継母だけど娘が可愛すぎる【２９５話】ネタバレ

私はクララとノマをちらりと見た。

「ねえ、聞きたいことがあるんだけど」

「はい。何が気になりますか？」

「君たちは恋愛したことある？」

自分で言っておいても恥ずかしくて死にそうだった。

ノマはこれはどういうことだ、という表情を浮かべる。

クララは少し興奮しているようだ。

「恋愛をしたことはありません！やりたいけど、家の中で知ったら大変なことになるから」

「私も同じです」

どうやら貴族社会では家門間の利害関係で結婚が成立したため、簡単に恋愛をすることはできないらしい。

じゃあ、誰に聞けばいいの？

その時、クララが目をきらきら輝かせながら近づいてきた。

「ところで、王妃様。それはどうして聞くんですか？ランジェリーは必要ですか？」

「いや、いらない・・・」

ひ、必要か？助けてくれと言えばいいのかな？

しかし、私たちにはまだ早いと思う！

私は恥ずかしさに話を変えた。

「ただ気になって。君たちがいい人に会うことを願ったりもするし。君たちが結婚することになったら、いっぱい面倒を見てあげたくて」

急に言い出した話だったが、嘘ではない。

もし結婚することになったら、よく面倒を見てあげたいんだけど。

やらなくても、よく気這ってあげたいし。

ノマは黙黙と話を聞いて口を開いた。

「お話はありがたいのですが、当分は私とは無関係のようです。私と婚約しようとする家門がなくて」

「え？どうして？ 」

私が尋ねると、ノマは少し怪謗な顔をする。

彼女はしばらくためらった後、口を開いた。

「私の背が高くて顔がきれいではないので、嫌がる方が多いのです」

そういうわけか。

確かにノマはかなり高い身長に属している。

私はどうも気分が悪く、訳もなく口を尖らせた。

「その人たちは見る目がないね。私の目にはノマが本当に本当に素敵だけど」

「・・・私がですか？」

私は力を入れてうなずく。

他人の外見についてむやみに話すことはできないので、口をつぐんでいたが、私は彼女が素敵だと思った。

ノマはよく言われるように「女性的」ではない。

しかし、中性的な感じが漂うのがかえって魅力的だ。

スカートもよく似合うけど、ズボンのスーツを着たらすごくかっこいいと思うけど、残念だね。

いつか素敵な服を一着プレゼントしてあげたいのだけど。

「・・・お言葉ありがとうございます。そんな話は初めて聞きますね」

感謝しているとはいえ、ノマの声は温もりなくただの無彩色に過ぎなかった。

気分を害したようにも見える。

その時、ノマが自然に話題を変えた。

「私よりはクララが先に結婚する確率が高いでしょう。クララ、クララは婚約提案がたくさん入ってこない？」

「あ、はい。たくさんではありませんが、時々入ってきます」

クララは少し困った表情で言った。

あ、以前緑色の瓶が回った時も婚約の件が入ってきたと言ったよね。

租父が結婚させようとしたことを思い出す。

クララはその時のようにため息をついた。

「家は催促してきますが、率直に言って行きたくないです」

「この前恋愛結婚したいって言ったよね？」

「う～ん、それもそうだけど・・・。侍女の仕事をもっとしたいからです」

ああ、そういう問題があったんだ。

結婚したら、侍女職は一旦引退をしなければならないから。

侍女や乳母の中に貴婦人の人も結構いるが、結婚した直後に宮に帰ってくることはめったにいない

クララが結婚することになれば、少なくとも数年は侍女職から退かなければならないだろう。

ノマとクララがお嫁に行ったら、新しい人を探さないと。

今から少し残念な気持ちだ。

その時、クララの声が小さく聞こえてきた。

「そして王妃様のそばで、王妃様の仕事を見守るのも楽しいですから」

「仕事？どんな仕事？」

「だから・・・、服のデザインです

私は驚いてクララを見る。

クララ、あなたデザインに興味があったの？

たまにデザインについて何かを聞いてみたが、単純に不思議だからそうだと思った。

「デザインがしたいの？」

「・・・はい」

クララはうなずいた。

彼女の瞳に触れた瞬間、私は微弱な電流を感じた。

クララは最初の夢を見る子供のように期待に胸を膨らませていたのだ。

あんな瞳を見たのは、ずいぶん久しぶりだった。

クララは目をキラキラ輝かせて言った。

「正確に言うとランジェリーの方のデザインがしたいのです！」

自分の子供時代が思い出され、思わず笑ってしまう。

私も最初はきれいな服に関心を持っていたけど、後から自分で作りたくなったな。

なんとなく心が暖かかった。

誰かの夢が咲く瞬間を目撃するのはあまりにも悦惚としたことだ。

ノマもクララの言葉に少し驚いた様子だった。

彼女は心配そうに尋ねる。

「クララ、まさか家にもそんなこと言ったの？」

「そんな、まさか。そうしたらすぐに追い出されますよ」

クララはくすくす笑いながら言った。

笑ってはいたが、口の中が苦かった。

貴族社会ほど保守的でバランスの取れた集団を見つけることも難しいだろう。

貴族の令嬢がランジェリーを製作して売るとすれば、あらゆる醜聞が社交界を津波のように覆うだろう。

どれだけ多くの話が交わされるだろうか。

その話を背負って進むにはあまりにも大変な道だろうに・・・。

「でも、いつかは私も王妃様のように素敵なデザイナーになりたいです。できるかどうかは分からないですが」

クララはにっこりと笑いながら言った。

私は突然、両手に花をいっぱいもらった人のように戸惑い。

そんな話は生まれて初めてだ。

私が誰かの夢になれるなんて。

これより素晴らしいことがどこにあるだろうか。

私はクララの手をぎゅっと握る。

いつかは素敵なデザイナーになる人の手を。

「クララ、私が手伝ってあげる。ランジェリー専門ではないけど、デザインに関して基礎的な部分は教えてあげれるかもしれないから」

「ありがとうございます！私が一番最初にデザインしたジェリーは王妃様に差し上げます！」

「いや、大丈夫だよ。うん」

もう必要な時が来たようだ。

クララが嬉しそうに笑っている中、ノマが懐中時計を確認して話し出した。

「王妃様、そろそろ昼食の時間です」

「ああ、ありがとう」

私はそっと席を立つ。

昼食という言葉を聞くと気分がもっとよくなった。

なぜならご飯を食べる時、セーブルも一緒に食べるから！

夕方まで会えないと思っていたのに、こうやって会えてとても嬉しい。

今日クララに聞いた話も伝えたいし。

どうせこうなったから、執務室に寄って一緒に行かないと。

早く会いたい気持ちで足取りがとても軽かった。