こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
今回は71話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
71話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 自身の決断②
視線を受けて、ルイーゼの顔が赤く染まった。
照明が薄暗くて幸いだった。顔の赤みが目立たないだろうから。
彼女は激しく上下する胸の動きを落ち着かせながら、ゆっくりと口を開いた。
「そばにいるだけなら、問題ありません。」
「では、以前別館でしていただいたように、ベッドのそばでお話し相手になっていただけますか? そのときもルイーゼさんといろいろな話をしているうちに、いつの間にか眠ってしまいましたから。・・・やはり難しいですか?」
再び彼は、彼女の反応をじっと観察した。
エドワードはどうやら、強引に出ればルイーゼが断りづらいとわかっているようだ。
ルイーゼは彼の視線を避けるように、しぶしぶ答えた。
「いいですよ。でもその代わり、エドワードさんがベッドに寝てください。」
「ルイーゼさんを床に座らせるわけにはいきません」
「ベッドのそばに椅子を置くというのは?」
「あなたが私を見つめていると緊張して眠れなくなりそうですけど。」
「・・・そうですか。」
確かに心理的な要因が大きく作用するなら、視線だけでも負担になるかもしれない。
彼の言うように、以前と同じ場面を再現するのが彼女にとって良いかどうかは分からなかった。
「いずれにせよ、今回は私を置いて部屋に戻っても大丈夫です。寝たら追い返しますから。」
「寝たらもちろんそうするでしょうけど、どう考えてもベッドに寝るのはエドワードさんであるべきです。遠慮しながら床に座るのにも慣れてしまいましたから。」
「私は大丈夫です。」
「うん。」
エドワードは少し困惑した表情で彼女を見つめると、自分の腰に手を伸ばした。
彼が着ていたナイトガウンの腰ひもを解いた。
ルイーゼの目が飛び出そうなほど大きく見開かれた。
「エ、エドワード?」
「それももっともなご意見のようですので、これをお譲りしましょう。慣れない家ではありますが、屋根がある場所ですから。安心して眠らないと危険ですし、ルイーゼさんのご厚意を無下にはできません。」
エドワードは穏やかな顔でナイトガウンを脱いだ。
そして、それをすっと内側にたたんで整える。
磨き抜かれた黄金比の体型は、職人が一生をかけて作り上げた彫刻のように完璧な均衡を保っていた。
広い肩から続く美しい胸部と腹部には、無駄な肉が一切なく筋肉が際立っていた。
「大丈夫ですか?」
「え?」
「ガウンを一枚お貸ししても大丈夫かお聞きしました。もっと必要であれば・・・。」
彼の手はさらに下のほうへ動いた。
「いえ、大丈夫です! これで十分です!」
ルイーゼは彼の手からナイトガウンを急いでつかみ取ると、そそくさとベッドの横に向かい、その場を片付ける。
エドワードはそんな彼女の背中を見て、穏やかに笑った。
実際、彼は「ルイーゼが必要だ」と答えるとすれば、浴室にある毛布を取りに行こうと考えていた。
「私はここに座りますから、エドワードさんはベッドで横になってください。」
「はい。」
ベッドに向かう彼の顔には、柔らかな微笑みが浮かんでいた。
ルイーゼは、そのときようやく自分が彼の冗談に引っかかっていたことを悟った。
「・・・ダメだ。」
彼女はベッドにもたれて座り、少し不機嫌そうな表情を浮かべる。
その間、エドワードはベッドに横たわり、ゆっくりと布団を引き寄せた。
何とも心地よい気分だ。
皇城を離れて以来、暗殺者やスパイ、そのような危険な状況とは無縁の安心感を久しぶりに味わっていたのだ。
護衛のため以外で誰かがベッドに横たわる彼のそばにいるのは、初めてのことだった。
「目を閉じましたか?」
「閉じました。」
「では、どんな話をしましょうか?」
ルイーゼの質問に、エドワードが唇をわずかに動かした。
「昔話をしていただけませんか。ルイーゼさんの過去について、詳しく聞いたことがない気がします。特にマクシオンと一緒に過ごした時期が気になります。」
「それなら話すことはたくさんありますよ。私がマクシオンに初めて会ったのは・・・。」
エドワードは視線を少し外し、ベッドの横にある銀色のランプを見つめる。
ベッドの上には彼女の髪がさらさらと広がっていた。
彼はルイーゼのほうに向き直り、伸ばした手で近くにある彼女の髪を指先で軽くトントンと触れた。
ルイーゼは自分が話している内容に夢中で、特に反応を示さなかった。
彼は彼女の髪を指の間に通した。
絹のように柔らかく長い髪が、そっと指先を滑るように通り過ぎていった。
「・・・それで、パン生地を使ったアップルパイは、近所のパン屋のおばさんに教わったんです。マクシオンが私が作ったものの中で唯一おいしいって言ってくれたんですよ。聞いていますか?」
「ええ。」
ルイーゼは話を続ける。
彼女の話が終わるまで、エドワードはじっと耳を傾けていた。
まだ眠れないままでいた。
「・・・それで、エドワードさんに出会ったんですね。」
「とても寂しかったんです。」
「そうだったんですね。だから、今がとても幸せなんですね。」
