こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
今回は115話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
115話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- エセルレッド公女
「レディー?」
首都は勝利の知らせと軍隊の帰還に熱狂していた。
その間、ファミリア百貨店ではVIP顧客を対象に高級なパーティーを開いた。
今、「レディー」と前を走っていた女性を呼んだ青年も、正式に招待状を受け取った裕福な貴族の令息だ。
「ハンカチを落としましたよ」
男は手に持ったそれほど華やかではないが、良い生地をかぶったハンカチの感触を楽しみながら、女が振り向くのを待つ。
宴会場を出ていた女性が足を止めた。
そして後ろを向く。
「・・・」
男は言葉に詰まった。
いや、息が止まったも同じだ。
「ああ、ありがとうございます、紳士」
神秘的な銀色の髪と繊細な瞳。
細密な目鼻立ちまで。
男の顔は一気に赤く染まり、心臓がドキドキした。
一気に恋に落ちたのだ。
(こんなに美しい女性がいたなんて、いったい誰だ?)
すると、男は既視感を覚えた。
「銀髪・・・?」
そういう特徴を持った有名な人がいるんじゃないか。
「え、エセレッド公女様・・・?」
ナビアはにっこり笑う。
「貴公は?」
「あ、アルフォンソ家の・・・」
「ケンドリック・アルフォンソ令息だったのですね」
その言葉にケンドリック・アルフォンソの目が丸くなった。
彼の知る限りでは、彼らは今日初めて会った。
どこかで偶然会うこともなかった、まったく接点のない仲だ。
(どうして私の名前が分かったの?もしかして・・・私のこと気にしていたのかな?)
彼は赤面した顔で一人で想像の翼を育てていく。
その時、ナビアがそっと近づいてきて、彼の手に持ったハンカチをさっと取っていった。
「じゃあね」
ナビアは膝を少し曲げて挨拶し後ろを向いた。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「・・・?」
「あの、それが・・・あ!パートナーが見えないんですね!」
ケンドリックは彼女と何とかもう少し話したかった。
それで必死に話しかけるネタを探し出し、ナビアが一人でこの場にいるという事実に気づいく。
彼は、ナビアがパートナーなしで一人で来たと断定した。
そうでなければこんなに閑静な所に女一人でいるはずがなかったから。
「私がエスコートします」
ナビアは苦笑いする。
「お話はありがたいのですが、申し訳ありませんが、もうすぐ予定がありますので」
「あ・・・」
「楽しい時間をお過ごしください」
ナビアは頭を軽く下げて振り返った。
ケンドリックはひどくがっかりして、ナビアの後ろ姿を見てパーティーに戻る。
「ケンドリック!どこに行ってきたの?」
彼は普段親しく過ごす貴族の令息たちの問いに頬を掻いてから言った。
「内部が気になって歩きまわるハンカチを落としたレディーがいるのでお伝えして来るところだよ」
「ハンカチ?ハハ!最近もそんな古典的なやり方で誘惑する人がいるの?」
ケンドリックは苦笑いした。
「誘惑だったらどんなに良かったんだろうか?」
彼の言葉にみんな呆然とした表情をする。
「いったい誰だったの?」
「・・・実は、ちょうとナビア・エセルレッド公女を見て来たところなんだ」
「え?パーティー会場にエセルレッド公女がいた?私は見てないんだけど」
「私は幼い頃、エセルレッド公女が参加した読書会に行ったことがあって顔を知っている。しかし、今日は見たことがないよ」
「銀髪はこの間にあれば絶対に跳ねるのに」
誰かの言葉通り、パーティー会場で一番明るい髪色だと言っても金髪が全てだった。
その時、壇上の上に男が現れ、手をさっと上げる。
まもなく演奏者たちが手を止め、人々の声も静まり、視線が一ヵ所に集中した。
「もうすぐファミリア百貨店の代表がご挨拶する予定です」
ここに集まった彼らは、すでにファミリアデパート代表がついに姿を現すというニュースに、凱旋式の見物もあきらめてきた人々だった。
「どうせ皇居までお出ましするのを見物するよりは、改善パーティーが重要だから」
まもなく壇上に代表と思われる人が歩いて出てきた。
「え・・・?」
気が動転していたケンドリックは、代表を見たときに肝の目を大きく見開く。
「エセルレッド公女・・・!」
ナビアは穏やかな表情で壇上の真ん中に立ち止まる。
シャンデリアとともに魔力などを照らし、まるで日差しの下にいるように明るく眩しい空間で、ナビアは少しの震えもなく座中を見回した。
「なんと、これが全部エセルレッドのものだったなんて・・・!」
ざわざわ!
