こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

89話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 新しい友達③
夫人と出会ったその日の午後、クラリスが受けた最初の試験の結果が発表された。
そこで驚くべき結果があった。最も上位にユジェニーの名前とともに、ノアの名前が書かれていたのだ。
これまでユジェニーが独占していた首席の座に、ノアも並んでいたのである。
その結果を見た者たちの視線は、ユジェニーだけでなくノアにも注がれた。
満点という驚くべき成績を前に、仮面をつけた彼は、ただ静かにそれを見つめていた。
結果を見る限り、クラリスは試験を突破できたものの、特に優れた成績を収めたわけではなかった。
ただし、少なくとも失敗したベルビルよりは、はるかに良い点数を取っていた。
しかし、それもベルビルの試験結果が壊滅的だったためであり、クラリス自身の成績が特に目立つほど良かったわけではなかった。
全体の受験者の中で、ちょうど真ん中あたりに位置するレベルといったところだろう。
今まで王族の支援を受けながら学び続けてきたことを考えると、誇れるような結果とは言えず、思わず顔が赤くなるような成績だ。
もちろん、問題はその恥ずかしさだけではなかった。
「……公爵夫妻に、この成績をどう報告すればいいの?」
「一生懸命勉強する」と誓ってこの場所に来たというのに、こんなに情けない点数を取ってしまったのだから、落ち込むのも無理はなかった。
「そんなに気にしなくても大丈夫ですよ。」
隣にいたノアが、慰めるようにそっとクラリスの髪を撫でた。
普段なら、こうした優しい仕草にすぐ心が癒されるのだが、今日はまったく効果がなかった。
「もっと勉強すればよかった……。私の努力が足りなかった。」
「まだ最初の試験だよ。」
「それはそうだけど……。」
「君にはまだ伸びしろがあるよ。今回の試験の採点結果をじっくり見直して、間違えた問題を解き直せば、きっともっと良くなるさ。」
「あっ……。」
クラリスは、以前新聞の記事で読んだ優秀な合格者たちの勉強法を思い出した。
彼らは、試験で間違えた問題があれば、必ずもう一度解き直す習慣をつけていたという。
「そうだ、私もそうしなきゃ。間違えた問題を全部復習したって報告すれば、どんなに悪い点数でも、公爵夫妻も少しは納得してくれるかもしれないわ。」
「少女自身のためのことだという事実も忘れないでください。」
「もちろんよ。でも、今からすぐに間違えた問題を写しに自習室へ行くつもりだけど、ノアも行く?」
「もちろん、僕も行くよ。」
「よかった、一緒に行こう。」
二人はそれぞれの部屋で勉強道具を準備し、自習室へと向かった。
自習室はいつも熱心な雰囲気に包まれていたが、試験の結果が発表された日は、さらにその熱気が増していた。
普段より多くの受験生が結果を確認し、戻ってきて勉強に没頭していた。
「クラリスさん、試験の結果はどうでした?」
中には、クラリスに先に声をかけてくれる親切な受験生もいた。
以前ほど露骨に敵対的な態度をとる者は少なくなったため、クラリスも周囲の人たちと話しやすくなっていた。
「完全に失敗しちゃったわ……。」
「最初の試験はそんなものですよ、頑張ってください。」
励ましの言葉をかけた受験生は、水の入ったカップを手に持ちながら自習室を出ていった。
おそらく、茶を淹れに行く途中で声をかけてくれたのだろう。
「……なんだか嬉しいな。」
試験の結果で沈んでいた気持ちが、少し軽くなった気がした。
「私たちも早く席を取って勉強しよう。」
クラリスはノアの腕を引いて自習室内を歩いた。
今日は確かに空席が少なかった。
「あっちだ。」
偶然目が合ったユジェニーが、さりげなく空いている席を示してくれなかったら、ノアと隣同士に座るのも難しかっただろう。
席を取ったクラリスは、遠くに座っているユジェニーに向かってこっそりと親指を立ててみせた。
目立つ行動が恥ずかしかったのか、ユジェニーはそっと本を持ち上げて視線を逸らしたが。
狭い席は少し窮屈ではあったが、クラリスはすぐに問題を解くことに集中した。
ノアは持ってきた本を開いていたが、ずっと同じページをめくったり戻したりしていた。
ここ一時間ほど、ほとんど内容を読めていないように見える。
こんなふうに本が読めなくなるのは珍しいことだったので、彼自身も少し困惑しているようだった。
その原因は……。
彼はそっと右腕を下ろしてみた。
狭い席のせいか、いつの間にかクラリスの左腕がかなり近くにあった。
いや、正確には彼女の腕が寄りかかるようにぴったりとくっついていた。
だが、クラリス自身は全く気にしていない様子だ。
なんとなく落ち着かない気持ちになったが、それならいっそ気にしない方がいいのかもしれない。
ノアも、普段ならこの程度のことで読書に集中できなくなることはなかったのだから。
それにしても、自分の体調はどれほど悪くなっているのだろう。
本を読むことすら難しくなっているとは——。
どうやら週末には必ず薬草を買いに行かなければならないようだ。
かなり強い効き目のものを。
ノアはそっと息を吐き、何気なく視線をクラリスに向けた。
ほんのりと赤みを帯びた唇にペンを当て、ただ考え込んでいる彼女。
ようやく問題をどう解くべきか見えてきたのかもしれない。
ためらうことなくペンを回し始めた。
目をしっかりと見開き、集中した様子で。
まさしく努力する者の顔だ。
尊敬に値する、堂々とした表情。
『だからなのか?』
一度見つめてしまうと、なぜか目をそらせなくなる。
それに、こんなにも近くに座っているせいで、クラリスの微細な表情の変化まで感じ取れるという点が心地よかった。
時折、鼻先がぴくっと動くのがどれほど愛らしいことか。
ノアは思わず、無意識のうちに拳をぎゅっと握りしめてしまいそうになるほどだった……。
『お、俺……な、何を考えてるんだ!』
ノアはハッとして、クラリスに向けていた視線を慌てて逸らした。
無理やり自分の本に意識を向けようとしながら。
「……ノア?」
彼の様子がどこかおかしいことに気づいたのか、ずっと集中していたクラリスが初めて彼を見つめた。
「い、いろいろあるんだよ、知らないこともさ?」
ノアは知らんふりを装いながら答えた。
都に来てからというもの、ずっと仮面の存在に感謝する場面ばかりだった。
「ううん、ちょっと動いたような気がして。私、腕を預けてたみたいで。ごめんね、不快だった?」
彼女は軽く笑いながら、ノアと触れ合っていた腕をそっと横へずらした。
「……不快ではないよ。」
ノアは少し口ごもりながらそう答えた。
こうして距離を取ってみると、腕が触れ合っていた方がずっと良かった気がしてならなかった。
良いことだと思ったが、そんな妙なことを口にするわけにはいかなかった。
これはもう病的な症状じゃないか。
「も、もし何かわからないことがあれば、いつでも聞いてください。」
結局、無理やりひねり出した言葉は、何の変哲もないそんな内容だった。
「うん、そうするね。」
そうして再び勉強を始めたクラリスは、どれだけ時間が経ってもノアに質問を投げかけることはなかった。