「そうです。本当に幸運です。」
「エドワードさんはどんな子供時代を過ごしたのか、聞いてもいいですか? ああ、話したい範囲で大丈夫ですよ。」
彼の過去が普通の人と違うことを知っていたルイジェは、慎重に尋ねた。
「過去を振り返ると、あまり多くを覚えていません。自分では記憶力が良いほうだと思っているんですが、幼少期は忙しく過ごしていたせいか、記憶が穴だらけで、何もない場所のように空虚に感じることもあります。」
「それって、大変なことじゃないですか?」
「重要ではないことは、忘れるべきなのかもしれませんね。それでも思い出せることがあるとすれば・・・。」
彼は意外にも穏やかでユーモアのあるエピソードを語り始めた。
ルイーゼとは違い、彼は両親よりも乳母や使用人と過ごす時間が多く、みんな子どもに対して親切で、意外なことに誰も教えてくれなかった騎士と侍女の秘密の恋愛についても、最終的に一番遅く知ったほど、その方面の気づきは鈍かったという話だった。
次第に皇城の外で過ごす任務が増えていったが、思うように帰ることもできず、外での生活について気になることがあったとも付け加えた。
その後の話は短くまとめられたが、ルイジェの母親が、彼の要請で幼少期の記憶に関連する内容をできる限り詳しく思い起こそうとしたことにも触れられた。
「・・・これが答えですね。」
「・・・」
「ルイーゼさん?」
エドワードは座っていた椅子から立ち上がり、ルイーゼの方へ向かった。
彼女の髪に窓から差し込む月明かりが揺れていた。
穏やかな表情で閉じられた瞼の下には、まだ疲れの影が残っていた。
昼間、いろいろと動き回って疲れたのか、彼女はそのまま眠りについていたようだ。
「他人の寝室でこんなに無防備でいいのですか?」
エドワードは笑みを浮かべ、そっと彼女をベッドに横たえようと慎重に抱き上げた。
いずれにせよ、彼女をベッドに寝かせ、自分はソファで休むことに決めているようだった。
ベッドでもソファでも、今夜は眠れないのは目に見えていた。
「・・・あまり気楽に考えないでほしいんですが。」
彼は彼女を自分のベッドに横たえた。
布団をかけようとして、ベッドの反対側にある布団を取ろうとした瞬間、ルイーゼの唇がそっと動いた。
「うーん・・・。」
「・・・。」
エドワードの体はそのまま硬直した。
もし今、彼女が目を覚ましたら、彼が何をしようとしていたのか誤解されてもおかしくない状況だった。
「布団・・・。」
ルイーゼが寝ぼけてベッドの上に手を伸ばしたのを見て、エドワードは軽く笑いながら布団を引き寄せ、そっと彼女の上にかけてあげた。
彼が布団をきちんとかけ直そうとした時だった。
ドン。
彼の右腕にルイーゼの左手が触れる。
エドワードは驚いた顔で彼女の手を見た瞬間、ルイーゼが彼の腕をしっかり引っ張った。
ベッドの上でバランスを崩したエドワードは、とっさに左腕を突き出し、彼女の脇の横に手をついた。
辛うじてルイーゼの上に倒れこまず、彼女の眠りを妨げることは避けられた。
しかし、ルイーゼの布団がかかった体の上で、彼の腕はまるで布団の一部のように横たわっていた。
少し動くだけで触れてしまうほど、彼らの顔は互いに近づいていた。
言葉も息も詰まるような緊張感がその場に漂った。
彼が慌てて体を起こそうとしたところ、ルイーゼがスルッと抜けていこうとする腕を再びしっかりとつかみ、自分の上に押し戻した。
剣士らしく彼女の握力は非常に強かった。
「・・・大事ですね。」
彼は慎重に支えていた体を、左手で彼女の髪を直しながら、そっとルイーゼの横に倒れる。
彼の腕が抜けなかったため、彼女は満足そうな表情で再び眠りについた。
穏やかに眠る彼女の顔は、非常に愛らしく見えた。
最近、彼女を見ているとこうしたことが多くなってきた。
「どうやら、私は思った以上に深くハマってしまったようだ。」
長い夜を過ごす中で、ついに彼はそう悟ることとなった。
眠っている彼女の顔だけでも見たいという気持ちが、不意に胸に湧き上がった。
朝日が差し込む部屋の中で、彼女を直接起こしたいという衝動に駆られた。
その衝動を抑えるのに、どれほど苦労したことか。
エドワードは部隊員が所持している魔法石を使い、彼らの状態をおおまかに把握することができた。
その魔法石には、救助要請を出すことが難しい状況や、重傷を負った隊員をいち早く確認し救うための機能が備わっていた。
今朝、彼女を起こして行動を共にしなかったのは、ルイーゼが滞在する部屋の扉をノックし、彼女の状態を確認したエドワードが、ぐっすり眠る彼女をどうしても起こせなかったからだ。
「こんな私が、どうしてあなたを離してしまえるでしょうか。」
彼女がただ安らかに眠っているだけで、彼の視線は彼女に吸い寄せられていた。
その場に彼女を置いておきたかった。
どうせなら、この長い夜をただ過ごすだけでは物足りなく、彼は彼女のそばにいるこの状況を少しだけ楽しみ、ソファで休もうと考えた。
その場で眠りたいという気持ちは同じだったが、それを実行に移そうとは思わなかった。
しかし、彼は長い不眠に苦しんでおり、昨日も直接に報告まで追われ、その日も朝から調査に奔走していたため、体が疲れきっている状況だった。
だからこそ、彼がその場で眠ってしまったのは、彼の意図ではなかった。