偽の聖女なのに神々が執着してきます【１２８話】ネタバレ

[運命の神の権能によって、4つの分岐点が開かれます。]

[1. レイハストルート]

[2. カイルルート]

[3. ディエゴルート]

[4. ダガルサルルート ◀️]

「先送りにしていた件に、もう終止符を打つ時が来ました。」

「これ以上の争いはなくさなければなりません。」

「聖女様、どうかご決断を！」

「ブディ帝国の永遠の平和のために……！」

法廷を思わせる大会議場の中央に座る私は、彼らを見回した。

各勢力を代表して現れた男たちは、皆立派な顔立ちをしていた。

そして、その三人の代表者は、まるで判決を待つ新郎のように、私をじっと見上げていた。

赤い髪と赤い瞳が印象的な男。

イライド帝国の皇太子にしてソードマスター。

――カイル・アレクシス・イライド。

彼は皇宮の官僚たちの前に腰掛けていた。

「私を選べ。さもなくば……」

その瞳を見た瞬間、まるで幻聴のように声が響きわたった。

気づけば、私はカイルの腰に吊るされた冷たい長剣に目を奪われ、背筋がぞくりと震えた。

そして……

きらびやかな金髪と金の瞳、まるで絵画から抜け出したように美しい外見を持つ大神官、レイハス・ドゥエル。

その背後には、数多の神官たちが緊張した面持ちで並んで座っていた。

「あなたのためだけの監獄を用意しました、我が女神よ。」

彼は赤い唇を歪め、退廃的な微笑みを浮かべた。

最後に、黒い髪と冷酷な性格を思わせる深い群青色の瞳を持つ男――ロイド商団の団長、キャス・ロイド。

彼の背後には、帝国最大の企業であるロイド商団の団員たちが並んでいた。

キャスの眼差しを読み取ることに意味はない。

彼は、自分の感情を決して表に出さないポーカーフェイスだからだ。

「聖女様……どうか早くご決断を。」

耳元には官員たちの囁きが聞こえてきた。

そして視界にちらつく青いウィンドウには、興奮した神々のメッセージが次々と入力されていた。

[芸術の神モンドは、レイハスの外見が持つ美的価値について説きます。]

[破壊の神シエルは、カイルのように強靭な者こそが愛を勝ち取れるのだと主張します。]

[知識の神ヘセドは、ロイド商団が所有する高価な建物についての情報を漏らします。]

[愛の神オディセイは、ただの気まぐれで艶やかな舞を踊ります。]

もう後戻りできない選択の瞬間だった。

『どうして私はこんな状況に置かれているのだろうか。』

＜偽りの神＞が＜運命の神＞へと変わる奇跡が起こり、帝国の民からの人気は頂点に達していた。

その分、私の立場は広がり、複数の勢力が私を取り込もうとし始めた。

聖皇妃の首飾りを授けたあと、皇帝はカイルとの結婚をあきらめたように見えたが、むしろカイルが積極的に動き始めた。

『皇太子妃になってほしいと告白しただろう。』

妄執のように、私を強く引き寄せながら。

そして、貴族たちと商団を背にしたキャス・ロイド。

しばらく連絡が取れない間に何があったのかと思えば、途方もない結婚の贈り物を用意していた。

神殿の前に供物のように積み上げられた贈り物の山を見て、私はあまりの衝撃に両手で口を塞いだ。

最後に、レイハスは神殿の中立性が聖女の結婚によって損なわれてはならないと、帝国中の神官たちの支持を得ていた。

レイハス自身もまた、私の足の甲に口づけを捧げながら「永遠」を誓った。

彼らは一人の愛をめぐって争っていたのだ。

いくつもの勢力が私を手に入れようと衝突し、男たちは私を手に入れようと必死だった。

しかも彼らは並み居る強者たちだったため、その争いに巻き込まれ、ここ数か月のあいだ国は混乱に陥っていた。

帝国の民は、私が結婚相手を選ぶことを願って神殿に無数の嘆願を捧げていた。

「残念ですね。私を外すなんて。」

皆が集まり、私の結婚を巡って口論しているこの状況をどう収めるべきか悩んでいたそのとき、もう一人の男が現れた。

[正義の神ヘトゥスが、上がる口元を必死に押さえ込みます。]

美しい銀髪と澄んだ紫水晶の瞳を持つ魔法使い――実は魔王ディエゴだった。

ディエゴの背後に控えるローブ姿の魔法使いたちは、どうにかして自分たちの勢力が私を手に入れなければならないとでも思っているかのように、ぎらぎらとした目を光らせていた。

他の者たちはライバルが一人増えたと考え、それぞれがディエゴをけん制した。

「あなたは魔法使いではない。」

「なぜ、あなたが。」

もともと神殿と魔法界の仲は良くなかった。

彼が魔王であることを隠しているとはいえ、この場に現れたことが理解できなかった。

鋭い視線を放ちながら立ち上がったディエゴは、口を開いた。

「帝国がこれほど発展するうえで、魔法使いたちの功績を積んだ者がふさわしいということを認めない者はいないでしょう。」

ディエゴの発言にざわめいていた会場が一時静まり返った。

魔法使いたちもまた科学者である以上、彼の言葉は正しかった。

だが、再び一人の反論が飛んだ。

「だが魔法使いは神を信じていないではないか！」

「神を信じない魔法使いが多いのは事実ですが、神を信じる者だけが聖女様と結婚できるわけではありません。」

「な、なんだと……！」

「聖女様はもはや普通の聖女ではありません。聖女様のすぐそばに立ち、信頼を得た者こそがふさわしい。だからこそ、これほど多くの方々が目を光らせて見守っているのではありませんか。」

