乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する

乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する【178話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する」を紹介させていただきます。 ネタバ...

 




 

178話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 記憶喪失⑤

ヒーカンは舞踏会場に戻るのではなく、そのままダリアを連れて行った。

そして彼女が十分に落ち着くまで、そばで水や甘い食べ物を与えてあげた。

アドリシャがこれを見たら、きっと皇帝暗殺計画でも企てるんじゃないかと勘違いしそうだ。

だから、周囲には誰も寄せ付けなかった。

しかし、心の中が煮えたぎるような気持ちは、そう簡単には収まらなかった。

これまでずっとダリアを笑わせ、良いものだけを見せてきたはずなのに、セドリックはたった二度で彼女を泣かせてしまったのだ。

思い返すとまた怒りがこみ上げてくる。

彼はその感情を抑えきれず、ダリアが完全に落ち着くまでは馬車の外で待つことにした。

しばらくしてから馬車に戻ると、ダリアの表情は少し晴れていた。

いや、むしろ別の意味で微笑んでいるように見えた。

「私、もうセドリック様のことが本当に嫌いです。」

それはヒーカンにとって、少し嬉しい言葉だった。

彼は彼女の背中を軽く叩きながら、セドリックへの不満に同意するような仕草を見せた。

ダリアは普段とは違い、熱くなってスカーフをぎゅっと握りしめながらそう言った。

しかし、しばらくして再び憂鬱な表情になった。

ヒーカンは舞踏会場から持ち帰った三段のトレーの中から、一口サイズのブルーベリータルトをフォークですくい、ダリアの口に運んだ。

彼は、ダリアの気分を晴らすにはこれが最適だと分かっていた。

やはり、ダリアは甘いものの力で少し気分が良くなったようだった。

しばらくすると、彼女は静かに口を開いた。

「実は……そんな考えがよぎったんです。」

「どんな考え?」

「私がお兄様や他の人々を助けることができたのも、結局みんなとこんな関係になれたのも……すべてこの力のせいなのではないかって。」

ダリアは自分の手のひらをじっと見つめた。

ヒーカンはその手をそっと自分の手のひらで払いのけ、視線を逸らした。

「……そんなこと考えるな。」

「でも……もしあの日、お兄様が魔力覚醒の儀で助けてくれなかったら……。」

ダリアは言葉を詰まらせた。

その考えが頭から離れなかった。

もし自分に力がなくて、ヒーカンを救えなかったら?

もしあのとき、ヒーカンがダリアに助けを求めることなく、セドリックを傷つけていたら……。

『私たちは今でも、こんな関係でいられたのだろうか?』

セドリックは、そういう意味でダリアにとって特別な存在だった。

彼はダリアの力を知る前から、ずっと彼女を愛していた。

彼女の力ではなく、その心に惹かれ、彼女を大切に思っていた。

しかし記憶を失った彼は、過去の自分が彼女の力のせいで彼女を愛したのだと言った。

その言葉がなぜか、彼との関係すべてを否定されたようで、ダリアは悲しくなった。

「……お前が……。」

ヒカンはずっと沈黙を守っていたが、やっとの思いで口を開いた。

まるでためらっているかのように、「お前が……」と、かすかに声を漏らした。

「お前が……俺を救う前から、ずっとお前を愛していた。」

ダリアは驚いて彼を見つめた。

思いがけない言葉に気まずくなり、つい目をそらしてしまいそうになったが、ヒーカンはそうせずに、まっすぐ彼女を見つめ続けていた。

「それを認めるのが、ただ難しかっただけだ。」

「………。」

「これから先、どんな状況になっても、絶対に、絶対にそんなことを考えるな。お前はお前だけで十分特別なんだ。力なんか関係ない。そんなもの、どうでもいい。」

「………。」

「……俺は皇太子殿下が嫌いだが、あいつも俺と同じ考えだったんだろう。今はただ、どうしようもなく取り乱しているだけだ。」

最後の言葉がどこかたどたどしく聞こえ、ダリアは思わず笑ってしまった。

ヒーカンはそれを見て、くすっと笑いながら彼女の頭をくしゃっと撫でた。

「もう泣き終わったなら、家に帰ろう。」

「うん。」

「私たちの家に帰ろう。」

「……うん。」

ヒーカンは馬車を出発させた。

ダリアは彼の肩にもたれかかりながら、ぽつりと呟いた。

「それでもやっぱり、セドリック様は嫌いです。」

「俺も嫌いだ。」

こうして、セドリックはペステロース家の公敵となった。

セドリックは舞踏会から戻った後も、ダリアのことが頭から離れなかった。

涙に濡れながら震えていた、あの灰色のまつ毛を思い出すたび、まるで心に大きな石が詰まったような感覚に襲われた。

何度も自分の言葉を反芻したが、どこが間違っていたのか、まったく分からなかった。

記憶を失ったことで、当然ながら以前と同じ気持ちではいられなかったのだ。

そんな気持ちのまま、愛しているふりをして関係を続けるよりも、正直に手放した方がいいのではないか?

