日からすぐに研究に取り掛かります」
「他の魔法使いたちを待たなくてもいい?」
「どうせ彼らは魔法使い団の監覗者にすぎないですから」
「・・・」
「ここは考えなくてもいいです。約束通り、月に一度シェリデン邸に研究経過を報告しますから」
胸にも届かないほど小さい子供が一人でも大丈夫だという話をたくましくするのを見ていると、公爵は自然に誰かが浮かんでしまった。
クラリスのことだ。
二人の子供は妙に似ているところがある。
言葉と行動は全然違うが。
「城壁に馬車を置いていきます」
「・・・?」
「あなたが馬車に乗って直接シェリデンに来て聞かせてほしい」
こうしておけば、月に一度はノアの状況が大丈夫なのか見守ることができるだろう。
マクシミリアンが周期的に北側に来ても良いだろうが、どうしても少年が休息を取るにはシェリデン邸の方がそれでも良い環境だ。
彼はひそかにノアの顔色をうかがう。
もしかして断るんじゃないかと。
「敢えてそこまで___」
彼が断ろうとしているようで、公爵はすぐに別の話を切り出した。
「クラリスと友達だと聞いたが。月に一度は会うべきじゃないか」
「・・・それなら仕方ないですね」
彼は面倒くさがって吐き出し、仮面をいじくり続けた。
「あ」
そうするうちに何か思い浮かんだように公爵を振り返る。
「そういえば、あの子・・・」
「クラリス?」
「ええと・・・いいえ。勘違いでしょう」
一体何を勘違いしたのだろうか。
公爵は途中で話が気になったが、ノアが崩れたゴーレムを覗きに行ったため、これ以上聞くことができなかった。
クラリスとノア。
友達と言い張るクラリスにノアも困惑していますが、二人のこれからの交流が気になりますね。