ディエゴの臆することのない言葉に、数人が声を張り上げたが、間違ったことは言っていなかった。

「魔法使いたちにも資格があります。」

「ディエゴ・ベステレ卿を聖女様の配偶者として推薦いたします。」

ディエゴの背後に立つローブ姿の魔法使いたちが叫ぶ声が響いた。

「ベステレ卿と魔法使いたちにも機会を与えよ！」

そしてディエゴは強烈な眼差しで私を見つめ、唇を結んだ。

低い声には真実が込められていた。

「ディエゴ・ベステレ、聖女様に結婚を申し込みます。」

――はぁ……つまり夫候補が四人になったということね。

私は四人を順に眺めた。

眩い光を浴び、互いに牽制し合うように堂々とした気配を放つ四人の男たち。

誰もが言葉にできないほど格好良く、そして美しかった……。

もし韓国で四人組アイドルグループを組んだとしても、その外見は群を抜くだろう。

しかも肩書きは皇太子、大臣、財閥二世、そして魔王……。

『狂ってる、狂ってるわ。』

だが選択を迫られるこの状況は決して甘いものではなかった。

帝国民が一斉に結婚相手を望むこの状況で、無条件に嫌だと拒絶するのはさらに困難だったのだ。

『一体どうすればいいの……？』

[知識の神ヘセドがあなたを祝福します。]

複雑に絡み合った思考が少し晴れた瞬間だった。

ふと、この状況を打開できる一つの方法が思い浮かんだ。

少しして私は口を開いた。

「わたし……決めました。」

人々の視線が一斉に私へと注がれた。

その瞳には期待が満ちていたが、私は応えることができなかった。

なぜなら、私が口にしようとしているのは――彼らの誰も選ばないという答えだからだ。

もし今、私が誰かを選べば、力の均衡は大きく一方へ傾いてしまうだろう。

皇族、貴族と商団、神殿、魔法使いたち……。

皆が帝国をしっかりと支える柱である。

だからこそ私は、その選択に責任を負わねばならなかった。

「四人全員と結婚します。」

瞬間、恐ろしいほど強烈な静寂が訪れた。

『受け入れられぬ。聖女の結婚は保留とする。』

そう、確かにこれは私が予想していた反応だった。

だが、事態は完全に奇妙な方向へと進んでしまった。

一体どうしてそんな結論に至ったのか、理解に苦しんだ。

幾度もの討論と会議の末に「聖女結婚委員会」なるものが設立されたのだ。

四大神の神官たちが選ばれて含まれることになった。

つまり彼らは……私の言葉を受け入れたのだ。

「分け合えば分け合うほど価値は薄れない、というのが我ら商団主の意図です。」

「どれほどもがいても結局、弱き者は淘汰されるのだから、提案に寛大に応じよ、との皇太子殿下のお言葉もありました。」

「地に咲いた四つの花があるなら、一番美しい花にまず手を伸ばすのが当然でありましょう、と。ゆえに大神官様は自信を示されました。」

「結婚とは、最も長く生き残る者が勝者……ディエゴ侯爵様がこの試合に応じられたのです。」

だから私は思った。

まるで原作、いや、レドの予言で見たカミーラの「三人の夫エンディング」と同じような状況に陥ったのだと。

いや、それ以上だ。

四人の夫候補なのだから、私の方がよほど状況は悪い。

[慈愛の神オーマンは、自らの長い神生を振り返りながら、会場で涙を流します。]

夢でも見ているようなこの表示は一体何なの！

[慈愛の神オーマンがしみじみと鼻歌を歌います。]

とにかく私は受け入れるわけにはいかない。

『夫が四人だなんて……帝国の民も、耳にしたことも目にしたこともない状況には反対するに決まっている。』

そして予想通り民衆は騒ぎ立てた。

ああ、でもそれは私が想定していた方向とは違う意味で――。

「やはり聖女様は、この混乱した時局を安定させる最善の解決策を選ばれたのですね。」

「今回の婚姻によって、帝国の均衡はさらに安定することでしょう！」

私が四人の夫を迎えることになる、という噂は帝国全域に広まり、瞬く間に帝国はお祭り騒ぎの雰囲気に包まれた。

この一連の事態を受けて、帝国民は私をもはや「人間」の領域として見ず、「生きている女神」として考えているようだった。

伝説や神話に出てくる女神たちが複数の夫を持つように、これはまたとない神秘的で荘厳な出来事となり、帝国民たちもまた、私が帝国に偉大な祝福を授けるものとして、この結婚を受け入れたのだ。

『終わった……私は本当に終わったのよ……』

確かに四人とも屈強な男ではあるけれど……。

私は熱くなった頬を両手で覆った。

『これからどうなってしまうのかしら。』