それから、あの「力」に関する言葉。

彼はもう一度考えてみたが、その言葉のどこが間違っていたのか、分からなかった。

彼はダリア・ペステロースについて何も知らない。

ただ知っているのは、彼が彼女を愛していたということ。

そして彼女が持つ特別な力。

それが結びつくことの何が間違いだったのだろうか?

しばらくして、彼はある結論に達した。

彼はダリア・ペステロースについて何も知らない。

だから、彼女が怒る理由も分からないし、考えなしに発した言葉が彼女を何度も傷つけ、失望させてしまう。

もし彼女をこれ以上傷つけたくないのなら、ダリア・ペステロースをもっと知るべきだったのだ。

だが、どうすればいい?

時間が経てば記憶が戻ると言われたが、すでに記憶を失って十日以上が経っても状況は変わらなかった。

彼は、もしかするとダリアに関する記憶を完全に取り戻せない可能性もあると考え始めた。

ただじっと記憶が戻るのを待つよりも、自ら知るしかなかった。

まず、ペステロース邸に謝罪の手紙を送った。

謝る理由はないと思ったが、ダリアのことを考えるたびに、胃の奥がえぐられるような不快感に襲われた。

しかし、ダリアの返事はなく、代わりにヒーカンからの返信だけが届いた。

長い手紙だったが、要約すると「ダリアには連絡するな」ということだ。

おかげで余計に気分が悪くなった。

彼は、なぜこんなにもダリア・ペステロースのことが気になるのか分からなかった。

彼女の力が魅力的だから?

それなら、彼女の言う通り、定期的に会って霊魂を浄化するだけで十分なはずだ。

それ以上の関係は必要ない。

これ以上傷つけたくないのなら、黙っていればいいだけのことだ。

前に考えたように、最初の頃の彼は彼女について何も知らなかった。

まるでダリアに関する記憶だけ消しゴムで消されたように。

彼は、よく知らない相手に一目惚れするような人間ではなかった。

それなのに、なぜかダリアだけは……。

「………」

その時、無表情のアドリシャが彼の部屋に入り、書類を山のように机の上に積み上げた。

父が指示した仕事だ。

皇太子になりたいのなら、この程度の業務は事前に処理できるようにならなければならないと父は言い、誰が見ても山のような仕事を彼に押し付けた。

皇太子時代、ずっとレナードが代理で処理していたことを知っていたセドリックは、少しうんざりした気分になった。

だが、すぐに理解した。

レナードに任せればミスが出るのが分かっているから、最初から指示を出さなかったのだ。

『それにしても、量が妙に多いな。』

その時、机に書類を置いていたアドリシャの手が、微かに震えているのを彼は見逃さなかった。

彼は不審に思い、冷静な声で尋ねた。

「なぜそんなに手が震えている、アドリシャ?」

「……申し訳ありません。」

アドリシャは短く謝罪した。

以前はもう少し人間らしい反応をしていた気がする。

しかし、記憶を失ってからのアドリシャは、まるで石のように冷たく、突き刺しても血の一滴も流れないような態度を取るようになっていた。

そんなふうに考えなければならないのだろうか?

彼を見るたびに手が小刻みに震え、何を考えているのか自分でも分からなくなる。

セドリックは、誰かに文句を言いたい気分で、机にもたれながらアドリシャを見つめた。

「言いたいことがあるなら言ってみろ。」

「大丈夫です。私が皇太子殿下に何かをお伝えしましょうか?」

「は?怒らないから言ってみろ。」

「はい。私も一生懸命、怒りを抑えていますが……。」

「……え?」

「あ、すみません。私も知らないうちに本音が出てしまいました。」

アドリシャは驚いたように口を押さえた。

だが、一度口からこぼれた言葉は取り消せなかった。

「どうしてでしょう? 私が怒る理由なんてひとつもないのに、なぜこんなにもこみ上げる怒りを抑えるのが難しいのか……。」

「それで、手が震えていたのか?」

セドリックは驚いて問い返した。

最近、自分を見るたびに彼女の手が震えていたのは怒りのせいだったのか?

セドリックは、ふと彼女がダリアの侍女であり、親しい友人であることを思い出した。

もしかすると、彼女はダリアの味方かもしれない。

「アドリシャ、怒らないから教えてくれ。俺は彼女に何か悪いことをしたのか?」

「……」

「俺には本当に分からない。でも、俺がダリア・フェステロースを傷つけていることは確かみたいだ。それが嫌なんだ。それで君に聞いているんだよ。」

アドリシャの瞳が揺れた。

セドリックは、その動きを見逃さずに問い詰めた。

「彼女は俺にとって、どんな存在だったんだ?」

「それは……」

 



 

 

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