あなたの主治医はもう辞めます！【１０６話】ネタバレ

元々、一人で静かに研究だけに邁進しようと作った研究室には、いつからか人々がごった返し始めた。

回帰前、医院を開いた時には、患者たちが皆行った後に一人で残ってあれこれ研究するのが日常だったが、今は研究室に出入りする人々が自然になっている。

そして、私を見ると言って一人二人と訪ねてきて、結局は複雑になるその雰囲気が嫌ではなかった。

今もエルアンとディエル、フェレルマン子爵まで席を占めている状態だ。

「イシドール男爵が来ているそうだ。馬が一頭だけで、旅費が十分でないのでいつもより遅くなるみたい。シベロ地域のフェレルマン商団地点から連絡を受けたよ」

ディエルの報告に私はゆっくりとうなずいた。

「それじゃあすぐ到着するね」

最初はハンス事件が腹立たしく、次はフェレルマン子爵の復讐をしてあげたくてやりすぎだと思うほど引き下げた。

ウェデリックの情報を与えると言って偽りの情報ギルドを作って手紙を送り、お金に窮して領地と爵位まで全て奪おうとした。

エルアンはそれに加えて、すべてがなくなった時、ウェデリックの髪の毛でも送ってもっと狂わせようと提案した。

フェレルマン子爵は自分の娘を探す時にお金でもあったが、探せるのにお金がなくて探せない気分ははるかに悲惨なはずだからだ。

だが、これが「私の話」である可能性があるならば、彼を少しでもさらに苦しめるより一日も早く小さな手がかりでも引き出すことが重要だった。

「そのまま引っ張ってこようかとも思うが、今のシベロ地域なら他に時間の差もないだろう」

エルアンは眉をつり上げながら言った。

「なるほど」

「最近よく眠れる？気にすることが多いじゃないか」

建国祭以後、ともすると自分が辛いようだと私を呼び出して噛んで吸っていたエルアンは、私の気持ちが複雑なことを知った後、人為的な甘さを直ちに止めた。

その代わり、彼が私の主治医になったように食事はちゃんとしているのか、よく眠れているのか、顔色はどうか、しっかりと調べている。

しきりに私の髪の毛を撫でながら昨日より少し痩せてはいないか、顔色が暗くはないかを調べるエルアンを不満そうに睨んでいる人がいた。

「公爵様」

フェレルマン子爵は腕を組んだまま話す。

「公爵様の荒い手でリチェをそのように撫でないでください。たこに擦れて傷でも付いたらどうするんですか？」

剣をたくさん握ってできたたこに、それでも柔らかいこの上ないエルアンの手で傷がつく可能性はほとんどない。

誰よりもその事実をよく知っているはずのフェレルマン子爵なのに、神経質に文句をつけるのが確かに以前とは違っていた。

フェレルマン子爵と私は試薬検査を進行中ではあったが、いくら考えてもすべての情況上、婦女関係ではない確率がさらに希薄だ。

心証があふれて流れるが、確実にするために最後の一段階を控えていたため、私とフェレルマン子爵は微妙な仲になっている。

「ああ、そういうこともあるんですね」

以前なら鼻で笑うこともなかったエルアンは、素早く手袋を探し、再び私の髪の毛を撫で始めた。

「しかしたこをなくすことはできません。剣をずっと握らなければならないからです。もしリチェに危険なことが起こったら、直接関係者をやっつけなければならないのではないですか？」

「それでは、ちょっと離れてください。リチェが急にぶつかってもどうするんですか？公爵様の体にぶつかるだけでも痛いのに」

「そうですか？じゃあ、こうすればいいんです」

私の記憶ではエルアンは暑がりだ。

ところが、彼はすぐに研究室の隅にあった毛布を胸に巻き始める。

「申し訳ありませんが、丈夫で広い心は諦められません。リチェが体の良い男が好きですので」

フェレルマン子爵が何でもない言いがかりをつけると、エルアンが直ちに納得しながらも、あらゆる奇怪な方法を動員して、いざ行動を矯正することはない光景が続いた。

私がいくら天才だとしても、この当惑する状況を打開する方法は考えられなかった。

「子爵様、私はすでにリチェのためのオーダーメイド型人材です」

「何を言っているんですか？」

「ひょっとしたら分からない状況のための自己紹介です」

「はん」

フェレルマン子爵は鼻で笑いながら腕を組んだ。

「もし私がリチェの実父でなければ、完全に態勢を転換する人間だということを知らないと思っているのか」

「相変わらず聡明ですね」

「それは当然・・・」

ほほえましい表情をしていたフェレルマン子爵が再び気を取り直して、斧の目を開けた。

その時、研究室のドアを慎重に叩いた下女の一人が顔をひょいと突き出した。

「あのう、急ぎたいことがあるんですが・・・」

「はい、どうぞ」

何であれ、この変な雰囲気を壊すために、私は喜んで立ち上がった。

「今ちょうど公爵城に到着して、リチェ様をお探しの方がいらっしゃって」

女中は注意深く言葉を続ける。

「カンシア・エリアスという方なのですが・・・」

「エリアスですか？メロニアじゃなくて？」

私は「カンシア・メロニア」という人が私を見つけたら無条件に入れてくれと頼んだことがあった。

首をかしげると、下女も怪謗な表情で答えた。

「はい。リチェさんがおっしゃった方が『カンシア・メロニア』なので、私も何度も確認してみましたが、エリアスとおっしゃっています。そして、あまりにも身なりがめちゃくちゃで、言葉遣いが下品なので、使ってもいいか分からないという門番の意見がありまして・・・」

「もしかして、ちょっと汚い科のようなものをまとったジプシーですか？」

私は念のためカンシアの顔を思い浮かべながら聞いた。

「あ、はい、そうです」

「頭は白髪で、意地悪な顔ですよね？」

「はい。ちょっと図々しい上に、大げさで、はあ・・・とにかく質がとても良くないように見えると言いました」

「とても正確ですね。疑う余地もなく、まさにその人です」

やはり本名を当てたのではなかったようだ。

それでも「カンシア」という名前でもきちんと知らせてくれたことを感謝しなければならないのだろうか。

「今すぐ会わせてください」

「それが・・・」

女中はため息をついて言った。

「食事からしたいと仰向けになっているので・・・」

百回を回帰してもゴミのように生きると言っていた彼女は、自分の言葉を忠実に守っているに違いない。