こんにちは、ちゃむです。
「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

8話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ⑧
三人が乗った馬車は首都の城門に到着した。
そして、ついに公爵は彼を探していた皇帝の使者に出迎えられた。
皇帝は公爵の個人的な事情を知る余裕もない様子で、すぐに皇宮に来るよう命じた。
公爵がその場を離れたこの1か月の間に、かなりの混乱があったとのことだ。
「仕方ないな。」
彼はロレッタとメロディを交互に見つめながら言った。
「まずは邸宅に戻るように。話はしておいたから、不自由はないだろう。」
彼は二人の少女の返答を待つことなく、騎士の言葉を借りて馬車に乗り、すぐに皇宮へ向かった。
残された少女たちは馬車の中で自由を満喫しながら、好奇心いっぱいに窓に顔を寄せて、新鮮な首都の街並みを眺めた。
賑やかな人々と興味深い物が溢れていた。
あまりにも異なる風景に、二人の胸は期待と不安が入り混じった。
しかし同時に、彼女たちは恐怖も感じていた。
特に、馬車の御者が「こちらです。もう着きましたよ。」と言いながら、目の前にそびえ立つ巨大な建物を指し示したときには、あまりの壮大さに圧倒され、互いに抱き合ってしまった。
公爵が資産家……いや、富豪であることは知っていたが、ここまで大規模だとは思っていなかった。
馬車は広い庭園を通り過ぎ、ついに壮大な邸宅の正面で止まった。
その前には、正装を身にまとった二人の老齢の執事と、男女の使用人たちが整列して出迎えていた。
「ようこそお越しくださいました。」
正装を着た年老いた執事が扉を開けながら言った。
「公爵様からのお話は伺っております。ロレッタお嬢様。執事のヒギンスと申します。」
彼は手袋をはめた手を小さな子どもに差し出した。
邸宅の中まで案内するつもりだったのだろう。
しかし、ロレッタはメロディと執事を交互に見つめ、怯えた様子でじっとしていた。
一人で見知らぬ人についていき、未知の場所へ行くのは怖いのだろう。
そう考えれば無理もない。
ロレッタが初めてメロディの家に来たときも、馴染むまでにかなり時間がかかったのだから。
メロディは執事の威圧感を和らげるように、優しい声でロレッタに囁きながら説得した。
「大丈夫よ。」
「メロディも一緒よね? 離れたりしないわよね?」
慎重に尋ねる質問に、メロディは「もちろん」という意味を込めて軽く頷いた。
その答えを確認した後、ロレッタはメロディの腕から離れ、執事の手を取った。
メロディは馬車から降りることなく、邸宅へと向かうロレッタの姿を見つめていた。
何度も振り返るロレッタの様子を見ると、メロディは心配でたまらない様子だった。
本当に愛らしい。
そう思いながら、メロディがかすかに微笑むその瞬間、執事とともにいた他の使用人が馬車の中へ顔をさっと向けた。
その使用人は年配の女性で、深いしわが刻まれていたが、邸宅内でも相当な高い地位を持っているように見えた。
洗練されたワンピース姿とその落ち着いた雰囲気からも、他の使用人とは一線を画していることがわかった。
「チッ。」
そして軽く舌打ちをする様子を見たとき、突然現れたメロディに対して歓迎していないように見えた。
「弱々しい小羊のように震えてるなんて……チッ。」
あら。
メロディはなぜかその女性の話し方にどこか親近感を覚えた。
「何を木偶の坊みたいにぼんやりと見ているの!さっさと降りられないのかしら?!?」
メロディは馬車から降りた。
邸宅の前で整列していた使用人たちはすでに皆屋敷に戻っており、そこに残っているのはメロディと恐ろしい雰囲気を持つ夫人だけだった。
夫人はメロディを上下に眺め回し、さらに腕を掴んで触って確かめるような仕草をした。
働けるだけの健康があるのか確認しているのだろうか?
そう考えたメロディだったが、ここで弱々しい印象を与えるわけにはいかないと思った。
メロディは無理やりお腹や頬を膨らませて、少しでも体を大きく見せようとした。
こうすれば少しは自分がしっかりした人物に見えるだろうと考えたのだ。
しかし、彼女のこうした努力にもかかわらず、夫人はメロディをまったく気に入った様子を見せなかった。
「生まれたばかりの病弱な赤ん坊でも、あなたよりは足がしっかりしているわね。」
それは違うと思ったが、メロディは彼女の怒りを買いたくなかったため、何も言い返さなかった。
「名前は何?」
「メロディです、夫人。」
礼儀正しく答えたにもかかわらず、夫人は顔をしかめた。
何か間違えたのだろうか?
メロディの不安が募る。
「ほんの小さな羊が鳴くような声が聞こえたと思ったら、もう大人びたふりをしているなんて!」
「おばあさんと呼べということ?」
しかし、それは非常に侮辱的だと思った。
親しみやすく、近しい人に使うべき優しい言葉なのに…。
怖そうな夫人、いやおばあさんは、メロディが手先をもじもじと動かしているのを見て舌打ちをした。
「分かったならついて来なさい、メロディ。」
ああ……突拍子もない名前になってしまった。
ともかく、邸宅の中に案内してくれるのだと思い、メロディは急いで馬車の周りに置かれていた荷物を拾い上げた。
しかし、おばあさんが振り返って大声を上げた。
「そんな病弱な腕で荷物を運ぼうっていうのかい?!」
彼女は続けて、「邸宅に入るのは明日以降にしなさい」とさらに大声で言った。
「じゃあ、この荷物は……。」
メロディが困惑していると、おばあさんはまたもやため息をつき、再びメロディの前に歩み寄ってきた。
一方の腕を高く上げながら。
メロディは自然と後ずさりしてしまった。
おばあさんは肩を反らせて頭を振りながら、目をぎゅっと閉じた。
今やっとわかった。
このおばあさんがなぜこんなに親しみを感じさせるのか。
母に似ているのだ。
何でもないことで大声を出して怒鳴るところも。
そして、こうして自分の怒りを抑えきれずに自分に手を上げるような仕草も。
少しだけ距離が縮まったのか、メロディは痛みを予想して唇を噛み締めた。
しかし、予想していたことは何も起こらなかった。
ただ、メロディの手を軽く握られただけだった。
……手を握られた?
予想外の行動に驚いたメロディは、目を見開いておばあさんを見つめた。
おばあさんはメロディの荷物を両手で持ち上げ、不安定な足取りで先に進み始めた。
「弱々しい小羊のようなものが荷物をたくさん抱えて、この老いた腕を壊すつもりでいるわけじゃないでしょうね。」
それにしても荷物はそんなに多くはないと思うけど……。
とはいえ、荷物をすべて運んでくれた人に不満を抱くわけにはいかなかった。
メロディはおぼつかない足取りで彼女の後をついて行き、「荷物を運んでいただきありがとうございます。」と伝えた。
おばあさんは「ふん。」と短く返事をしただけだった。