ここに集まっていた彼らは、団体で衝撃に陥っていた。
エセルレッドは魔力石の充電技術があり、すでに世界市場の最強者として君臨した状態だ。
ところが、今見るとそれだけでなく、ファミリア工房、ハートブティックをはじめとする様々な最新事業にデパートまで所有したのだった。
「では、ハートブティックがまだアグニスと取引しない理由が、エセルレッド公女の処置なのでしょうか・・・?」
人々はエセルレッドから魔力石の充電技術を持ち出した時点から、すでに両家の関係が尋常でないことを感じた。
特に、アグニスのたゆまぬ関心と好意にも関わらず、エセルレッドがびくともしなかったという事実が、その推測を確信に変えたりもした。
ナビアは騒ぎがおさまると、神秘的な外見にふさわしい静かな笑みを浮かべて口を開く。
「パーティーに参加してくださった貴賓の皆様に大変感謝いたします」
人々は依然として衝撃に陥り、ぽんやりとした表情でナビアを眺めていた。
ただでさえ最近の社交界ではナビアがデビュタントを行わないことであらゆる噂が流れている。
「エセルレッド公女の年がもうすぐ21歳になりませんか?最後の社交活動がもう10年も前だなんて。エセルレッド公爵までも門外不出でですね」
「何があったのでしょうか?たとえば、エセルレッド公爵が外での活動ができない理由ができたとか?」
いずれも予想していた反応だ。
それでナビアは以前から論難を一度に静めるような方式を悩み、その結果がこれだった。
複数の事業体を抱える事業家であることを一度に明らかにしてしまうこと。
ナビアはあえて挨拶の言葉を長く並ばなかった。
その代わり、ハートブティックの新しいコレクションを披露する。
「今日のパーティーでのみ披露する特別なコレクションです。以後、このようなデザインは出ないと思います」
特別なコレクションという言葉に人々の目が輝いた。
すでにデパートのVIPとして招待されたことだけでも、特権層の間では上流の中で最上流を分ける重要な指標だ。
だからこのように「特別商品」でその事実を際立たせることができるということは非常に魅力的なことだった。
さらに、コレクションはオークション形式ではない。
ここに参加したVIPなら、全員が購買機会が与えられた。
貴族にとっては残るのが時間だった。
パーティーは成功した。
ナビアは笑顔で人々に挨拶を交わし、そっと席を離れる。
多くの人の間にいても満たされない空虚が心をひんやりとなで下ろした。
(でも、もう戦争は終わったから)
ナビアは戦場に向かったクリードはもちろん、タイタン騎士団を思い浮かべながら微笑んだ。
皇帝はカラディス戦が勃発した当時、確実な勝利のためにタイタン騎士団の出兵も要求してきた。
その上、「シューレマンとマーガレットの戦力まで加えろ」と、それとなく圧迫を加えたのだ。
ナビアは、「60歳を過ぎた2人をどうやって再び戦場に送ることができるのか」ときっばり断った。
しかし、タイタン騎士団の出兵は避けられなかった。
「当主様」
自分を呼ぶ聞き慣れた声にナビアが振り返る。
「ネロ!」
首都に到着するやいなや、ファミリアデパートを訪れたネロが優しく笑ってナビアを眺めていた。
「もう立派なお嬢さんになられましたね」
「そういうネロこそ大人になったね?」
「・・・私はもともとあなたよりいつも大人でした。他の生を合わせるのは少し反則じゃないですか?」
ナビアは彼の腕から落ちて笑い出す。
確かに、30歳になった今のネロなら、もう本当にお兄さんとして認めてもいいだろう。
ナビアが彼を見て大人になったと言ったことは無駄ではなかった。
ネロからはかつてない大人の余裕が感じられていた。
成熟したのである。
ナビアも当主として成功しているようですね。
早くクリードと再会してほしいです!